家電製品ミニレビュー
アイリスオーヤマ「エコルクス 人感センサー付きLED電球 ハイパワータイプ」
■白熱電球60W相当の明るいセンサー付きLED電球が登場
今夏に引き続き、この冬も全国的に節電が必要とされている。政府によれば「不要な照明を消すだけでも約6%の節電になる」とのこと。使っていない場所のあかりはこまめに消すに越した事はない。
とは言え、それをいざ実行するとなると面倒だ。例えば、通り過ぎるだけの廊下や階段の照明は、つい点けっぱなしになりがち。これは、短時間しか使わない玄関、トイレ、洗面所でも、同様のことがいえる。
そんな場所に便利なのが、センサー内蔵のLED電球だ。「人が居る、居ない」をセンサーが感知して、スイッチに触れずに自動で点灯・消灯をしてくれる。つまり、「使ったら消す」という最も有効な節電行動を、電球自ら実践してくれるのだ。
そこで今回は、センサーを内蔵したLED電球として、アイリスオーヤマの「ECOLUX(エコルクス)人感センサー付きLED電球 ハイパワータイプ」を紹介しよう。赤外線方式の人感センサーが内蔵されたLED電球で、現在使用している器具の電球を交換するだけの簡単なものだから工事も要らない。
アイリスオーヤマ「ECOLUX(エコルクス)人感センサー付きLED電球 ハイパワータイプ LDA8L-H-S1」。全光束は650lmで、光色は電球色相当 | こちらは昼白色相当の「LDA9N-H-S1」。全光束は850lmで、60W形白熱電球相当の明るさだ |
このLED電球、センサー付きというだけでなく、明るい点も特徴だ。全光束は電球色タイプが650lmで白熱電球50W形相当、昼白色タイプは850lmで白熱電球60W形相当の明るさがあるという(日本電球工業会基準)。節電に効果的な人感センサーが付いているだけでなく、実用的な明るさも十分に期待できそうだ。
今回は、電球色「LDA8L-H-S1」と昼白色「LDA9N-H-S1」の2タイプともに試してみよう。
メーカー名 | アイリスオーヤマ | |
シリーズ名 | エコルクス 人感センサー付きLED電球 ハイパワータイプ | |
品番 | LDA8L-H-S1 | LDA9N-H-S1 |
光色 | 電球色 | 昼白色 |
全光束 | 650lm | 850lm |
定格消費電力 | 8.1W | 9.4W |
口金タイプ | E26 | |
白熱電球と比較した明るさ (ランプ単体) | 50W形相当 | 60W形相当 |
定格寿命 | 40,000時間 | |
調光器 | - | |
密閉器具 | - | |
サイズ(高さ×直径) | 123×60mm | |
重量 | 160g | |
実売価格(yodobashi.com) | 4,480円 |
■電球のアタマにセンサーを搭載。サイズはやや大きめ
実際に使い始める前に、基本的なスペックから話しを進めていこう。まずはサイズだ。高さは実測で122mmで、60W形白熱電球の94mmと比べるとかなり大きく見える。ただし、電球形蛍光灯や100W形白熱電球と比べれば、背が高いぐらいで、直径60mmは100W形白熱電球と全く同じ。全体的に電球らしいくびれのあるフォルムだが、口金付近の直径は38mmで、白熱電球の32mmよりも太い。購入前に、取り付ける器具の口金付近の径を確認しておくと良いだろう。
電球の先に付いている模様の部分が、赤外線のセンサーだ。見た目にはやや違和感はあるが、大きく飛び出ているわけではなく、電球のフォルム内に収まっている。放熱部は白色で、凹凸のフィンが付いているタイプだ。重量はどちらも160gで、LED電球の中ではやや重い部類に入る。
器具への取り付けは、器具の電源を切り、それまで使っている電球と取り替えるだけという、普通の電球の交換とまったく同じもの。交換後も、器具の見た目もさほど変わらない。電球が丸見えになるダウンライトに取り付けても、違和感無く収まった。電球の背が高い分、器具から少しはみ出してしまったが、センサー部が隠れてしまうよりは良いだろう。
使い方は、電球を取り付けたら、スイッチを入れるだけ。通電直後はウォームアップと称して、約30秒間点灯する。ウォームアップが終わると0.5秒ぐらいかけてスゥッと緩やかに消灯して待機状態となる。そこから、感知範囲内に人の動きがあるとパッと点灯し、離れれば約5分後に緩やかに消灯する。
【白熱電球:60W形】 電球は器具内に収まっている | 【白熱電球:100W形】 60W形よりも15mm背が高いので、電球が器具から少しはみ出てしまった |
【電球形蛍光灯:100W形】 明るい100W形の電球形蛍光灯は、器具から極端にはみ出してしまった | 【エコルクス電球色・昼白色共通】 見た目は若干変わってしまうが、器具との相性は悪くない。電球の先端がはみ出てしまうが、センサー部が隠れてしまうよりは良いだろう |
電球の先端に直径25mmの「人感センサー」が付いている。体温のある人の動きに反応する | 適応器具および、センサーの感知範囲(アイリスオーヤマ・製品情報ページより抜粋) |
■明るさは十分。60Wどころか100W白熱電球との交換にも
ここで「明るさ」と「拡散性」を見てみよう。短時間しか使わない場所でも質が良いに越したことはないし、定格寿命は40,000時間と長期間使い続けられるものだけに、しっかり確認しておきたい。
明るさについては、期待以上だった。電球色の直下照度は715lx(高さ約50cm直下の場合。以下同じ)で、数値的には800lxの60W形白熱電球に及ばないものの、暗くなった印象はまるで無い。昼白色はさらに明るく、直下は954lxで、60W形白熱電球の明るさを軽く超えた。光色こそ異なるが、100W形白熱電球と取り替えても遜色なさそうな、頼もしい明るさだ。これには驚いてしまった。
【白熱電球:60W形 800lx】 | 【白熱電球:100W形 1,250lx】 | 【電球形蛍光灯:60W形 475lx】 |
【エコルクス電球色 715lx】 60W形白熱電球よりも数値的には85lx暗いはずだが、実際には白熱電球よりも明るかった | 【エコルクス昼白色 954lx】 全光束850lmは60W形白熱電球の810lmを超える。明るさはそれを軽く上回り、光色は異なるが100W形白熱電球との取り替えも現実的なほど明るい |
光の拡散性については、一般的なLED電球と変わらない。光は光源部を中心に、ほぼ球形に拡散した。全配光タイプではないため、ソケット付近や横方向へ強い光は届かないが、電球の上・斜め上方向と、光が遠くまでしっかり届く印象だ。
実は使う前、電球の先に付いたセンサーにより、影などで光の広がりに悪影響が出てしまうのではないか、という点が不安だった。しかし、その影響は全く感じられなかった。30cmほどの至近距離を照らしても、電球の真下が一番明るくなり、センサーによる影は全くできなかった。実使用には問題ないだろう。
【白熱電球:60W形・100W形】 ソケットのぎりぎりまで明るい。電球を中心に、床面に近いところから光が広がっている | 【電球形蛍光灯:60W形】 白熱電球と同じように、ソケット付近も光が届く。しかし遠くまでは光が届かない印象 |
【エコルクス電球色】 ほぼ球形に光が拡散している。全方向タイプではないのでソケット付近と側面への光の回り込みは弱いが、光は遠くまで広範囲に届いている印象だ | 【エコルクス昼白色】 昼光色の光の広がり方も、電球色と同じ感じ |
■帰宅と同時に自動で点灯。出かける時も明かりは点けっぱなしでOK
電球の基本性能ともいえる明るさ、拡散性が申し分ないことがわかったところで、いよいよ自動点灯・消灯させたい場所に取り付けてみよう。使った場所は、玄関、トイレ、廊下の3カ所。いずれも、消し忘れが起きやすい場所だ。
まず玄関だが、本製品に最適だ。その理由は、基本的に明るい点がある。電球色タイプは60W形白熱電球から取り替えて、さらに明るくなった。あたたかみのある光色は玄関に相応しく、照らされるものの色味も良くとても自然な印象だ。昼白色タイプはさらに明るくなり、光色は暑苦しくならないニュートラルな白色。スッキリとした印象の玄関が演出できるだろう。
【白熱電球:60W形】 床面まで光が届き、十分な明るさがある | 【電球形蛍光灯:60W形】 比較すると色が不自然に感じる。また、点灯して明るさが安定するまで時間がかかる |
【エコルクス電球色】 写真でも肉眼でも60W形白熱電球より明るい印象になった。あたたかみのある光色も自然で、玄関に相応しい。電球に近づけば、スイッチのある場所にたどり着く前に点灯するのが便利。居なくなれば5分後には勝手に消えてしまう | 【エコルクス昼白色】 昼光色はさらに明るくなる。暑苦しくならないニュートラルな白色はスッキリとした印象の玄関が演出できる |
さらに、帰宅と同時に点灯するのもうれしい。人感センサーは暗闇の中でもしっかり反応し、夜に家に戻ってドアを開けたとたん、間髪入れずにパッと点灯する。これまでは暗闇の中を手探りでスイッチを探していたが、その苦労とはおさらばだ。荷物で両手が塞がっていても、スムーズに部屋に入って行ける。外出する際も、玄関に向かうだけで、スイッチレスで点灯してくれる。点灯したままで外出しても、5分後には消えてくれる。本当にラクに使えるのだ。
玄関で使用した様子。ドアを開いて人を感知した瞬間に点灯する。真っ暗でも手探りでスイッチを探す必要もなくなった | 消灯時のようす。あかりは一瞬で消えるのではなく、緩やかかつ静かに消える |
■トイレにもピッタリ。長く居ても勝手に消えない
次に、トイレに取り付けたが、こちらもお勧めだ。ドアを開けて入ろうとした瞬間にパッと点灯するのはもちろん、明かりの質も高い。特に電球色タイプは、60W形白熱電球よりも明るくなり、清潔感もアップする印象。光色は白熱電球とは異なるが、色の偏りも感じず、狭い空間でも暑苦しい印象にならない。昼白色タイプはトイレのような狭い空間には明るすぎるかもしれない。しかし、より明るいトイレが好みなら、こちらの選択も十分にアリだろう。
使う前に心配だったのが、トイレの場合、人の動きが少ないだけに、5分以上入っていると自動的に消えてしまうのではないか、という点。しかし実際は、意図的に静止しない限り、途中で消えるような不都合は一度も起きなかった。
また、誤作動も抑えられているようだ。我が家のトイレのドアには、10cm四方の小さなあかり窓が付いているが、ドアが閉まっていれば、トイレの前を通っても点灯することは全くなかった。おそらく、このあかり窓を通して多少なりとも光の動きはセンサーに伝わっているだろうが、これだけでは反応しないようだ。
【白熱電球:60W形】 明るく気持ちよく過ごせる | 【エコルクス電球色】 光色は白熱電球と異なるが、明るく清潔感が十分に感じられた。トイレにもバッチリだ。使用中はトイレ内部で動き回らないが、消える事はなかった | 【エコルクス昼白色】 60W形白熱電球よりも大幅に明るくなった。明るすぎるかもしれないが、影の落ち方も柔らかく、明るいトイレが好みであればこの選択もアリだろう |
人感センサーは無機質なものには反応しない。動画ではラグビーボールを電球の下に転がしているが、点灯しない。しかし、人間の動きは感知して点灯する |
なお、トイレは点滅頻度が高いため、点滅回数が寿命に影響する電球形蛍光灯の写真は割愛する。
■廊下にも階段にもお勧め。外光が入って明るい場合はムダに点灯しない
今度は廊下だ。廊下といっても、実は我が家には廊下が無いので、マンションの共有部分の廊下に取り付けた。天井の高さは2.3m、床の幅は1.6mだ。
明るさについては、電球色タイプでも、床面付近までしっかり光が届き、廊下全体が白熱電球よりも明るい印象になった。昼白色タイプに至っては、もともと取り付けてあった100W形の電球形蛍光灯、消費電力の高い100W形の白熱電球よりもさらに明るくなった。親しみやすい雰囲気が向上した印象だ。
センサーの反応については、玄関と同様。部屋のドアを開けて廊下に出ると、パッと点灯した。本製品のセンサーには、外光が入った場合、部屋が明るい時(100~150lx以上の場合)は人を感知しても点灯しない仕様になっているので、日中、ムダに明かりが点くということもなかった。太陽光が全く入らなくなり、そろそろあかりが欲しいなと感じた時間にちょうど点灯してくれる感じだ。
【白熱電球:60W形】 肉眼で十分に明るいと感じられる | 【白熱電球:100W形】 広めの廊下でも気持ちの良い明るさになる | 【電球形蛍光灯:100W形】 もともと付いていた明るいタイプの電球形蛍光灯は、60W形白熱電球よりも明るい |
昼白色、電球色のどちらも、階段の明かりとして十分に明るかった |
追加でもう一カ所、実家の階段にも使ってみたが、これも非常に快適だった。
我が家の階段の照明器具は、二階の天井面に取り付けてあり、一階の床面からは垂直距離で6m以上の高さがある。しかし、一階で階段の一段目を踏む直前、パッと点灯した。本製品のセンター感知範囲は、設置高4mまでとなっているが、実際はもう少し、階段下から見上げて器具がしっかりと見えるような場所なら、感知範囲域を超えてもちゃんと使えるようだ。
ちなみに階段の照明には、1階からも2階からも点灯できる三路スイッチがついているが、階段に近づいただけで点灯するのはやはり便利。明るさも申し分なかった。
二階にある照明器具に取り付けたところ、階段の一段目を上る前に点灯した。一階の床面から器具までの高さは6m以上あるのだが、見通しの良い一直線タイプならば使えるようだ |
■センサーの待機電力も少ない。一度使ったらやめられないほど快適!
省エネ性についても見てみよう。点灯時の消費電力は、実測値で電球色が7W、昼白色が9Wだった。1日8時間点灯と仮定して試算すれば、電球色の1カ月の電気代は約38円、9Wの昼白色は約49円になる。ただ、実際にはセンサーで自動オフになるので、8時間も点灯することはないハズで、家族構成や使用頻度によって、点灯時間はまちまちになるだろう。我が家の場合、トイレと玄関に取り付けた場合の点灯時間は、一日当たり2時間未満と短く、1カ月の電気代は約10円程度という計算になる。
ちなみに本製品はセンサーを搭載しているため、点灯時以外にも電力を消費している。24時間通電しっぱなしになるので、どれだけ消費しているのか気になるところだが、センサーの消費電力は0.1W(カタログ値。ワットチェッカーでは0W表示)と、ごく微量だ。24時間センサーを待機させた電気代を換算しても、1カ月で1.55円、1年(365日)でも18円程度に過ぎない。消し忘れの「見張り賃」とすれば格安ではないだろうか。
一方で、初期費用となる電球代4,000円は、低価格化が進む一般的なLED電球と同列で見ると、高価に感じられるかもしれない。しかし、センサーの付いた壁面スイッチは、価格がそれ以上だったり、取り付けは有資格者による工事が必要だったりと、実際の設置には何かと障壁がある。しかもセンサーがある位置は、必ずしも自動点灯・消灯に適した場所にあるとも限らない。
以上の点を考慮すれば、面倒な工事の必要は無く、かつ器具の見た目も損なわない本製品は、気軽さと便利さの両方が一度に手に入る点で、非常に便利だ。しかも、最近のLED電球の中でも特に明るいので、十分価格に見合っているのではないだろうか。ついでに言うと、2年間保証もついているとのことだ。
一度使い慣れてしまうと手放したくなくなるほど便利だ。効果的な節電のためにも、快適な生活のためにも、こまめな消灯はもう人感センサー付きLED電球に任せてしまおうではないか。
2011年12月16日 00:00