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ハンディクリーナーやロボット掃除機が躍進――掃除機市場が変化

キャニスター型の販売台数は減少

 掃除機市場に変化が見られはじめている。

 GfK Japanの調べによると、国内市場全体は前年並みの実績となっているものの、市場の6割を占めるキャニスタータイプはマイナス成長。代わって高い成長を占めているのがロボットタイプ、ハンディタイプ、スティックタイプの製品群だ。これらが市場を牽引しはじめているといっていい。GfK Japanの調査をもとに、市場の変化を追った。

ブラック・アンド・デッカー「乾湿両用ダストバスター エクストリーム Z-WD7215」
ダイソン「DC45」
iRobot「ルンバ」

 GfK Japanが全国有力家電量販店の販売実績を集計したところ、2012年7月~2013年6月までのクリーナー(掃除機)の国内販売台数は、前年同期比100.4%と、横ばいの実績となった。

【2012年7月~2013年6月 クリーナー販売数量 前年同月比(%)】
期間クリーナー全体スティックキャニスターロボットハンディ
年計100.4118.993.3147.0124.2

※出典「全国有力家電量販店の販売実績集計/GfK Japan調べ」。ハンディ型には充電式とコード式を含む

 この内訳を見てみると、市場全体の約6割を占めるキャニスタータイプは、前年比6.3%減と前年割れの実績となっているのに対して、話題を集めるロボットタイプは、前年同期比47.0%増と約1.5倍の成長率を達成。ハンディタイプ(充電式およびコード付きを含む)は前年同期比24.2%増、スティックタイプが18.9%増と、いずれも2桁の成長率を達成。市場を牽引している製品群が変化していることがわかる。

 実際、クリーナーのタイプ別販売数量別構成比は、キャニスタータイプが2012年6月には71.3%だったものが、2013年6月には64.4%と全体の約3分の2に縮小。その一方で、ハンディタイプが11.0%から16.5%へと急拡大。ロボットタイプは3.8%から4.5%へ、スティックタイプでは13.4%から14.1%へといずれも拡大している。

【家電量販店における販売動向 クリーナータイプ別 販売数量構成比(%)】
順位タイプ2012年6月2013年6月
1ハンディ型11.016.5
2スティック型13.414.1
3キャニスター型71.364.4
4ロボット型3.84.5
5その他0.50.5

※出典「全国有力家電量販店の販売実績集計/GfK Japan調べ」。ハンディ型には充電式とコード式を含む

「COCOROBO(ココロボ)」

 なかでもロボットタイプは、国産メーカーからも製品投入が相次ぐなど、ラインアップが広がったことが追い風となっているようだ。

 シャープによると、国内のロボット掃除機市場は、2011年度には年間約18万台だったものが、2012年度には約30万台へと拡大。2013年度には45万台規模の市場が見込まれている。金額ベースではすでに市場全体の10%を突破。掃除機市場全体の年間約550万台~600万台で推移する販売台数規模から逆算しても、そろそろ10%の構成比に到達するとの見方が出ている。

韓国ブカンセムズやダイソンなど海外メーカーが好調

ブカンセムズ「レイコップ スマート BK-200JP」

 ハンディタイプでは、レイコップが台風の目となっている。

 韓国ブカンセムズが開発、販売しているレイコップは、布団のダニ・ハウスダスト・細菌を徹底的に取り除くために開発された、「ふとん専用ダニクリーナー」とされる領域の製品で、毎分3,000~3,600回の振動でふとまの奥からダニを叩きだし、UVをダニやウイルスに照射。カートリッジフィルターとHEPAフィルターによって、ダニやダニの死骸、ホコリなどを吸引するという仕組みだ。

 GfK Japanの調査では、2013年6月のモデル別販売台数ランキングで、レイコップのスタンダードモデルと位置づけられる「SMART BK-200」が、すべてのクリーナーを抑えて第1位となり、その人気ぶりを示した格好だ。

 ハンディタイプのクリーナー市場は、2013年1月には、前年同月比6.4%増となっていたが、2月には20.4%増、3月には26.1%増となったのに続き、4月には50.4%増、5月には71.0%増と需要が急拡大。最新月となる6月には前年比83.4%増と驚くべき成長を遂げている。まさに台風の目となっている。

 また、スティックタイプではダイソンの「Dyson Digital Slim DC45 モーターヘッド」が人気だ。コードレスながらの使い勝手と、ダイソンならではの吸引力が人気の要素だといえよう。

 前年割れとなったキャニスタータイプだが、こちらも小型キャニスタータイプに人気が集まっている。部屋のなかで小回りがきくことや、持ち運んで利用しやすいといった点に注目が集まっており、新たな需要を開拓しているともいえる。

ロボット掃除機などの高価格帯タイプが人気

 ちなみに、販売台数では前年並みとなっているこの1年の国内クリーナー市場だが、金額ベースでは5%増という実績。ロボット掃除機をはじめとした高価格帯の製品の販売が好調であることから平均単価が上昇。これが販売金額の拡大につながっている。

 2013年6月のモデル別販売台数ランキングでは、先に触れたように、第1位は、ブカンセムズの「SMART BK-200J」となったが、続いて2位には日立アプライアンスの「CV-PW20」、3位はパナソニックの「MC-PA22G」、4位はパナソニックの「MC-SR20G」、5位はシャープの「EC-PX210」となった。

 また、6位以降は、日立アプライアンスの「CV-SW7000」、日立アプライアンスの「CV-SW200」、ダイソンの「DC45 MH」、日立アプライアンスの「CV-PU8」、東芝の「VC-C12」と続いている。

 GfK Japanでは、「ふとんクリーナー、小型軽量キャニスタータイプクリーナー、スティックタイプクリーナーなど、様々なスタイルのクリーナーがランクインしている」としている。

【6月のクリーナーのモデル別販売数量ランキング】
順位メーカー品番
1ブカンセムズBK-200
2日立CV-PW20
3パナソニックMC-PA22G
4パナソニックMC-SR20G
5シャープEC-PX210
6日立CV-SW7000
7日立CV-SW200
8ダイソンDC45 MH
9日立CV-PU8
10東芝VC-C12

※出典「全国有力家電量販店の販売実績集計/GfK Japan調べ」

【2012年7月~2013年6月の各月のクリーナー 販売数量前年同月比(%)】
期間全体スティックキャニスターロボットハンディ
7月92.2119.885.6129.9112.1
8月99.2114.194.3162.4105.7
9月100.8111.994.1221.1107.7
10月88.2102.382.6116.697.0
11月95.4122.688.6112.4109.5
12月101.6132.994.2186.5111.4
1月97.0113.493.5173.0106.4
2月100.4108.796.6143.4120.4
3月103.8118.997.3126.9126.1
4月100.0126.788.6137.3150.4
5月107.5124.896.6123.4171.0
6月120.7128.5110.0145.6183.4

※出典「全国有力家電量販店の販売実績集計/GfK Japan調べ」。ハンディ型には充電式とコード式を含む

大河原 克行