長期レビュー
富士通ゼネラル「nocria(ノクリア) Xシリーズ」
足首がぬくぬくと温まっても乾燥しない! “極上のエアコン暖房”見つけた
(2015/11/27 07:00)
「家電アトリエ」で過ごす冬
今年2月、表参道に開設した「家電アトリエ」にも再び冬がやってきた。梅雨入りを前に設置した富士通ゼネラルのエアコン「ノクリアX」シリーズ(2015年モデル)を暖房で体感するのは初めてのことになる。打ち合わせや撮影スタジオとしてのスペースとしてだけでなく、原稿を書いたり、事務仕事をしたりするなどの事務所も兼ねているため、長時間過ごすことの多い場所だ。
冷房や除湿、送風機能の快適さ、自動おそうじ機能などについては夏にレビューした記事を参照していただくこととして、今回はサイドファンのあるノクリアXならではの暖房機能の特徴を紹介する。
メーカー名 | 富士通ゼネラル |
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製品名 | ノクリアX AS-X40E2W |
希望小売価格 | オープンプライス |
店頭価格 | 216,030円(yodobashi.com) |
中央ファン+サイドファンがもたらす「快適おまかせ気流」
両サイドについたサイドファン「デュアルブラスター」による気流が特徴の「ノクリアX」シリーズ。2015年モデルでは室内機の大きさが786×378×293mm(幅×奥行き×高さ)とコンパクトになったことに加え、サイドファンのデザインが本体と一体化するようになった。さらに停止時にはサイドファンの吹き出し口が隠れるようになったため、一見するとその存在に気づかないくらい端正ですっきりとした佇まいになっている。
だから、運転させて初めて存在感を発揮するサイドファンには、来客時に必ず「わ、すごいですね。どこのエアコンですか?」と反応されるので、うれしくなってしまうくらいだ。
そんなサイドファンが暖房時にどのように働くのか? まずは推奨される使い方である「快適おまかせ気流」で暖房運転をさせてみることにした。この日の室温は20℃とまだそんなに寒いわけではなかったため、設定温度は24℃と高めにする。運転開始直後はいわゆる“準備段階”で、吹き出し口からは暖かい風が出てこないため、フラップは上を向いたままだ。熱交換器が働いて、温風が出る段階になって、中央ファンのフラップがグッと下を向き、やや遅れてサイドファンも下方向に向きを変え、設定した室温の風を送り出す。
リモコンで暖房「快適おまかせ気流」運転時の中央ファンとサイドファンの風向きの設定状況を確認してみると、中央ファンは上下方向は真下より1段階上に、左右方向はやや左方向になっている。サイドファンは上下方向、中央ファンよりも1つ上に、左右方向はほぼ同じ向きに設定されている。
暖気が上方向に行かないように、暖房時の温風はなるべく下方向に吹き出すのが鉄則なので納得できるが、左右の方向がまっすぐでなく、部屋の中央部に向かうように左方向に設定されているのはなぜだろうか? おまかせなのに部屋の様子がわかるとはまるでカメラでも搭載されているかのようだ。
その謎は、リモコンの初期設定画面を確認したところ、「なーんだ、そうなのか」と簡単に解くことができた。そう、部屋のどの位置に据え付けられているのか、リモコンで設定する画面があるのだ。通常はエアコンの設置時に工事担当者が行なってくれるはずだが、万が一ということもあるので一度確認してみると安心だ。この初期設定で「据え付け位置は部屋の右側」となっているため、「快適おまかせ気流」で運転させた場合、中央部に暖気を送り、部屋全体に快適な気流を作るようにしているというわけなのだ。
デスクに座った時の気流の最適化を図る
「快適おまかせ気流」の暖房運転の場合、アトリエの中央に置いてある打ち合わせ用のテーブルにいる時にはかなり快適なのだが、デスクに座ってみると少々、風感があり、「非常に快適」とまでは言い難い。というのも、冷房のレビューの際にも書いたように、エアコンの正面にデスクが置かれているという位置関係のため、うまく上下方向の風向きを調整しないと、温風や冷風が直撃してしまうのだ。
そこで、「快適おまかせ気流」の設定をベースに、より心地よい気流を作れないか調整してみることにした。ポイントは、暖気やサイドファンの風が直接当たらないようにすること。まずは中央ファンの風向きを真下に設定。さらに左右の風向きも最も左に向くようにして、部屋の中央部、ややエアコン寄り(=人のいないところ)に暖気を落とし、サイドファンでそれを押し広げるようにしたのだ。
「快適おまかせ気流」のサイドファンの設定のように、中央ファンよりもやや上に被さるようにすることで、暖気を押し広げることが可能になる。
この設定でしばらく経つと、顔のあたりには全く温風を感じないのに、ちょうど足首あたりが温まり、たまにふわりと足首に暖かな風を感じるという夢のような状況が実現できることがわかり、これをアトリエでの仕事時の「ベストポジション」に認定。“床暖”は足の裏の暖気が徐々に上方に伝わってくるという感じだが、このノクリアXの暖房は、ずばり「足首付近の暖かさ」。女性には本当にうれしい暖房だ。
今回のベスト設定ではサイドファン、中央ファン共に風量は最も弱い「静音」だが、暖気をよりしっかりと広げようとして、試しにサイドファンの風量を静音よりもやや強めの「微風」でも試してみたが、これだと暖気が散ってしまい暖かさを感じにくくなってしまうことがわかった。いやはや暖房というのはとてもデリケートなものなのだ。
ということは、サーキュレーターでこうした気流を起こして似たようなことを実現させようとしても難しいということだろう。部屋の高いところにたまってしまった暖気をかき混ぜてなるべく下方向に送る効果は期待できても、足首あたりのやわらかな暖房をエアコンで実現できるのは、温風が吹き出す中央ファンのすぐ脇に、室温の風をやさしく送るサイドファンがあるから。頭寒足熱の状態が作り出せるのは素晴らしい。
速暖、マルチタイマー、スマホアプリの使い分けでさらに快適に
途中、風向きなどの設定をいろいろ変えてみたりはしたが、室温20℃のアトリエが24℃になるのにたいして時間がかからず、湿度を確認してもわずか1%しか下がっていないことにびっくり。これから、本格的な冬に向かうが、ノクリアXがあれば本当に心強い限りだ。
暖房関連では、ほかにも「速暖」機能がある。これは寒い朝や帰宅時など、あらかじめ速暖の時間設定をしておくと、その時間から30分間は暖房運転の待機モードになり、運転をスタートさせると1分程度でパワフルな暖房が始まるというものだ。また、これとは違って、1日のうちでタイマーの「入」「切」を4回設定しておけるマルチタイマー機能もある。規則正しいスケジュールで暮らしている人なら、起床時間(入)と外出時間(切)、帰宅時間(入)と就寝時間(切)などを設定しておけば、いつも快適な温度で過ごすことができそうだ。
アトリエとして仕事場として使っている立場から、とても便利だと感じているのが、スマホ連携による遠隔操作だ。別売りのアダプターを設置する必要はあるものの、室温の確認や運転のオンオフが電車の中でも出来てしまうのは驚くほど快適なのだとこの夏の冷房運転で大いに実感できた。
はじめ、スマホ操作が必要なのは、消し忘れの際にもムダな電力を使わずに済むからだと思っていた。だが、実際に使ってみるとアトリエに戻った時に涼しい部屋でホッと一息つけることだったり、自分と時間差で訪れる来客のために部屋の温度を快適にしておけることだったりと、移動中に運転を「オン」にしておけることのほうが断然、優位性があるのだとわかったのだ。
帰宅時間がまちまちだったりする人や、一人暮らしの人などは、こうした遠隔でのスマホ操作の便利さを痛感することだろう。スマホ連携ができるエアコンは、たとえば同じ富士通ゼネラルのエアコンでも、ノクリアXシリーズだけでなく、その下のシリーズまで全4モデルで対応しているので、ぜひ導入することをおすすめしたい。
2016年モデルが早々登場。その違いとは?
春・秋には送風モードで自然の中にいるような快適さが実現できるノクリアXシリーズ。今回、暖房性能も体感してますます惚れ込んでいるが、実は10月末にすでに新モデルとなる2016年版が登場している。
本体のデザインや本質的な機能はほとんど変わらないのだが、新たにリモコンの裏面に温度センサーが搭載され、エアコン本体のセンサー、床温度をみるセンサーという3つの温度センサーをもとに、部屋が常に快適な温度帯になるように、暖め過ぎや冷やし過ぎを抑えた効率のよい運転ができるようになったとのこと。リモコンを自分のそばに置いておくことで、人がいる場所の温度を正確に認識できるので、より快適に、より無駄をなくして省エネに…ということですね。
ノクリアXシリーズを1年間使ってみて‥…
1年を通してノクリアXシリーズのエアコンを使ってみて思うのは、室内の空気の“快適性”をとことん考えて作られているということ。冷房・除湿・暖房運転、それぞれに求められる心地よさを追求、さらに春や秋にも扇風機を使うのとは違った、送風運転による安らぎの気流を生み出してくれるのが素敵です。このやさしさは、きっと女性や赤ちゃん、そして高齢者の方には特に納得できるに違いありません。
それらはすべてサイドファンがなせる業。暑い時や寒い時だけ使うものではないエアコン。空調というのは、こういうことなのだなと思います。もちろん、この冬は、足首を温めてくれる極上の暖房家電として愛用するつもりです。