電気ケトルの事故防止には「給湯ロック」付きが良い――国民生活センター
~子供の使用と過剰な水量にも注意
国民生活センターは、現在販売されている電気ケトルについて、事故防止の観点から給湯ロック機能付きの製品が良いと発表した。
電気ケトルは、電気でお湯を沸かす、やかん型の家電製品。電気ポットと違って保温機能はないが、その分価格は安く、素早く沸騰できることから人気のジャンルとなっており、市場規模は2008年の120万台から、2009年には160万台超に増えているという。
しかし、同センターには“電気ケトルから蒸気と熱湯が噴出し火傷した”、“プラグが発熱して溶けた”などの事故および不具合の事例が寄せられたという。このことから、7社7銘柄の製品について、安全性に関するテストが行なわれた。テスト対象銘柄は以下の表の通り。なお、電気ケトルにはJIS規格がないため、テストでは電気ポットのJIS規格を参照している。
今回テストで使用された電気ケトル一覧。詳細は以下の表の通り |
テストナンバー | 製造・販売店名 | 品番 | 価格 | 定格容量 | 消費電力 |
1 | シー・シー・ピー | BZ-K03 | 2,980円 | 0.6L | 900W |
2 | 象印マホービン | CK-GB08 | 5,100円 | 0.8L | 1,100W |
3 | タイガー魔法瓶 | PFY-A080 | 5,400円 | 1,300W | |
4 | 三洋電機 | U-MK08 | 6,420円 | 1,200W | |
5 | ティファール (グループセブジャパン) | BF802322A | 4,400円 | 1,250W | |
6 | 東芝ホームアプライアンス | PHK-800R | 5,400円 | 1,300W | |
7 | ドリテック | PO-307 | 1,990円 | 900W |
転倒時の安全性に関するテストでは、不使用時に注ぎ口を塞ぐ「給湯ロック機能」がある5製品では、流出水量はいずれも電気ポットのJIS規格の基準値(50ml)未満、あるいは近似の数字が出た。しかし、ロックがない製品については、ポットのJIS基準値を大きく上回る約470mlが流出した。同センターでは、取り扱い説明書には「本体を転倒させない」などの注意表示は全商品であったものの、ロックのない2製品については、転倒時に注ぎ口や上蓋周辺から容易に湯がこぼれるため、火傷の危険があるとしている。
本体転倒後にこぼれる水量のテスト結果 | 給湯ロック機能がある製品では、こぼれる量は少なかったが、ロック機能なしでは、ポットのJIS規格を大きく上回る水が流れ出た |
次に、満水以上の湯を入れた場合の安全性については、定格容量より100ml以上多い程度では、全製品で問題はなかった。しかし、定格容量から300ml過剰に入れた場合、4銘柄で上蓋の蒸気口から、1銘柄では注ぎ口から湯が噴き出たという。
また、湯沸し時の本体の温度については、上蓋中央部、取っ手の内側部分は、全製品で30℃以下だった。しかし、本体側面部については、3銘柄で本体側面が70℃以上の高温になった。ポットのJIS規格では、いずれも直ちに火傷をする温度とされていないものの、熱くて手で触れ続けることは困難だったという。このほかの4銘柄では、本体側面はいずれも30℃以下と低かった。うち3銘柄については、本体が熱くならない2重構造を採用している。
規定量よりも300ml多い水を入れた場合、ロック機能がある銘柄では蒸気口から、ない銘柄では注ぎ口から湯が溢れた | 沸騰後の本体側面の温度では、3銘柄で75℃前後となった |
なお、空だきの自動ストップ機能は全製品で作動。電源プレートのコード接続部分についても、全製品で短絡(ショート)などの不具合は見られなかった。
国民生活センターではこの結果を受け、購入時には給湯ロック機能が付いたものを選び、使用時には満水以上の水を入れず、子供の手の届かないところで使用することを呼びかけている。また、消費電力が900~1,300Wと大電力を要することから、15A(アンペア)以上の単独コンセントで使用し、テーブルタップで他の製品と同時に使用することは避けるよう呼びかけている。
さらに業界に対しては、電気ケトルには転倒時のお湯の流出など、明確な規格が見当たらないことから、安全に関わる規格や基準の検討を求めている。
(正藤 慶一)
2010年6月9日 17:33
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