家電製品ミニレビュー

パナソニック「ハイブリッド方式 除湿乾燥機 F-YHFX120」

~ナノイー除菌+高速乾燥の高性能除湿乾燥機
by 清水 理史

除湿乾燥機の出番

パナソニックのハイブリッド式除湿乾燥機「F-YHFX120」。部屋干しした洗濯物を素早く、そしてイヤなニオイを押さえながら乾燥させることができる製品だ

 「パジャマ、今乾かしてるから、ちょっと待って~」。

 お風呂上がりに、そんな会話がよく聞かれるようになった今日この頃。雨の多い季節になり、洗濯物がなかなか乾かなくて困っているという人も少なくないのではないだろうか。

 最近では、ドラム式洗濯機のように、乾燥機能が付いた洗濯機も一般的になってきたが、それでも完全に乾くまでに何時間もかかったり、多くの洗濯物を一日に数回洗濯するという家庭では、乾燥よりも次の洗濯を優先しなければならない場合もある。

 だからといって、部屋干し、というのもあまり気が進まない。部屋の中が洗濯物で占有され、ただでさえ高い湿度が洗濯物でよりジメジメと感じられる。独特のニオイが気になるのも困りものだ。

 そんなときに便利なのが除湿乾燥機だ。部屋で洗濯物を干すときに動作させておくことで、部屋の湿気を吸収し、洗濯物を効率よく乾燥させることができる。

 中でも注目なのが、今回紹介するパナソニックの「ハイブリッド方式除湿乾燥機F-YHFX120」だ。デシカント方式とコンプレッサー方式の2つの方式を利用できるうえ、ナノイーによる除菌機能まで搭載した高性能除湿乾燥機だ。


メーカーパナソニック
製品名ハイブリッド方式 除湿乾燥機 F-YHFX120
希望小売価格オープンプライス
購入場所Amazon.co.jp
購入価格38,844円

ジーンズも夕方までには乾燥

 F-YHFX120は、部屋に設置するタイプの除湿乾燥機だ。同社のラインナップの中では上位機種に位置づけられている高性能製品で、除湿能力は最大で10L/日(60Hz)。本体サイズは370×225×570mm(幅×奥行き×高さ)と少々大きめだが、プレハブ住宅で19畳、鉄筋なら25畳という広い部屋での利用にも適している大容量タイプだ。

正面側面
背面上部に電源や動作モードを切り替えるボタンを装備。衣類乾燥、除湿、冷風、衣類リフレッシュ(ナノイー)の4つのモードで動作可能。さらに切りタイマーや送風範囲などを設定できる

 本製品の特徴は前述したように2点ある。1つは前述したように除湿方式にデシカント方式とコンプレッサー方式を組み合わせたハイブリッド除湿となっている点。もう1つはナノイーによる除菌が可能な点だ。

デシカント方式とコンプレッサー方式を併用可能。ランプが緑・橙で表示されるときはハイブリッド。緑・緑の場合はコンプレッサーのみで動作

 まずは、ハイブリッド除湿だが、これは季節を問わず効率的な乾燥ができるというメリットがある。湿った空気をフィルター内部の吸着剤に取り込みヒーターなどで温めて除湿するデシカント方式は、冬場は効率的に除湿できるが、ヒーターを使うため室温が上がりやすく夏場に向いていない。

 一方、コンプレッサーの熱交換のしくみを利用して湿った空気を結露させて除湿するコンプレッサー方式は、夏場に効率的に動作する。しかし、気温の低い冬場は放熱器の温度を下げにくくなるためどうしてもパワーが落ちる傾向にある。

 本製品ではこの両方の方式を組み合わせて利用することが可能となっており、季節ごとに効率的な方式を使い分けることができる。これにより、季節を問わず、短い時間での乾燥ができるようになっており、室温20℃、湿度70%の時で2kg相当の衣類を約45分で乾燥させることができるという。

ジーンズや厚手の洋服などを含めて3人分の洗濯物でテスト。夕方にはジーンズもパリッと完全に乾燥した

 実際、部屋で利用してみたところ、確かに短時間での乾燥が可能だった。室温20℃、湿度69%という雨天の環境で、ジーンズ2本、シャツ4枚、パジャマ3組、下着3組、タオル6枚という3人家族のほぼ1日分の洗濯物を6畳の部屋に干して、「エコ」モードで動作させてみたところ、朝9時から乾燥を開始して、昼頃には下着などの薄手の洗濯物がほぼ乾燥。パジャマなど少し厚手の洗濯物は時間がかかったものの、午後3時にはジーンズも含めて完全に乾燥させることができた。

 実は、筆者宅には古いコンプレッサー式の除湿乾燥機があるのだが、これを利用した場合、ほぼ同じ環境で午後5時くらいまで乾燥させても厚手の服が乾燥しきれないことが多く、しかも途中、タンクに溜まった水を捨てる作業が必要だった。

 いくら高性能なF-YHFX120でも、ジーンズまでは完全に乾燥させるのは無理かな? と思っていたのだが、予想以上に早く乾燥させることができたのには驚きだ。ルーバーを左右100度、上下160度までワイドに稼働させることもできるため、部屋の中に広めに洗濯物を干しても隅々まで風を送ることができる。

 うれしいのは、乾燥機などでよく見られる衣類の縮みがないことだ。ふんわり感はさすがにないが、ジーンズなどはパリッと仕上がっており着心地が良い。

 また、動作音があまり気にならないのもメリットだ。もちろん、送風の音はそれなりに聞こえるが、コンプレッサーの稼働音はほとんど気にならない。コンプレッサー式の除湿乾燥機の中には、動作させると、独特の振動とうなるような音が気になるケースが多いのだが、本製品ではそのような不快な音が聞こえてこないのもメリットだ。

 ただし、一日中可動させると、部屋の温度はそれなりに高くなってしまう。除湿しているので、ジメジメ感がないのが救いだが、洗濯物をすばやく乾燥させることを考えても、生活空間とは別にどこか1つの部屋を確保し、そこを密閉して乾燥させるようにした方がいいだろう。

ナノイーでニオイが気にならない

乾燥などすべての動作時にナノイーが発生するが、ナノイーだけのモードでも利用可能。スーツや制服のニオイが気になる場合などに重宝する

 もう1つの特徴であるナノイー除菌だが、これもなかなか効果的だ。部屋に洗濯物を干すと、独特の部屋干し臭が気になることがあるが、本製品で乾燥させると、そういったニオイはまったく気にならない。

 我が家では、特に娘がニオイに敏感で、部屋に洗濯物が干してあるとあらかさまにイヤな顔をすることがあるのだが、今回、F-YHFX120で乾燥していたときは、聞かれてもいないのに、珍しく「今度のはクサくないね」と率直な感想を言っていた。

 本製品にはナノイー発生機が内蔵されており、標準ですべての運転時にナノイーが発生するようになっている。これにより、部屋干し独特のイヤなニオイが抑えられるようになっているわけだ。

 この機能は単独でも利用可能となっており、本体の「衣類リフレッシュ」ボタンを押して動作させると、乾燥ではなく、ナノイーの送風のみで動作させることができるようになっている。

 毎日、洗濯することができないスーツや制服などに、このモードで風を送れば、ホコリや汗など、衣類に付いたにおいも軽減させることができるだろう。場合によっては、スーツなどを洗濯物などと同じ部屋につるしておいて、夜間などに一緒に乾燥させてしまえば、一石二鳥だろう。

お手入れも楽

 お手入れについては、普段はあまり手がかからない。毎回必要になるのは、タンクに溜まった水を捨てるくらいだが、排水タンクの容量は3.2Lほどあるため、1日に1回捨てれば十分だ。タンクが1杯になると満水ランプが点滅するのだが、そのころには洗濯物もすっかり乾燥しているので、部屋の隅に本体を片付けるときについでに水を捨てるという感じだ。

 このほか、1カ月に1回程度タンクを水ですすいだり、2週間に1回程度、フィルターを掃除機できれいにする必要があるが、これもタンクの水を捨てたり、部屋の掃除をするついでにたまにやっておけば良い程度だ。これからの季節、日常的に使うことを考えると、こういった手間のかからなさは、とてもありがたいところだ。

満水ランプが点灯したらタンクの水を捨てるタンクは側面から引き出すようにして取り外せる
取っ手があるので持ち運びも楽。フタを開けて水を捨てるメンテナンスの手間はかからない。二週間に1回程度、背面のフィルターを掃除機で掃除する程度

 なお、消費電力は、利用するモードに加え、気温や湿度によって変化するため一概には判断しにくいのだが、「乾燥・ターボ」モードでも最大725W、「音ひかえめモード」なら最大240Wとなっている。強力な除湿能力を考えれば、消費電力はそれほど高くないといっていいだろう。消費電力が低ければ、それだけ乾燥までの時間が長くなるので、消費電力が気になる場合は、気温や湿度、洗濯物の量を考慮しながら、どのモードで、どれくらい動かすかをよく検討して使うと良いだろう。

 とにかくパワフルなのが魅力の製品。これまで雨の日に何度か実際に乾燥させてみたが、朝から乾燥させれば、夕方には確実に洗濯物が乾いているので、晴天時と同じスケジュールで洗濯作業を終わらせることができる。忙しい人にはまさにうってつけの製品だ。




2010年6月3日 00:00