ソニーの「笑わないとドアが開かない冷蔵庫」を体験してみた

 グッドデザイン賞の受賞作品1,108点を展示する「グッドデザインエキシビジョン2012」が、11月23日から11月25日まで東京ビッグサイトで開催された。家電Watchでは、会場で公開された家電製品や照明機器、日用雑貨品などを紹介する。


 今年のグッドデザイン賞では、未来を示唆する優秀なデザイン100件「グッドデザイン・ベスト100」が審査委員長より決定されているが、その中で注目を集めた家電製品が、冷蔵庫の前で笑顔を作ると扉が開く、ソニーコンピュータサイエンス研究所の「ハピネスカウンター」だ。

 ハピネスカウンターは、日常生活の中で積極的に笑顔をつくることを目的とした家電の研究のひとつで、東京大学大学院情報学環の暦本純一教授がプロデュースを手がけている。ソニーコンピュータサイエンス研究所によると、笑顔になる機会が増えることで、幸せな気分になり、感情状態の向上が期待できるという。冷蔵庫に着目した理由については、扉を開けるのは一日に何度も行なう行為のため、笑顔になるきっかけが作りやすく、習慣化づけることで、より多くの笑顔を作り出すためという。

 会場には、ハピネスカウンターを取り入れた冷蔵庫が設置されていた。無表情のまま開けようとしても、扉は固く、なかなか開かないが、冷蔵庫に内蔵されたカメラに向かって笑顔になると、音が鳴り、扉が簡単に開けられた。

ハピネスカウンターが搭載された冷蔵庫扉に笑顔を検知するカメラを備えている

扉を開けているところ。しかめっ面だとドアはまったく開かないが、笑顔になった途端、音が鳴って、ドアが簡単に開けられた

 カメラには、ソニーのデジタルカメラで採用されている「スマイルシャッター」と同じ顔画像認識技術が採用されている。説明員によると、冷蔵庫を設置した前方の広告に、笑った顔の絵が載っていたため、センサーの感度の調整が難しかったという。

 このハピネスカウンターを使うことで、一人暮らしのお年寄りや、いわゆる「引きこもり」のような状態の人の感情を向上させる効果があるという。さらに、遠隔地に住む家族と、笑顔の写真を共有する機能ことで、見守りシステムとしても役立てられるという。

 グッドデザイン賞の審査員からは、「人ともの、人とインターフェースの関係をさまざまな角度から深く考察し、近未来の生活に潤いと活力を与える、まったく新しいインターフェース開発のムーブメント」として、その先進性が高く評価されている。

 現在のところ発売などの予定は明らかになっていないが、鏡やドア、スマートフォンなど様々はプロダクトと組み合わせることも可能という。家電の枠を広げそうな技術だ。

今回は無印良品の冷蔵庫に搭載されたものが公開された冷蔵庫の向かいにあったソニーの広告。ハピネスカウンターはこの絵も笑顔として判断できるという





(正藤 慶一)

2012年11月26日 12:31