長期レビュー

BOSCH「コードレス・ハンディブレンダー」 前編

~憧れのコードレス・ハンディブレンダーがやってきた!
by すずまり


コードレスのスティックミキサーが欲しい!

コードレス・ハンディブレンダー MSM6A60JP

 これまで、幾度となくスティックタイプのミキサーが欲しいと思っていた。しかし、自分の料理のバリエーションや収納の都合から見送っていた。それが先日、エレクトラックスのスティックミキサーのレビューをしたことで、いよいよ熱が高まってしまった。

 レビューにあたり、スティックミキサー用のレシピブックを探していたところ「ハンディブレンダーだから作れる日々の新定番おかず」という本を発見。購入して眺めていると、あることに気づいた。

 「ここで使われてるスティックミキサー、コードがない!」

 その本で使われていたのは、ヨーロッパでは有名な家電メーカーBOSCH(ボッシュ)の「コードレス・ハンディブレンダー MSM6A60JP」(以下、ハンディブレンダー)だったのである。実は、コンセントの場所の都合上、コードレスだったらいいなぁと密かに思っていた筆者。ゆえに、即目が釘付けに。しかもなんだかカワイイ。白ベースの配色に、赤いロゴがキュート。写真を見ていたら、自宅のキッチンで使うイメージが沸いてきた。これはもう買うしかない! と思ったわけである。


メーカーBOSCH
製品名コードレス・ハンディブレンダー MSM6A60JP
希望小売価格26,250円
購入場所楽天市場
購入価格26,250円


 鼻息が荒いまま、ほとんど勢いでオーダーしたのだが、かなり満足している。悩みの垣根を1つ超えたような気がするのだ。もちろん気になる点がないわけではないが、買ってよかった製品リストを作るとすれば、間違いなくランクインするだろう。

軽くて、シンプルで、安全にも配慮

 BOSCHのハンディブレンダーは、本体、ブレンダー、ブレンダージャグ(容器)、ユニバーサルカッター(ケース、回転刃、接続ユニット)がセットになっている。このほかに充電器と取扱説明書、レシピブックが付属する。つまり、ブレンダーとユニバーサルカッターの2つのアタッチメントで構成されており、この2つでみじん切りやミンチ、混ぜる、捏ねるといった作業をこなすのだ。

 ブレンダーは、つぶす、混ぜる、泡立てる、砕く、すり下ろすを担当する器具。装着時の本体は、62×65×400mm(幅×奥行き×高さ)で、重さは約640g。持ってみると非常に軽い。コードがないので、引っ張られる感じもない。

本体と2種類のアタッチメント本体にブレンダーを装着した様子ブレンダー装着時の左側面
ブレンダー装着時の背面ブレンダー装着時の右側面
本体(左)とブレンダー(右)の接続部分ブレンダーの先端部分ブレードの形状
ブレンダージャグにブレードを入れた使用イメージブレンダージャグの目盛

 ユニバーサルカッターは、みじん切りとミンチを担当するケース付きのアタッチメントだ。122×122×150mm(同)で、約230g。中に取り外し可能な回転刃をセットし、接続ユニットで蓋をし、その上に本体をつないで使用する。ケースの裏面に吸盤がついており、ステンレスのキッチンにしっかり吸着してくれるので固定しやすく、うっかりひっくり返すといったトラブルを防げるというニクイ機能付きだ。

ユニバーサルカッター用のカップ(左)とブレンダージャグ。いずれも蓋付きユニバーサルカッターのセットユニバーサルカッターに本体を取り付けた様子

 本体にはグリップしやすいカーブが施されており、正面にボタンが2つついている。下が安全ロック解除用の安全ボタンで、上がONボタンである。使用時には、この安全ボタンを押しながらONボタンを押して起動する。一度起動させたら、安全ボタンから指を離し、ONボタンを押し続けている間中動作する仕組みだ。

 使用開始時は、2つのボタンを押すタイミングに戸惑ったが、慣れれば大丈夫。ポータブルで、一歩間違えば凶器になる調理器具だけに、むしろこの操作が小さいお子さんの事故を防いでくれそうな気がする。

本体操作部の様子。上からONボタン、安全ボタン、LEDランプグリップしたときの様子本体とブレンダーを計量したところ654gだった

収納=充電のコードレス

 BOSCHのハンディブレンダーの最大の特徴は、やはり「コードレスであること」に尽きる。収納場所から取り出し、ケーブルをほどいてコンセントに差し込み、他の調理器具の邪魔にならないよう、また自分が扱いやすいようコードを這わせて向きを考える……という手間がまったくない。充電器から本体とブレンダーをサッと取り上げ、双方をカチャっと合わせるだけで準備完了だ。

 作業台のどこに置いてもいい。コードがないから、他の調理器具の邪魔にもならない。使わないときは本体を充電器に載せておくだけ。調理中でもはずしたら充電器に載せるという習慣づけると、バッテリー切れを防ぎやすい。バッテリーの残量は、本体についたLEDを見ると分かる。安全ボタンを押したとき、フル充電なら点灯、残り半分ならゆっくり点灯、空に近い状態は速く点灯するので、使用中でも安全ロック解除ボタンを押した瞬間に分かる。

充電器この部分に本体を差し込む収納時のイメージ
充電器は取り付けネジで壁に固定できる壁に固定したときの収納イメージ実際に充電中の様子

 フル充電時の連続使用時間は最長20分。この20分が長いか短いかは利用者次第だと思う。実際に使ってみた感じでは、続けて20分も使うことはなかったので、十分ではないだろうか。ただし、最後まで同じパワーで使えるわけではない。ポタージュスープ作りなどで、連続使用していると、心なしかパワーダウンしてきたように思えることもあった。初回のフル充電に約2時間を要したことを考えると、個人的には10分程度を目安にしたいと考えている。あとは、ブレードや接続ユニットを取り外したら、すぐ充電器に載せる。これをクセづけすれば問題ないだろう。

 それではそれらの使用感を、実例とともに見てみよう。まずはブレンダーからだ。

取扱説明書とレシピブック、及び取り付けネジレシピブックのメニュー

じゃがいものポタージュ(ブレンダー+鍋)

 まずは定番のポタージュスープ作りから。用意したのはじゃがいもと玉ねぎとコンソメスープ。調理時間を短縮するため、一口サイズ大にカットしたじゃがいもは、電子レンジで下ごしらえをしてから、玉ねぎと一緒にバターで炒めた。

 その後、コンソメスープで煮込み、柔らかくなったところで、ブレンダーで細かく潰した。スティックミキサーの場合、一気に攪拌するミキサーとは違い、何度も繰り返しブレンダーを使うので、意外と手間のかかる作業だ。わずかに粒感が残る仕上がりではあったが、概ね滑らかなスープが完成した。

じゃがいもと玉ねぎ。いずれももっと小さくカットしておくほうがよさそうバターで炒めたあと、コンソメスープで煮込むひたすらブレンダーで潰し、クリーミーな状態に。最後に牛乳を加え、塩胡椒で味を調えて完成

 完成するまでの作業時間は約9分だった。これまで使ったことのあるスティックミキサーに比べると、やや時間がかかっている気がする。コードレスではない有線のスティックミキサーに比べ、若干パワーが少ないような印象も受けた。ブレンダーの先端やブレードも気持ち小ぶりなのだが、これらはいずれも所要時間に無縁ではなさそうな気がする。野菜のサイズは、可能な限り小さくしておくほうがよさそうだ。

慣れていなかったので、途中でバッテリーが心配になって一旦充電してみた完成したスープ

ブレンダーで具を潰している様子。量が多い場合は、最初から具が小さいほうが効率良く作業できる

 

マヨネーズとタルタルソース(ブレンダー+ブレンダージャグ)

 次にタルタルソース作りに挑戦だ。材料は、ゆで卵2個、玉ねぎのみじん切り少々、粒入りマスタード、パセリ、マヨネーズ、塩胡椒。とりあえず、オリーブオイルとワインビネガーで、マヨネーズ作りから始めた。

 まずマヨネーズ。ブレンダージャグに、ワインビネガーと黄身、粒入りマスタード、塩を入れて、ブレンダーでよく混ぜる。よく混ざったのを確認したら、少しずつオリーブオイルを流し入れながら混ぜていく。黄身だけの頃は混ぜにくさを感じたが、乳化してボリュームが出て来た頃にはかなり扱いやすくなった。少々時間がかかったが、オリーブオイルの香り豊かなマヨネーズが完成。

マヨネーズの材料黄身、ワインビネガー、マスタード、塩をブレンダーで混ぜる少しずつオリーブオイルを加えながらさらに混ぜると、マヨネーズに

 マヨネーズが完成したところで、そのまま、中にカットしたゆで卵や玉ねぎのみじん切り(後半で登場)など、タルタルソースの材料を投入。再びブレンダーを作動させて潰すと、数秒でタルタルソースが完成! 容器に入れて一晩冷蔵庫で冷やしたところ、味が落ち着いたのか、製造直後よりおいしいタルタルソースになっていてかなり感動した。

できたマヨネーズは、そのままタルタルソースの材料にマヨネーズを作ったブレンダージャグに、卵、パセリ、玉ねぎのみじん切りを入れる再度ブレンダーで潰すと、タルタルソースに

 ホームベーカリーで焼いたこれまた自家製のパンに、「鳥はむ(鶏の胸肉を使ったハムのような食感の料理)」のスライスや野菜を挟んで食べてみた。なんという贅沢! ゼロから作ったタルタルソースはかなりお勧めだ。

野菜、鳥はむ、自家製の全粒粉入りパンでサンドイッチにタルタルソースは高カロリーなので、食べ過ぎに注意……

 付属のブレンダージャグ1つですべてできてしまうので助かる。ブレンダーの形状から、容器内の材料が少ないと、混ぜる際にブレードに届いていないのではないかという不安はある。傾けるなどして、うまく攪拌されるよう工夫しよう。


マヨネーズから、タルタルソースができるまで

メレンゲと生クリームでアイスクリーム(ブレンダー+ブレンダージャグ)

 ハンディブレンダーには、泡立て用のアタッチメントがない。マヨネーズに見られるように、「混ぜる」はできるとしても、「泡立てる」はどうなのか? そこで今回も、泡立てメイン料理のアイスクリーム作りに挑んでみた。材料はスジャータホイップ1パック、卵1個、砂糖の3つ。メレンゲと生クリームがどこまでできるかがポイントだ。

 苦戦を強いられたのはメレンゲ作りだった。空気を入れながら攪拌しなくてはいけないのだが、どう頑張ってもふんわりとしたボリュームがでない。斜めにしてみたりと工夫を凝らしたが、泡立つ程度。諦めざるを得なかった。

アイスクリームの材料卵白を泡立てるも、うまく行かずメレンゲは失敗

 それに対して、生クリームはツノが立つほどしっかりと泡立てることができた。ただし、通常の電動ハンドミキサーや、泡立て器付スティックミキサーと比べ、かなり時間がかかっている。

生クリームに砂糖を加えて泡立てるやや時間はかかったが、生クリームの泡立てはできるようだ

 全て合わせてから再度混ぜて容器へ流し込み、冷凍庫に移して準備完了だ。今回はヨーグルトではなく、濃縮タイプのはちみつジンジャーエキスをプラスし、ジンジャー風味のアイスクリームにしてみた。いつもなら3カップ分はできるはずだが、今回メレンゲが不発だったため、2カップ止まりとなってしまった。

 3時間後、部分的にまだ緩めではあったが、アイスクリームが完成した。泡だちが悪く膨らまなかった分、濃縮されたような舌触りで、これはこれで十分おいしかった。

卵黄含め、材料を全部混ぜる冷凍用の容器に移し替える途中で攪拌しなくても滑らかでおいしい

 ブレンダーはメレンゲ作りが苦手なのか、それとも筆者のやり方がまずかったのか微妙なところだが、急いで作りたいときは、電動ハンドミキサーに任せたほうが確実かもしれない。

 以上がブレンダーとブレンダージャグを使った調理例だ。すでにこの段階で、ハンディブレンダーはすっかり我が家に定着。自然と手が伸びる存在になっていた。お玉や菜箸同様に、“そこにあるもの”を掴んで使うイメージなので、かなり自然に使える。

 次回は、ユニバーサルカッターを使ってハンバーグやコールスローサラダを作ってみよう。



前編 / 後編


2010年12月6日 00:00