パナソニック、EVOLTA乾電池に液漏れ防止の新製法を採用

~4月以降出荷の国内向け製品から順次拡大
液もれ防止新製法を採用した乾電池「EVOLTA(エボルタ)」シリーズ

 パナソニックは、2011年4月から出荷している乾電池「EVOLTA(エボルタ)」シリーズに、液もれ防止新製法を採用した。まずは国内向けの製品で採用し、2012年度以降、海外にも展開していくことになる。

 従来のEVOLTAシリーズに比べて、水素ガスの発生を3分の1程度に抑えることで、液もれが発生する状況を大幅に抑制することができるという。

 東日本大震災の影響もあり、流通在庫が品不足の状況であるため、液もれ防止新製法を用いた新製品は、発売後すぐに店頭に並ぶことになるとみられる。

 液もれ防止新製法を採用した製品は、外装パッケージに「液もれ防止新製法」の文字が刷り込まれているほか、電池本体では使用推奨期限が2021年4月以降(表記方法は04-2021)となっていることで確認できる。乾電池のデザインなどには変更がない。

店頭販売イメージ単三形、単四形のほか、単一形、単二形にも液もれ防止新製法を採用する

 乾電池は一般的に負極に亜鉛を使用しており、ここから水素ガスがする。

 水素ガスを発生させる要因は、スイッチを入れっぱなしにしておいたり、使用しないまま機器に電池を入れっぱなしにしていることで発生する過放電状態になったり、電池の+極と-極を逆に入れた場合でのショート、充電池ではないにも関わらず充電状態になっていること、新旧や異種、複数銘柄の電池を混用している場合などに起こりやすい。

 発生した水素ガスによって、電池の内圧が上昇。内部の破裂を防ぐために、安全弁が作動して、電解液を電池外部に流し、これによって液もれが起こる。

 従来のEVOLTAでは、亜鉛粉末の改良などによって液もれへの対応を図ってきたが、新製品では、さらに改良を加えた独自の改良亜鉛合金を採用するとともに、新たな電解液の採用によって、過放電時のガス発生を抑制することができるという。

独自の新亜鉛合金と新たな電解液を採用している(同社カタログより)従来のEVOLTAよりもガス発生量を大幅に削減し、液もれを抑制している(同社カタログより)

 パナソニックの調査によると、約7割の利用者が液もれの経験があるとしており、さらに、電池を購入する際に、価格、長持ち、長期保存に続いて、液もれしないことを重視していることがわかった。複数回答で約54%と、過半数のユーザーが液もれ防止を重視すると回答している。

パナソニック エナジー社乾電池ビジネユニット商品技術グループ・南野哲郎グループマネージャー

 「調査によると、液もれしない電池メーカーとして、パナソニックの製品に対する評価が圧倒的に高い。今回の新たな製法を用いることで、そのイメージをさらに強いものにできるだろう」(パナソニック エナジー社乾電池ビジネユニット商品技術グループ・南野哲郎グループマネージャー)としている。

 なお、今回の液もれ防止新製法採用に際して、生産ラインの変更は不要だという。

 同社では、今回の国内向けのEVOLTAへの採用に続き、海外で生産するEVOLTAについても、2012年度以降に採用する予定であるほか、アルカリ乾電池製品への採用も、来年度以降、図っていくという。





(大河原 克行)

2011年4月25日 14:47