家電製品ミニレビュー

ブラック・アンド・デッカー「ピボットオート PAV1205」

~シガーソケットで給電する自動車用サイクロン式クリーナー

ブラック・アンド・デッカー「ピボットオート PAV1205」

 自動車の室内の掃除は結構大変だ。シート側面の隙間や下側は狭く、手が届きにくいうえ、電源も限られているので普通の掃除機では掃除が難しい。

 そこで今回は、ブラック・アンド・デッカーの小型サイクロン式クリーナー「ピボットオート PAV1205」を使ってみた。ピボットオートの特徴は、自動車内の12Vシガーソケットから給電できることだ。一般的に車内の掃除には、充電式小型クリーナーを使う人が多いと思うが、充電の手間がかかったり、パワー不足などの不満があった。

メーカーブラック・アンド・デッカー
製品名ピボットオート PAV1205
希望小売価格8,925円
購入場所Amazon.co.jp
購入価格5,980円

 セットには、ピボットオート本体と、延長ホースやブラシ、ポーチが同梱されている。

 本体は意外とコンパクトだ。サイズは302×160×173mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は約1.4kg。片手で持てる大きさである。本体から長さ5mの電源コードが生えている。

製品パッケージ
セット一式。付属品として延長ホースやブラシ、ポーチも入っている
本体側面に、長さ5mの電源コードを巻きつけて収納できる

 本体には、「可動式ノズル」、ハンドル、透明のダストボックスを搭載している。可動式ノズルは最大200度開き、場所に合わせて角度を選べる。さらに引っ張ると約11cm伸びる「延長ノズル」も内蔵している。

ノズルは最大200度開き、掃除する場所に合わせて、細かく角度を調節できる
ノズルの角度を変える時は、ハンドルの付け根の「ノズル角度調節ボタン」を押す
延長ノズルは手動で引き出せる
ノズル正面。奥に延長ノズルを内蔵している

 ダストボックスの集塵容量は350mlで、本体背部に位置している。クリアケースなので中の様子がわかる。内部にはプラスチックフィルターと、HD(高密度集塵)フィルターの2種類のフィルターを搭載している。どちらも色は白く、プリンのような形をしており、ダストボックスから外して手入れできる。

本体背部にダストボックスを搭載。クリアケースで中の様子を確認できる
ダストボックスは側面のボタンを押すと開く
左から、プラスチックフィルターと、HD(高密度集塵)フィルター
フィルター2つを外した空のダストボックス

足元のフロアマットからトランクまであちこち掃除できる

 確認が長くなってしまったが、ざっそく我が家の4ドアのセダンを掃除してみよう。使い方は、エンジンをかけずに車の電源を入れ、車の12Vシガーソケットにシガープラグを差し込む。次にハンドルに付属する運転ボタンをスライドさせて、スイッチを「ON」に設定する。

 たちまち「キュィィン」というモーター音が立ち、ノズルが空気を吸い込み始める。モーター音は思ったほどうるさくない。

電源コードの末端にはシガープラグが付いている
車の電源を入れ、車の12Vシガーソケットにプラグを差し込む
ハンドルには運転「ON/OFF」スイッチを搭載

 延長ホースを取り付け、砂などで汚れやすい座席下のフロアマットに使ったところ、わずか45秒ほどで、8割方の汚れを吸い込み、きれいになった。吸引力はまずまず。残ったのはマットにこびりついたゴミや非常に細かい砂が中心で、これらは粘着テープを転がすことでキレイさっぱり取りきれた。掃除が素早く終わるため、狭い空間で中腰の姿勢を続ける必要がなく、足腰への負担が少なかったのは嬉しい。

いざ掃除スタート
【掃除前】砂ボコリなどのゴミが多い足元のフロアマット
【掃除後】わずか45秒ほどでほとんどのゴミが取れた

 ほかにも、アタッチメントを替えれば、隅々まで掃除できる。フロントガラスの内側や、後ろガラスのキワの部分にも、ノズルを伸ばせば楽々届く。手では取り除きにくい、シートのすき間に詰まったホコリも吸引できた。また、汚れの溜まりやすいシートと扉の隙間の奥にもノズルの先端が入った。

ホコリが詰まっているシートの背もたれのすき間。素手では取り除きにくいゴミも、ピボットオートが吸い込む
フロントガラスの内側や、後ろガラスのキワの部分にもノズルを伸ばせば楽々届く
シートと扉の間は大変汚れが溜まりやすく、そしてとても掃除しにくいところだ。だが、ピボットオートなら簡単に奥まで掃除できる
電源コードが長いので、トランクまで届く

 電源コードは5mと長いため、車内だけでなく、トランクまで掃除できる。トランクは荷物の出し入れが多く、ホコリや葉っぱなどが入りやすい場所だが、これなら簡単に掃除できる。

 このようにいろいろな場所を掃除できるわけだが、連続使用時間は1回約30分とされている。これは電源に車のバッテリーを使用しているためで、あまり長く使用していると、バッテリーがあがってエンジンがかからなくなってしまう。また、エンジンをかけた状態でピボットオートを作動させると、機器の寿命を縮める可能性があるとのことで、なるべく車のエンジンはかけず、電源だけ入れた状態で使用したほうがいいだろう。

お手入れと収納は楽チン

 使用後は毎回ダストボックスのゴミを捨てる。掃除後のダストボックスは、ゴミが溜まっている様子が外から見てもわかる。ダストボックスを開けると、細かい砂利のようなゴミが多い。

掃除後のダストボックスにはゴミが詰まっている
自動車の中には細かい砂利のようなゴミが多いが、しっかり吸い込んでくれていた

 掃除後はフィルターも黒ずむ。毎回手入れする必要はないが、汚れが気になったらプラスチックフィルターを軽く水洗いし、HDフィルターは柔らかいブラシでブラッシングする。ダストボックスは水洗いできないので、汚れを布巾などでふき取る。HDフィルターの交換目安は、使用頻度にもよるが、だいたい6~9カ月とされている。メンテナンスの手間はあまり気にならなかった。

プラスチックフィルターは水洗いできる
HDフィルターは、隙間を柔らかいブラシなどでこする
ダストボックスは水洗いできないので、布巾や雑巾でホコリを拭く
ポーチには、本体や付属品がすっぽりおさまる。使わないときは棚や車のトランクに収納できる

 収納は、付属のポーチに備品まで全部収まるので便利だ。使わないときは棚にしまったり、自動車のトランクに入れておける。

 結論をまとめると、これ1台で自動車内の掃除は丸ごとOKである。自動車の掃除専用に作られているだけあって、きめ細かなアタッチメントが付属し、本体はコンパクトで取り回しやすく、トランクまで掃除できる。

 これまで我が家の自動車掃除には、コードレスタイプの充電式クリーナーを使ってきた。それらに比べると、確かにピボットオートは電源コードが時に邪魔に感じることもあるし、12Vシガーソケットから給電するという特性上、ほかの場所で使用できない、という汎用性の低さもある。だが、ピボットオートは内蔵バッテリーの残量に左右されず運転できる。何より充電の手間がかからないのが良い。

 そしてこの機能で実売5,980円という安さ。こう言ってしまうと、どこかの通販番組の謳い文句のようだが、実際に適度な吸引力と取り回しやすさ、充実したアタッチメントの割には廉価だと感じている。

 しっかりと自動車の室内を掃除したい方や、充電が面倒で自動車の掃除が億劫になっているオーナに、オススメしたい。

小林 樹