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家電製品ミニレビュー
パナソニック「FM/AM2バンドラジオRF-U350」

~緊急警報放送に対応する防災ラジオ
Reported by 平澤 寿康

松下電器産業 FM/AM2バンドラジオ「RF-U350」
 緊急警報放送というものをご存じだろうか。大地震や津波など、大規模な災害が発生したり発生が予想される場合に、住民に注意を喚起したり避難指示を速やかに伝えるために、テレビやラジオなどの受信機から警報音を発し、災害の発生や災害に関する情報を伝える放送のことだ。人命や財産に重大な影響が予想される、以下に示す3種類の重大災害が発生した場合、または発生が予測される場合にのみ放送されることになっている。

1.東海地震の警戒宣言が発せられた場合
2.災害対策基本法に基づき、地方公共団体(都道府県および市区町村)の長から警報や避難命令などが発せられた場合
3.津波警報が発せられた場合

 緊急警報放送が行なわれる場合、まず始めに「ピロピロピロ……」と鳴る警報音によって視聴者の注意を喚起した上で、災害に関する情報が放送されることになるが、最初に鳴る警報音には注意喚起以外の役割もある。この警報音には特殊な信号が含まれており、待機状態にある緊急警報放送対応のテレビやラジオがこの警報信号を受信すると自動的に電源が入り、緊急警報放送が即座に流れてくるのである。

 この仕組みは「緊急警報放送システム(EWS)」と呼ばれており、1985年から運用が始まった。EWSによって、夜寝ている時に災害が発生した場合でも、テレビやラジオの電源を入れることなく緊急警報放送が流れてくるため、いち早く災害情報を知ることができるというわけだ。

 ただし、緊急警報放送の警報音を受信して自動的に緊急警報放送を視聴できるようにするには、受信機がEWSに対応している必要がある。にもかかわらず、現在発売されているテレビやラジオのほとんどがEWSに対応しておらず、せっかくのシステムもうまく活用できない状況となっている。


 6月10日から販売が開始されたパナソニック(松下電器産業株式会社)のFM/AM2バンドラジオ「RF-U350」は、久々に登場したEWS対応ラジオである。日本に住んでいる限り、地震にいつ襲われてもおかしくない。7月に発生した新潟県中越沖地震はまだ記憶に新しい。将来の災害に少しでも対応できるよう、この製品を導入することにした。ヨドバシ・ドット・コムで11,800円で購入した。

 RF-U350が対応するのは、FM放送の緊急警報放送だ。緊急警報放送は、デジタル、アナログ、衛星を問わず、テレビ、ラジオの全メディアで、NHK/民放を問わず行なわれることになっている(教育放送や有料チャンネルなど一部例外もある)が、RF-U350ではNHK-FM放送が緊急警報放送の待機局として設定されている。

 また、先ほど紹介した3種類の災害に対する緊急警報放送は、1および2が「第1種」、3が「第2種」と区分されているが、RF-U350では双方の緊急警報放送に対応している。

 緊急警報放送を利用するには、設置場所の地域設定と、緊急警報放送の待機設定を行ない、常に待機状態にしておく必要がある。緊急警報放送の待機状態となっていれば、主電源が切れている状態でも緊急警報放送を受信し、自動的に電源が入って放送が聞こえるようになる。また、緊急警報放送を受信した場合には、その直前までの音量が小さく設定されていたとしても、ある一定の音量まで大きくなるようにも配慮されている。

 ただし、緊急警報放送の待機状態では、ラジオを聞いているときとほぼ同じ電力が消費されるとある。仕様では、RF-U350の消費電力は6Wとなっているが、ワットチェッカーで消費電力を測定してみたところ、ほどほどの音量でFM放送を受信している状態では1~2Wほどであった。

 それに対し、電源を切って緊急警報放送の待機状態にすると、0~2Wの間、大半が1Wを示していた。平均でも2W未満に収まっていると考えていいだろう。ちなみに、2Wを1年間使い続けた場合の電気代は約385円。年間400円ほどで安心を買うと考えれば、それほど高くはないのではないだろうか。

 ところで、今回実際に使用している間に緊急警報放送が放送されることはなかった。もちろんこれは喜ばしいことではあるが、緊急時を考え、実際にきちんと動作するのか検証しておきたい。そういう時には、NHKが毎月1日(1月のみ4日)の午前11時59分から始まる緊急警報放送の試験放送を利用すればよい。RF-U350のマニュアルにも、試験放送を利用して緊急警報放送の受信状況を確認できるとある。そこで実際に試験放送で検証してみたところ、本体前面の「緊急警報」ランプが点滅し、液晶ディスプレイにも「シケンホウソウ」と表示され、緊急警報放送の受信に全く問題ないことが確認できた。

 ちなみに、2007年10月1日から、NHKのテレビおよびラジオで、地震の発生を強い揺れが到達する前に知らせる「緊急地震速報」の配信が開始されることになっているが、残念ながら、RF-U350はこれには対応しない。


本体上部に用意されている「緊急警報」ボタン。これを押して緊急警報放送への設定を行なう 緊急警報放送の受信待機状態になると、本体前面液晶パネル下のLEDが点灯。緊急警報放送受信時には点滅する

緊急警報放送の受信待機状態での消費電力を測定したところ、0~2Wほどの間で変化した。平均すると2W未満に収まると思われる 【動画】緊急警報放送の試験放送を受信している様子(WMV形式,816KB)

ラジオ機能はオーソドックス

 RF-U350は、ラジオとして見ると、AM/FMの2バンドが受信可能な非常にオーソドックスな製品である。受信できる周波数は、AMが522~1629KHz(9KHzステップ)、FMが76.0~90.0MHz(100KHzステップ)。AMステレオ放送やFM文字多重放送などには対応していない。また、FMは周波数90MHz以上のFMワイドバンドの受信にも対応しておらず、地上アナログテレビ放送の1~3チャンネルの音声受信も不可能だ。とにかく、AM/FM放送を聞くという基本に重点を置いたラジオである。

 本体サイズは、270×152×76~92.5mm(幅×奥行き×高さ)と、オーソドックスな2バンドラジオとしてはかなり大きい。また、本体重量は約1.35kg(乾電池抜き)と、こちらも比較的重い。電源は、AC電源に加え、単二乾電池6本の2電源方式。ただ、単二乾電池を6本利用するため、搭載時には約1.76kgとさらに重くなってしまい、緊急時に持ち出すラジオとしてはやや厳しい。とはいえ、RF-U350は家などに設置していつでも緊急警報放送が受信できるように待機させておくというのが基本的な役割であり、大きさや重さは特に大きな問題とはならないだろう。ちなみに、単二アルカリ乾電池利用時には、FM受信時で約60時間、AM受信時で約75時間の連続使用が可能だ。

 ところで、一般的なラジオでは本体上部や側面など様々な場所にダイヤルやボリュームのつまみ、電源ボタンなどが散らばっていることが多い。それに対しRF-U350では、本体上部に全てのボタン類がまとめられている。また、電源ボタンや選局ボタン、選局・ボリュームつまみはどれもかなり大きなものが採用されており、子供からお年寄りまで誰でも扱いやすいように配慮されている点は好感が持てる。もちろん表示は日本語だ。


本体正面。液晶ディスプレイと10cmのフルレンジスピーカーが配置されている 液晶ディスプレイには、受信している放送局の局名や周波数などが表示される 受信地域の設定も、液晶ディスプレイで確認しながら簡単にできる

本体左側面
左側面にはヘッドホン端子が用意されている。右側面には特に何もない 本体背面。ACコネクタや電池ボックスが用意されている

アルカリ単2乾電池6本でFM受信時約60時間、AM受信時約75時間の連続利用が可能だ 本体はやや大きく重いが、大型ハンドルが用意されており持ち運びも楽に行なえる 本体上部。操作ボタンなどは全てここに集められている。ボタンやつまみは大きく、表記も日本語で非常に扱いやすい

 使い方も非常に簡単だ。電源ボタンを押すと電源が入り、AM/FMボタンでAMとFMの切りかえを行ない、選局つまみで受信する周波数を変える。また、RF-U350には地域別にAMおよびFMの放送局がプリセットされており、あらかじめ地域を設定しておけば、1~5まで用意されているプリセット選局ボタンを押すことで放送局をダイレクトに選局できる。

 また、本体前面には液晶ディスプレイが用意されており、受信している放送局名や周波数などの情報が表示される。ここに表示される放送局名は、本体にプリセットされている地域情報を利用している。地域の設定は、本体上部の「地域設定」ボタンを押し、選局ダイヤルを回して行なうが、その場合にもこの液晶ディスプレイに地域名が表示されるため、わざわざマニュアルを持ち出して地域ごとの番号をチェックする必要もない。

 機能の中で面白いのは、「ゆっくり再生機能」だ。これは、文字通り放送をゆっくり再生するというもの。放送をデジタル録音しながら無音部分をカットし、リアルタイムとのタイムラグを最小限にとどめつつゆっくり再生させることで実現している。実際に試してみたところ、ニュースなど無音部分の多い番組では、リアルタイムと大きな時間差を生じることなくゆっくり再生できた。

 しかし、音楽中心の番組やニュースでも雑音が多い状態では無音部分が検出できずにバッファがいっぱいになってしまい、最終的にはリアルタイムから約3秒ほどずれた状態で本放送とほぼ同じスピードでの再生となってしまう。ゆっくり再生機能を有効に活用するには、受信状態が良好で、かつ無音部分の多い番組に限られるが、この製品の性格を考えると、ニュースが聞きやすくなれば十分だろう。

 さらに、標準・音楽・ニュース・高音強調という4種類の音質調整機能が用意されている点もポイントだろう。FM放送はもともと音質が優れているため、音質調整機能を活用する場面は少ないが、AM放送は周波数帯域が狭く音質が悪いため、この音質調整機能が特に有効に働いてくれる。

 ただ、気になる点もいくつかある。まずロッドアンテナの仕様。一般的なラジオのロッドアンテナは、垂直方向および水平方向の2軸で向きを調節できるようになっているものがほとんどだが、RF-U350では垂直方向の1軸しか向きを調節できない仕様となっている。そのため、設置場所によっては本体の向きを変えることで受信状態を調節しなければならず、使い勝手が悪い。また、液晶ディスプレイにはライトが用意されておらず、暗い場所では全く見えなくなってしまうため、緊急時の使い勝手はかなり悪くなる。この点は特に改善を期待したいところだ。


ゆっくりボタンを押すことで、放送がゆっくり再生される。ニュースなど無音部分の多い番組などで有効だ FM用のロッドアンテナ。5段の伸縮式となっている ロッドアンテナは垂直方向の1軸しか角度調節できず使いづらい

 RF-U350は、本体の大きさから考えると、機能面で、やや物足りないという印象もある。例えば、目覚まし時計機能が盛り込まれているだけでも、平時の利用価値が大きく向上したはずだ。とはいえ、緊急警報放送に対応するラジオとして現在唯一の選択肢であり、防災を第一に考えるのであれば、ぜひとも購入しておきたい製品だ。もちろん、活躍の場が訪れないことを願わずにはいられないが。




  松下電器産業株式会社
  http://national.jp/
  製品情報
  http://ctlg.panasonic.jp/product/info.do?pg=04&hb=RF-U350
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