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左側がプジョー電動ソルトミル「elis 20620」、右側がペッパーミル「elis 20613」
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プジョーというと自動車メーカーのイメージが強いが、実は胡椒やコーヒーを挽くミルでも定評があるメーカーである。
プジョー社の歴史を見ると、1810年に製粉所を製鋼作業所に変えて、バネや鋸などを作り始め、19世紀半ばには、食料品店で燕麦などを挽くミルやミシン、ドレスの下に身につけるコルセットの張り骨など、さまざま道具や部品を作っている。
1874年から製造された家庭用のテーブルペッパーミルは、誰もがペッパーミル言われるとすぐに思い出される、木製で砂時計のように中心がくびれた形のもので、広く普及しているもの。自動車の製造は1882年からなので、自動車よりも家庭用ペッパーミルの方が歴史が古いのだ。
プジョーのシンボルマークであるライオンも、最初に刻印されたのは鋸の刃だった。道具類の品質の強度としなやかさ、切れ味を象徴しているものだという。当時のロゴは、矢の上にライオンが乗っているもので、現在もプジョー社製のミルにはこのロゴがついている。その他のプジョー製品は、現在の自動車のエンブレムと同じもので、後ろ足で立ち上がっているライオンのマークになっている。
ミルは160年以上の歴史があるだけに、製品の種類も豊富だ。クラシックな深い色合いのものから、カラフルなもの、素材は木、ステンレス、ガラス、銀メッキ、そして形もさまざまである。今回は、その中から電動ミルの「elis(エリス)」を購入してみた。メーカー希望小売価格はオープンプライス。Amazon.co.jpで、「ペッパーミル 20613 」、「ソルトミル 20620」をそれぞれ12,600円で購入した。
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パッケージ。ソルト用もペッパー用もパッケージの見た目は同じ
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付属するのは、本体の他にトレイとして使う蓋、スペアのランプ、単四の乾電池6個
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約500×400mm(直径×高さ)。このように持って使う。挽かれた調味料は、本体の底から出てくる
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ペッパー用。電池を装着すると、515g。手で持つとずっしりとした重みがある
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ソルト用。電池を装着した状態で、488gだ
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● 挽く調味料の種類によって、グラインダーが異なる
電動ミルは、中に丸い形のままの胡椒や、クリスタル状の大粒の塩を入れ、片手でボタンを押すだけで、細かく挽かれて出てくる。ペッパー用とソルト用に分かれているのは、調味料によって中のグラインダーの構造が違うからだ。
ペッパー用とソルト用の見分け方は、本体の、挽き方で一番細かいことを表す目盛りのところに、それぞれ「P」=ペッパー用・「S」=ソルト用と書いてある。使いはじめは、その文字を探すことになるが、調味料を入れてしまえば外側から見えるので、間違えることはないだろう。
本体のサイズは約500×400mm(直径×高さ)の円柱形で、胴体部分はステンレス製。調味料をいれる部分は、透明なアクリル製になっている。重さは電池装着時で約500g。片手で持つとずっしりとした重さだ。本体の他に、取り替え用のスペアランプと、ミルのフタにあたるステンレストレイが付属する。
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本体を開けるには、本体上部を持って、鍵が開いた絵まで時計と反対まわりに回す
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本体を開けてから、容器に調味量を入れたり、電池を装着したりする
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電源は単四乾電池6本で、購入時に付属する。電池寿命の目安は、1日に4回、約3秒ずつ使用し続けて約1年間。電池を装着する時は、本体上部を反時計回りに回し、鍵が開いた絵に印を合わせてから外す。外した本体を裏返すとロックが2箇所あるので、このロックも鍵が開いた絵に合うように、先の尖ったペンなどで動かす。すると、本体からバッテリーユニットが引き出せるようになる。
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電池を装着するには、まず本体の裏側のロックを先の尖ったペンなどを使って外す。ロックを鍵が開いた絵に合わせる
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するとバッテリーユニットが引き出せるようになる
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電池を装着した状態。この裏側にも、更に3個単四電池を装着
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本体に胡椒や塩をいれるには、電池の入れ方と同じように、本体上部を反時計回りに回して外したら、本体下部の容器に調味料を入れ、あとは元通りに、本体上部をはめ込んで、時計回りに回して締める。
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調味料を入れる時は、本体を開けてから、容器の中に入れる
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調味料を入れたら、本体を装着して鍵が閉まった絵まで回す
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グラインダーとは、材料を粉砕する部分で、内側と外側のギザギザの間に胡椒や塩が入り込むと、歯車のような刃で砕かれる。ペッパー用とソルト用のミルのグラインダーの構造の違いは、底の部分を裏返して覗き込んで見ると、一目瞭然だ。
ペッパー用のグラインダーは鋼製。見ると、ペッパー用は歯車の刃にあたる部分が大きくて尖っている。このグラインダーは螺旋形の二重構造になっており、粉砕時に粒を巻き込み固定しながら砕いていく。特許を得た表面処理が施され、切れ味と耐磨耗性を維持しているという。
ソルト用のグラインダーは、ステンレススチール製になっている。これは塩による腐食を防ぐためだ。見ると2つの歯車の刃はとてもなめらかな山になっていて、内側の鉢が外側の鉢に押しつけながら擦っている感じだ。
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ペッパー用のグラインダー部分。ここにもプジョーの刻印がある
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ソルト用のグラインダー部分。ペッパー用とは明らかに違う
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電源スイッチは本体上部にあり、握るとちょうど親指がくる位置にある。ステンレスの本体に大きな黒いボタンがあるだけなので、わかりやすい。使い方は、ボタンを押すと、挽いた調味料が底から落ちていくので、持った状態のままスイッチを押すだけだ。
挽き方の粗さはペッパーもソルトも6段階に調節できる。本体の底面に6段階の目盛りがあるので、これを回して設定する。この粗さ調節機能は「Uセレクトシステム」というもので、途中で挽き加減が変化しないよう工夫されたものだという。また、スイッチを押すとグラインダーが回転すると当時に底面のランプが点灯して、下にある調理中の食材を照らす。
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電源スイッチ。握るとちょうど親指がくる
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挽き方の調節は6段階。画像は目盛りの一番細かい挽き方
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一番粗い挽き方の目盛り
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ペッパーミルもソルトミルも使える材料は限定されている。ペッパー用のミルは白胡椒・黒胡椒専用になっており、赤い実のピンクペッパーのように油分が多いものは使うことはできない。また、ソルト用のミルはクリスタルソルト専用で、湿った塩には使えないので調味料を購入するときには注意が必要だ。
● 片手でボタンを押すだけで、粉のように細かく挽ける
さっそく、ペッパー用ミル、ソルト用ミルに、それぞれ中身を入れてみた。丸い粒の黒胡椒は30gでちょうどいっぱいになった。ソルト用の中には岩塩を入れると50gでいっぱいになった。
まず、ペッパーを挽いてみよう。パリパリパリという胡椒の実が砕けるいい音がする。自分の顔の前で挽いていまうと胡椒の香りが漂って、すぐにくしゃみが出てしまう。胡椒を加え終わった料理の方からも、胡椒の香りを強く感じる。
次に、ソルトだ。一番細かいメモリに設定して挽くと、粒というよりもまるで粉のようになって出てきた。特に今回は岩塩を使っていたので、塩がきらきらした薄い結晶のようになって落ちてくる。舐めてみると、ザラっとした舌触りは全くなく、ほんのりと塩味を感じるくらいだ。
両方とも挽く力にパワーがあり、出てくる量がちょうど良い。挽き方を一番細かく設定していても、歯車が止まったり詰まったりということは全くなく、ずっと同じペースで挽かれた粉が落ちてくる。
また、手で回して挽くタイプのミルだと、手に余計な力が入って胡椒が狙いから外れたり、割れた実が遠くに飛んでしまったりするのだが、電動ミルだと余計な力を入れる必要がないので、挽いたものが本体の真下に落ち続ける。
ランプが点灯して、対象物がが明るくなることも便利だった。コンロの上の鍋の中に調味料を加えたい時や、高い位置から胡椒を挽きたい時など、ランプの光で料理の上の胡椒の量が確認できた。
ペッパーもソルトも、粒の大きさを変えると味わいに違いがでてくる。6種類の挽き方から選択できるので、料理によって挽き方を変えられるというのがいい。
1つ注意しておきたいのは、国内産の粗塩の中には水分が多く含まれているものが多い。今回使ったソルト用ミルは、乾燥した塩でなければ使えないので、水分が多い塩は2~3日乾燥させてから使ったほうがいいようだ。乾燥させるのが手間だという人は、乾燥している外国産の海塩を使う方がいいだろう。
● 調味料を、繊細に使い分けたい本格派に
片手で持ち上げて、そのままボタンを押すだけで挽けるので、調理中に調味料を加える時には、とても使い勝手がよい。デザインも良く、テーブルの上に置いてあると雰囲気がでる。また、ランプに照らされて調味料が落ちてくる様子などは、パフォーマンスとして通用しそうなほどだ。
挽き方を変えて、一番細かい挽き方ではソース、粗い挽き方には肉類、と使い分けてこだわりの料理が楽しめそうだ。
ステーキを焼くだけ、野菜を切るだけ、といったようなシンプルで簡単な料理ほど、調味料のアレンジが冴える。普段料理をしない人にこそ、簡単にアレンジが加えられる電動ミルをオススメしたい。
■URL
Peugeot(仏文)
http://www.peugeot.com/
PSP プジョーミル
http://www.peugeot-moulins.com/
製品情報
http://www.peugeot-moulins.com/produit-psp.php?cat=1&id=22
2008/01/07 00:00
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