長期レビュー

パナソニック「ホームシアターライティング(HHFZ5365)」その3

~映画好きだけでなくゲーマーにもお勧め
by 若杉 紀彦

 
「長期レビュー」は1つの製品についてじっくりと使用し、1カ月にわたってお届けする記事です。(編集部)



 それでは最終回となる本稿で「HHFZ5365」のキモとなるホームシアター環境での利用について、感想を述べたい。第1回第2回はこちらから。

 手元のスポットライトについては写真を見てもらえば一目瞭然だが、オフではリモコンなど文字の判別が非常に難しいが、オンにすることでそれらが読めるようになる。本製品はメインの蛍光灯の明るさをリモコンの「暗」、「明」ボタンで調節でき、スポットライトモード時は、スポットライト全灯、壁面の2つのみ、手元の1つのみ、消灯を切り替えられる。

 スポットライトは、ほのかな明かりなので、ずっと点けていても映画鑑賞の邪魔にはならないが、映画を観ながら、ほかの作業や操作はしないという人なら、消してもいい。筆者はなるべく暗くしたいので手元は消灯している。ちなみにスポットライトモード時に何灯点けるかは、明/暗ボタンで設定できる。

全灯状態でライト真下にあるソファにマニュアルを置いてみたこれは消灯状態。肉眼ではマニュアルがあるくらいは分かるが、文字は全く読めない状態になるスポットライトで手元だけを照らしたところ。長時間の読書などは無理だろうが、ちょっとマニュアルやリモコンを見たいという用途には十分の明るさがある

 壁面のスポットライトはというと、これは常にオンにすることをお勧めしたい。体験したことがある人なら分かると思うが、真っ暗な中でTVを観ていると、特に暗いシーンから明るいシーンに急に切り替わったときなど、明らかに目に負担がかかる。壁面スポットライトを使うと、この負担が確実に減る。

 写真で見るとちょっと明るすぎるのではと思われるかも知れない。実際、スポットライトを点けると最初はそう感じる。が、映画を見始めると、その存在は全く気にならなくなる。同時に、これまでスポットライト下で10本程度映画を観たが、強い明暗の変化があっても目が刺激を受けているという感じはほとんどなかった。

全灯状態の室内消灯したところ。TV画面以外は真っ黒なので没入感は高まるが、明暗の差が激しいと目が疲れる壁面のスポットライトを点けたところ。写真では結構明るく見えるが、実際にはここまで気にならない。目の負担も軽減される

 また、真っ暗闇で液晶TVを観ると、バックライトのせいで、真っ暗な画面でも周囲より黒が浮いてしまうのは避けられないが、この黒浮きもスポットライトにより若干だが低減されるという利点もあるのだ。

十分に明るい状態では液晶パネルの黒は縁と同じくらい暗いしかし液晶にはバックライトがついているので、照明を落とすと、周囲より画面の方が浮いてしまうこれはスポットライトを点けたところ。写真では消灯状態と区別がつかないが、肉眼では黒浮きは若干ながら低減される

 ここでは映画を例に挙げているが、ゲームプレイ時もスポットライトは便利だ。映画同様没入感が向上するというのもあるが、今度は手元の照明が役に立つ。というのも、特に新しいゲームをプレイするときは、何かとマニュアルを参照することが多いからだ。最近のゲームは、映画顔負けのカットシーンをふんだんに盛り込んだものが多いので、よりのめり込みたいという向きには、ゲームでもスポットライトの利用を推奨したい。

 もう1つ個人的に特筆しておきたいのが、リモコンの赤外線送信部が手に握った際の正面方向だけでなく、上面にも搭載されている点だ。製品のマニュアルによると、これは留守番モードを使うとき、セットして、テーブル上にリモコンを起きっぱなしにしておけば、うまい具合にオン/オフの信号がおくられるという目的で用意されている。

 しかし、留守番モードでなくても、我が家ではいつもテーブルにリモコンを起きっぱなしにしているので、普段の操作もリモコンを置いたまま、ピッピと操作できるのだ。もしかしたらこれは、最近のある程度上位の製品のリモコンでは常識だったりするのかもしれない(実際うちのTVも2カ所に送信部がある)が、小さな感動を覚えた。

 留守番モードについてここで補足しておくと、これを使うと、毎日指定した時間にオン/オフを行なってくれるので、外から見ると人がいるように見えるのだ。芸の細かいことに、2日目は15分、4日目は30分遅らせて消灯させるようになっている。

 時間をセットするにあたっては、リモコン下部のフタをスライドさせると、時間を表示する小さな液晶とボタンが現われるので、これを使う。筆者は平均すると2カ月に1度以上、1週間程度の海外出張に行く。電気代がもったいないようにも見えるが、防犯効果を考えて、とりあえず使っている。

 このほか、全灯、消灯ボタンには表面にそれぞれ「・」と「-」のポッチがあり、スポットライトボタンは蓄光タイプと、薄暗い中で使っても、間違えにくくなっている。

リモコンの送信部は先端だけじゃなく、上面にもあるので、テーブルに置いたままで使うことができる下部のフタをスライドさせると、留守番モードで使う液晶とボタンが現われる

 最後にまとめとして、本製品に個人的評価を点けるとすると95点といったところだろうか。機能、性能の面ではほとんど不満はないが、あえて欠点を挙げるなら、価格だろう。第1回で述べた通り、別途スポットライトを買うよりも安上がりなのは確かだが、4万円超という価格が高いという事実だ。

 ホームシアターを持つユーザーは、視聴環境への投資をさほど惜しまない。技術の移り変わりが激しいTVやAVセンターなどに比べると、10年近くは使える本製品の費用対効果は十分高いと言っていいだろう。



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2009年7月21日 00:00