【次世代照明技術展】
安全性に配慮したL形/G13口金の直管形LEDランプが登場
LED照明など、次世代の照明装置・部品・材料の展示会「第3回次世代照明技術展 ライティングジャパン」が、1月19日、東京ビッグサイトで開幕した。会期は21日までの3日間。
今回は、会場にて展示されていた、直管形LEDランプについてお伝えする。
■ローム、安全面を高めてLEDの性能を引き出す、新口金の直管形LEDランプ
新規格のL16口金を用いた、40形直管形LEDランプ「R-FDC40DNH1」。日本電球工業会の規格に準拠している |
ロームのブースでは、新規格の口金を採用したベースライト用直管形LEDランプを公開していた。発売日、価格ともに未定で、サンプルは3月ぐらいから用意される予定。対象は法人・一般向けだが、量販店では扱われず、電気工事の資格をもつ業者を通して購入・設置される。
製品名 | LED口金付直管形LEDランプシステム(LDLD40) |
型番 | R-FDC40DNH1 |
価格・発売日 | 未定 |
全光束 | 2,300 lm以上 |
平均演色評価数 | Ra84 |
定格電力範囲 | 15.8~33.3W |
口金 | GX16t-5(L16口金、L形口金) |
「R-FDC40DNH1」の特徴。ムラのない均一な光が演出できるという |
明るさは2,300lm以上、演色性はRa84と、どちらも社団法人日本電球工業会(以下、JEL)の規格をクリア。既存の40W形直管形蛍光ランプの代替として使用されることを意図している。
ランプはツブツブ感を抑えたムラのない、ほぼ均一なライン光が得られる点が特徴。高密度なLEDチップの配置、拡散カバーを工夫しているという。また、管の円周上の発光エリアが広いため、パッと見ではLEDユニット部はほとんど気にならない。光の拡散性もJELの規格に準じている。
口金は、JELが2010年10月に制定した新規格「JEL801:2010」に準拠した「L16口金」(L形、GX16t-5口金)を採用しており、従来のベースライトの口金(13G)とは互換性がない。その背景には、既存の直管形蛍光ランプと直管形LEDランプにおける互換性が確保されておらず、安全性に問題があるため、LEDの性能の標準化を実現する狙いがある。このL16口金の採用により、G13口金器具への誤挿入による加熱や発火、交換時の感電を未然に防げるという。
2011年春には、この直管形LEDランプ専用のベースライト3種類も発売する。従来の蛍光灯ベースライトとの互換性は無い。
新規格に対応した新しい口金「GX16t-5」。L16口金、L形口金とも言われる。写真左が直流電流が給電される給電側、写真右が落下防止機能を備えた接地側(アース端子) | 今春には、ベースライト型の専用器具が3モデル発売される予定 |
■アイリスオーヤマ、既存のG13口金を活用できる、安全回路付きの直管形LEDランプ
直管形LEDランプの展示風景。既存のG13口金用(20形・40形)のほか、2m以上の長さのR17d口金用(110形LEDランプ)も展示されていた |
アイリスオーヤマのブースでは、既存のG13 口金の器具に取り付けられる“安全回路”を内蔵した「直管形LEDランプ ECOLUX(エコルクス)」を展示していた。直管形蛍光灯としてポピュラーな20形/40形のほか、全長が2mを超えるR17d口金の110形のものもあった。参考価格は、20形は9,500円、40形は12,500~17,000円、110形は30,000~35,000円。
タイプ | 品番 | 参考 価格 | 色温度 | 全光束 | 定格 消費電力 (100V/200V) | 口金 | サイズ (全長×外径) | 重量 | 定格 寿命 |
20 形 | LDFL970N | 9,500円 | 5,000 K (昼白色) | 970 lm | 13W/13W | G13 | 580×32.5 mm | 200g | 40,000 時間 |
40 形 | LDFL1500N | 12,500円 | 1,500 lm | 19W/19W | 1,198×32.5 mm | 420g | |||
LDFL2000N | 14.500円 | 2,000 lm | 26W/25W | ||||||
LDFL2500N | 17,000円 | 2,500 lm | 33W/31W | ||||||
LDFL1800W-H40 | 未定 | 4,000 K (白色) | 1,800 lm | 33W/31W | |||||
110 形 | LDFL4500N | 30,000円 | 5,000 K (昼白色) | 4,500 lm | 59W/56W | R17d | 2,367×32.5 mm | 900g | |
LDFL5400N | 35,000円 | 5,400 lm | 70W/67W | ||||||
LDFL4700W-H40 | 未定 | 4,000 K (白色) | 4,700 lm | 82W/78W |
40形「LDFL2500N」のG13口金 |
エコルクスは、既存のG13口金(110形はR17d口金)の器具に直接取り付けられる点が特徴の直管形LEDランプ。ただし使用するには、照明器具内部の回路の変更など、業者による工事が必要となる。工事費用は器具1台につき最低でも2,000~3,000円とのこと。また、工事が必要のため法人向け製品となり、量販店では扱われないが、リフォームを請け負うホームセンターなど工事を前提とした場合は対応も可能という。
もう一つの大きな特徴は「安全回路」が内蔵されている点。これは工事が済んでいない器具に取り付けた場合、主電源を入れても、ランプが自ら判別して点灯せず、不慮の事故を未然に防ぐというもの。さらに、完全にランプが器具に装着されるまで、ランプに電力が供給されない仕組みもあり、感電防止など安全性への配慮がなされている。
会場では40形の「LDFL2500N」が、直管形蛍光灯と並べて展示されていたが、明るさは蛍光管に遜色ない輝きがあった。しかし、光の輝きは完全に均一なライン光ではなく、LEDチップのツブツブ感が感じられた。また、発光エリアは蛍光灯の半分ほどで、器具の印象も異なるように感じられた。なお、雑音・チラツキについては対策が施されているとのこと。
蛍光灯を並べても明るさに遜色はなかった。点灯方式の違う器具でも、回路を工事すればエコルクスが安全に取り付けられる | 乳白色のカバーでLEDは覆われているが、完全なライン光にはならない | 発光する面積は、LED管の円周上の半分ほど。したがって灯具の反射光はそれほど望めないだろう |
商業施設に多用される110形は、未だJELでは規格が整備されていない。しかし、110形も安全回路が内蔵されているため、110形蛍光灯器具へのLEDライトの導入が安全に可能という。
エコルクス専用の防滴器具も参考として展示されていた |
ブースではさらに、エコルクス専用の防滴器具も参考出品されていた。価格は40形2灯で35,000円前後を予定しているとのことで、20形は未定。なお、エコルクス専用のベースライトも年内中に発売を予定しており、価格は2万円前後になるとしている。
今回紹介した直管形のLEDランプは、ロームは日本電球工業会に準じた新規格の口金を備え、アイリスオーヤマは既存の器具を活かしながらも安全性の高いものだった。口金の様式は異なるが、どちらも現行の直管形蛍光灯の代替を意識している点、安全性に配慮された点、基本的に法人向けのものという点で共通する。
これら直管形LEDランプを家庭で使用するとした場合、明るさや光の質などでは魅力的ではあるが、高価なランプ代に工事費が加わることで、初期費用はかなり高額になる。しかも、商業施設よりも点灯時間が短い一般家庭では、いくらLEDの消費電力が少ないといえ、元を取るのはかなり時間がかかると思われる。
現在、工事無しで使用でき、現行の蛍光灯に匹敵する明るさを備えた直管形LEDランプはほとんどない。LED電球のように量販店で気軽に購入・取り換えができる、家庭向けの直管形LEDランプが普及するには、もう少し時間がかかりそうだ。
(藤原 大蔵)
2011年1月21日 13:37