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家電製品ミニレビュー iRobot「ルンバ・スケジューラー 5510」
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~室内のゴミを自動で吸い取る“お掃除ロボット”
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Reported by
郷 啓子
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ルンバ・スケジューラー 5510
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一年前に腰の椎間板ヘルニアを患った。一週間で歩けるようになり入院生活から解放されたが、家に戻ったら、さあ、大変。洗濯物干し、食器の洗い物、お風呂掃除、そして掃除機かけなど、おおかたの家事ができないのだ。特に腕を前に出し前後に振る動作がとても痛い。完治した今でも掃除機かけは、終わると痛むほど腰に負担のかかる動きなのだ。
今使っている掃除機は、あの本物のサイクロンと謳っているダイソンの初期モデルだが、日本家屋には合わない大きさ、重さである。特に取り回しに国産の掃除機の倍くらいの力がいるように感じる。
そこで、機械が勝手に掃除してくれるという夢の自動掃除ロボット「ルンバ」を購入してみた。
● まずはホームベースの設置とバッテリの充電
ルンバは自分で勝手に走り回ってゴミを吸い取ってくれる円盤状のお掃除ロボットである。人工知能で壁や障害物をセンサリングして回避しつつ、ゴミセンサーでチリやホコリを発見し、掃除するというメカニズムだ。
ルンバシリーズには、タイマー予約機能付きのハイエンドモデル「ルンバ・スケジューラー」と、スタンダードモデルの「ルンバ・ディスカバリー」とがあるが、今回は上位モデルの方を購入した。メーカー直販価格は94,500円、ヨドバシカメラでの購入価格は89,800円だった。
本体のサイズは、直径が340mmで高さ87mm。分厚いフリスビーのような形状だ。重量はバッテリを装着した状態で約2.9Kg。ルンバ・スケジューラーの色は、グレーベースになっている。バッテリはニッケル水素電池で充電時間は、約3時間。1回の充電で稼働できる時間はお掃除モードや部屋の広さ、汚れ具合によって異なる。
ルンバは一般的な掃除機と異なり、買ってきてコンセントを入れればすぐに準備完了、とはいかない。充電台となる「ホームベース」の設置や、バッテリーの充電など前準備が必要になるのだ。
まず、ホームベースを設置する。設置場所は、正面2m、幅1.5mに障害物がないこと、白く高い壁の近くやプラズマテレビの近くは避けることなど、誤動作を防ぐため、条件が厳しくなっている。さらに、ホームベースにACアダプタを接続しなければならないため、「コンセントが近くにある場所」という条件が加わることになる。本体の充電端子にACアダプタを直接差して充電することも可能だが、これでは、掃除終了時に勝手にホームベースに戻ってくる機能が使えなくなってしまう。なんとか我が家では場所を見つけて設置した。
ホームベースを設置し、本体をセットすると、充電が始まる。初回使用時の充電時間は約16時間だ。
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ルンバの充電を行なうホームベース
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本体にはホームベース以外にも、バーチャルウオールが2台、パワーブラシが2種類、エッジクリーニングブラシなどが付属する
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ゴミは本体裏面からゴミ容器へと掻き込む
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ホームベースの設置と充電が終わったら、次は、掃除場所の準備だ。
まず、ルンバがぶつかったときに壊れる可能性にあるものや、逆に、ルンバを壊す可能性があるものを床からどけなければならない。
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テレビの後ろのコード類をバーチャルウオールで防御しているところ
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ここで使用する道具が、ルンバの特徴の1つとなる、バーチャルウォールだ。バーチャルウォールは簡単に言うと、ルンバの行動範囲を制限して、掃除するエリアを設定する機械のことだ。広いスペースを2つに分けて掃除したいときや、動かしにくい物が床にあるとき、ルンバが入り込んで抜け出せなくなる場所があるときなどに使用する。パッケージには2個、同梱されている。
操作は簡単。電源を入れ、1/2/3mの中から進入禁止区域の長さを選び、目盛りを合わせて床に置く。赤外線を照射し、それをルンバが感知して、そのエリアに立ち入らないような仕組みになっている。
このバーチャルウォールで例えば、高価な家具にぶつかるのを防いだり、バルコニーに出て行かないように設定するわけだ。
このほか気をつけたいのは、ルンバが巻き込みやすいコード類。しかし、我が家のテレビの後ろはカオスと化しているので、バーチャルウォールでそこを避けることにした。最後に、ルンバの動きの効率を考え、ダイニングにあるイスを他の部屋へ移動し、準備完了。
● エラーを起こさないため、丁寧な下準備を
さあ、いよいよルンバの初仕事だ。掃除するモードは通常の掃除を行なう「CLEAN」、半径75cm程度の範囲を約2分間掃除する「SPOT」、バッテリー切れになるまで掃除する「MAX」の3種類がある。
まずは「CLEAN」で小手調べ……と思いきや、いきなりエラーが発生した。どうやら、カーペットのせいらしい。
取扱説明書には、20mm以上の毛足の長いものや、ループ状のカーペットでは絡まるので使用できないとある。我が家のカーペットはホットカーペットの上に上掛けとして毛布状のものを敷いているので特に気にしてなかったのだが、計ってみると、角のあたりなどが20mmを超えている。そこで、上掛けを取り除き、ホットカーペット1枚でやってみた。すると今度はホットカーペットの操作パネル(厚さ28mm)のところで、登りきれずエラー。この操作パネルの上にプラスティック製ゴミ箱を置いてブロックすることにした。
問題のカーペットは敷き直した後に、狭い範囲を集中的に掃除するSPOTモードで掃除することにした。ちょうどカーペットの範囲内を掃除するのにちょうど良いと思ったからだ。このあたりは、使用する環境にあった使い方を各自、模索していくしかないのだろう。
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使用前には、ルンバの障害物となるようなものを片付ける必要がある
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カーペットの膨らみは20mm以上。取扱説明書で書かれていた使用条件を満たしていない
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片付け後のリビング。カーペットの上掛けは取り外した
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ルンバの動きは、見ていて楽しい。まず、始めは螺旋状に旋回し、その後大きく移動する。壁や障害物をセンサーで感知するとその周辺を回り込んだりしながら、床のゴミを吸い取っていく。どちらかというと、感知したゴミに向かっていくというよりは、部屋全体をまんべんなく回っていくような動きだ。同じところを4回くらい走行したところで、だいたいきれいになる。
起こったトラブルといえば、犬の固形エサを吸い込み、エラーで止まったくらいだ。小さなぬいぐるみやテニスボールなどは軽いせいか、ぶつかってもルンバがそのまま押していくので、あらかじめよけなくても特に問題はないようだ。
掃除にかかる時間だが、約50平方m(約29畳)のワンルームに近い我が家のリビングを掃除すると、「Clean」で約50分かかる。ちなみに家族構成は夫婦とあまり毛の抜けない小型犬が1匹。掃除の頻度は2日に1回くらいだ。
このスペースのうち、ソファやいす、食器棚など家具がだいたい3~4割を占めているので、ルンバにとっては障害物の多い、迷路のような部屋だ。スペック上では一回の充電で約90平方m(約50畳)を清掃できることになっているが、我が家の環境ではだいたい部屋の半分で電池切れだ。というわけで、充電し直して、残り半分を掃除するペースが定着している。
気になる点は2点ある。まず、壁際や部屋の四隅に吸い残しがあることと、ルンバ自身が吐き出す空気でわたぼこりを飛ばしてしまうことだ。この2点に関しては、ハンディクリーナーで別途吸い取っている。
動作音の大きさも掃除機では気になるところだが、ルンバの騒音は約58db。一般的な国内メーカーの掃除機とほぼ同程度だ。ただ、普通の掃除機は吸引音がうるさいのに対して、ルンバでは移動する音の方が耳に付くため、音の質はかなり異なる。また、普通の掃除機の場合は自分でかけるのですぐに終わるが、ルンバは自動化されているため、掃除時間も長い。こうしたこともあり、数値以上に耳障りに感じることは事実だ。また、壁や家具に当たる時は大きな音がするので、集合住宅で使用する場合は注意が必要だ。
使っていくうちにわかったのは、ゴミ箱をバーチャルウォール代わりの障害物にすると良い、ということだ。バーチャルウォールは2つしかないので、どこで使ったらよいのか迷うが、部屋に必ずあるゴミ箱を加えれば、かなり細かく立ち入り区域を設定できる。
ちなみに、小さな子供やペットに関しては、ルンバに近づけないよう注意書きが説明書にある。我が家も犬を飼っているが、ルンバのブラシに噛みついてくるので困っている。とりあえず現在は、一時的にケージに入れるか、家人が散歩に連れて行っている間に掃除をしている。
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側面にはセンサーを発する穴が開いている。小さいブラシは、四隅のゴミをかき集めるエッジクリーニングブラシ
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壁際や部屋の四隅では、約2cm四方ほどの吸い残しがある
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● ランニングコストとメンテナンスがネック
さて、主婦として気になるのはランニングコストと、手入れの手間だ。調べてみると、けっこう消耗品が高い。3~4カ月を目安に交換するフィルターが3枚セットで3,150円、1年が交換の目安となるバッテリが10,500円、交換用のブラシが2本で3,465円だ。これらを1年につき1セットずつ買ったとすると、年間のランニングコストは17,115円になる。主婦にとってはなかなか厳しい額だ。普通の掃除機と大きく異なるポイントなので、事前によく検討する必要があるだろう。
一方、機器のメンテナンスだが、吸い取ったゴミは本体内蔵のダストカップを引き出して、ゴミ箱に捨てればよい。ダストカップはかなり小さいので、掃除後に毎回捨てることになる。
これは仕方ないにしても、面倒なのは本体裏面に装着するフィルターフレームの掃除だ。この部分のホコリを取り除かなければならないので我が家では結局、掃除機で吸っている。床の掃除を行なうロボットの掃除を掃除機で行なうというのは、奇妙な光景と言えるだろう。
さらに細部をメンテナンスしようとすると、バッテリーを外して、前輪、パワーブラシ、隙間と車輪、段差や側面センサーなど、分解/組み立て作業が必要となる。一般的な掃除機ではゴミ捨てワンタッチ、手も汚さないなどのキャッチフレーズが謳われているが、ルンバでは「誤った使い方をするとルンバが破損」という注意書きもあり、掃除機というより、まずロボットであることを改めて感じさせられる。
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ゴミ容器を本体から取り外したところ
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ゴミ捨てはフィルターフレームとフィルターを外して行なう
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● 「ちょっと未来」を体験できるロボット
ルンバは、ランニングコストが高く、メンテナンスも面倒だ。掃除前の部屋の準備や、四隅にほこりが残る弱点もある。しかし、身体的もしくは体力的に問題をかかえている人や時間のない人にとって、自動で掃除してくれるということが、どれだけうれしい存在であることか。自分の代わりに1時間近く、くるくる回り続ける姿を見ていると、健気で親しみがわいてくる。
普通の掃除機として捉えると、まだまだ問題は多いが、ロボットが家事を引き受けるという点において、「ちょっと未来」を体験できる機械だ。さらなる技術の進歩が楽しみである。
■URL
iRobot(英文)
http://www.irobot.com/
セールス・オン・デマンド株式会社(販売代理店)
http://www.salesondemand.co.jp/
ルンバ 製品情報
http://www.irobot-jp.com/
■ 関連記事 ・ 39,800円のお掃除ロボット「ルンバ」レポート(PC 2002/12/26)
2007/04/06 00:00
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