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家電製品ミニレビュー
エプソン「カラリオ ミー E-720」

~パソコンいらずで写真をキレイにプリント
Reported by 平澤 寿康

カラリオ ミー E-720
 デジカメが広く普及した現在、デジカメで撮影してはいるものの、パソコンは持っていない、もしくは苦手で使っていないという人も多いだろう。

 なにしろ、フィルムカメラを使っていた時と同じように写真屋さんに行き、撮影したデータをプリントしたり、CD-Rなどの記録メディアに保存して焼き増しを注文するなど、記録媒体がフィルムからデジタルメディアに変わっても、昔とほとんど変わらずに利用できるのである。

 しかしこれだと、家にいながら撮影した写真のコピーや編集、プリントなどが自由に行なえるという、「デジタル」の利点が失われてしまうのは、非常にもったいない。

 こんな時は、デジカメで撮影した写真を直接プリントする「ダイレクトプリンタ」と呼ばれるプリンタがあれば、パソコンがなくても写真の編集やプリントが可能となり、デジカメの利点を活かせるようになる。

 そこで今回は、エプソンのダイレクトプリンタ「カラリオ ミー E-720」を、パソコンを使わずに利用することを前提とした“家電製品”として試してみた。ちなみに、E-720の価格はオープンプライスで、Amazon.co.jpでは、24,988円で販売されている。


本体正面
側面
背面

単体でも簡単にプリント可能

 E-720は、エプソンのダイレクトプリンタ、「カラリオ ミー」シリーズの最上位モデルだ。利用できるプリント用紙は、カード、L判、ハイビジョン、KG、ハガキの5サイズのみで、完全に写真の印刷に特化したプリンタである。E-720には、SDカードやコンパクトフラッシュ(CF Type II対応)、メモリースティック、xDピクチャーカードなど、主要メモリカードほぼ全てが利用可能なメモリカードスロットが用意されている。ここに、デジカメで利用しているメモリカードを取り付け、本体上部の液晶ディスプレイでプリントしたい写真を確認しながらプリントするというのが基本的な使い方となる。


正面パネルを開けると、メモリカードスロットや排紙口が現れる メモリカードスロットは、SDカード、CF、メモリースティック、xDピクチャーカードなど主要カードをほぼ全て網羅。左には赤外線受信ポートがある

本体上部
上部パネルを開けると、3.6型液晶ディスプレイと操作ボタンが現れる

 メモリカードスロットにメモリカードを取り付けると、液晶ディスプレイにメモリカードに保存されている写真がサムネイル表示される。サムネイル表示は、液晶ディスプレイ手前の表示切替ボタンを押すことで、16枚同時表示、5枚表示+1枚拡大表示、1枚の全画面表示の3パターンに切り替えられる。16枚同時表示では画像が小さく、ピントの確認などは厳しいので、写り具合をチェックしつつプリントしたい写真を選びたい場合は拡大表示または全画面表示モードを利用したい。また、本体後部にビデオ出力端子が用意されており、テレビに接続すれば大画面で写真を確認しながらプリントすることも可能。家族や友人と写真を見ながらプリントする場合などは、テレビを利用した方がいいだろう。

 印刷する場合は、サムネイル画像を見ながらカーソルキーで写真を選び、カーソルキー中央の「OK」ボタンを押し、カーソルキー上下でプリント枚数を指定し、「印刷」ボタンを押す。すると液晶ディスプレイに印刷プレビューが表示される。ここで、最終的なプリントイメージを確認し、確認が終わったら再度「印刷」ボタンを押すことで全ての写真のプリントが開始される。もともと単体でプリントすることを前提として機能やユーザーインターフェイスが設計されていることもあり、戸惑うことなくプリントできた。

 操作は、本体に用意されているボタンを使うだけでなく、付属のリモコンを使っても行なえる。付属リモコンは、多くのボタンが用意されているわけでなく、見た目もテレビやビデオのリモコンに近いため、操作に迷うことは少ないはずだ。


メモリカードスロットにメモリカードを挿入 液晶ディスプレイに、メモリカードに保存されている写真がサムネイル表示される サムネイル5枚+1枚拡大表示も可能

ピントの確認などは全画面表示にするとやりやすい プレビュー画面でプリント形式を確認し、「印刷」ボタンを押すとプリントが開始される

映像出力端子を利用するとテレビ画面に写真を表示することが可能だ 操作ボタンは日本語表示でわかりやすい。サイズも大きいため操作しやすい 付属のリモコン。こちらでも全機能の操作が可能だ

 また、メモリカードをE-720のメモリカードスロットに取り付けなくても、デジカメを本体背面のUSBコネクタに接続することでもプリント可能だ。このとき、接続するデジカメが接続規格「PictBridge(ピクトブリッジ)」対応していれば、デジカメ側でプリントしたい写真を選択してプリントできる。さらに、赤外線ポートを持つ携帯電話から赤外線通信で写真データを転送してプリントすることも可能。こちらは、携帯電話で写真を赤外線送信すれば、即プリントされる。

 1枚の写真をプリントするのにかかる時間は、カタログではL判で1枚あたり約30秒とされている。実際に「印刷」ボタンを押し、L判のプリントが完了するまでの時間をストップウォッチで複数枚計測してみたところ、33秒~35秒ほどであった。印刷ボタンを押した後に紙送りが開始されるまでに多少の待ち時間がある(画像の補正作業などを行なっているものと思われる)ため30秒より長くなっているが、純粋なプリント時間はほぼ30秒と考えていい。特に高速というわけではないが、プリント速度に不満を感じることはなかった


背面のUSBスロットにデジカメを接続してもよい 携帯から写真を赤外線で転送しプリントすることも可能 液晶ディスプレイ奥に給紙スロットがある

画質補正機能は、人物写真に対してかなり有効

 ダイレクトプリンタでは、単体でデジカメ画像の補正機能や、フレーム・文字などを加える編集が行なえる機能を取り入れていることが多い。E-720にももちろん用意されており、その中でも特に目玉の機能と言えるのが、画像の自動補正機能「オートフォトファイン! EX」だ。

 オートフォトファイン! EXは、プリントする写真データを解析し、自動的に色調や明るさを補正してくれる機能のことで、カラリオ ミーシリーズだけでなく、ダイレクトプリント機能を持つエプソン製プリンタの多くでも採用されている。写真データを解析することで、その写真に写っている人の顔や風景などを自動的に判別し、それぞれ最適の色合いや明るさになるように自動的に補正をかけてくれる。例えば、逆光で撮影した写真では、人の顔が暗くなってしまうことが多いが、そういった写真でも、人の顔を明るく、また背景が飛んでしまわないように最適な色調・明るさの補正が施される。また、ホワイトバランス崩れによる赤かぶり・青かぶりも自動的に補正してくれる。

 実際に、比較的暗い室内で撮影したため、人の顔が暗くなってしまっている写真を用意し、プリントしてみた。すると、補正無しでは判別が難しいほど暗くなってしまっていた顔が、オートフォトファイン! EXによる自動補正だけで、全員の顔がしっかり判別できるよう補正されてプリントされた。また、逆光の状態で撮影した写真でも、顔や腕の肌がいきいきとした肌色に補正されている。実際にプリントされた写真を見て、ここまで補正してくれるのかと驚いてしまった。人が写っていない写真でも、逆光で暗くなった部分が明るく補正されたり、室内撮影写真での赤かぶりが補正されたりと、十分効果を確認できた。中には、あまり効果が確認できない場合もあったが、ユーザーが指示せずとも自動でここまで補正してくれるというのは、大いに価値があると言っていいだろう。


自動画質補正機能「オートフォトファイン! EX」は、標準で有効になっており、特に設定を変えることなく機能する 補正モードは、「人物」、「風景」、「夜景」などを指定することも可能だが、基本的には「標準」で問題ない

左がオートフォトファイン! EX「標準」でのプリント結果で、右が補正無しでのプリント結果。スキャナ取り込みなので画質は悪いが、暗く映っていた顔がいきいきとした肌色に補正されていることがよくわかる ちなみに左の写真の元データはこちら(2.8MB,JPG)

 画像編集機能としては、明るさ、鮮やかさ、シャープネスの変更、モノクロやセピアへの変更、写真の回転といった一般的な補正に加え、赤目の自動補正や、フレームを加えたり、写真に手書きコメントを書き込むための吹きだし、飾り付けのマークなどを加えることも可能となっている。画像編集はあまり複雑なことはできず、より手の込んだ編集をしたければ、パソコンを利用する必要がある。とはいえ、ハガキにプリントする場合などにフレームやマークなどで写真を飾り付けるといった程度であれば、単体でも簡単にできてしまう。


編集機能では、フレームや飾りの追加、写真の回転などが行なえる フレームは16種類がプリセット。また、添付されているCD-ROMや、エプソンのホームページで配布されているフレームを入れ替えて利用することも可能だ

赤目補正を利用すれば、赤目の写真も自動的に修正してくれる 手持ちの写真では左目しか赤目補正してくれなかったが、しっかり赤色が消えている

 また、編集機能とはやや異なるが、「ナチュラルフェイス」という機能はなかなか面白い。これは、「美白補正」と「小顔補正」によって、写真に写っている人の顔を白く、小さく見せるという機能だ。このうち小顔補正については、実際に写真データに変更を加えて顔の輪郭を小さくしているのではなく、顔と背景の境界線部分のコントラストや色合いを変更しているだけだ。実際に試してみたところ、頬やあごの部分の色合いや影の具合が修正されているだけなのに、本当に顔が小さく見える。修正していない写真と並べてみても、顔のサイズは全く変わっていないのにひとまわりほど小さく見えるのは不思議だ。これは特に女性に喜ばれる機能ではないだろうか。

 利用時には、美白補正および小顔補正をそれぞれ「なし」「弱」「強」の3段階で指定して行なう。また、それぞれを3段階に全9パターンの画像がプリントされた「フェイスシート」をプリントし、その中から好みのものを選択するという方法も用意されている。こちらでは最低2枚プリントしなければならなくなるが、全9パターンでの効果を確認した上で最終的なプリントができるという利点がある。ちなみに、このナチュラルフェイス機能も、パソコンがあればより複雑な設定が行なえる。


「ナチュラルフェイス」では、写真内の人物の小顔補正と美白補正が行なわれる 小顔補正と美白補正は、「なし」、「弱」、「強」の3段階に設定できる。「フェイスシート」というものをプリントすれば、全9パターンでどのようになるのか確認できる

上が小顔補正「強」+美白補正「強」、下が補正なし。顔の色合いを補正しているだけだが、かなり小顔に見えることがわかるだろう
左の写真の元データ(2.9MB,JPG)

CD-ROMに撮影データの保存が可能

 ところで、最近ではデジカメ用メモリカードの価格が以前よりも大幅に低下してきたことから、メモリカードがデータでいっぱいになると、新しいメモリカードを買うという人も中にはいるようだ。パソコンがあれば、メモリカード内のデータをHDDにコピーすることで、メモリカードを何度も使い回しが可能になるが、パソコンがなければそれは難しい。ただ、いくらメモリカードが安くなったとはいえ、撮りっきりで眠らせてしまうのは使うのは、コスト的にもったいない。

 しかしE-720には、標準でCD-R/RWにデータの書き込みが可能な光学式ドライブが搭載されていて、メモリカードのデータをCD-R/RWに保存することが可能となっている。つまり、E-720は、デジカメ写真のプリントからデータの保存まで活用できるのだ。

 CD-R/RWにデータを保存する場合の操作も、プリント同様非常に簡単だ。光学式ドライブにCD-R/RWメディアをセットし、本体またはリモコンの「保存」ボタンを押し、画面の指示に従うだけ。これで、メモリカード内のデータ全て、または選択した写真をCD-R/RWに保存できる。CD-R/RWは容量が700Mバイトと、メモリカードによっては容量が少なくなる点を懸念するかもしれないが、その場合には複数枚にわたって保存されるので心配する必要はない。また、保存時には保存データのサムネイルをプリントすることも可能で、同時に作成しておけばCD-R/RWにどの写真が保存されているのか確認できて便利だ。

 データを保存したCD-R/RWは、E-720の光学式ドライブにセットすることで、保存した写真の参照およびプリントが可能。また、DVD-ROMの読み込みにも対応しているため、写真屋で作ってもらった、デジカメデータを保存したDVD-ROMの参照やプリントにも対応する。


本体左側面には、CD-R/RW/DVD-ROMコンボドライブを搭載。写真データをCD-R/RWに保存できる メモリカード内の全画像、または選択した画像だけの保存が可能 保存した写真のサムネイルもプリント可能。これで何を保存したか簡単に確認できる

利便性を考えるとコストは十分安い

 ところで、E-720を使って写真をプリントした場合のコストはどの程度になるのか。カタログ値では、L判・写真用紙(光沢)を利用した場合で、インク代込みで1枚あたり約15.3円とされている。インクカートリッジおよびL判写真用紙の価格から考えて、標準のインクカートリッジ(ICCL45)でL判約200枚、大容量インクカートリッジ(ICCL45B)でL判約300枚がプリント可能と考えられる。ちなみに、大容量インクカートリッジとL判写真用紙(エプソン写真用紙エントリー)が300枚セットになったパック(ICCL45BV)の販売価格は、4,000円前後(Amazon.co.jpでは4,050円)のため、こちらを購入すればL判1枚あたり約13.5円ほどと考えていい。

 それに対し、写真屋などでプリントしてもらった場合、L判1枚あたり30~40円ほどが多い。オンラインのデジカメプリントサービスでは、10円を切る単価のところもあるが、今回はパソコンを持っていないということを前提としているため、オンラインサービスは比較対象としない。そう考えると、1枚あたりのコストは、写真屋でプリントしてもらうよりもかなり安くなると考えていいだろう。


大容量インクカートリッジとL判写真用紙300枚がセットになった「ICCL45BV」。実売価格は4,000円前後で、プリントコストも有利となる インクカートリッジは背面から取り付ける

 ただし、E-720本体の代金を考えるとちょっと話は変わってくる。E-720の購入価格を、オンラインショップなどの最安値に近い25,000円として考えた場合、1,250枚ほどプリントして初めて1枚あたりのコストが約35円となる。つまり、E-720のライフサイクルで1,200枚未満しかプリントしなかった場合には、写真屋でプリントしてもらうよりもコスト高になってしまう。そういう意味では、普段からかなり多数のプリントを行なっているという人でなければ、なかなかコスト面での恩恵は受けにくいことになる。とはいえ、家にいながら、好きなときに好きな写真をプリントできるという利便性を考えると、そのコスト差は十分相殺されるばかりか、おつりが出ると考えてもいいだろう。

 ちなみに、写真の仕上がり品質は、個人的には写真屋でプリントしてもらったものと比較しても、まったく違いがわからないほどであった。インク滴サイズは最小2pl(ピコリットル。1plは0.000000000001L)と、エプソンのインクジェットプリンタの上位モデルが最小1.5pLであることと比較すると、数値上のスペックでは劣っている。しかし、できあがった写真に粒子感は全く感じられず、品質に不満を感じることは全くないと言っていいだろう。


パーティでの利用などにもおすすめ

 今回は、E-720を家電製品という観点から、パソコンなしで利用することを前提として見てきたわけだが、思っていた以上に快適だった。メモリカードスロットにメモリカードを取り付ける、またはデジカメをUSBで接続し、液晶画面でプリントしたい写真を確認しながら選択し、印刷ボタンを押すだけという簡単な操作でプリントできる。しかも、標準で「オートフォトファイン! EX」が有効となっているため、逆光や暗くなった写真の補正も勝手にやってくれる。とにかく、難しいことは考えずに、プリントしたい写真を選んで印刷ボタンを押すだけでいいため、パソコンが苦手という人でも失敗することなくプリントできる。

 また、デジカメ写真の単純なプリントはもちろん、フレームなどで飾り付けをしたプリントも、家にいながら楽しめるのも大きな魅力。特に子供のいる家庭であれば、子供と一緒に楽しみながらプリントできるのでるので、デジカメを介した新たな親子のコミュニケーションツールとして大いに活躍してくれることだろう。


背面にオプションのバッテリーを取り付けると、電源がない場所でもプリントが可能。パーティなどでのプリントに活躍するはずだ
 さらに、オプションの充電式リチウムイオンバッテリーを利用すれば、電源の取れない場所でもプリントできるという点も見逃せない特徴だ。これから年末にかけて、忘年会やパーティなどが多くなると思うが、そういった場所で、写真を撮ってその場でプリント、といったことも簡単にできる。もちろん、結婚式の2次会、子供の誕生日パーティなどでも大活躍するだろう。リチウムイオンバッテリーの価格はオープンプライスで、ヨドバシカメラで6,000円で購入した。

 いつも大量にデジカメ写真を写真屋でプリントしているという人はもちろん、PCは持っていないがもっとデジカメ写真を楽しく活用したい、パーティなどですぐに写真をプリントしたいという人におすすめしたい。





URL
  セイコーエプソン株式会社
  http://www.epson.jp/
  製品情報
  http://www.epson.jp/products/colorio/printer_me/e720/index.htm



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2007/12/07 00:02

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