長期レビュー

シャープ「ウォーターオーブン ヘルシオ AX-CX1」 その2

~ヘルシオの得意技「水」を使った調理が大活躍!
by すずまり

 
「長期レビュー」は1つの製品についてじっくりと使用し、1カ月にわたってお届けする記事です。(編集部)



シャープ「ウォーターオーブン ヘルシオ AX-CX1」

 前回は、本体の基本性能を中心にご紹介したが、今回は実際に調理していこう。まずは、基本の温めから、ヘルシオの得意分野である蒸し物機能までを見ていく。

 個人的には、ヘルシオといえば、中華まんの温めに代表されるスチームを使った温めが大変お気に入りだが、コンパクトになってもそのおいしさは変わらなかった。また、同じくスチームが活躍する蒸し物も、一人暮らしには便利な活用法があることが分かった。

飲み物を温める(牛乳・酒)

 AX-CX1での飲み物を温める場合は、庫内に飲み物を入れたら、回転つまみで3番の「牛乳・酒」を選択し、カップの数を指定してから「あたため」キーを押す。カップは4杯まで指定できる。あたためを開始してから30秒以内なら、「仕上がり・温度」キーで調整が可能だ。

 冷めたお茶などを温め直してみたところ、「仕上がり・温度」キーを使わない状態では、熱すぎるということがなく、口をつけやすい印象。温度を測ってみると、約59℃となった。

飲み物の温めは「牛乳・酒」を用いる加熱前の水温は13℃回転つまみで3番を選択。「3-1」は「3番、1杯」を表す
「あたためキーを押す」食品の温めではバーでおよその残り時間が表されるが、「牛乳・酒」では途中から残り時間がカウントダウンされる何も温度設定をしない「通常」モードの加熱後の水温は59℃。カップの下は低めなので、混ぜると57~58℃程度になる

 仕上がりの設定を変えると、温度の変化があるのか実際に試してみると「強」で約68℃、「弱」で40℃という結果になった。

 通常モードは59℃なので、全体的に気持ち低めの仕上がりだ。すぐに口をつけたいときは普通でいいが、フーフーしながら飲みたい場合は「強」、ぬるめが好きな方や、小さなお子さん向けに温めたいときは「弱」を選ぶとよさそうだ。

「強」にした場合、加熱後の水温は68℃に。いきなり口をつけると熱いと感じる温度だ「弱」にした場合、加熱後の水温は40℃になった

 なお、液体の加熱の際に通常の「あたため」キーを押すと、液体が加熱されすぎて吹きこぼれてしまう恐れがあるので、飲み物や液体を温めるときは、必ずメニューの「牛乳・酒」を使おう。

揚げ物を温め直す(サックリあたため)

春巻き、天ぷら、コロッケを「低アミ」で「サックリあたため」する

 スーパーのお総菜コーナーで手軽に買える揚げ物は、一人暮らしに便利なおかずだ。AX-CX1には、これらの揚げ物をさっくりおいしく温めるための専用メニューが用意されている。今回はスーパーで購入した春巻き、レンコンの天ぷら、コロッケを「サックリあたため」で温め直してみた。調理されてから時間が経過しているだけあって、いずれの揚げ物も柔らかくて、しなしな状態だ。

 まず、角皿にクッキングシートを敷き(使用後に洗いやすくするため)、上に調理網を乗せて、揚げ物を並べる。このとき調理網は「低アミ」にする。角皿に調理網を乗せる際、凹型に低くなるようにするのだ。網の使い分けは、メニューごとにすべて表示部に案内が表示されるので悩む必要はない。心配なときは、角皿を庫内に入れる前に回転つまみを回して、メニューを確認すればいいのだ。

水はメモリの1を用意水タンクをセット1番の「サックリあたため」をセットすると「低アミ 下段」とガイドしてくれる。機能的には「ウォーターグリル」だ

 回転つまみで1番の「サックリあたため」を選択し、庫内に角皿をセットしたら「あたため」ボタンを押す。所要時間は全部で約15分程度で、ボタンを押してから2分ほど経過したタイミングで、残り13分30秒のカウントダウンが始まった。

 温め後の揚げ物だが、表面はカリッとしているのだが、裏側がかなりの油でじっとりと湿っていた。油と水分が混ざったような感じで、コロッケは裏返すと崩れそうだった。油の落ち具合も想像していたより少ない。

温められた揚げ物。特に焦げることもなく仕上がったが……コロッケを裏返すと、衣がじっとりとしており、崩れそうな状態に落ちた油の量は思ったほどではなかった。

温め後の揚げ物の状態。コロッケの裏側はとてもサックリとは言い難い状態になっていた

 正直、これはあまり納得のできる仕上がりではなかった。「低アミ」にすることで角皿と総菜が近くなり、通気性が悪くなったのではないか、と考えたため、再度「高アミ」で試してみることにした。調理網を凸型になるよう高く配置し、その上に材料を並べた(全く同じ材料が手に入らなかったため、2回目はすべて天ぷらで試した)。

見るからに時間が経過した総菜の「天ぷら」角皿から調理網が離れる「高アミ」にして材料を並べる角皿の位置はそのまま下段へ

 すると、今度は多少焦げ目は生じたものの、全体的にサックリ仕上がった。「AX-X2」のときは衣に凝縮したような固さがあったのだが、AX-CX1には見られない。裏側はやはり油がたまってしまいがちだが、ベタベタになるほどではなく、歯ごたえもサックリ仕上がっていた。

 また、うれしいことに、かなりの量の油が落下しているのが分かった。大さじ1杯近くはあるのではないかという量だ。これは嬉しい。食材が違うため単純に「低アミ」と比較はできないが、「サックリあたため」に関しては「高アミ」でも十分対応できそうだ。

 所要時間はオーブントースターなどの倍近くかかるが、天ぷらの油を見ての通り。ヘルシー効果を期待するなら、待ち時間は我慢の範疇だろう。

温め後の天ぷら。「低アミ」に比べ、全体的にうっすら焦げ目がついている。かき揚げなどは一部焦げてしまった焦げはしたものの、油のじっとり感は少ない(裏側が湿っていないわけではない)落ちた油の量

冷凍シュウマイと中華まんを温める(しっとりあたため)

 次は冷凍シュウマイを使って「しっとりあたため」を試してみた。回転つまみで2番を選択すると「高アミ」にした角皿を上段にセットすると案内された。案内に従い、凍ったままのシュウマイを調理網に並べ、上段へ。「あたためキー」を押すと、約11分ほどで湯気の立ち上るシュウマイが完成。レンジ機能で温めるのとは違い、全体がふんわりしてみずみずしく、蒸し器で温めるのと変わらない、満足できる仕上がりとなった。

 たっぷりと水を使うので、水タンクに水を入れなければならない。ただ、万が一補充を忘れても、足りないと判断すると警告してくれるので安心だ。

冷凍シュウマイをあたためる「高アミ」の状態でシュウマイを並べるメニューの2番を選択
湯気たっぷりのシュウマイができる電子レンジで袋ごと加熱するより、全体がふっくら仕上がる時間はかかっても、お勧めしたい仕上がりだ

 筆者の持つ従来タイプのヘルシオ「AX-X2」の場合、中華まんの温めは「スポットスチーム」が非常に優秀だ。しかし「AX-CX1」には「スポットスチーム」機能が存在しない。おそらく本体サイズと、コストを抑えているからだと思うが、気になったので中華まんの温めも試してみた。

 肉まん1個、あんまん1個を用意し、シュウマイ同様に角皿の「高アミ」に乗せて上段にセット。すると今までのヘルシオ同様、柔らかくかつ適度に温まっていた。表面は水っぽさも、乾燥もなく、ちょうどよい具合だ。中の餡まで均一に温まっており、口の中をヤケドする心配もない。固い状態で電子レンジにかけるのも早くていいかもしれないが、おいしくいただくなら、やはり「しっとりあたため」がおすすめだ。

温められたあんまん(左)と肉まん(右)中まで熱いがちょうどよい具合に仕上がる1回の「しっとりあたため」でつゆ受けにたまった水は約50ccほどだった

中華まんのふんわりした仕上がり具合

蒸し野菜サラダを作る(蒸し野菜サラダ)

ブロッコリ-、卵、アスパラガス、ベーコンを「高アミ」に並べる

 今度はスチーム機能を使った調理を試してみよう。まずはメニューにもプリセットされている「蒸し野菜サラダ」である。これは、野菜を蒸し上げながら、同時にゆで卵も作ってしまおうというものだ。通常、卵をそのまま電子レンジに入れようものなら、破裂して非常に危険だ。しかし、「蒸し野菜サラダ」でレンジ機能は使用しないので、卵もそのまま入れても大丈夫だという。

 アスパラガス、ブロッコリー、ベーコン2枚、生卵サイズ2個を用意し、「高アミ」に並べて、13番の「蒸し野菜サラダ」をセットして加熱すること11分30秒。アスパラガスもブロッコリーも柔らかく食べやすく、卵は黄身がしっとり、ベーコンは適度に脂が落とされた状態に。見事、野菜、ゆで卵、ベーコンの3品が調理できた。お気に入りのドレッシングをかけたところ、二人分をあっという間に完食。

 すべての材料を並べるだけで、同時に調理できるのはありがたい。忙しい朝でもしっかり食べたい方や、帰宅時間が遅くなった時や、炭水化物を控えめにしたい時などに活躍しそうなメニューだ。

加熱後の食材。卵にヒビが入っていたが、無事蒸し上がっていた卵の黄身は、完全には凝固せず、常にこの状態が作れる(今回慌て過ぎたのか、殻むきに失敗)自分に盛りつけセンスがないのは非常に残念だが、「蒸し野菜サラダ」は簡単でおいしかった

米粉のヨーグルト入り蒸しパンを作る(手動加熱の蒸し物)

蒸しパンの材料

 一人暮らしでも手軽に作って、食べられるメニューはないかと、レシピ集を見ていたところ、野菜ジュースを使った蒸しパンを発見した。ちょうど手元に米粉があったので、今回は材料の小麦粉を米粉に置き換えて、蒸しパンを作ってみることにした。

 米粉、生卵、ヨーグルト、サラダ油、ベーキングパウダー、砂糖を混ぜて生地を作り、カップ8つ分に分ける。あとは角皿に並べて、「手動加熱」キーを押してから、回転つまみで18番を選び、加熱時間を15分にセット。最後に「あたため」キーを押して調理開始だ。これでまとめて8つの蒸しパンができあがった。

 蒸しパンは、慣れてくると調理までの準備に15分とかからない。加熱時間も含めれば、30分程度で米粉特有のもっちり感があり、食べ応え抜群の、ほかほかな蒸しパンができあがる。女性なら、1つで小腹が満足し、2つも食べるとかなり食べた感を味わえる、おやつにも主食にもなり得る一品だ。

 米粉のパン作りに憧れつつも、作る機会に恵まれないという方も、これで気分を味わってみてはいかがだろうか。冷えても食べられるが、「しっとりあたため」機能を使えば、できたての食感がよみがえる保証付きだ。

材料をすべて混ぜ、カップに入れて並べる「手動加熱」の「蒸し物」で調理。火加減を気にしなくていいのが魅力。ただ、理想では上に膨らむはずだったのだが……アレンジを考えるのも楽しくなりそうだ

カレーライスと、ゆで卵付き温野菜サラダを15分で用意

 100度の水蒸気を使ったヘルシオの蒸し物調理の利点は、卵や金属のような、電子レンジでは使えない食材の加熱も可能な点だ。しかも、加熱時間が同じものなら同時に加熱してもよい。

 最後にご紹介するのは、この利点を活かしたメニュー、レトルトカレーとご飯の温めだ。市販のレトルトカレーとパック入りご飯、またはお皿に盛りつけた冷えたご飯(冷凍も可)を角皿に並べ、メニューの「レトルトカレー&ごはん」を選ぶだけというものだ。手動加熱なら、「蒸し物」を選んで約15分である。

 すでにご紹介している「蒸し野菜サラダ」の加熱時間は11分30秒なので、「レトルトカレー&ごはん」のほうがやや長い。そこで、もしかして蒸し野菜も一緒に調理できないかなとひらめいた。レトルトカレーと蒸し野菜サラダを、同時に用意することもできるというわけである。そこで思い切って試してみた。

 1枚の角皿の上に、レトルトカレー1袋、パックのご飯1つ(パックのふたはとっておく)を乗せ、空いたスペースに卵と野菜を置いてそのまま加熱。

 できあがりは見事成功! 使用した野菜がカリフラワーとスナップエンドウという、固さがアンバランスな組み合わせだったため、スナップエンドウを加熱しすぎた状態になってしまったが、4品の同時加熱という点では成功といえるだろう。

 ちなみに、AX-CX1には、「スパゲッティ&ソース」というメニューもプリセットされている。こちらはパスタをゆでながら、缶入りのパスタソースを温めるというものだが、手動の「蒸し物」では24分かかるという。野菜のサイズや固さによっては、こちらも空いたスペースを活用して、もう1品サラダを用意できそうである。

1枚の角皿に、レトルトカレー、パック入りご飯、カリフラワー、生卵、スナップエンドウを並べるメニューの「レトルトカレー&ごはん」を選んで加熱すると、カレーのほかに蒸し野菜とゆで卵ができる
カリフラワーはちょうどよい固さにゆで卵もばっちり。スナップエンドウは残念ながら茹ですぎ状態だったが、柔らかくて食べやすいもちろん熱々のカレーライスも同時にできあがる

 “本家ヘルシオ”と比べるとサイズも機能も絞られているAX-CX1だが、蒸し調理などヘルシオの強みはしっかり受け継がれているということがわかった。最終回となる次回は、トーストを始めとした焼き物から、ヘルシオの真骨頂、揚げない揚げ物までを一挙にご紹介しよう。



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2011年3月9日 00:00