家電製品ミニレビュー

無印良品「LED木製シーリングライト・調光調色機能付・ナチュラル」

~いつものリビングにしっくり馴染む木枠のLEDシーリングライト

無印良品 「LED木製シーリングライト・調光調色機能付・ナチュラル GH13708CK」 。主に~8畳用だ

 近頃のLEDシーリングライトは、機能満載の高価なものから価格を抑えたものまで、ラインナップに幅が出てきている。デザインのバリエーションも増えつつあり、好みや目的に合わせて選択できるようになってきた。

 そんな中から、今回は木製の枠のついたデザインで、機能をほどほどに抑えたLEDシーリングライトを紹介しよう。無印良品の「LED木製シーリングライト・調光調色機能付・ナチュラル ~8畳用」だ。

メーカー無印良品
製品名LED木製シーリングライト・調光調色機能付・ナチュラル
品番GH13708CK
調光範囲100~1% 20段階
調色範囲暖色(2,700K)~寒色(6,500K) 20段階
演色性Ra80
標準器具光束4,085lm
設計寿命40,000時間
購入場所無印良品ネットストア
購入価格21,000円

 本製品はしっかり明るいうえに、日常空間に溶け込みやすいシンプルで暖かみのあるデザインが特徴だ。明るさを表す標準器具光束は4,085lmで、日本照明器具工業会の基準では8畳までとなる。自動調光やタイマーなどの機能はないが、20段階の調色・調光に対応しており、簡単な操作で2パターンの明るさと光色の組み合わせが記憶できる。

取り付けは簡単。蛍光灯器具と同じ

 本体は円形で、外周に木製の枠が付いている。大きさは556×152mm(直径×高さ)で、従来の蛍光灯の器具と印象は同じだ。重さは2.9kgと、蛍光灯器具並みに軽く扱いやすい。本体とシェード(笠)は分割できる。

 取り付けは迷い無くできる。天井の配線器具「引掛シーリング」にアダプターを取り付け、本体を装着し、シェードを回して取り付けるだけだ。一度でもシーリングライトの取り外しの経験があるならば、1分そこそこで終わってしまう。形状が円形で、明るさセンサーなどの機能は装備していないので、取り付ける向きも全く気にすることもない。

開梱した器具。左から、シェード、本体、手前左から、アダプター、リモコンホルダー、リモコン
取り付け手順を順を追って紹介しよう。 【1】天井にある引掛けシーリングに、付属のアダプターをはめ込む
【2】アダプターから出ているコネクターを、本体の中央に通しながら、「カチッ」と音がするまで本体を押し上げて取り付ける。とても軽くて扱いがラク
【3】アダプターから出ている電源コネクターを、本体側のコネクターに“カチッ”という音がするまで差し込む
【4】シェードを回して取り付ける。これで終了だ
【5】以上で完成。サイズば556x152mm(直径x高さ)、重さは2.8kg。木製の枠のついた落ち着きのあるデザインは、白い天井の洋室、木目天井の和室のどちらにもしっくり似合う
取り付けた状態

 取り付けた器具を見ると、木枠に暖かみがあるため、白っぽい天井の洋室、木目天井の和室のどちらにも馴染みやすい。とても落ち着いたデザインだ。

 本製品の設計寿命は40,000時間。蛍光灯のようにLEDを部分的に取り替える事はできないが、スペック値通りなら軽く10年は使い続けられる。シェードは静電気の発生を防ぐ「帯電防止アクリル」が採用されているため汚れにくいうえ、簡単に取り外せるので、シェード上部に溜まる埃の掃除も楽にできるだろう。

 全ての操作は付属のリモコンで行なう。リモコンのボタンは全部で9個と少ない。それぞれのボタンに説明もあり、リモコンを持ったときの親指の可動範囲にまとめられている。細かな設定ボタンがないので、取り付けたらすぐに使えるだろう。

点灯、消灯、調色、調光など、明かりのコントロールはすべて付属のリモコンで行なう。サイズは35x170x20mm(幅x高さx厚み)。単三電池2本が付属する
ボタンは全部で9個。全てのボタンが親指が届く範囲にまとめられている

8畳のリビングルームにバッチリ明るい

 取り付けがすんだところで、早速使ってみよう。操作はとても簡単だ。「全灯」ボタンを押して点灯し、部屋の過ごし方や環境に応じて調光/調色する。

 基本となる「全灯」は、リビングルームの灯りとして十分過ぎるほど明るい。器具の真下2mのテーブルの明るさは450lxになった。以前使っていた蛍光灯は300lx程度だったので、普段の生活には明るすぎるほどだ(以降、照度は全て同じ条件)。部屋のどこに居ても、読書が手元灯なしでできる程明るい。光色は、蛍光灯よりも暖かみと親しみが感じられる自然な白色だ。

こちらはかつて我が家で使っていた、消費電力が97Wの蛍光灯シーリングライト。テーブル面の明るさは300lx弱(光源からの距離は約2m。以降同じ)で、明るさに不満は全くなかった
「全灯」で点灯した様子。直下は450lxとバッチリ明るい。蛍光灯よりも親しみ、暖かみを感じる白色だ。オールラウンドに使える光色だ
木枠が付いていても、天井面へもちゃんと光が届く(左)。器具の天井面側を見ると、木枠と本体の隙間から、シェードを通して光が漏れるよう工夫されている

 明るさはもちろん、拡散性も良い。シェードの周りに木製の枠があっても、天井面へちゃんと光が届いている。改めて器具の裏側(天井面側)を見てみると、枠と本体上部の間に隙間がある。シェード内で乱反射した光がその隙間から放たれ、天井面を照らしているのだ。この天井を照らす光は間接光となって、器具の周りに光の表情がプラスされる。

シェードを通したLEDの光は、器具中央の光のヌケもなく面光源に近い(左)。内部には160個のLEDが幅広に装備されている

 拡散性に加えて、シェード全体が明るく輝くため、蛍光灯シーリングライトから取り替えても、違和感は特に少ないだろう。器具内部には160個のLEDが幅広く円形に装着されているが、LEDとシェードとの距離が約100mmは離れているためか、光のムラやLEDのツブツブ感はあまり浮かばない。一部のLEDシーリングライトにありがちな、器具中央部の明るさのヌケがほとんどできず、光は面発光に近い。

左から「全灯」「寒色100%」「暖色100%」の器具の様子。光色にかかわらず、シェード全体がムラ無く輝く

調光は▲▼のボタンを押すだけ。暗くなるのが気になる

寒色と暖色のLEDが幅広に交互に配置されている

 調色、調光はとても簡単だ。調色はリモコンの「寒色|暖色」ボタン、調光は「▼|▲」を押して調節する。調色、調光とも、ボタンをポンポンと押せば段階的、長押しすれば連続調節ができる。ボタンをポンと押せば、「ピッ! 」と小さな音の確認音が本体から鳴り、長押しなら「ピッ! ピッ! ピッ!」と間欠的に鳴る。

 調色は「全灯」で点灯し、「寒色」ボタンを押せば徐々に青白い光へ、「暖色」ボタンを押せば白熱電球のような光色へと変化する。調色は20段階で、全灯を1色として、寒色は7段階、暖色は12段階の変則的な構成になる。リビングルームに適した白色~電球色のバリエーションが多いことになる。

左から「全灯」「寒色100%」「暖色100%」の部屋の様子。全灯は450lx、寒色100%は231lx、暖色100%は212lxだった。調色で暗くなっても、リビングルームに必要な明るさは備わっている

 調色すると、全灯時よりも明るさは落ちてしまう。450lxの全灯から調光すると、寒色100%で231x、暖色100%で212lxに減光する。これは、全灯時は80個の寒色、80個の暖色のLEDが全て点灯100%の明るさで点灯しているが、調色時はどちらかの色のLEDが減光して光色を変えるため暗くなる。だが、明るさが落ちるとは言え、団らんや軽い読書なら150~300lxあれば十分と言われているので、どの色に調色してもリビングルームに適した明るさは備えていると言えるだろう。

 調光は、リモコンの「▼|▲」ボタンを押せば、各色100~1%の範囲で、20段階に調光できる。最小は、5~6lxのほのかな明るさまで抑えられる。LEDが幅広に並んでいるためだろうか、調光してもシェードは全体的にやわらかく輝き、目にもやさしい。なお、消灯状態から調色ボタン、または調光ボタンを押せば、消灯前の光色・明るさが呼び出される。

調色、調光のバリエーション。調色は全灯を合わせて20段階、100~1%の調光が10段階でできる。寒色は7段階、暖色は12段階と割合が変則的だった。1%の明るさは5~6lxとほのかな明るさになる
調光しても、シェードの光のムラは少ないままだ

 演色性はどの色も良い。スペック上の平均演色評価数は「Ra80」で、どの光色においても色のくすみが少なく、食事がおいしそうに映える。リビングルームの灯りはもちろん、ダイニングキッチンの灯りでも満足できるだろう。全灯の光色は朝食やにぎやかな食事、暖色は静かな夕食と、食事に合わせて雰囲気が変えられる。

「全灯」で食事を照らした様子。食事がとてもおいしそうに見える。親しみやすい白色で、色の再現性、バランスがとても良い
「寒色100%(6,500K)」は青っぽい白色になり食事には向かない。それでもくすんだ印象にならず色の再現性が高い
「暖色100%(2,700K)」は白熱電球よりもさらにオレンジ色が強調される。やはりくすみも感じられず、夕飯、くつろぎの灯りに向いている

 常夜灯(保安灯)も備わっている。リモコンの「保安灯」ボタンを押せば点灯し、さらにボタンを押せば、明るさは4.1~1.3lxの間で5段階の調節もできる。シェード全体がほんのりと光り、とても柔らかだ。

保安灯を点灯した器具の様子。暖色100%の光色で、シェード全体がわずかに輝く
保安灯を点灯した部屋の様子。4.1~1.3lxの間で5段階の調節ができる

お気に入りの光色と明るさが2つ記憶できる

 調色と調光は細かくできるが、お気に入りの光色と明るさを記憶させれば、もっとシンプルに簡単に使いこなせる。2つのお気に入りの光が、「シーン」ボタンを使って記憶できる。

 シーン設定方法はとにかく簡単だ。調色・調光したあと「シーン1」、または「シーン2」のボタンを長押しするだけ。成功すれば確認音が「ピーピ」と鳴り、記憶される。

 我が家の場合、「シーン1」に日中の補助光や、仕事に合う組み合わせを設定した。光色は全灯から「寒色」ボタンを5回、「▼(減光)」を2回押した組み合わせだ。日中点灯しても自然光と一体感があり、直下の明るさは200lx弱だ。少し青白い光色なので、仕事中の全体照明としても重宝する。485lmの白色LED電球のタスクライトと相性も良かった。

シーン設定は簡単。調色・調光後、どちらかのボタンを「長押し」するだけ。一度設定しまえば、消灯からお気に入りの組み合わせが直接呼び出せる
シーン1に、全灯から「寒色」ボタンを5回、「▼(減光)」を2回押した組み合わせを設定した。自然光ととても相性が良く、日中の補助光にとても合う

 「シーン2」には、くつろぎのシーンを設定した。暖色100%(「暖色」ボタンを12回)で、明るさは「▼(減光)」を10回押した組み合わせだ。メイン照明として485lmの電球色LED電球のスタンドを使用し、本製品で部屋全体の明るさを補った。夕食後のくつろぎの時間に心地良く、とても気に入った。直下は53lxだが、リモコンの文字、新聞のテレビ欄も十分確認できる明るさだ。

 一度シーンを設定してからというものの、日中、仕事なら「シーン1」、夜は「シーン2」で点灯するのが日常となった。シーンボタンをダイレクトに押せばいいだけなので、とても簡単に使いこなしている。時には必要に応じて光色、明るさを調節している。もちろん、シーン設定は何度でも簡単に書き換えられる。

少し青白い光色のシーン1の組み合わせは、仕事中の全体照明としても重宝している
横方向の光を放つスタンドと穏やかな明るさの全体照明を加えた様子。影が柔らかくなりくつろぎの雰囲気がアップする。手元もある程度明るい

従来の蛍光灯の明るさに調光すれば、電気代は年間4,300円以上も節約できる

消費電力のバリエーション。最大でも57W(全灯)だった。蛍光灯よりもずっと明るいのに60%以下の消費電力で済む。1段階でも調色・調光するだけで、ぐっと消費電力が落ちる

 省エネ性能については、「LEDは消費電力が低い」という期待に大いに応えてくれる。

 もっとも明るい「全灯」は、前述したとおり、蛍光灯よりも比較にならないほど明るい。なのに、消費電力は57Wで、蛍光灯の97Wと比べて、60%以下で済んでしまう。煌々と明るい全灯のままでも、年間の電気代(1日8時間点灯)なら、2,500円以上もお得になる試算となった。

【各色明るさ100%の電気代】
※1日8時間点灯
.蛍光灯寒色
7/7段階
寒色
3/7段階
全灯暖色
4/12段階
暖色
8/12段階
暖色
12/12段階
1日17円4.6円6.7円10円6.3円5.3円4.8円
1年6,231円1,672円2,442円3,661円2,314円1,927円1,734円
蛍光灯-各明るさの電気代-4,559円3,788円2,570円3,916円4,303円4,497円

 全灯でも消費電力が低いのに、ほんの少し減光するだけで、加速度的に消費電力が下がるのも本製品の大きな特徴だ。全灯から「▼(減光)」ボタンを2回押した時、消費電力はほぼ半分の29Wになるが、蛍光灯の光に近い263lxの明るさがある。それでいて、年間の電気代は4,300円以上も節約できてしまうのは驚きだ。

【各色明るさ10%減光(-2段階)の電気代】
※1日8時間点灯
.蛍光灯寒色
7/7段階
寒色
3/7段階
全灯暖色
4/12段階
暖色
8/12段階
暖色
12/12段階
1日17円2.6円3.7円5.1円3.7円3.3円3円
1年6,231円964円1,350円1,862円1,351円1,219円1,091円
蛍光灯-各明るさの電気代-5,267円4,880円4,369円4,880円5,011円5,139円

 手元をしっかり明るくする必要がないなら、全般照明は30~150lxもあれば十分。各色の「▼(減光)」ボタンを4~6回押せば、明るさは100lx前後になり、消費電力はたったの9~10W程度で済んでしまう。年間の電気代は600円にも満たないので、さらなる節電もできる。

【各色100lxに調光した電気代】
※1日8時間点灯
.蛍光灯寒色
7/7段階
寒色
3/7段階
全灯暖色
4/12段階
暖色
8/12段階
暖色
12/12段階
1日1.5円1.5円1.6円1.6円1.6円1.6円1.6円
1年6,231円533円533円577円591円591円591円
蛍光灯-各明るさの電気代-5,698円5,698円5,654円5,639円5,639円5,639円

 なお、前述したシーン1の消費電力は18Wで、年間の電気代は1,068円。シーン2なら3Wで178円だった(いずれも併用したLED電球は含まず)。過ごし方に合わせてシーン設定をしておけば、より簡単に、かつ大幅な節約ができるだろう。なお、消灯中の待機電力は0Wだったので、長い間使用しないかぎり、元の壁面スイッチは切らなくてもよさそうだ。

誰にでも簡単に使いこなせるシンプルな操作性と落ち着いたデザインが魅力

 実際に使って心地良く思えたのは、操作がとても簡単なこと。リモコンのボタンの数が少なく、親指の動く範囲にボタンがまとまっているので、ボタンを探す手間がほとんど要らない。消灯以外のボタンを押せば、保安灯も含めとにかく点灯するので、すぐに“ブラインドタッチ”ができてしまった。調光と調色、2つのシーン設定も簡単なので、機械にさほど強くない人でも、すぐに覚えてしまうだろう。しかも、必要な時には全灯で煌々と照らす事もでき、演色性は常に良い。価格も手ごろと言える範囲だろう。

 欠点を敢えて挙げるならば、寒色、暖色に調色すると暗くなる事だろうか。パッと明るい「全灯」と比較した場合、調色すると明るさがどうしても落ちるため、全ての光色で煌々と、というワケにはいかない。だが、全灯から一度でも調色、調光するだけで、電気代がググッと抑えられる良さがある。もちろん、点灯中に器具から雑音もなければ、AMラジオへのノイズの影響もなかった。

 いずれにしても、取り付けたらすぐに使いこなせる「わかりやすさ」が良い。木製の枠の暖かみのあるデザインは、多くのインテリアにしっくりと溶け込みやすく、親しみが感じられる。まだ目新しい存在であるLEDシーリングライトながら、いい具合に力が抜けているところも好感が持てる。リビングルームやダイニングルームだけでなく、プライベート空間にも似合うだろう。老若男女問わず、誰にでも使いやすいシンプルなLEDシーリングライトとして、おおいにお勧めしたい。

藤原 大蔵