日立、テレビや掃除機がけの生活音も検知して省エネするエアコン

~送風のみの「風だけ運転」も搭載
白くまくん Sシリーズ

 日立アプライアンスは、人の動きに加えて、テレビなどの生活音を検知して省エネ運転するエアコン「イオンミスト ステンレス・クリーン 白くまくん Sシリーズ」を、12月上旬より順次発売する。価格はすべてオープンプライスで、店頭予想価格は20万円~33万円前後。

 日立の高級エアコン「白くまくん」シリーズの最新モデル。昨年モデルに引き続き、室内機内部の素材に除菌効果のあるステンレスを採用し、汚れが付きにくい「ステンレスクリーンシステム」や、肌の潤いを保ち、髪の毛のキューティクルにも効果があるという「イオンミスト」を採用する。この2つの機能は、ユーザーが同社のエアコンを購入する際のポイントとして1位になっているという。

日立のエアコンの内部構造は、除菌効果のある「ステンレスクリーンシステム」スレンレスクリーンシステムには、樹脂製とは違って、静電気がたまらないというメリットもあるという。写真右は、「白くまくん」シリーズに採用されているステンレスのルーバー、左は樹脂製のルーバー
肌に潤いを与えて、花粉やカビ菌の活動を抑制する「イオンミスト」も引き続き搭載イオンミストの発生装置。ペルチェ素子を使い、空気中の水分を使用するため、吸水は不要ユーザーが日立のエアコンを購入する際の購入理由について、ステンレスクリーンシステムとイオンミストが同数で1位になっている


掃除機など生活音を検知し、体感温度の精度を高める「聞くセンサー」を新搭載

従来の「見るセンサー」に加えて、聞く・感じるセンサーを搭載。より体感温度に合わせた空調ができるという

 今回発売するSシリーズでは、新たにテレビや掃除機がけなどの生活音を検知する「聞くセンサー」を新たに搭載した点が特徴。これに加えて、部屋の床や壁の輻射熱を検知する「感じるセンサー」、人の動きや居場所を検知する従来の「見るセンサー」も備えており、この3つのセンサーにより、人の体感温度が詳細に推定できるため、生活シーンに合わせて省エネ運転できるという。同社ではこのセンサー機能を合わせて「見る・聞く・感じるセンサー」と称している。

 具体的な例では、暖房時にテレビや会話などの音を検知すると、じっとしている場合よりも体感温度が高くなると推定し、通常よりも能力を抑えた省エネ運転を行なう。また、掃除機がけの音を検知すると、掃除の動作で体感温度が上がると推定されるため、これも省エネ運転へ移行する仕様になっている。

従来モデルとのセンサーの性能比較。まず、読書中の場合、どちらも「見るセンサー」が反応し、通常よりも消費電力を抑えた運転に移行する掃除機をすると、新モデルでは「聞くセンサー」で運動していると判断。さらに消費電力を抑えた運転になるさらに窓を開けて外光を取り込むと、「感じるセンサー」が反応し、消費電力をより抑える(写真では外光の代わりにライトを使用している)
日立アプライアンス 空調システム設計部 永田孝夫担当部長

 聞くセンサーを搭載した理由について、日立アプライアンス 空調システム設計部 永田孝夫担当部長は「2010年の製品は、人検知センサーで人の動きと居場所を検知して、体感温度を推定していた。しかし、体感温度の推定精度をより高められないかと考え、新製品では日立独自の技術で、体感温度の推定技術を高めて、さらなる省エネ運転ができるようにした」と説明する。

 なお、聞くセンサーが音を検知する仕組みは、「音を取り込み、それを信号化して、周波数の抽出回路で分析する。そして、人の声、掃除機の音などを、周波数の成分とパターンにより判別」(永田氏)しているという。

 この見る・聞く・感じるセンサーの運転は、エアコンの「ecoこれっきりボタン」を押すことで手軽にスタートできる。また、エアコンがある部屋から人が約30分間いなくなった時には、設定温度を控えめにした運転を行なう。

「見る・聞く・感じるセンサー」のカットモデル。左から、聞く、感じる、見るセンサーの順「見る・聞く・感じるセンサー」を使用するには、リモコン中央部の「ecoこれっきりボタン」を押すだけ

 また、聞くセンサーを活用した「音見張り」機能も新たに搭載した。

 これは、リモコンで「音見張り」機能を選択すると、テレビの音や人の動きを聞く・見るセンサーが検知した後、エアコンの運転音を抑えて、テレビの音を聞きやすくするというもの。さらに、掃除機がけの音を検知すると、ホコリの舞い上がりを抑えるために、イオンミストの空気清浄運転に自動で移行する。

聞くセンサーを活用した「音見張り」機能も新搭載。テレビの音や人の動きを検知すると、エアコンの運転音を抑える。また、掃除機がけの時には、ミストイオンを自動で放出する音見張り機能の実演。テレビの音を検知すると、ファンの回転するが落ちているこちらも音見張り機能の実演。掃除機を掛けると、ミストの放出機能が自動で運転する


扇風機並みの消費電力「風だけ運転」

 このほか、暖房・冷房運転をせずに、送風だけを行なう「風だけ運転」モードも追加した。

 これは、「見るセンサー」と「聞くセンサー」で検知した後、リモコンが置かれている場所に向かって左右にスイングしながら風を送り、体感温度を少しだけ下げる運転を行なうというもの。暖房も冷房もしないため消費電力は少なく、最大でも45W程度という。向きや風速の切り替えも可能。同社では冷房運転まで必要ない場合に便利としている。

暖房や冷房、除湿は行なわず、送風だけをする「風だけ運転」も搭載会場で行なわれたデモでは、扇風機の消費電力が36W、風だけ運転の消費電力が35Wとなっていた

 製品自体の省エネ性では、内部回路を改良し、待機時の消費電力を0.04Wに抑制。昨年モデルとの比較では、約1/25に抑えており(200V機種の場合。100Vでは約1/20)、同社では“ほとんどゼロ”としている。

 内部機構では、室内機の送風ファンの直径を、103mmから110mmに大型化。大きなファンをゆっくり回すことで、風量が増やせるという。また熱交換器では、直径7mmと8mmの2種類の伝熱管を採用し、伝熱性能を向上し圧力損失を低減。さらに、伝熱管同士の間隔も25mmから20mmに高密度化した。圧縮機では、バランスとスクロールの形状を改善した、低損失のものを採用した。

内部の回路を改良し、待機電力を“ほぼゼロ”とした待機電力の比較。会場での実演では、昨年の製品は「0.719W」だが、新モデルでは「0.031W」と表示されていた
ファンの直径を、103mmから110mmに大型化。風量が増やせるという熱交換器の直径を、7mmと8mmの2種類に変更。伝熱管の間隔も狭めることで高密度化した

【白くまくん Sシリーズのラインナップ】

品番電源定格能力
(冷房時)
室内機サイズ
(幅×奥行き×高さ)
室外機サイズ
(幅×奥行き×高さ)
店頭予想価格発売日
RAS-S22A単相
100V
2.2kW798×269×295
mm
750×288×570
mm
20万円前後12月中旬
RAS-S25A2.5kW22万円前後
RAS-S28A2.8kW24万円前後
RAS-S36A3.6kW25万円前後
RAS-S40A2単相
200V
4.0kW792×299×600
mm
26万円前後12月上旬
RAS-S56A25.6kW30万円前後2011年
1月上旬
RAS-S63A26.3kW31万円前後
RAS-S71A27.1kW33万円前後


上期の売り上げは過去最高。下期はエコポイントの盛り上がりを期待

日立アプライアンス ルームエアコン統括本部 長澤喜好本部長

 日立アプライアンス ルームエアコン統括本部 長澤喜好本部長は、2010年度上半期におけるエアコンの市場全体の需要について、「異常猛暑の夏ということで、上期としては過去最高の574万台」と、好調だった点を指摘。さらに「下期もエコポイントの盛り上がりで240万台の予測。合わせて年間814万台で、これは消費税アップによる駆け込み需要があった1996年度の818台に次ぐ数値」と、2010年度全体でも高い数値が見込まれることを明らかにした。

 2011年度については、上期が490万台、下期が240万台で合計730万台の需要を見込んでいる。シェアについては「前年並みの20%を目指せれば」(長澤氏)としている。





(正藤 慶一)

2010年10月19日 17:48