日立、パイプとヘッドの軽量化で操作性が向上したサイクロン式掃除機

~カーボン繊維強化プラスチック「カーボンライト」採用
2段ブーストサイクロン CV-SU7000

 日立アプライアンスは、パイプとヘッドの軽量化によって扱いやすさを向上したサイクロン式掃除機「2段ブーストサイクロン CV-SR3300」を7月23日より発売する。希望小売価格はオープンプライス。店頭予想価格は8万円前後。

 集塵部を上下2段階に分けた「2段ブーストサイクロン」機構を搭載したサイクロン式掃除機。集塵部がサイクロン室とダストケースの2つに分かれた独自の遠心分離構造をしており、吸い込んだゴミを、サイクロン室で空気と遠心分離し、ダストケースで圧縮することで、より多くのゴミを溜めてごみ捨ての手間を減らせるという。また、ゴミ捨て時はゴミに手を触れることなくワンタッチで捨てられるようになっている。

今回発表になった製品一覧「2段ブーストサイクロン」機構を搭載したサイクロン式掃除機 CV-SU7000CV-SU7000の断面図

 CV-SU7000では、より軽くなったパイプとヘッド「カーボンライト」を採用した点が特徴。カーボンライトは、プラスチックカーボン繊維で強化したもので、これをパイプとヘッドに採用することで、強度を保ちながら薄肉化した。

 これにより全体の重量は、従来製品の940gから820gへと約13%軽量化された。軽くなったことで使いやすさが向上したという。

約13%軽量化したパイプとヘッドはスリムなデザインカーボンライトによって使いやすさを向上させたカーボンライトは、カーボン繊維でプラスチックを強化したもの
カーボンライトのヘッドは、強度を保ちながら薄肉・軽量化されているヘッドは軽くて使いやすく設計されているカーボンライトの延長パイプも、強度を保ちながら薄肉・軽量化した

 会場では、カーボンライトの強度を確かめるべく、実験が行なわれた。体重40kg台の女性が、従来素材のパイプにぶらさがったところ、パイプはすぐに折れてしまった。いっぽう、カーボンライトのパイプにぶらさがったところ、パイプは重みに耐え、折れることはなかった。

従来の回転ブラシのコアの素材は、アルミだったパイプの肉厚の比較。右側がカーボンライトで、薄くなっているのがわかる
従来素材のパイプでは、体重40kg台の女性がぶらさがると、すぐに折れてしまったカーボンライトのパイプは折れなかった

 また、グリップの形状には、握りやすく、腕に負担がかかりにくい「かるワザグリップ」を採用。かるワザグリップは、グリップが輪の形状になっているため、手が抜けたり、滑るのを防ぐという。また、グリップの上面は平らで、厚さを抑えた形をしており、握りやすいという。さらに、内側にはパイプを伸ばすレバーも付属している。

 同社では、カーボンライトや、かるワザグリップを採用したことで、ヘッドの押し引きや、ヘッドの方向転換をはじめ、ちょっとした段差や階段などでヘッドを少し浮かせたり、持ち上げる時などの使い勝手が向上したという。

従来のグリップと、「かるワザグリップ」の違い「かるワザグリップ」は、人間工学に基づき、分析・デザインされているというグリップの形状には、握りやすく、腕に負担がかかりにくい「かるワザグリップ」を採用
グリップの上面は平らで、厚さを抑えた形をしており、手で握りやすい実験では、腕の筋肉への負担の小ささを証明していた

 ヘッドの使いやすさの面ではこのほか、ヘッドが90度曲がって壁際や隙間もスムーズに掃除ができる「クルッとヘッド」や、ヘッドの可動域が広く、8cm程度の隙間にも入る「ペタリンコ構造」、ヘッドに足をのせて、片手でパイプの長さを調節できる「サッとズームパイプ」を、従来機種に引き続き採用している。

「カーボンライト」と「かるワザクリップ」で掃除を効率化特にヘッドの操作性にはこだわっている
ヘッドが90度に曲がって壁際もスムーズに掃除ができるベットの下などの狭い隙間にも入る「ペタリンコ構造」を採用

 さらに本体は、従来機種と比較して、体積は10%、質量は5%、小型・軽量化した。一般的に小型・軽量化すると、吸込仕事率の低下や、遮音性能が低下することで運転音が増加するおそれがあるが、CV-SU7000では、パイプ内の空気の流れや材質の強度などを解析することで、運転音53dBの静音性を維持し、さらに吸込仕事率は従来機種より10W高い460Wとなった。

 排気については、モーターの周囲を覆う「高気密モーターケース」と「高集塵フィルター」による独自のクリーン排気機能を継続して採用。ダストケースを通過した空気は「高集塵フィルター」を通過してから排気されるため、空気と一緒に吸い込んだアレル物質や微細なちりも捕集するという。なお、ドイツの第三者機関「SLG」の評価によると、粒子径0.3~10μm(マイクロメートル)の排出塵埃量の測定において、99.999%の捕集率を計測しているという。

独自のクリーン排気機能を継続して採用フィルターの様子ダストケースの様子

 ヘッド部分は、フローリングでの拭き掃除機能を強化した「かるふきブラシ」を採用した。ヘッドの幅は約30cmで、1回拭くだけで幅広くごみを吸引できるほか、約43万本の拭き専用の毛を高密度に配置。フローリングに付着した菌まで拭き取るという。


「かるふきブラシ」での拭き掃除を実演。フローリング付着した水性ペンのあとを、かるふきブラシでは一往復でだいぶ消せている

 省エネ機能では、床の材質などをセンサーで感知して、吸引力を自動的にコントロールする「[eco]これっきり」運転を継続して搭載。強運転で掃除を続けた場合に比べて、消費電力を最大約75%削減できるとしている。また、ヘッドを動かさずにいると自動的にパワーを落とし、一定時間後に運転を停止する「アイドリング&ストップ」機能も備える。

 そのほか、吸引力を長持ちさせるため、運転停止後に自動でフィルターを掃除する「自動フィルターお手入れ機構」も搭載している。フィルター掃除中は、カラカラカラという音が数秒続く。


「[eco]これっきり」運転での運転音は非常に小さい。また、運転後の「自動フィルターお手入れ機構」のカラカラカラという音も確認できる

 

 本体サイズは268×405×313mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は5.1kg。最大消費電力は1,000W。本体カラーはルビーレッド、シャンパン。

 下位機種として、ちり落とし機能を手動で行なうサイクロン式掃除機「2段ブーストサイクロン CV-SU5000」と、ちり落とし機能を手動で行ない、クルッとブラシが付属しないサイクロン式掃除機「2段ブーストサイクロン CV-SU3000」も発売する。

 どちらも価格はオープンプライスで、店頭予想価格は、吸込仕事率が460Wの「CV-SU5000」が7万円前後、450Wの「CV-SU3000」が6万円前後。本体カラーはCV-SU5000がルビーレッド、スカイブルー。CV-SU3000はシルバーのみ。

 このほか、紙パック式掃除機の新モデル「かるパック CV-PU300」と「CV-PU20」も発売する。両製品ともに、約13%軽量化したパイプとヘッド「カーボンライド」を採用し、強度を保ちながら軽量化。グリップには握りやすい「かるワザクリップ」を備えた。

かるパック CV-PU300かるパック CV-PU300の断面図

 吸込仕事率550WのCV-PU300では、本体質量が3.8kgと従来機種に比べて約3%軽量化した。さらに、CV-SU7000と同様に「高気密モーターケース」と「高集塵フィルター」を採用し、99.999%の捕塵性能を計測している。

 パワー重視タイプのCV-PU20では、ファンの効率を高めた「高性能ファンモーター」を採用。また、ファン内部の空気の流れをスムーズにして、圧力の損失を抑える「高効率ディフューザー」も搭載した。さらに、モーターの固定子、ステーター部分のコアにおける磁束の流れをスムーズにする「高効率コア形状」を備え、モーター効率を向上。これらにより、吸込仕事率は従来機種よりも10W高い650Wとなった。ファンモーターは、同社では、紙パック式掃除機の中ではもっとも高い吸込仕事率としている。

パワー重視のCV-PU20では、新たに開発した「高性能ファンモーター」を搭載モーター断面図ファン内部の空気の流れをスムーズにして、圧力の損失を抑える「高効率ディフューザー」を新たに採用

 いずれも価格はオープンプライスで、店頭予想価格は、CV-PU300が6万円前後、CV-PU20が5万円前後。本体カラーはCV-PU300がルビーレッドとシャンパン、CV-PU20はラベンダーとシャンパン。

 「CV-PU20」の下位機種として、吸込仕事率が640Wの「CV-PU10」も用意される。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は、4万円。カラーは、ブルーとレッドが用意される。

日立アプライアンス 常務取締役 家電事業部長 石井吉太郎氏

 日立アプライアンスの石井吉太郎家電事業部長は、今回発表した掃除機のコンセプトについて、「省エネを追求しながら、“実質価値”を提供していこうということ。節電志向の中で、贅沢ではないが、生活の質は落としたくないという生活者の声に応えるために、掃除機の吸引力、静かさ、排気のクリーンさ、本体の小型軽量化など、使い勝手にとことんこだわった」と話した。

生活の質は落としたくないという生活者の声に応えるべく、使いやすさにこだわったという

 また、本体の小型・軽量化については、「これ以上の小型・軽量化をするとなると、掃除機の吸引力や静音性など、何かしらの機能を削らなければならなくなると思う。正直、どこかの機能を犠牲にしてまで、小型・軽量化するのは、私共の設計理念には合わないと個人的には思っている」とした。







(小林 樹)

2011年7月1日 00:00