三菱電機、シルバー層向けの簡単操作のIHクッキングヒーター
「らく楽IH」
ビルトイン型2口IHクッキングヒーター「らく楽IH」 |
三菱電機は、ビルトイン型2口IHクッキングヒーターの新製品として、シルバー層向けの「らく楽IH」2製品を、11月10日から発売する。高級モデルの「CS-G20AKS」の希望小売価格は24万9,900円。
●ターゲットをシルバー層に絞り込んだ“初”のIHクッキングヒーター
三菱電機ホーム機器株式会社 営業部住設営業課・岡田光雄課長 |
今回の新製品は「シルバー層へのIH拡大を狙った新市場開拓に向けた製品」(三菱電機ホーム機器株式会社 営業部住設営業課・岡田光雄課長)で、「操作が難しく抵抗感があるとしてIHクッキングヒーターを購入しなかったユーザー、あるいは使用頻度が高い機能だけを搭載し、余計な機能を省いた製品が欲しいというユーザーに対して提供していくものであり、シルバー層が、安心して料理を楽しめることを目指した製品」とした。
らく楽IHという名称には、富士通製の携帯電話で「らくらくホン」の名称が浸透しているなど、シルバー向けに適した製品というイメージを込めたという。
製品企画に際しては、シルバー層の生活シーンや調理シーンを調査。高機能化を目指すのではなく、むしろ使う頻度が高い機能だけを残すという選択を行なっている。これまでの万人受けする製品開発とは一線を画す、ターゲットを絞り込んだ初のIHクッキングヒーターともいえよう。
●“あえてタブーを破る”視認性の高いオレンジやブルーの色を採用
上位モデルの「CS-G20AKS」は天板がシルバー |
新製品の最大の特徴は、シルバー層の利用を想定した機能やデザインを採用している点だ。
「天板を見ただけで、これならば使えそうだと思ってもらえるデザインにした」というように、本体にはオレンジやブルーといった視認性の高い色を採用。弱視や白内障の人にも見やすいオレンジ色を、鍋を置くサークルや、電源ボタン、火力ボタン、高温注意ボタンなどに使用した。また、火力の示す火力2色スイングサインでは、オレンジとブルーの2色でわかりやすいようにした。
さらに、左右のIH熱源位置を従来製品に比べて30mm奥へ配置し、50mm間隔としたことで、25cmの大きな鍋や取っ手があるフライパンなどを使用した際にも、表示部か鍋にかかるといった見にくさをなくしている。
「IHクッキングヒーターは、20万円以上の製品であることも影響して、デザイン性を重視し、派手な色づかいはタブーとなっていた。そのため、鍋位置を示すサークルも白や黒を基調にしたものが多かった。しかし、今回の製品はあえてそのタブーを破り、使い勝手を重視し、色をみて判断できるようにした」という。
電源ボタンや熱源ボタンの文字は大きく表示されている | 弱く、強くという表現は今回の製品で採用したもの |
火力の示す火力2色スイングサイン | 高温注意のマークもオレンジで表示した |
●文字を大きく、ボタン操作も数字で分かりやすく
文字のサイズは従来の1.8倍の大きさ |
また操作ボタンの数を絞り込み、ボタンに表記する文字サイズも、従来比1.8倍とした。
「70歳以上の高齢者が老眼鏡をかけずに視認できる文字サイズとして、11画以上の漢字では7.5cm以上が望ましいとされているが、今回の製品では、電源ボタンでは9.5cm、熱源操作ボタンでは8.5cmと基準を上回るものとしたほか、他社は火力ボタンを『強』、『弱』と表記しているところを、『強く』、『弱く』と、よりわかりやすいものにしたのもこだわりの1つ」(岡田氏)
各熱源の操作部は、熱源の正面に配置。迷うことなく操作スイッチを押すことができる配置にしたほか、一番手前の部分に「切/入」スイッチを配置し、吹きこぼれの際にもすぐに電源が切れるようにした。
電源部分に「1」、それぞれのコンロのON/OFFボタンに「2」、火力調節部に「3」と、番号がふられている |
また、「ナンバーナビ」と呼ばれる仕組みを採用。スイッチの横に、1/2/3というように数字を表示。数字の順番にボタンを押すだけで手際よく料理ができるようにした。
「電話で説明する時にはどうしたら伝わりやすいかという発想から生まれたのが、ナンバーナビ。販売店の店頭でも、操作方法を文字で説明するのではなく、数字で説明できるようになる」と、日常の操作環境だけでなく、販売面でのメリットも訴求した。
グリルにも番号がふられている | 天板上には、火力の目安を文字で表示。これも今回の新たな取り組みのひとつ |
●音声によるアラート/ナビゲート機能も
見まもりセンサー |
新機能として搭載したのが高感度人感センサーを活用した「見まもりセンサー」と、音声で操作などをナビゲーションする「音声ナビ」機能の搭載だ。
揚げ物をしている際に、突然の来客などでIHクッキングヒーターの前を離れると、音声で「揚げ物料理中は安全のため、そばを離れないでください」と音声で通知。さらに不在時間が継続すると音声で再度通知。それでも不在が続くようだと自動的に火力をオフする。火力がオフしたところで、戻ると火力をオフしたことを音声ナビで知らせるという。また、高温調理後に人がそばに近づいた際は、トッププレートが熱くなっていること知らせたり、しばらく操作ボタンが押されずに操作に困っていること感知すると、次になにをすべきかをナビゲートしてくれるといった機能も搭載している。
音声は、ゆっくり/標準/早めを選択できる「話速調整モード」を搭載。部屋の大きさや使う人にあわせて設定できる「音量調整モード」も搭載している。
音声ナビのようす |
●安心して調理するため、IHの出力は3.0kWではなく2.0kWに減力
出力は、一般的な3.0kWではなく、2.0kWに減力されている |
ヒーター機能では、左右のIHともに2.0kWとした。
高機能モデルでは、片方のIHを3.0kWとしている製品が多いが、「湯を沸かす際には3.0kWが便利だが、料理の際には3.0kWでは鍋底を変形させてしまったり、焦げ付かせてしまう要因となる。安心して、調理をしてもらうという点では、2.0kWが適している」としたほか、「グリル部の1.6kWとあわせても、5.6kWであり、30アンペアの環境でも、すべての熱源をフルに活用できる」としている。
同社では、2010年度のIHクッキングヒーターの開発方針として、すでに発表している3口IHおよび2口IH+RH(ラジエントヒーター)の高級モデル、今回発表した新市場開拓型製品の投入に続き、2口IH+RHの普及モデルの投入を計画していることを明らかにした。
「IHクッキングヒーター市場は、工業会が調査を開始以来、2009年度に初めて前年割れの前年比4%減となった。2010年度は3%増となり回復基調が見込まれるが、そのなかでも20万円を切る2口+RHの普及モデルや、高級モデルである3口IHのモデルが需要を伸ばしている。これまでの主戦場である25万円以上の2口IH+RHは、4割程度の構成比だったが、現在は減少傾向にあり、2極化の動きが見られている。だが、今回の新製品は、これらの需要とは別と考えており、純増を見込むことができる市場開拓型製品になる」としている。
IHクッキングヒーターは2009年度に初の前年割れとなった | 20万円を切る2口+RHの普及モデルや、高級モデルである3口IHのモデルが需要を伸ばしている |
下位モデルの「CS-G20K」は天板がブラック |
なお下位機種として、見まもりセンサー、音声ナビが非搭載の「CS-G20K」も発売される。希望小売価格は20万7,900円。
【訂正】初出時、CS-G20Kの写真の部分に、誤ってCS-G20AKSを表示しておりました。訂正してお詫びいたします。
(大河原 克行)
2010年7月27日 00:00