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やじうまミニレビュー
共栄「Balloon Lamp」

~静寂感が漂う光のオブジェ
Reported by 藤原 大蔵

 誰もが一度は手にしたことのある風船。そのあまりにも身近なものが、現代のテクノロジーを文字通り包み込み、美しい1つのオブジェとなった。今回は共栄の「Balloon Lamp(バルーンランプ)」を紹介したい。

 Balloon Lampは、音楽とインテリアをプロデュースする岡本光市氏の手によって生み出された。彼の作り出すものは、とてもシンプルでいながら、新鮮な驚きを感じさせる作品が多く、欧米でもとても高い評価を受けている。

 このBalloon Lampは照明器具という実用的な欲求を満たす製品ではなく、空間に彩りを添える発光する美しいオブジェである。熱を帯びないLEDを風船の中に仕込んだという、とても単純明快な光のオブジェなのだが、このレビューを、実は「シテヤラレタ!」という気分で書いている。

メーカー共栄
製品名Balloon Lamp
購入価格2,940円
購入店共栄オンライン


 筆者は幼い頃から発光する物体、透明・半透明の物体に目がない。子供の頃、ツルツルでふんわりと軽い、色とりどりの半透明の風船が、クリスマスツリーのライトのように光ったらどんなにキレイだろうと、豆電球、乾電池、導線と格闘した事があったのだ。このBalloon Lampを目にした時、とうの昔に忘れ去ってしまった、その敗北した格闘の記憶が蘇った。

 考えてもみて欲しい。乾電池と豆電球と導線を、薄く割れやすい風船に仕込み、しかも空気を入れて膨らませるかという、大それた事をあっさりとやってのける製品なのである。こんなにもシンプルで明快で、洗練された答えを見せられ、まったくもって「オミソレイタシマシタッ!」という気分であった。そのくせパッケージは素っ気ないぐらいアッサリしているのがなんとも心憎いのである。


シンプルながら、しっかりツボを押えたパーツと構造

左から、本体、ゴム風船2個、リチウム電池2個
 まずパッケージを開けると画像のように5つのパーツが出て来る。本体はまるでボールペンの様な形状で、先端にはLEDが仕込まれている。消費電力のとても低いLEDを用いているので、かなり長い間使う事ができるだろう。大きさは全長158mm、最大外径は34mm、質量は22g。本体一台につき、風船は一個しか使用しないのだが、予備も含めて2個入っているのが親切だ。CR2032型のリチウムボタン電池を2個使用し、約100時間点灯する事ができる。CR2032型のリチウムボタン電池はコンビニでも手に入りやすい、ポピュラーなものである。


本体上部にバッテリーホルダーが仕込まれている バッテリーホルダーは本体から分離する バッテリーホルダーにボタン電池のプラス部を上にして2枚重ね装着し、それを本体に戻す。電池の寿命は約100時間

バッテリーホルダーの丸い部分を右に回すとLEDが点灯する
 本体の上部の丸い部分を右に回すと先端のLEDが点灯し、左に回すと消灯するという簡単でわかりやすいスイッチ。ぶら下げて使用する事もきちんと考えられており、初めから径の大きめのフックが付いている。

 風船の取り付けはとても簡単。本体のLEDが付いている先端は、風船の空気を送り込む穴の口径よりも細いのですんなり入る。本体のスイッチの下には、風船を結ばずに留めておける"くびれ"があり、風船をそこまで差し込めば膨らませる準備が完了する。


本体の管には孔があり、そこから風船内に空気が送り込まれる 風船の先端を本体の"くびれ"のあるところまでしっかり差し込む

 風船を膨らませる際には、本体のスイッチ下の空気挿入部のキャップをはずし、空気孔付近の風船をつまんで持ち上げ、本体の空気孔と風船の間に隙間を作って入れる。つまんでいる風船の手を離すと、自然に風船が孔を塞ぎ、風船自体が弁の役目となるため、効率よく空気が入れられる。キャップを閉じると空気が抜けない構造になっているので、もし空気が抜けて風船がしぼんでしまっても、簡単に空気を入れ直せる。


孔付近の風船をつまみ上げ隙間を作り空気を入れる 完成。風船は30cm弱の大きさまで膨らませる

 膨らませるまでの所要時間はほんの数分。電池のホルダーを取り外す際に少々手間取るかもしれないが、その過程もとてもワクワクする楽しい時間だ。


ぽっかりと空間に浮かび上がる光の美しさ

風船全体が少し青白い光を放つ
 点灯してみると、白磁のような少し冷く青白い光が空間にぽっかりと浮かび上がる。その光は照明器具が持つような、何かを照らし出すような目的を持った力強い光ではなく、脱力し、空間に溶け込んでしまう、なんとも儚げなたたずまいを醸し出すオブジェ的な光だ。

 そのたたずまいはなんとも魅力的で静かな光。一個だけでもかなりの存在感を楽しむ事ができるのだが、やはり複数個あったほうが空間に表情も出やすく、より雰囲気が楽しめるだろう。個々の風船は均等ではないゴムの厚みから、一つひとつ微妙に印象を変えて膨らむ。また、空気を入れる加減で大きさも微妙に違ったものとなる。それ故に、冷ややかな色味の光でありながら、有機的で柔らかな印象を作り出すのだ。


広い空間であれば床に転がしてみるのも面白い 部屋の片隅に置くのも良し 鏡の前に置くと、単純に量も増えてより強い存在感が得られる

 床や棚の上に置くのも良いが、せっかくフックが付いているので、天井からぶら下げて使う方が不慮に風船を割ってしまう事も少なくなるのでお薦めだ。以下の画像は、家庭に良くある糸を用いて風船を天井からぶら下げている。


高さを変えて配置するとまた違った印象に 一個の自重は風船を入れてもたったの24g。空気の微妙な動きにも反応し、空間にゆらぎ感が生まれる 暗闇の窓に反射する光も美しく、それも楽しめる

 同梱されている風船は、乳白色が2個。市販の30cm前後に膨らむカラー風船も問題なくを取り付けられるので、全く違う印象も楽しめる。

 また、風景としての街の灯りや自然の夕暮れなど他の要素の光を合わせると、よりその独特な存在感を得る事ができる。


同梱された乳白色は静かな青白い光となるが、カラー風船を用いると印象が大きく変わる ガラス窓に映し出される街の活気ある光と、吊るされたBALLOONLAMPが醸し出す静かな光がとても対照的で、より印象的な雰囲気が演出される

デザイナーの情熱が伝わってくる一品

 この製品はパッケージも含め、完成品もあっさりととてもシンプルだ。BALLOONLAMPが放つ光はとても静かで儚く、冷ややかな光を放つ。なのにどこか懐かしく、暖かい風情を醸し出し、日常空間の表情を大きくかえてしまう存在感と力強さを持っている。

 昔からある風船という物を「モチーフ」にした、というものではなく、風船そのものを用いている。そこから放たれる美しい光を眺めていると、冷ややかな光とは裏腹に、デザインし、開発した人の情熱がじわりじわりと伝わってくる素敵な一品だ。





URL
  共栄
  http://www.kyouei-ltd.co.jp
  製品情報
  http://www.kyouei-ltd.co.jp/balloon.html

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2009/02/05 00:02

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