家電製品ミニレビュー
ヤザワ「クリップライト CLX605WH」
~手持ちのLED電球が使える、電球が付属しないクリップライト
by 伊達 浩二(2013/6/14 00:00)
ちょっとした灯りが欲しい場所にクリップライト
「クリップライト」という照明器具がある。電球用ソケットに大きなクリップが付いているだけという簡単な照明器具で、部屋の隅とか、特に明るくしたい場所などをスポットライト的に照らすのに使う。電球のソケット部分から電源コードが伸びていて、その途中に、電源スイッチがあるのが普通だ。
クリップライトは、構造が簡単なので、製品価格が安い。高くても千円ちょっとで販売されている。照明器具としては、かなりお手軽な製品だ。
ただ、クリップライトには、1つ欠点がある。安い製品では付属の電球が、ほぼ白熱電球に限られていることだ。白熱電球は消費電力が大きく、クリップライトのような小さな器具だと本体が熱くなるほどの熱も出る。もちろんLED電球などに交換すれば良いのだが、使わない白熱電球のコストを負担するのも、使わずに捨ててしまうのももったいない話だ。
そんなことを考えていたら、「電球なし」で販売されているクリップライトを見つけた。今回は、それを紹介しよう。ヤザワコーポレーションの「CLX605WH」という製品だ。
CLX605シリーズには、本体色が、白、黄、赤、シルバーの4色が用意されている。黄や赤もビビッドな感じで面白そうだったのだが、どこで使うか決めていなかったので、今回は無難な白にした。使う場所によって選べば良いだろう。
なお、販売価格が千円を超えているところはなかった。電球がついてこない分、安くなっているようだ。
メーカー | ヤザワ |
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製品名 | VEGETA GR-F56FXV |
希望小売価格 | オープンプライス |
購入場所 | Amazon.co.jp |
購入価格 | 864円 |
60W以下のE26口金電球が使える
クリップライトのパッケージは、ブリスター型で、内容は本体のみだ。独立した取扱説明書が付属する。
本体のデザインはシンプルで、どこにでも似合いそうだ。フードのデザインはスリムだが、放熱用の穴が多い。製品の質感は、全体的に高く、千円以下の製品とは思えない。
CLX605に対応する電球は、「口金がE26で、60Wまでの電球」とパッケージや取扱説明書に書かれている。
手元にあった、ちょっと古めのLED電球でいろいろ試してみたのだが、ほとんどの電球で使用できた。
ただし、一部の電球では電球の先端部が、クリップライトのフードからはみ出てしまう。クリップライトは、白熱電球の規格である、口金部を含む全長98mmが、外径55mmに合わせてあるのだが、LED電球はこの規格よりも長い製品があるのだ。
たとえば、手元にあった日立の「LDA9D-G」という60W型相当のLED電球は、全長が112mm、外径が60mmある。そうすると、クリップライトのフードから、数mmほど電球が飛び出してしまう。
はみだした電球に触れても、すぐにやけどを負うような熱さではないが、危険ではある。また、何かにぶつかって電球が割れてしまう可能性もないではない。使用するLED電球は、白熱電球と同じ大きさか、小さい製品を選ぶべきだろう。
手元にあったLED電球の中でちょうど良さそうだったのは、パナソニックの「LDA4N-H」と、同じパナソニックでクリア電球タイプの「LDA4LC」だ。いずれも、全長が短めで、電球の先端部はフードの中に収まっている。どちらも、20~30W型相当で、明るさ重視の製品ではないが、クリップライト自体が補助照明器具なので、このクラスのLED電球で十分に実用になる。
また、LED電球を選ぶときは、光が照らす範囲(配光角度)が気になるところだ。しかし、クリップライトは、もともとフードが深くて限られた範囲を照らすので、LED電球の配光角度は気にしなくても良い。むしろ、光の色を昼白色にするか電球色にするかという選択の方が、部屋の雰囲気に大きく影響する。
なお、フードの直径も一番太い位置で90mmしかない。W数の大きい白熱電球を使うと、フードがかなり熱くなるので注意が必要だ。これもLED電球の使用をおすすめする理由だ。LED電球を使用する場合は、何時間使用してもフード部分の温度はほとんど変わらない。
使い方は簡単だが、使いこなしの奥は深い
クリップライトの使い方は簡単だ。
1)使いたい場所で、クリップライトのクリップで何かを挟んで固定する
2)クリップライトの電源コードのソケットをコンセントに挿す
3)電源コードの中間にある電源スイッチを入れる
この製品のクリップは強力で、開くのに力がいる。その分、固定する力も強い。クリップの口の幅は約15~35mmで、この範囲内の厚さの板や角パイプなどが固定する場所になる。クリップには両端にゴムが付いており、挟んだ場所を痛めにくい。
クリップで挟む場所として、薄すぎる板や丸パイプは対象外とされているので避けること。また、クリップライトは、室内用で防水ではない、濡れる可能性の場所は避けること。変わったところでは、枕元、ベッドでの使用は禁止されている。たぶん、白熱電球を使用した場合に器具全体が熱くなるので、火災を避けるためだろう。また、器具と照射面との間を50cm以上離すように指定しているのも、火災を避ける配慮だと思う。
電源コードや電源スイッチは透明なクリアタイプになっている。電源コードはともかく、透明な電源スイッチはON/OFFが分かりにくいので、普通の白か黒にしてほしい。電源コードの長さは約2.1mあるので、ほとんどの用途で十分だろう。
電源スイッチは器具から約40cmほどの近い場所にあるので、すぐに見つかる。細かいことだが、使いやすさを考えた配慮だ。
普通の使い方は以上で終わりなのだが、このクリップライトはフードを固定しているアームの構造がちょっと変わっていて面白い。
アームは、3つの部品が数本のネジで固定された簡単な構造なのだが、ベース部分が360度回転することと、アームの長さが調整できるため、自由度が高いのだ。大きめのプラスドライバーとマイナスドライバーでネジを緩めて調整すれば、思った方向へ光を向けることができる。このあたりの機能が、取扱説明書で説明されていないのは惜しいが、簡単な操作なので、ちょっと試してみて欲しい。
手頃で実用性の高い製品
手元に使っていないLED電球があれば、無駄な電球が付属せず、価格も安い、このクリップライトは最適な製品だ。私の手元には、まだ余っているLED電球があるので、もう2~3個買って並べて使うと面白いのではないかと、危うい考えが浮かんでしまうほどだ。
手元にLED電球の無い方でも、熱くて消費電力の大きい白熱電球ではなく、最初からLED電球と組み合わせてクリップライトを使えるというのは、大きなメリットだ。例えば、取扱説明書にある、ベッドでの使用を避けるようにという注意や、照らす場所から50cm以上離すという注意は、白熱電球を前提にしてもので、LED電球を使えば、安全性はずっと高くなる。もちろん、クリップライト全体を布団で覆ってしまうようなことをすれば火事の原因になりかねないが、LED電球を使うことで、クリップライトが、グンと安全性の高い照明器具になることは確かだ。
1つだけ注意する必要があるのは、組み合わせるLED電球を選ぶときは、LED電球の長さをチェックすることだ。購入するときは外箱やWebページの仕様を見て、全長が100mm(10cm)以下であることを確認すれば、問題ないだろう。
お金をかけずに、ちょっと部屋の雰囲気を変えてみるための道具として、また、ちょっと暗いスポットを照らす安くて実用性の高い照明器具として推薦する。