家電製品ミニレビュー

タイガー魔法瓶「マイコンテーブルクッカー CQC-A070」

~少人数の家族でも手軽に使える卓上調理器
by 戸井田 園子

 卓上で使うホットプレートやグリル鍋は、一度にたくさん調理ができるようにと大きなモノを購入しがちです。しかし、実は小型の方が出し入れしやすく、出場回数が多くなるんです! そこで今回ご紹介するのは、1~2人用サイズの卓上調理家電「テーブルクッカー」。その名の通り、卓上でいろいろな調理が楽しめるという代物。それでは、製品の特長と我が家の食卓で試用した様子をお伝えいたします。


メーカータイガー魔法瓶
製品名マイコンテーブルクッカー CQC-A070
希望小売価格16,800円
購入場所Amazon.co.jp
購入価格5,927円


製品の主な特徴

同梱されているのは、本体・深なべ・蒸しプレート・揚げアミ+ガード・フタの5点

 見た目は、一般的なグリル鍋と大きな違いはありませんが、「鍋もの」「焼き」だけでなく「煮もの」「揚げ」「蒸し」など、5つの調理ボタンがあるのが特長です。本体サイズ285×240×196mm(幅×奥行き×高さ)と小さく、グリル鍋のミニサイズといった外観ですが、良くある丸型タイプと違い、角型で黒いのが個性的。

 すき焼きなべを連想させる黒鍋が、落ち着いた雰囲気と高級感を出しています。また、黒を基調としたボディに赤いラインが、ほど良いアクセントになり好印象です。本体とセットになっている付属品は、深なべ・蒸しプレート・揚げアミ+ガード・ふたの4点。これらを使って、上記の5つの調理をします。

「鍋もの・煮もの」調理をするときは本体に深なべをセットします「蒸し」調理をするときは本体+蒸しプレート「揚げもの」は本体+深なべ+揚げアミ+ガードをセットして使用します
赤いラインで囲まれているのが調理ボタン。「煮もの」と「鍋もの」は、いったい何が違うのだろ? と素朴な疑問が沸いてきます

 まず気になったのが、調理ボタンに「鍋もの」と「煮もの」のボタンが2つあること。これって何が違うの? という素朴な疑問を解消すべく、取り扱い説明書を読んでみると・・・…「鍋もの」は、いわゆる一般的なグリル鍋と同じ加熱パターン。火力は3つから選べますが、選んだ火力のまま加熱し続けます。

 これに対し「煮もの」は、一度沸騰したあとは煮くずれないよう火力が調整されるとのこと。さらに「煮込み・しみ込み・煮込み+しみ込み」の3つのパターンが選択でき、タイマーで設定した時間が終わると保温に切り替わるなど、「鍋もの」とは確かに違うんだと納得! 2つの違いがハッキリしたので、その他「焼き」「蒸し」「揚げ」含めていよいよ実践です。

まずは定番の鍋料理から

 まずは定番の「鍋もの」から。今回は“トマト鍋”でお試しです。深なべは、満水容量1.8L。しかし、具材がいろいろ入ると一度に作れる量は、2人家族で1人2杯ずつよそうと無くなるくらいの分量でしょうか。2人であれば、煮込み過ぎてクタクタになる前に食べきれるのでちょうどイイ感じですが、3人以上になると、次の回が仕上がるまで間が空いてしまうので、量的には少ないと感じるでしょう。テフロン加工なので、汁気が少ない状態でパスタを調理しても、焦げ付くこと無く安心して使えました。

 ちなみに、消費電力は630Wとグリル鍋にしては少なめです。鍋料理なら約20分ほどは加熱する必要があります。

トマト鍋は具材を入れて、強火で加熱スタート20分程度で仕上がります。一度にできるのは約3杯分お鍋の〆にはパスタを入れて、ナポリタン風にしました。汁気が少ないパスタも焦げ付くこと無く使いやすかったです
この大きさは、1~2人分の釜あげうどんに最適!テーブルに座ったままいつまでも熱々うどんが食べられます

 「鍋もの」モードでおすすめしたいのは“釜あげうどん”。うどん玉2つ程度なら一度に加熱できます。弱火にすれば温度が下がらないまま弱く加熱し続けられるため、いつまでも熱々のうどんが楽しめます。お酒を飲んだ後、ひとりキッチンにたたなくても、美味しい締めが食べられるのは、何よりうれしいことです。もちろん、ひとりの昼食や、帰宅の遅い家族の夜食などにも便利に使えます。

 

煮ものモードでおでんに味を染みこませる

おでんは、「鍋もの」モードで沸騰した後、「煮もの」モードでじっくり味をしみ込ませるとおいしくしあがります

 「煮もの」モードで作れる料理は、付属のレシピブックに掲載によると、ポトフ・煮魚・かぼちゃの煮ものなどですが、短いもので20分・長いものだと70分という調理時間。ガス調理と違い、煮ている間ずっと前に立っていなくても大丈夫なのがメリットですが、節電が叫ばれる昨今、電気で長々煮ることにややためらいを感じます。

 筆者としておすすめなのは、“おでん”でしょうか。「鍋もの」モードでも良いのですが、味を染み込ませて食べたいモノなので、「煮もの」モードで煮込みとしみ込みを繰り返すと、なかなか美味しく仕上がります。

 次は「蒸し」モード。深なべに水を張り、その上に蒸しプレートを乗せる、いわゆる蒸し器と同じ構成です。試したのは“シュウマイ”。ちょっとギュウギュウでしたが、手作りシュウマイ18個が一度に蒸せました。蒸し時間は約20分程度。食卓の上で蒸せるので、蒸しプレートの上に並べて置いて、食事の開始時間に合わせてスイッチを押せば、できたてが食べられます。はふはふ言いながら食べるシュウマイは絶品! また、ムール貝などを蒸せば前菜としても見栄えが良く、ホームパーティの演出にも効果的です。

蒸しプレートに、18個のシュウマイを並べたところ20分程度で熱々に蒸しあがる

揚げモードと焼きモードは活用度が低め?

 そして「揚げ」モード。卓上で揚げものと言えば“串あげ”と思ったのですが、油を入れられるMaxラインまで油を入れてもあまり深さが出ず、焼き鳥の串にうずら卵3つというような長さで具を刺すと、串が鍋の縁に掛かった状態では具材が油に浸かりません。チーズフォンデュのように、串の先にエビ1つ・オクラ1つなどを刺す一口タイプとなります。一口サイズの具に衣を付けるのは準備が大変なので、少しだけつまみにという食べ方なら使えるでしょうが、串あげをメインディッシュに…・・・となると、やや厳しいと感じます。

 ちなみに「揚げ」の性能を確認するため、キッチンで鶏の唐揚げを作ってみました。「揚げ」ボタンを押すと加熱スタート。20℃きざみで現在の油温度が表示され、適温180℃になると電子音でお知らせします。油の量700mlで温度18℃になるまで約15分程度、やや長いと感じます。

 まずは、一度に鶏肉を6個くらい入れてみました。少々時間がかかりましたが、問題なく揚げられます。しかし、レシピブックによると一度に入れられるのは、鍋の表面積の半分までとのこと。この目安だと1回で揚げられるのはせいぜい3個程度。これでは、フライヤーとして活用するには量が少ないでしょう。

 いずれにしても、「揚げ」モードは使用する油の量に対して、一度に調理できる量が少ないのがネック。卓上で揚げ物を食べるのがよほど好きでない限り、活用度は高くならないと予感しました。

適温の180℃になると、表示と電子音でお知らせレシピブックには、鶏の唐揚げは一度に3個が目安と書いてありますが、試しに1度に6個揚げてみたところ、ちゃんと美味しく仕上がりました!

「焼き」モードも、残念ながら活用度は低そうです。浅いプレートはなく深なべをそのまま使うため、ホットプレートという感じにならないのが原因でしょう。もともと「焼き」として使うには平面が小さいのに、縁が高い深なべだと食材を裏返すなどの作業がし難く、さらに一度に調理する量が減ってしまいがち。浅型のプレートを1枚追加してくれた方が、「焼き」モードをより使いやすくなるのではないでしょうか。

 一台で様々な調理ができるのが特徴ですが、便利に使えるのは「鍋もの」「煮もの」「蒸し」モードで、「揚げ」と「焼き」についてはもう少し改善が必要かもしれません。

洗いやすいコンパクトサイズでお手入れが楽

収納するには、全て重ねるしか方法がないので、結構な高さになってしまいます。もう少しコンパクトにまとまると尚使いやすいでしょう

 もともとサイズ自体が小ぶりなので、深なべはじめ、全てのパーツがコンパクト。シンクで洗うにも、食器感覚で扱いやすいサイズです。表面はテフロン加工で、汚れもさっと落ち、手入れはし易いです。

 しかし、各パーツは全て同サイズで上に重ねて使うため、収納スペースが必要になります。コンパクトさも売りの1つなので、全てのパーツが入れ子になってスッキリ納まるなど、収納性についてはもう少し改善を期待します。

 

卓上調理を頻繁にする家庭に

 卓上調理家電を頻繁に利用する家庭にとって、このサイズは手頃で使いやすくておすすめ。2人や3人など少人数の家族なら小さすぎて困るということもないので、これまでのグリル鍋が大きすぎて使いこなせなかったという人には便利に使えるでしょう。






2012年6月4日 00:00