● お茶をまるごと挽いて飲むのが、ちょっと流行っているらしい
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クラフトタナカ「お茶ひき器 一茶」
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お茶(緑茶)を飲む時は、お茶っ葉を急須に入れて、湯を注ぐ。それが常識だとずっと思ってきたのだが、知人の女性の話を聞いて驚いた。その知人は、お茶っ葉を電動のミルサーという機械で粉末にし、それにお湯をかけて飲むのだそうだ。「そうすると、茶殻が出なくていいですよ」
へー、そんな工夫があるんだ。というか、茶殻を捨てるのと粉末に挽くのとどっちが手間かよくわからないけど。調べてみると、お茶を挽くための機械は、普通に売られていて愛好家も少なからずいる。もっとも、お茶を挽いている人のほとんどは、健康のためにお茶の栄養を丸ごと取り入れたいとか、料理のアクセントに使いたいという理由が多いようだ。
お茶に関するページなどを見ると、お茶に含まれる成分のうち、カロチンやビタミンEは、葉に残っていて水に溶けないと書いてある。水に溶けるビタミンCも、2/3くらいは茶殻の方に残ってしまっているとか。お茶を粉末状にして食べたり飲んだりすれば、こういう成分も取り入れられるということのようだ。
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部品はすべてプラスチック製。上の投入口から入れた茶葉が、下部の回転臼で挽かれる
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幸い、私の体調はすこぶるよろしいのだが、お茶をそのまま料理に混ぜて食べるというのはおいしそう。また、粉末にしてお茶を飲むのも面白そうだ。
電動のミルサーは1万円くらいする製品が多いが、手動のものだと1,000円前後と手頃。今回は、クラフトタナカの「お茶ひき器 一茶」を試してみた。希望小売価格は1,575円。楽天市場内の同社直販サイトで1,260円で購入した。
● 細かくお茶を挽くのは意外に大変
一茶の部品はすべてプラスチックでできていて、家庭用のごますり器をやや大きくしたような感じ。使い方は、上の投入口から緑茶を入れて、ハンドルをガリガリ回す。そうすると、挽かれた茶葉が底蓋に貯まるという仕組みだ。ハンドルの根本には挽き具合を調整するネジがあり、細挽き、中挽き、粗引きを選べるようになっている。
まずは、細挽きにして、普通にお茶として飲んでみることにする。緑茶10gを投入口から入れて、ハンドルを回す。うっ、予想していたよりもハンドルが重い。片手でしっかりと本体を押さえ、力を入れて回さないといけない。全部プラスチック製だから、力を入れすぎると折れてしまいそうでちと不安だ。
胴体部分は透明なので、まだ挽いていない茶葉が見えるのだけど、10gの茶葉はなかなか減っていかない。ハンドルを時々逆回しにしたりして、ガリガリし続けて15分後、ようやく終了。底蓋を開けてみると……んー、細かいことは細かいけど抹茶ほどではないのだな。
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10g分の茶葉を本体に投入したところ
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左が挽いた茶葉、右は参考用の抹茶。一茶で挽いたお茶は、抹茶のように粉末になるわけではない
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さっそくカップに注いで飲んでみると、当たり前だがちゃんとお茶になる。ただし、茶葉はカップの底に沈殿している。試しに同じ茶葉を普通に急須で入れて飲み比べてみたところ、普通に入れた方がおいしかった。挽いた方は、旨味や渋みもぼんやりとしているような印象だ。
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挽いた茶葉にお湯を注いだところ。茶葉が下の方に沈殿してしまう
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こちらは普通に急須で入れたお茶
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● お茶を混ぜ込んだレシピはなかなかいける
気を取り直して、お茶を使った料理に挑戦してみよう。中挽きにすると、ハンドルを回すのはぐっと楽になる。ご飯に混ぜ込んでおにぎりにしてみたところ、うん、これはおいしい。ふんわりとお茶の香りがして、かすかに苦み、そこにご飯と塩というのはベストマッチだ。お茶の栄養を取る! と気合いを入れなくても、おいしいから素直に食べられる。
次は、コンソメの混ぜご飯。コンソメのスープで炊いたご飯に、細かく切ってゆでたニンジンと挽いた茶葉を混ぜて出来上がり。2合弱のご飯にティースプーン2~3杯分くらい茶葉を入れたのだけど、ちょっとコンソメの味が強かった。お茶の味はかすかに香る程度だったが、味自体は悪くない。ちなみに、このコンソメご飯は朝食として食べたのだが、カフェインの効果か、朝から頭がしゃきーんとして仕事がはかどった。午前中にどうも眠くて仕方がないという人は、朝食にお茶料理を持ってくるとよいかもしれない。
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お茶を混ぜ込んだご飯で握ったおにぎり。文句なしにおいしい!
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コンソメで炊いたご飯にお茶を混ぜた。コンソメが強くなってしまったが、味の相性自体は悪くない
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デザートにもチャレンジ。牛乳を温めて茶葉と練乳を入れ、冷めたらデロンギのアイスクリームメーカーに投入する。お茶の味がさわやかな効いたジェラートになった。抹茶アイスとは明らかに違っていて、こちらの方は抹茶を使うより苦くないから、砂糖の量が少なくてすむ。こちらも成功。
続いて、クッキーの生地に茶葉を加えて、オープンで焼いてみる。おお、これはなかなかの出来。お茶の風味が生きていて、和菓子っぽい上品なクッキーに仕上がった。
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お茶アイス。味は悪くないが、抹茶アイスに比べると、茶葉が少し口の中に残る
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お茶クッキー。和洋折衷がいい具合に決まった
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● お茶を挽いて楽しむための入門に最適
試したレシピはどれもおいしかったので、料理に茶葉を活用するのは無理なく続けられそうだ。抹茶でも似たようなレシピはできるが、値段も高いし、茶道をたしなむ人でないとなかなか使い切れないだろう。お茶挽き器なら、家庭にある茶葉で手軽にできる。抹茶ほど苦くなく、使う分だけさっと挽けるので使い勝手もいい。
本格的な電動のお茶挽き器なら、茶葉をもっと細かく挽いて、おいしく飲めるようだが、料理用に粗く挽くなら一茶でもそれほど手間はかからない。「お茶を食べる」ための入門用に適した一品だ。
■URL
有限会社クラフトタナカ
http://www.rakuten.co.jp/crafttanaka/info.html
製品情報(楽天市場内同社直販サイト)
http://www.rakuten.co.jp/crafttanaka/1894222/1813341/
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