● 上腕部測定タイプの血圧計を探す
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ナショナル「EW3152」。設置面積は155×210mm(幅×奥行き)と、非常にコンパクト。重量は1.2kgと意外と軽い
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健康診断で、血圧が尋常ならざる値を示していることが判明した。20代の頃の不摂生がいまになって現れた形である。次の検診まで朝晩血圧を計るように──という医者の指示で、家庭用の血圧計を購入することになった。
機種選定の条件として医者から挙げられたのが、上腕部で測定するタイプであること。手首で測定するタイプは避けるべし、とのお達しである。正確さという点では、上腕部タイプ>手首タイプということらしい。
また、同じ上腕部に巻くタイプであっても、筒状の本体に腕を通すタイプと、自分でバンドを巻くタイプに大別される。後者は場所を取らずコンパクトに収納することが可能だが、いかんせん腕にバンドを毎回巻きつけるのが面倒である。特に今回の筆者のケースでは、一日に2回、朝晩測定する必要があるため、機材が机上に置きっぱなしになることはほぼ間違いない。計る場所といえばもっぱら自宅に限られると思われるので、ここは筒状の据置タイプをチョイスすることにした。
今回はさらに、少なくとも家族2人分のデータが本体内に保存できることと、設置面積がなるべく狭くて済むタイプであることを条件に追加し、医者から聞いた「1万円くらい」という予算を握り締めて店頭に向かった。
● レールを省略したコンパクトな「EW3152」
最終的に購入に至った製品は、ナショナルの「EW3152」である。上腕部で測定するタイプの血圧計だ。メーカー希望小売価格はオープンプライス。Amazon.co.jpでは12,300円で販売されているようだ。
競合となるオムロン、テルモの製品と比べて決め手となったのは、設置面積がもっともコンパクトであったこと。両社の製品は、上腕部を通した際に、ヒジから先を支えるためのレールが付属していて、前方に大きく展開する形状になっている。正確な測定を行うためにはこの形状のほうが望ましいと思われるが、今回は設置面積を優先し、レールが省略された形状のナショナル製品を選択した。
設置面積が少なくて済む理由はレール部だけではない。本製品は、血圧を表示する液晶パネルを折りたためる構造になっているため、使用時にだけ開き、ふだんはたたんでおくことができる。
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利用時は液晶パネルを右側に開き、さらに本体を奥に倒す必要がある
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背面から見た状態。ヒジから先は地面にべったりとつける仕組み。他社製品のようにヒジから先を支えるレールは付属しない
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正面から見た状態。ちなみにカフは洗浄できない
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また、今回チョイスした製品はACアダプタ駆動だが、他社製品は電池駆動だったり、あるいは電池/ACの両方に対応する代わりにACアダプタが別売りだったりするので、利用頻度が高い場合は電池タイプを避け、筆者がチョイスしたようなACアダプタ添付タイプを選ぶべきだろう。
● 2人分、90回分の血圧を記録可能。グラフ表示、データ書き出しには非対応
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運転を開始し、カフが膨らんだところ
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使い方は至ってシンプル。筒状のカフ(圧迫帯)に腕を通して「開始→終了」ボタンを押すと、エアによって内側がふくらみ、およそ30秒ほどで血圧および脈拍が表示される。測定が終了したら自動的に減圧されるので、文字通りボタン1つで測定が可能である。
液晶表示の右端には血圧サインが表示されており、WHO/ISHの血圧分類に基づいて値が高いとLEDで知らせてくれるようになっている。また、測定値が高血圧領域の場合、数字が点滅して知らせてくれるようになっているので、どの程度の血圧が正常か知識がないユーザであっても、的確な判断ができるように工夫されている。オレンジ色の液晶は視認性が非常に高く、視野角も広い。
「開始→終了」ボタンは電源ボタンの役目も果たしているのだが、このボタン、個人的にはやや分かりにくいと感じた。というのも、血圧を測らずに過去の記録だけを見たい場合、どのボタンを押してよいか戸惑ってしまうのである。ここで不意に「開始→終了」ボタンを押すと測定が始まってしまい、あわてることになる。ユーザビリティ的には、電源ボタンは独立して設けた上で、測定する際にはまず電源オン、その後腕を通してあらためてスタートボタンを押すという流れが妥当ではないかと思う。
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液晶表示はコントラストもはっきりしており、視認しやすい。血圧の高低が上下に表示される。ちなみにACアダプタを抜くと時刻を再入力する必要があるので注意したい
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上面には「開始→終了」ボタンと、緊急排気用のボタンが装備されている。全体的に操作系はシンプルだ
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肝心の血圧測定についてだが、姿勢を変えて何度か試してみたが、それなりに誤差は出る。説明書には、前屈みにならず胸を張る、手を浮かせない、機器本体を浮かせない、といった注意点が列挙されているが、その条件を守りつつ連続して測定しても、プラスマイナス5程度は変化する。
測定したデータは、本体内のメモリーに記録することができる。測定が終わってから1もしくは2のボタンを押すことによって、それぞれの番号別に記録されるという仕組みだ。ボタンを押さない場合はなにも記録されないままとなるので、ゲストが1回だけ計りたいという場合も問題ない。ちなみに測定値は90回分の保存が可能だ。
ちなみにメモリーが2人分であることからも、主に夫婦で使うことが前提の製品であることが分かる。競合製品では4名分記録できるタイプもあるので、家族構成に応じて使い分けるとよいだろう。なお、上位製品とは異なり、グラフ表示や、プリンタに出力する機能はない。
また、今回医者からも言われたことだが、起床後1時間というのは、早朝高血圧と呼ばれ、脳卒中などが発生する率が非常に高いのだそうだ。昨今の血圧計はこの早朝高血圧を測定する仕組みがついているが、本製品にはそれはない。また、血圧の平均値を朝と夜とに分けて出力する機能も省略されている。上位製品には装備されている場合もあるので、必要な場合はこうした製品をチョイスするのもありだろう。
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腕を通したところ。素肌で測定する必要がある
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個人的に、使い勝手に不満はない。常時出しっぱなしで戸棚の上に鎮座しているが、それほど邪魔になったり、存在を主張するといった感じではない。カラーリングについては、白く清潔感のあるオムロン、テルモ製品のほうがよかったと思うが、本製品の薄いブルーも、特に奇をてらっている感はない。
筆者のように、血圧を測り始めたきっかけが医者の一言だったという場合でも、毎日のように血圧を測るというのはそれなりに面倒な作業だ。なので、いちいちバンドを巻くタイプではなく、腕をスルッと通してボタンをピッ、という仕組みは非常に手軽でありがたい。バンドを巻くことがおっくうになっていつのまにか測定をやめてしまうことを考えれば、戸棚の上で多少の場所を食おうが、たいした問題ではないからだ。
これが3万も4万もすればまた別だが、価格も1万円半ばとリーズナブルなので、それほど高い買い物をしたという感覚はない。まだ使い始めて1カ月だが、一家に一台置かれているべきアイテムだと思った。
■URL
ナショナル(松下電器産業株式会社)
http://national.jp/
製品情報
http://ctlg.national.jp/product/info.do?pg=04&hb=EW3152
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2007/12/25 00:01
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