家電製品ミニレビュー

タイガー魔法瓶「グリル鍋 CQB-S100」

~二人暮らしにぴったりのコンパクトグリル鍋
by 阿部 夏子
タイガー「グリル鍋 CQB-S100」

 結婚したら買おうと思っていたものの1つにグリル鍋がある。もともとわきあいあいと食卓で料理を楽しむのが好きなのも理由だが、鍋から焼き肉まで色々な料理に使えるというところが気になっていた。2人暮らしで、ホットプレートや土鍋を別々に用意するよりも合理的で、場所も取らないのが嬉しい。

 というわけで、購入したのが今回ご紹介するタイガーのグリル鍋「CQB-S100」だ。購入の決め手はなんといっても“二人暮らしを想定して作った”というサイズと、そのデザイン。元々はグッドデザインエキスポで見かけた製品だが、コンセプトと2人暮らしで使うのにちょうどいいサイズが気に入って購入した。

 また、複数の料理を楽しみたいという最初の願望にもしっかりと対応している。本体には深みのある「深なべ」、焼ものが楽しめる「野菜ゾーンつき波形プレート」、さらには最近注目が集まっている蒸し料理が楽しめる「蒸しプレート」が付属する。


メーカータイガー
製品名CQB-S100
希望小売価格21,000円
購入場所Amazon.co.jp
購入価格11,008円

付属の「深なべ」深なべに重ねて使用する「蒸しプレート」油を落とす波形の形状が採用されている「野菜ゾーンつき波形プレート」

大人が使う製品

 2人暮らしを想定して作ったというだけあって、本体のサイズは321×248×150mm(幅×奥行き×高さ)と小さめ。4人分を想定して作られている同じタイガーのグリル鍋のサイズは384×371×192mm(同)なので、比べると大きさの違いが分かる。また、消費電力は820Wでグリル鍋にしては火力が弱めなのも特徴だ。

 デザインで特徴的なのは電熱部の上に、鍋をそのまま載せるような形になっていること。一般的なグリル鍋ではプレート部分を本体にはめ込むような構造が多く、安全性を考慮して外側がプラスチックになっているものが多い。

 この製品の場合、見た目はグリル鍋というよりもちょっとオシャレな鍋をそのまま食卓に持ってきたというようなイメージ。ただし、その分安全性に対しては、一般的なものと比べると劣るかなというのが正直な感想だ。

製品の付属品。左上から波形プレート、深なべ、フタ、蒸しプレート、本体電熱部深なべを本体にセットしたところ深なべを横から見たところ。グリル鍋の鍋というよりは普通の鍋のような形状をしている
電熱部。操作は側面で行なうヒーター部分波形プレートをセットしたところ

 周りがプラスチック製になっておらず、鍋がむき出しの状態になっているため、調理中は当然外側が熱くなる。大人が使う分にはそれほど意識しなくも問題ないが、子供の前で使うのには向かないだろう。また、電源スイッチや温度操作がすぐに触れる本体側面部に設けられているというのも、子供の前で使うとなると少し不安な点でもある。

 ここら辺のスペックを細かくみていると、家族というよりも大人同士で使うのに適している製品だとわかる。とかく、鍋や焼き肉というと一家団欒や大人数での使用が想定されがちだが、少子化のおり、実際の使用頻度を考えると、このサイズは現実的でニーズも多いのではないだろうか。

 夫婦2人で暮らしている我が家は、まさにターゲット内のユーザーになるわけだが、実際の使い勝手はどうだろう。いくつかの料理で検証してみた。

すき焼き

深なべですき焼きを作った

 グリル鍋を使った料理で最初に思いついたのがすき焼きだ。もともと専用の鉄鍋で作る料理だが、二人暮らしで専用の鍋を買うのも気ノリがせず、これまではフライパンで代用していた。そのためなんとなく鍋料理というよりも、すき焼き風の煮物という域を出ず、最近作っていない料理でもあった。

 深なべをセットして、中に材料を入れた時にまず思ったのが小さいな~ということ。鍋の直径は直径は24.8cm、容量2.2Lと普通のフライパンに比べても小さめなので、普段の感覚で材料を入れると、鍋に入る量が圧倒的に少ない。とはいっても、これは2人暮らしにとっては嬉しいことでもある。というのも鍋料理はいつも作りすぎてしまうからだ。

 鍋の中にまばらに材料が浮かんでいる鍋料理なんて、見た目も味も寂しい――という思いでいつも2人分、どころか4人分くらいの材料を買い込んでしまい、結局いつも食べきることができない。我が家の場合、鍋料理イコール2日間は続く――というのが当たり前になっていた。最後まで食べきれずにやむなく捨てることも多く、2人で鍋を楽しむというのはなかなか効率の悪いことでもあったのだ。

 それが、CQB-S100だと一度に作れる量がちょうど良い。大きい鍋で作った時は最初に投入した材料1回を食べきるのに必死という状況になってしまうのが、CQB-S100の場合は材料の継ぎ足しや、最初の材料を食べ終わって、“2回戦”も楽しむことができた。サイズの大きい鍋で作るよりもずっと効率的に鍋料理が楽しめる。

食卓にセットしたところ。一般的な物よりサイズが小さいので、馴染みやすい電源を入れると操作部分が点灯する電源コードはマグネット式が採用されている

 ちょっと気になったのが火力だ。同じタイガーの4人用のグリル鍋では消費電力が1,300Wのところ、CQB-S100では820Wなので、立ち上がりがやや遅い。温度設定を最高にして3分ほどしてからお肉をいれても「ジュージュー」という音は聞こえなかった。ただし、これは立ち上がりの時だけで、中のお湯が沸騰してしまえばその後は特に気にせずに使えた。


すき焼きを加熱している様子。普通のグリル鍋に比べると火力は弱め
 

ホットケーキは一度に一枚が限界

 幼少時、日曜日の朝の定番として食べていたのが、ホットケーキやフレンチトースト。テーブルにホットプレートをセットして、家族みんなでブランチを楽しむというのは我が家の思い出のシーンの1つだ。それを再現しようと、今度はホットケーキを焼いてみた。付属のプレートは表面が波形に加工されているので、使用したのはすき焼きで使った鍋タイプのものだ。

 一度に焼けるホットケーキの量は1枚まで。2枚同時に焼こうとすると、どうしても生地がくっついてしまう。2人だったら、1枚を半分にしてなんとか楽しめるが3人だと、ケンカになってしまいそう。

 ただし、電気で熱を調節できるので、火力調節の方は完璧。フライパンで作るよりもずっと焼き色の良いホットケーキを楽しめる。

お皿と並べて置いても違和感のないサイズサイズが小さいので、一度に焼くのは一枚が限界だ設定温度を管理できるので、焼き色はバッチリ

お肉の油を落とす波形プレート

 次は表面に波形形状を採用しているプレートを使って肉を焼いてみよう。波形になっている部分は、プレートの約半分なので片方にお肉を、残りの部分で同時に野菜を焼いた。

 表面が波形になっていることで油が落ちる効果があるというので、今回選んだのは脂身たっぷりのステーキ肉。焼き始めるとすぐにジュージューいう音と一緒に油が波形の溝の部分に溜まっていった。これは確かに普通のプレートで焼くよりも油は少なくなりそうだ。お肉をひっくり返した時に、波形の線の焼き目が付くのもなんだかお店っぽい雰囲気が出て良い。

 大ぶりのステーキ肉を2人分、自宅で楽しむ場合、最初に一枚、次にもう一枚という風にタイムラグが出るのは避けられない。それがプレートを使って食卓で焼き上げると最初の一枚を半分に切って、その後もう一枚というように、熱々をその場で食べられるのが嬉しいところだ。

大きめのステーキ肉を焼く。肉を焼く波形の部分はプレートの半分までなので、残りの部分で野菜を一緒に炒める波形の部分に肉の脂が落ちる波の形がお肉の焼き目になる。ステーキハウスのような焼き上がりで見た目もなかなか

 気になったのがお手入れ部分。実は波形のプレートを使ったのは初めてだったのだが、水で洗おうとすると溝部分に溜まった油が白く固まってしまい、この溝部分の油をキレイにするのにかなり手間がかかった。フライパンで焼いた場合は油が冷める前にジャーっと洗うことができるのだが、グリル鍋のプレートの場合、本体が熱いうちに移動するのは危険なため、どうしても冷めてからのお手入れになってしまう。

 スポンジの先を細くして、溝部分を1本、1本掃除するのはかなり手間が掛かった。もちろんその分の油が落ちたと思えば納得出来る部分はあるが、頻繁に使うとなるとネックになりそうだ。

食卓で楽しむ蒸し料理

 CQB-S100には鍋の上にセットして使用する専用の蒸し鍋が付属する。最近注目を集めているということもあって、蒸し料理のバリエーションもかなりあるが、“食卓で楽しむ”ということを前提に考えるとやはりメインの食事となるものを作りたい。と言うわけで今回作ったのは「蒸しブタしゃぶ」だ。

 蒸ししゃぶは以前ティファールのスチームクッカーを使った時に初めて知った料理だが、蒸し料理ならではの食材の味が濃縮される感じが気に入って、今でもよく作る一品だ。以前は牛肉の薄切りを使った牛しゃぶを紹介したが、今回は豚の薄切りを使った豚しゃぶにチャレンジした。

 使い勝手としては、蒸し器専用のものに比べても劣るところはほとんどない。鍋のお湯が沸くのが若干遅いぐらいだ。蒸すことで野菜の容量が小さくなるため、どんどん野菜を食べられるのが嬉しい。油を使っていないので、ダイエットにも最適。お湯に肉を通す普通のしゃぶしゃぶよりも、お肉のジューシーさをしっかり味わえるのが魅力。

深なべの上に蒸し鍋をセット蒸し鍋の中には大小の穴が配置されている下の深なべの中にお湯をセットして、沸騰したら準備は完了だ
水菜やもやしなどの野菜を先に蒸す5分ほど経って、野菜がしんなりしてきたら野菜の上に豚肉をセットするあとは肉の色が変わったら野菜を中に挟んで食べる

 蒸し料理を食卓で楽しもうとすると専用機の準備を考えるが、使用頻度がそれほど高くないならば、CQB-S100でも充分。食のトレンドを意識した嬉しい付属品だ。

 いくつかの料理を作ってみて、まず思ったのが食卓料理は楽だということ。共働きをしている身では、どちらかが台所に立つというよりも、食卓で一緒に料理をしながら食事をするというスタイルは自然で、会話も増える。

 子供が使うとなると気になる安全面も、大人2人で使う分にはなんの問題もなかった。

【お詫びと訂正】初出時、鍋を直火にかけられないと表記しておりましたが、実際には深なべを直火にかけて使用できます。お詫びして訂正いたします。

 2人で鍋料理するのは効率悪いとか、なんとなく盛り上がりに欠けると思っていたが、鍋のサイズを変えただけで、改善される点はいっぱいあった。使用用途も広いので、結婚のプレゼントしても喜ばれそうな一品だ。





2009年4月15日 00:00