【グッドデザインエキスポ2009】
太陽光で発電する自転車用LEDライトなど、“エコ”なデザイン

 グッドデザイン賞の候補作品約2,000点を展示する「グッドデザインエキスポ2009」が、28日、東京ビッグサイトで開幕した。会期は30日 まで。開催時間は10時から21時までで、30日は16時で終了。入場料は1,000円。家電Watchでは、会場にて公開された照明器具やキッチン用品、日用雑貨品を中心に紹介する。



太陽光で発電する自転車用LEDライト


キャットアイの自転車用ライト「HL-EL020」
 自転車用品メーカーのキャットアイは、太陽光で発電する自転車用ライト「HL-EL020」を展示している。

 自転車の前面部に装着するLEDライトで、ライトの上にソーラーパネルを搭載し、点灯するための電力を太陽光で発電する点が特徴。電力は本体内の1本のニッケル水素充電池に蓄電される。点灯時間は2時間半、点滅の場合だと6時間使用できる。バッテリーの量をインジケーターで示す機能も備えている。

 ソーラーパネルが付いているだけにサイズが気になるが、本体サイズは48.5×100×43.6mm(幅×奥行き×高さ)で、見た目には大きく感じられなかった。むしろ普通の自転車LEDライトとほぼ変わりなく設置できそうだ。ライトの明るさは400カンデラと、前照灯としてのJIS基準もクリアしている。もちろん、防水性能も備えている。

 なお、充電ができない場合のために、乾電池での点灯にも対応している。単三アルカリ乾電池の場合は、1本で10時間、点滅で30時間まで。

 このところエコな乗り物として認識されている自転車だが、本製品を使えばライトまでクリーンエネルギーでまかなえるようになったことになる。また、自然と充電されるので電池の交換の手間が省けるのもうれしい。エコでかつ便利という優れた製品だ。発売日は未定。

ライトの上部に太陽光パネルを設置した点が特徴ライトを点灯しているところ明るさは400カンデラで、自転車の前灯としてのJIS基準をクリアしている

AC電源を本体に装備、単三/単四にも対応するモバイルバッテリー

ノービル・インストルメントの充電器「JUICE(ジュース)」。会場ではニッケル水素充電池にeneloopを使用していた
 会場の入り口付近でひときわ人気を集めていたのが、ノービル・インストルメントの充電器「JUICE(ジュース)」。いわゆるモバイルバッテリーで、本体のAC電源からニッケル水素充電池を充電し、電池内の電力をUSBで出力し、携帯電話やポータブル音楽プレーヤーなどに給電できる。

 本体は71×75×22mm(幅×奥行き×高さ)とコンパクトながら、機能は充実している。まず、左右2つにある電池スロットは、ニッケル水素充電池の単三、単四ともに対応。もちろん単三、単四との組み合わせでも充電可能だ。USB出力は5V500mA、単三2個で約70分給電でき、電池残量をLEDで表す機能もある。モバイルバッテリーとしては珍しく、AC電源が本体についている。100-240V対応なので海外でも使用可能だ。

 なお、スロットの電池ホルダーはあえてカバーを省略しており、出し入れがしやすい設計となっている。携帯時の振動も問題ないという。同社ホームページによれば、発売日は11月とのこと。

USBは給電のみで、充電は本体裏面のAC電源で行なうさまざまなモバイル機器に使用できる。電池ボックスは本体の左右に2つ。電池が取り出しやすいようカバーは省略されている

簡単に分解、分別できる“エコ傘”「エコ・デ」


ムーンバットの傘「エコ・デ」は、傘としては珍しく分別回収に対応している
 エコを考えるには、まずは傘から。

 ファッションメーカーのムーンバットによれば、日本は年間で1億2千万本の傘を輸入し、その7~8割を廃棄処分する“傘の消費大国”とのこと。しかし傘は、それぞれの部品が接着剤や金具で固定されているなど、独特の構造から分別やリサイクルに適していないため、焼却できないゴミとして最終処分場に埋め立てられているケースもあるという。

 そこで、ムーンバットが開発した傘が「エコ・デ」。傘を構成するうえでの「生地」「骨」「ハンドル」という3つのパーツが簡単に分解でき、それぞれが分別して回収できる構造を備えている。

 またこの構造により、例えば傘の布が切れても張り替えられる、といった修理やリフォームも容易になった。さらに、手元のハンドルをさまざまなデザインに付け替えるといった“着替え”も可能だという。価格は6,300円から12,600円で、発売中。

大きく分けると、傘の生地、骨、ハンドルという3つのパーツに分かれる細かいパーツも取り外せる仕様となっている。中には特許を取っている構造も
傘を中からみたところ。骨のつなぎ目がシンプルな印象を受ける簡単に取り外れるため、取っ手を着せ替えるといった使用法もできる

マンション住まいでも、バイオの力で生ゴミが減らせるコンポスト


フェリシモの「これならトライしたい! においの気にならないコンポスト」
 「コンポスト」というものをご存知だろうか。単語としては「堆肥」を表す言葉だが、転じて生ゴミを堆肥に変える容器のことを指す。このコンポストに生ゴミを入れてかきまぜると、しばらくすると生ゴミが堆肥となる。都市部に住んでいる人には縁遠い存在かもしれない。

 しかし、フェリシモの「これならトライしたい! においの気にならないコンポスト」は、コンポストから縁遠い、マンション住まいの人向けに作られた、段ボールのコンポストだ。

 使用方法は、ボックス内に微生物を混ぜた“バイオチップ”を入れ、その中に水切りした生ゴミを投入、朝と晩の2回かき混ぜるというもの。すると、生ゴミは約2~3日で分解され、土へと変わるという。これにより、1世帯から出る年間生ゴミの量を、約680kgから約200kg減らし、約480kgにできるというのだ。

バイオチップを入れた中に生ゴミを投入、かき混ぜると、2~3日で生ゴミが消えるという
 ずっと生ゴミを入れ続けるとやがては溢れてしまいそうな感もあるが、生ゴミは微生物により消化されるため、1日の規定量を守れば一定の量が保たれるという。また、ゴミは低温で有機分解されるため、ニオイもほとんどないとこのこと。さらに、パステルカラーの本体で、キッチンのインテリア性にも配慮している。

 生ゴミはもともと自然から生まれたものということを考えれば、コンポストで土に戻すというのは理にかなっている。発売中で、価格は1カ月で5,900円。


不用品を“徹底的に活かす”サービス「エコ回収」


エコ回収の仕組み。ユーザーから回収した不要品を“徹底的に活かす”がテーマ
 製品ではないが、「エコ回収」というサービスもグッドデザインの候補として展示されていた。

 「エコ回収」は、不要となった家電やインテリアを回収し、オークションにかけたり再資源化するなどで、不要品を“徹底的に活かす”ことを目的としたサービス。株式会社ウインローダーという会社が運営している。

 エコ回収の流れは、まずはユーザーから不要となった家電を回収するところから始まる。回収されたすべての不要品は、同社独自のオークション「エコオク」に出品。すべてが100円から出品され、落札者には製品が配送される。入札がなかった場合は、クリーニング後にリサイクルショップにてリユース販売され、リユースできない場合は分解、破砕処理などで資源ごとにリサイクルされる。それでもリサイクルが難しい物は、デザイナーの手によってほかの製品に作り変えて販売される。限界まで再利用の可能性を追求するところに、“もったいない”という意識の徹底が伺える。

 サービスの実施地域は現在のところ東京都全域と、神奈川・埼玉・千葉の一部、年間で約8万個の不要品を回収、再生しているという。回収料金は、20インチ以下のテレビが3,150円、150L以下の冷蔵庫が5,775円。

回収された不用品は、オークション「エコオク」に出品。すべて100円からのスタートとなる「エコオク」のウェブページ。出品者には落札額の50%がキャッシュバックされる(10月より)落札されなかった商品は、クリーニングされリユース品としてリサイクルショップで販売される
リサイクルショップで販売でいないものは、分解され、資源ごとにリサイクルリサイクルされた、発泡スチロールのインゴット(かたまり)。プラスチックの原料として再利用されるそれでもリサイクルできないものは、デザイナーによってインテリア用品に作り変えられ、販売される
 



(正藤 慶一)

2009年8月29日 15:31