● “よい眠り”のための「動く」エアー式マット
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快眠プログラムマット EU3002
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布団に入って寝付くまでのひとときは、忙しい毎日のなかで最も“ほっ”とできる瞬間ではないでしょうか。しかし、この寝付くまでの時間が長くなりすぎると、逆に苦痛になる場合もあります。特にデスクワークの場合、頭は一日フル回転して疲れていても、体が疲れていないせいで、なかなか寝付けないこともあります。布団のなかで悶々と考え続けてしまい、それでなくても短い睡眠時間が、ただただ「寝付けない」時間に浪費されていくあのもどかしさは、たとえようがありません。
そんな寝付きの悪さを解消し、質のよい眠りを得ようという製品が、今回の「快眠プログラムマット EU3002」。さまざまな機能で「寝つきが良い」「しっかり眠れる」「すっきり目覚める」という、“よい眠り”を実現するための製品です。
この希望小売価格は262,500円。Amazon.co.jpでの販売価格は195,504円です。「家電」としてはかなり高額ですが、高級なスプリングベッドやマッサージ機と比べるべき製品なのでしょう。今回はこのちょっと変わったアイテムを2週間ほど試せたので、レポートしたいと思います。
● 低反発マットと8つのエアーバッグで身体をストレッチ
「快眠プログラムマット」は、一見するとしっかりした厚めの低反発マットのようです。表面はキルティングで覆ってあり、色は白地に薄いイエローの細かな柄入り。日常使いしやすいごく一般的な寝具の雰囲気です。足もとにあるコネクターに電源やコントローラーをつなげると、ケーブルの数が多いためちょっと物々しくなりますが、このケーブルが壁や家具などで隠れる側ならそれほど気にならないでしょう。
操作のためのコントローラーは、足もとの差込口からコードでつながっており、コードを枕元までのばして置いておきます。コードの長さは自体は十分あるので布団に入っても楽に使えますが、私の場合、起きたときにベッドからこのコントーラーをよく床に落としてしまって焦ることがありました。コントローラーを収納するつり下げポケットのようなものが欲しいところです。
マットの大きさは、高さ10cm、幅100cm、奥行200cmのシングルサイズ。重さは約12kgあり、ポンプは2kg。マットは三つ折りにできるので押し入れに収納することもできますが、かなり重さがあるので高い位置へ毎日上げ下げするのは重労働でしょう。押し入れにしまうとしても、すのこなどを利用して低い位置に収納したり、ベッドの上に置いて使う方が現実的です。
この「快眠プログラムマット」の基本的な構造は、スポンジ状のマットと厚手の低反発マットで、8つのエアーバッグを挟み込んでいるつくり。足もとにある機構部でエアーバッグに入れる空気の量や動きを調整し、ストレッチを行ないます。プログラム制御されたエアーバックは、ふくらんだりしぼんだりすることで身体をストレッチさせ、深い呼吸ができるよう背筋をそらせたり、腰を落としたりして姿勢をコントロール。この深い呼吸が眠りを誘って寝付きやすくするわけです。
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マットは3つに折りたたんで収納も可能
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「止めバンド」を使って、折りたたんだ状態で留められます
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白いボックス型のポンプ部と、空気を送り込むホース類
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ホースコネクターをポンプ部に差し込んで使います
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ポンプ部は約2kg、高さ12cm、幅13cm、奥行30cmあります
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マットの足もとにある接続ホース差込口。足もとには硬い機構部が設置されていて厚みがあります
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ホース類を接続した状態。コードの数が多いので、少し物々しい感じがあります
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コントローラーのコードは2.1mあり、十分枕元まで伸びます
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● 就寝時、起床時用のプログラムのほか、マット自体がカスタマイズできる
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畳の和室に置いたようす。ベッドマットの上に比べると硬く感じますが、マットの硬さは調整もできます
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具体的にエアーバッグでできる動作は、8つのエアーバッグが順番にふくらむ「さすり」、腰枕がふくらんで背中を反らせる「のばし」、腰にあるエアーバックが片方ずつふくらんで身体を左右に押し上げる「腰まわし」の3種類。実際に試すまではエアーバッグで空気が送られるぐらいでストレッチになるのか疑問だったのですが、実際にやってみると、自分の体重による負荷とエアーバッグの力強さで、マッサージ効果は予想以上。マッサージチェアで背中をほぐされているのに近いイメージでびっくりしました。
あらかじめプログラムされているコースは、最大約15分間の「おやすみプログラムコース」と最大約9分の「お目覚めプログラムコース」の2コース、そして約10分の「腰」「肩」の部分コースです。機能的には、これに加えてマット自体の硬さの調整や、ヒーター温度の調整、腰部分の「腰枕」の高さの調整などの調整項目や、除湿機能も備わっています。
プログラムの実行中以外も、電源が入っている間はマットの硬さと腰枕の高さ、ヒーターの調整が可能で、マット自体をカスタマイズしやすいのも特長の1つです。ベッドのマットの上に敷いているか、畳の上に直接敷いているかによっても寝心地は変わってくるので、エアーバッグで硬さを調整できるのは便利です。ちなみに、試したときは普通のフラットシーツを使いましたが、毎日のプログラムでシーツが動いてしまったりすることはなく、一度セットすれば普通のマットと同じように使えました。
電源が入っていない状態でもそれほど違和感はありませんが、寝ていると腰のあたりに少しエアーバッグの存在を感じるので、眠るときは基本的に電源を入れて使うことになります。気になる電気代は、15分のプログラムを1日2回使用した場合で1カ月約9円。ヒーターを一日12時間使用した場合でも1カ月約570円ですから、それほど気になる額ではありません。
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プログラムの選択や強弱、「ヒーター温度」「腰枕高さ」「マット硬さ」を調整できる操作部
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エアーバッグは低反発マットの下に設置されており、全部で8カ所に分かれています
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普通のフラットシーツで使ってみました
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シーツをかけるとこんな状態。ベッドの下の隙間にポンプ部を入れられれば、もっと目立たなくなりそうです
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● 寝付きをよくする「おやすみプログラムコース」
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電源を入れる前の状態。低反発マットなどの厚さだけなのでそれほど高さはありません
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いちばん気になる「おやすみプログラムコース」は、まず「切/入」の電源ボタンを押して電源を入れるところからスタート。マットの硬さや腰枕の高さが設定した状態になり静止するので、ここで「快眠プログラム」の「おやすみ」ボタンを押し、その下の「強さ」ボタンを押してストレッチの強さを「弱・中・強」から選びます。
ここから最大15分間のプログラムがスタート。最初はリラックスのための「さすり」が約90秒、次に身体をほぐす「じっくり伸ばし」が約2分、「骨盤ストレッチ」が約3分と続き、ゆっくり深い呼吸を促す「呼吸アシスト」が約3分半。最後にリラックスのための「ゆったりさすり」が約1分続き、ゆっくり停止します。ちなみに動作音は、空気が送り込まれたり抜けたりする「シュー」という音や「プス、プス、プス」というポンプの音がメインで40dB程度。金属音や高音、モーター音はしないので耳障りではありませんし、隣に寝ている人がうるさくて眠れないと感じるほどの音はしません。
実際にやってみてわかったのは、このプログラムの実行中、とくに中盤はしっかりストレッチを行なうためかなり身体が動き、少なくとも終盤までは「リラックスして寝入ってしまう」状態ではないということです。むしろ、「うーん、腰が伸びてる……」とか「背中がブリッジされてイタ気持ちいい……」とか、身体のどの部分がストレッチされているのか感じることになるので、個人的にはむしろ昼間に活動しているときよりも、身体の部分部分に意識を向けているようです。
もちろん、このストレッチ自体も充実感があるのですが、個人的には寝付く前に身体に意識を向けられると、頭で変に考え事をしなくてすむようになって、さらに寝付きがよくなるように感じたのが印象的でした。
● 「お目覚めプログラム」や「腰枕」で寝起きもよく
もう1つのプログラム「お目覚めプログラムコース」は、最初はリラックスのための「腰・肩ゆさぶり」ではじまり、ストレッチの「背筋伸ばし」、「腰まわし」と続き、最後に「背・肩上げ」で置きやすい姿勢にして終了します。
確かに、これを行なうとスムーズに起きられるのですが、タイマーがセットできるわけではなく、自分でプログラムを開始する必要があるので、「半分起きているけれど、なんとなく眠い」という状態で活躍する機能です。
私の場合は、いつもそこまで簡単に起きられず、布団から出ないと止められない位置に目覚ましがあるので、「あと5分……」と思って布団に入ったときや、休日の朝などにこの機能を使っていました。ここまでの機能があるなら、あのJR東日本の乗務員宿泊施設で使っているという「おこし太郎」(現在は販売休止中)ほど強力にではなくても、設定時間に動き出す機能があればいいのにというのが正直なところです。
それと、起きたときに感じたのは、腰枕の効果です。実は私は普段、横向きでしか眠れないのですが、この「快眠プログラムマット」の場合は仰向けに寝るのが基本。この点がどうかなと思っていたのですが、腰枕のおかげで姿勢がうまく安定するようで、起きたときも仰向けで目が覚めました。各プログラムの実行後も、電源が入っている間は腰枕の高さやマットの硬さは維持されるので、一晩中快適な寝心地でいられるわけです。
● 意志の強さにたよらずストレッチを習慣づけできる
個人的に、この「快眠プログラムマット」でいちばん気に入ったのは、ストレッチの充実感と、意識を身体に向けられること。この場合、プログラムの最中にケータイを操作したり本を読んだりすると意味がありませんが、慣れると15分は案外短く感じるものです。また、翌日起き上がったときには、背中の軽さも感じられ、マッサージ効果もしっかりあるんだなぁと実感できました。
毎晩ストレッチをしようと決意しても、なかなか動機付けが強くないと続かないものですが、マットに寝ているだけで済むので意志の強さも問われません。
こういった製品はどうしても向き不向きがあるので、本当なら購入前に試したいところですが、製品が大きいだけに家電量販店の店頭で試す機会も少ないでしょう。ショールームに行くのも大変なので、できれば一カ月間などレンタルで「お試し」できる制度が登場してくれることを切に願います。
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ナショナルのWebページにある「眠り相談ソフト」
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とりあえず、ナショナルのホームページには、眠りの健康度をチェックできる「眠り相談ソフト」が用意されているので、一度チェックしてみるところから始めてみてはどうでしょうか。いまの睡眠の「質」を見直して、寝ている時間を充実させれば、昼間の活動時間もより快適に過ごせるはずです。
■URL
ナショナル(松下電器産業株式会社)
http://national.jp/
製品情報
http://ctlg.national.jp/product/info.do?pg=04&hb=EU3002
眠り相談ソフト
http://www.mew.co.jp/kaimin/soudan/index.jsp?f=1
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