隅田川で10万個の太陽光蓄電式LED「いのり星」を放流

~パナソニックがLED/太陽電池/充電池などを提供

 東京ホタル実行委員会と東京都の共催によるイベント「東京ホタル TOKYO HOTARU FESTIVAL 2012」が5月5日と6日に行なわれた。

 このイベントは、隅田川を五感で楽しみ、川と暮らすことに思いを馳せることを目的とする。実行委員会には、墨田区と台東区も名を連ねており、5月22日に開業を控える東京スカイツリーに近いエリアでの観光イベントも兼ねている。

 両日ともパレードやステージなど多くのイベントが開催されたが、メインイベントとして6日夜にアートインスタレーション「ひかりのシンフォニー」が行なわれた。

 ひかりのシンフォニーは、“隅田川にホタルがいたなら”という思いを込めて、約10万個の太陽光蓄電式LED「いのり星」を隅田川に放流するイベントだ。

 いのり星は、LED製品のメーカーであるランドマーク・ジャパンが特許と商標を所有している製品。ボール型の本体は樹脂製で水面に浮く。着水すると自動的にLEDチップが発光を始め、引き上げられると消灯する。

 今回使用されたいのり星には、東京ホタル全体の特別協賛であるパナソニックがHIT太陽光発電パネル、充電式エボルタ電池、LEDチップを提供している。HITパネルによって発電した電力をエボルタに充電する。着水時には、エボルタからLEDチップに電気が供給されて青く発光する。

 イベント会場は、墨田区と台東区の間を流れる隅田川で、事前に申し込みをしていた参加者が岸辺から放流した、同時に言問橋のやや上流から小船による放流も行なわれた。いのり星は、下流の吾妻橋付近ですべて回収され再使用される。

 いのり星の放流が始まったのは、まだ夕陽の残る午後6時40分頃だったが、暗い橋の下を通過する際は青く光るいのり星の姿がよく見えた。周囲が暗くなるにつれて、いのり星の光は川全体に広がり、幻想的な光景を招いた。岸辺を埋める観客からは「きれい」という声が多数聞かれ、カメラや携帯電話のシャッターを切る人も多く見かけられた。

小船から放流されるいのり星いのり星は着水すると青く点灯する岸辺から放流されたいのり星が帯のように広がる
網で回収されるいのり星屋形船で楽しむ姿も見られた周囲が暗くなると、いのり星が輝きを増してくる
船の行き来が多く、波が高いときもあったが、いのり星は安定して浮いている時間が立つにつれ、川幅いっぱいに広がるネオンを反射する水面に浮く多数のいのり星
会場には東武伊勢崎線の隅田川橋梁があり、車中から眺める姿も見えた周囲も暗さを増し、幻想的な光景となるさらに暗くなるとホタルの群れのように見える
ビルの夜景を背景に、船の赤い光といのり星の青い光が交わる岸辺で見ていると、かなり近くまでいのり星が流れてくる最盛時には天の川のようだった

 放流場所に近い言問橋は、スカイツリーを見通す位置にあり、撮影場所としても名所となっている。イベント後半には、スカイツリーのライトアップも始まり、空と水面の両方で印象的な光の光景が見られた。なお、スカイツリーのライトアップ照明もパナソニックが供給している。

午後7時すぎからはスカイツリーもライトアップされた言問橋手前からスカイツリーを見る。ここは、スカイツリーの撮影スポットの1つでもある。画面左下に観光客を載せた人力車も見える





(伊達 浩二)

2012年5月7日 00:00