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やじうまミニレビュー

アウベルクラフト「スモークキット」

〜ダンボール製の初心者向け燻製キットはカンタン&ウマイ!
by 藤山 哲人


やじうまミニレビューは、生活雑貨やちょっとした便利なグッズなど幅広いジャンルの製品を紹介するコーナーです


アウベルクラフト「スモークキット」

 たまごにスモークチーズ、ベーコンや魚などの燻製は、もしかして「スーパーなどで買ってくるもの」と決め付けてはいませんか? 今回は、自宅でも簡単に燻製できる、アウベルクラフトの「スモークキット」を紹介しよう。

 このスモークキットはダンボールの燻製器で、何度でも繰り返し使え、食材だけ買ってくれば誰にでも燻製ができちゃうというスグレモノ。庫内が広く高さ1mほどあるので、かなり大きなものまで作れちゃう。おまけに価格も2,200円とお手頃だ。


メーカー アウベルクラフト
製品名 スモークキット 1本入り金網付き
購入店舗 直販サイト
購入価格 2,200円

 人によっては「ホームセンターならブリキ製の燻製器が同じ値段ぐらいで買えるじゃん!」と思うかもしれない。でもそれは燻製器本体だけの値段。煙の元となる木「スモークウッド(スモークチップ)」や、そしてスモークウッドを加熱する七輪やコンロなど、ゼロから用意すると約5千円〜1万円ほどはかかる。

 スモークキットでうれしいのが、どんな食材にも合うクルミの「スモークウッド」が同梱されているところ。燻製の初心者は、桜やリンゴの木、ブナやナラなど、たくさん種類があってどれを使っていいのか分からないという壁にブチ当たることが多い。しかし本製品ならセットになっており、しかも、お線香のように簡単に煙を起こせる。つまり、安くて誰にでも超おいしい燻製を作れるキットなのだ。

ダンボールのスモークキットでも、こんなにウマそうな燻製が作れる!

 とはいっても、燻製作りをしたことがある人もやったことがない人も、「こんなダンボールで燻製ができるのかよ?」と疑っているかもしれない。キャンプ歴15年の筆者も、普段はブリキ製の燻製器を使っているので、当初はかなりマユツバものだった。

 まずは疑いを晴らすべく、本製品で作った燻製を見てもらうことにしよう。

細長いのは、たくあんをスモークしたもの。手前は半熟のゆでたまごをスモークしたもの たまごを切ってみると……どう? おいしそうでしょう。ディスプレイの向こうで羨む読者の顔が浮かぶわい(笑) 自家製のベーコンもこの通り! 芳醇なスモークの香りをお届けできないのが残念でならない

 いやいや。筆者も予想外のパーフェクトなできにビックリ!

 気になる味は、超ーーーーっ!ウマいっ!

 家族全員に食べさせたところ、全員口を揃えて「うまっ!」の一言。高校生の長女と奥さんは「あのダンボールでコレができるの? いつも使ってる(ブリキの)燻製器と変わらないじゃん!」と感心のご様子だ。

組み立てはカンタン。スモーク用の木も付いている

 これらの燻製をどうやって作るのか? スモークキットの使い方を、写真を中心に紹介しよう。まずは組み立てからだ。

パッケージ内容。ダンボール製の本体に、スモークウッドを置くアルミ皿、肉を引っ掛ける捧が2本、金網まで付いてくる。スモークウッドはクルミが1本付いてきて、およそ4時間煙を出せる。このほか、スモークウッド3本入り、6本入りタイプも用意されている 組み立てると高さ1mほどある燻製器になる。これなら1kgの肉だってスモークできる 中はこんな感じ。横に渡した木の棒には、フックをつけた肉を吊るす。網には、フックができないたまごやチーズなどを乗せる。底に見えるアルミ皿には、スモークウッドを乗せて燻すようになっている

 説明書を読みながらやれば、5分もかからない。ただダンボール製なので、風に煽られると倒れてしまったりするので、ブロックなどで安定させよう。

 これが終わったら、食材を庫内に置く。肉やたくあんは、横に通した捧に引っ掛けて吊るし、たまごやチーズの場合は、捧の上に付属の網を渡し、そこに置くだけでOKだ。

肉とたくあんにはフックをつけて捧に吊るす たまごは捧の上に網を渡して、その上に置く。煙が均一に回るように、吊るしている食材と重ならないようにするといい

 手順の途中だが、肉の場合は下準備をすると非常においしくできあがる。ここでは筆者が長年燻製を作ってきた中で、一番確実においしくできる下準備をご紹介する。

(1)暖めた水500ccに、塩と砂糖をそれぞれカップ1/2ほどいれ溶かし、これ以上溶けないという飽和溶液を作る。これは「ビックル液」と呼ばれるもので、調味液の基本だ (2)我が家の場合、ここに醤油を大さじ3杯ほど加えてコク出しする。家庭によってはビールやワイン、ブランデーと言ったお酒を入れたり、色々なスパイスを入れることもある (3)香草系はフードプロセッサでみじん切りにして、冷やしたビックル液の中に投入
(4)ジップロックに肉を入れ、香草とビックル液を入れて密封。あとは冷蔵庫の中で2〜3日寝かせておこう (5)大きな鍋に水を張り、ビックル液から取り出した肉を入れ、2〜3時間塩抜きする。これはおつまみなど濃い味の場合で、薄口にしたい場合はプラス1〜2時間ほど塩抜きする
(6)今回のスモークキットは火力が弱く、肉に火が入らないので、1時間ほど沸騰しない程度のお湯で下茹でする (7)バラ肉だと肉が裂けてしまうので、串を打ったりスーパーでもらえるチャーシュー用のネットを使う。そして、スモークキットに付属のフックを差し込む (8)燻製たまごは、あらかじめゆでたまごを作って殻を剥き、ビックル液に1時間ほど漬け込む。塩抜きは不要


スモーク開始。煙は出ないが周囲の環境に注意

 食材の投入が終わると、付属のスモークウッドに火を付けて、燻製をスタートする。キットに付属しているスモークウッドはクルミの木で、どんな食材にもマッチする。1本で4時間ほどスモークできるので、半分に折れば2時間になる(手で簡単に折れる)。残ったスモークウッドは次回のお楽しみとして、密封して保存しておくのをお勧めしたい。

 着火はスモークウッドの片側にライターなどで火をつける。角など1カ所に火がつけば、あとはお線香のように徐々に煙を出しながら燃える。

スモークウッドに火を付けたところ。端っこにちょっとだけ火がついただけだが、これで十分。スモークキットの中のアルミ皿の上に置いて2時間待つ まったく煙が出ていないが、これでもスモーク中。ブリキの燻製器だと、肉の脂がしたたり落ちるので、尋常じゃない煙が出る

 あとはスモークキットのドアを閉めて2時間待つ。突風で倒れたり、なんらかの拍子でドアが開いたり、スモークウッドが風に煽られたりするれば当然炎がでてしまうので、必ず監視しておくこと。

 スモークする時間は、どんな食材でもおおよそ2時間が目安。たまごやチーズなど、食品によってはスモークが入りやすいものがあり、スモークしすぎると、酸っぱくなったり苦味が強くなってしまうこともある。だいたい1時間ぐらい取り出して味見すると良いだろう。

 燻製をするうえで注意したいのは、ご近所への配慮だ。煙はそれほど出ないものの、スモークの臭いは周囲に広がってしまう。一戸建てなら気兼ねなくスモークできるが、集合住宅のベランダでスモークすると、風下のお隣さんのお布団や洗濯物にニオイ移りするかもしれない。ホームページでは“近所の理解が得られなければ使用は避けておいた方が良い”としているので、集合住宅の場合は、屋外の共用スペースや近所の公園で、その場のルールに従った上で使うのが良いだろう。

 また当然ではあるが、部屋の中だと、火事の危険性があり、煙探知機に反応する場合もあるので、必ず屋外ですること。

そのおいしさは、高級レストランを上回る!

できあがったベーコン。下茹でしてあるのでこのまま食べても大丈夫だが、赤みが気になったり、脂の多さが気になる場合は、普通のベーコン同様、フライパンで軽く炒めてから食べるといい

 2時間スモークしたベーコンは、左のように仕上がった。半生状態だが、食べるときに少しフライパンで焼けば問題ない。気になる場合は、電子レンジで追加して加熱してもいいだろう。

 味については、冒頭で触れたとおり絶品だ。自家製の燻製の味を一度覚えると、スーパーで売っている燻製たまごやベーコンが食べられなくと言っても過言ではないほどおいしい。っていうか「スーパーの燻製は偽物だろ?」って疑いたくなるぐらい、芳醇なスモークの香りが口から鼻に抜け、肉やたまごのウマさが舌いっぱいに広がるのだ。これ、決してオーバーな表現じゃないですよ!

 さらに、スーパーで150円位で売ってるたくあんをスモークすると、これが立派な秋田名物の「いぶりがっこ」(大根を囲炉裏で燻したあと、たくあん漬けにしたもの)になる。

 フツーのたくあんと違ってスモークの香が鼻に抜け、ごはんを何杯もおかわりしちゃうほどのおいしさ。千切りにしたいぶりがっこに白ゴマを振って、ちょっとだけ塩を振ってお茶をかけると、超高級なたくあん茶漬けになるから不思議。

 それ以外にもスモークチーズや魚の燻製、イカやチキンのスモーク、極めれば生ハムだって、このダンボールのスモークキットで作れちゃうのだ。

単なるたくあん茶漬けが、高級料亭の逸品「いぶりがっこのお茶漬け」に変わる。三つ葉や小ネギなどの青物も添えると、いっそうおいしくなる 自家製ベーコンを使った、「ベーコンのペペロンチーノ 燻製たまご添え」。そのおいしさは、高級イタリアンレストランの上を行く!


強い加熱はできないが、ブリキ製の燻製器に比べ安くて手軽

 ここで気になるのが、ホームセンターなどで売られている普通のブリキ製燻製器と比べた場合、このダンボール製のスモークキットにはどういうメリット、デリットがあるか、という点だ。

 まず価格については、前述したとおりダンボールのスモークキットが断然安い。また、煙の元となるスモークキットに添付されている「スモークウッド」は、一度ライターなどで火をつければあとは自然にお線香のように燃えるので、初心者でもカンタンに使える。ブリキ製の燻製器では、木を砕いた「スモークチップ」を使うことが多いが、燻製器の中に入れ、下から火であぶる必要があるので、火加減が難しい。

 また、繰り返し使用回数でも、スモークキットは申し分ない。今回燻製した後の姿はほぼ新品同様で、湿気にさえ注意すれば10回以上は使えそうだ。オフシーズンはビニールなどに包んで倉庫の隙間などに入れておけば、来年になっても使えるだろう。室内に保管しておくと、部屋中が煙臭くなる点には注意したい。

 ブリキの燻製器は長持ちしそうだが、直火に当てるため、燻製器の底がサビやすく、オフシーズンに屋外に置いておくとサビで底が抜けてしまうことがある。大きな倉庫があれば、折りたためないブリキ製の燻製器でも倉庫に入れて長持ちさせられるが、そうでなければ来年は買い替えが必要になる。

すぐに壊れてしまいそうだが、総量2kgの食材を入れてもビクともしない。湿気には注意すれば、サビることもなく長く使えるハズだ これは筆者が使っているブリキ製の燻製器。去年買ったものだが、底が錆びており、そろそろ穴が開く頃だ(笑)

 このようにダンボール製のスモークキットは、価格と手軽さの面でブリキ製に比べて使いやすい。湿気から守ってやれば、ブリキ製並み、それ以上に長持ちするだろう。

 スモークキットの唯一の弱点は、庫内を高温にできないという点。燻製には大きく分けると、オーブン並みの高温で食品に火を入れながら燻製する方法と、低い温度で食品には火を入れずに、燻製の香付けをするものがある。

 この違いが大きく現れるのが肉料理だ。ブリキの燻製器では、オーブンで焼きながらスモークするので、肉の余分な脂が滴り落ち比較的あっさりとしたベーコンなどになる。一方、ダンボール製のスモークキットでは、庫内の温度は最高でも60〜80℃程度にしかならないので、肉はあらかじめ下茹でする必要がある。またスモーク中に余計な脂があまり落ちないので、できあがったベーコンなどは脂っこい。そのため、スモークキットで作ったベーコンは、普通のベーコンと同様に、食べる前に一度フライパンなどで焼いて、余分な脂分を落としてから食べることになる。

 とはいっても、たまごやたくあんなど、肉以外の食品では、高温で調理する必要がないので、ブリキでもダンボールでも味や仕上がりはほとんと変わらない。また、高温だと肉の脂が火に当てている底にしたたり落ちるので、もうもうと煙がでるが、低温では脂が落ちないので、煙もほとんど出ない。つまり、スモークキットの方が燻製を手軽に楽しむことができるだろう。


初心者にオススメ。ゴールデンウィークのレジャーにぜひ試してみて!

 というわけで、このスモークキットは燻製の初心者向けに超オススメしたい。添付の説明書どおりに作れば、高級レストランの味を越えるおいしい燻製ができるはずだ。

 また、添付されているスモークウッドが、香りにクセが少ないクルミという点も初心者向けだろう。燻製器は1回分のスモークウッドやチップが添付されているものがあるが、これまではなぜか、酸っぱい臭いが強く、初心者には不向きなサクラが多かった。

 注意したいのは「スモークウッド」を「スモークチップ」と間違えないこと。チップは直接火で焙るブリキ製の燻製器用なので、スモークキットでは使えない。スモークウッドはホームセンターなどでも手に入り、木の種類もたくさんあるので、クルミ以外でスモークするとどんな味になるかを試すこともできる。筆者はワイルドな香りになる「ヒッコリー」という木をオススメしたい。

オススメのスモークウッドは、同梱されているクルミと、別売りのヒッコリー。サクラはクセがあるので上級者向けだ こんなにおいしいベーコンが自宅でできちゃうから、スモークキット恐るべし! いぶりがっこは白いご飯にももちろんピッタリ

 このほか、荷物をコンパクトにまとめたい方にも向いている。ブリキの燻製器は折りたたみできないので、車のトランクをかなり占有してしまうが、ダンボール製のスモークキットならペッタンコにできるので、シートの下の隙間などにも余裕で収まる。

 今年のゴールデンウィークは、キャンプや自宅でぜひスモークキットで自家製燻製を試してみて欲しい。ホント、スーパーに売ってるモノなんて比べ物にならないぐらいおいしいっすよ!





2012年 4月 23日   00:00