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家電製品レビュー
ダイキン「クリアフォース MCZ659-W」

~集塵/脱臭/加湿/除湿の4役をこなす空気清浄機
Reported by 平澤 寿康

クリアフォース MCZ659-W
 空気清浄機は、単純に部屋の空気をきれいにするためのものから、部屋の快適度を高めるためのものへと、徐々に位置づけが変わってきており、ホコリや花粉などの集塵機能だけでなく、消臭機能や加湿機能などが加えられて高機能化が進んでいる。

 そして、今回取り上げるダイキン工業の空気清浄機「クリアフォース  MCZ659-W」では、集塵、消臭、加湿だけでなく、ついに除湿機能までも備えるに至っている。これによって、どこまで部屋の快適性が向上するのだろうか。実際に試してみることにした。メーカー希望小売価格はオープンプライス。Amazon.co.jpでは72,930円だった。


水車で必要な分だけ水をくみ上げ、清潔性をキープ

 では、本体の構造から確認していこう。

 本体サイズは、638×395×290mm(幅×奥行き×高さ)。重量は16kgと、一般的な空気清浄機と比較するとかなり大きく重い。もちろん、空気清浄機と加湿器、除湿器を別々に用意することを考えると省スペース性には優れることになるが、単体だとかなりの存在感だ。

 とはいえ、これだけの大きさがあるおかげで能力はかなり優れており、適用床面積は、空気清浄機能が25畳、加湿機能が木造住宅和室で10畳、プレハブ住宅洋室で17畳、そして除湿機能が木造住宅和室で8畳、プレハブ住宅洋室で12畳、コンクリート造り洋室で16畳となっている。基本的には、10畳を超えるリビングなど、比較的広いスペースで利用するものと考えていい。逆に、6畳などの部屋で利用するには大きすぎるかもしれない。


本体右側面
背面
上部

 内部の構造は、本体前面パネル左右および下部の吸気口から部屋の空気を吸い込み、内部のフィルターでホコリなどの集塵と脱臭を、フィルター後部の加湿フィルター・除湿ユニットで加湿または除湿を行ないつつ、本体上部の吹き出し口からきれいな空気を吹き出すようになっている。加湿や除湿の構造が加わってはいるものの、一般的な空気清浄機とほぼ同等の構造と考えていいだろう。

 集塵用フィルターは、大きなホコリを取る最前列の「プレフィルター」と、細かなホコリを取る「プリーツフィルター」の2重構造となる。また、プレフィルターとプリーツフィルターの間にはプラズマイオンユニットが配置されており、このユニットで帯電させたホコリをプリーツフィルターで吸着、効率よく集塵できるように工夫されている。プリーツフィルターは約1年ごとに交換となるようだが、本体に標準で7枚添付されているため、つまり7年間はフィルターを別途購入せずに使い続けられる。これは嬉しい配慮だ。

 プリーツフィルターの背後には脱臭触媒ユニットが配置されている。このユニットでは、本体内部のストリーマ放電ユニットと合わせて、優れた脱臭能力が発揮されるという。ストリーマ放電を利用した脱臭機能は、ダイキンの他の製品でも採用されており、その優れた脱臭能力には定評がある。ちなみに、この脱臭触媒ユニット後部には、バイオ抗菌フィルターが取り付けられるが、こちらは別売のオプション品となっており、本体には添付されていない。


前面パネルを開けると、比較的大きなチリを取る緑のプレフィルターが見える プレフィルターの後方に、プラズマイオンユニットが配置される プラズマイオンユニットのさらに後方には、小さなホコリを取るプリーツフィルターが配置される。使用後の写真のため汚れている

プリーツフィルターは全部で7枚(うち交換用が6枚)付属している。当面の間は買い足しの必要はない プリーツフィルターの後方には、脱臭触媒ユニットが配置される ストリーマ放電ユニット。脱臭触媒ユニットと合わせ、優れた脱臭能力を誇る

付属の脱臭カートリッジ「ニオイとる~ぷ」。下駄箱のニオイ取りなどに活用できる 本体側面には、脱臭カートリッジ「ニオイとる~ぷ」を入れるスペースが用意され、ストリーマ放電ユニットを利用してニオイとる~ぷの機能を再生できる

 次に加湿および除湿機能。こちらは、フィルター後部の加湿フィルターおよび除湿ユニットを利用する。加湿機能は気化式と加熱気化式を組み合わせたハイブリッド方式を、除湿機能は乾燥剤を使って除湿するデシカント方式を、それぞれ採用する。加湿用の水を入れるタンクと、除湿した水を貯めるタンクは、本体底面のタンクを共用するようになっている。

 このタンクには円形の水車が取り付けられており、加湿時にこの水車で加湿フィルターへ水を汲み上げ加湿するという、特徴的な構造を採用している。これにより、加湿に必要な分だけ水をくみ上げるので、常に加湿フィルターが水に触れることがなくなり、長期間加湿フィルターを清潔に保つことができるのだ。一般的な加湿機能付き空気清浄機では、水タンクに水を入れると、加湿フィルターが常に湿った状態となり、稼働中は常に加湿されてしまうという問題があり、比較的短期間で加湿フィルターの汚れやにおいが気になるケースも出てくる。クリアフォースではその心配は少ないと考えていいだろう。


フィルター後方には、除湿ユニット(上部の円形部分)と、加湿フィルター(オレンジ色の部分)が見える 水タンク。加湿用の水を入れるだけでなく、除湿時の水を貯めるタンクとしても利用する 水タンクを本体から取り外したところ。最大で約4Lの水を貯められる

加湿フィルター
加湿フィルターは、本体右側面から取り出せる 円形の水車が水タンクから水を汲み上げ、加湿フィルターに供給する

多機能ながら、使うボタンは「1つ」だけ

操作ボタンは、基本的には電源ボタンと「おまかせ」ボタンの2個のみ
 これだけ機能が満載だと、利用時に操作が面倒になるのでは、と感じる人もいるかもしれないが、クリアフォースではその点も配慮されており、通常利用時にはたった2個――本体上部にある電源ボタンと「おすすめ」と書かれたボタンを押すだけで、最適な状態で運転できる。

 使い方は、まず電源ボタンを押し、その直後におすすめボタンを押すだけで、約1分間部屋の空気の状況をチェックし、その時の空気の汚れ具合と湿度から自動的に最適な風量、最適なモードを選択して運転する。空気清浄機は頻繁に電源を切るものではなく、長時間付けっぱなしで使うものなので、実際には「おすすめ」ボタン1個のみと考えてもいいだろう。

 風量や各モードを個別に指定して動作させる場合には、パネル下のボタンを利用する。用意されているボタンは、運転切替、風量、湿度、コースなど。このうち運転切換ボタンを押すことで、空気清浄運転のみ、空気清浄+加湿運転、空気清浄+除湿運転の全3モードに切り替えが可能。湿度ボタンでは湿度を、低め、標準、高め、連続の4種類に設定でき、それぞれに応じた除湿・加湿運転が行なわれる。

 また、コースボタンでは、室温に応じて比較的高めの湿度を保つ「のど・はだ加湿」、洗濯物の乾燥に適した「ランドリー乾燥」、加湿後に室温が下がると除湿を行ない、冬場の結露を防ぐ「ハウスキープ」、本体内部のカビの発生を抑える「内部乾燥」という4種類の特殊な運転コースを選択して動作させることも可能だ。他に、タイマーボタンと、吹き出し口のオートルーバーの動作を切り替えるボタンも用意されている。


パネルを開くと、運転モードや風量などを切り替えるボタンが備えられている 運転切換は、空気清浄、空気清浄+加湿、空気清浄+除湿の3パターンに変更可能。また、湿度や運転モードもそれぞれ4種類から設定できる 切タイマーやオートルーバーの動作を切り替えるボタンもある。右上の「表示調整」ボタンでLED表示の輝度コントロール(明・暗・消灯)ができる点は嬉しい配慮だ

【動画】電源投入時のオートルーバーが動作するようす(WMV形式,2.3MB) 【動画】風量を「しずか」→「標準」→「ターボ」へと変化させているようす(WMV形式,2.6MB)

 風量は、「しずか」「標準」「ターボ」の3段階に切り替えられる。また「花粉」モードでは、風量が5分ごとに「しずか」と「標準」が切り替わり、部屋の花粉を効率よく吸い取れるように工夫されている。風量ごとの動作音は、最も風量の少ない「しずか」ではほとんど気にならないほどだが、「標準」ではテレビが付いている状態でも気になってしまう。そして、最も風力の強い「ターボ」では、爆音に近い音がする。

 しかし、自動運転時に風速がターボになるのは、特ににおいやホコリがひどい時のみで、数分後には「標準」、または「しずか」へと切り替わる。長時間爆音が続くことはないので、心配する必要はないだろう。むしろ、しっかりと部屋の空気をきれいにしてくれていることの証拠であるため、安心感を得られるかもしれない。


加湿/除湿をしっかり判断。高め/低めの微調整は手動で

【動画】電源を入れ、おすすめボタンを押した時のようす(WMV形式,3.8MB)
 さて、実際に晴れて空気が乾燥している状態と、雨で湿度の高い状態でおすすめ運転を試してみたが、晴れの時には加湿、雨の時には除湿が自動的に有効となり、ほぼ思った通りの運転になってくれた。機能が満載とはいえ、あれこれボタンを押さずとも予期した運転を行なってくれるというのは、使う側にとってかなり嬉しい配慮だ。

 また、ホコリやにおいの変化はそれぞれ専用のセンサーで感知し、ホコリやにおいが増えると自動的に風量が強まるようになっているが、このセンサーはかなり敏感なようで、ホコリやにおいが少し増えただけでもすぐに風量が強くなる。この様子は、部屋の空気をしっかり監視しているというのが伝わってきて、非常に心強く感じた。

 ただ、いくつか気になる点もあった。

 まず、おすすめ運転時の湿度コントロールに関して。おすすめ運転は、ボタンを押して空気の状態をチェックし、その時点で最適な運転をするというものだが、その後室温や湿度が変化しても、運転内容の見直しは行なわれず、同じ内容のまま運転が続行されるのだ。


おすすめ運転時の湿度の変化。おすすめボタンを押したときの温度が高かったため「加湿自動運転(標準)」となり、翌日朝まで湿度40%~50%を保った
 例えば、おすすめボタンを押したときに、湿度設定標準での加湿自動運転が選択された場合、その後部屋の温度や湿度が変化しても運転内容が変わらないのだ。試しに昼3時頃におすすめボタンを押し、翌朝までの湿度の変化をチェックしてみたところ、ほぼ全ての時間帯で湿度が40%台だった。個人的には、どんな気温でも湿度は最低50%ほどでキープしておきたいと考えていたが、実際にはそれよりもやや低めでキープされていた。

 説明書によると、おすすめ運転時は室温に応じて湿度をコントロールするようになっており、室温が20度を切っていると湿度を55%に、20~22.5度では湿度を45%に、22.5~25度では湿度を40%になるように自動で加湿運転すると設定されている。そして、おすすめボタンを押したときには、筆者宅は室温が23度を超える状態だった。そのため、その後も常に湿度が40%台とやや低めになっていたわけだ。もちろん、湿度が40%を下回ることはなかったため、本来の設定通りしっかり機能していたことになり、逆に動作自体は全く問題がなかったことが裏付けられている。

 ちなみに、ホコリやにおいはすぐに反応し、風量が切り替わるので、おすすめ運転はその時点での温度と湿度をチェックして、加湿運転または除湿運転を切り替えるためのものと考えていいだろう。湿度が低い、または高いと感じたときには、おすすめボタンを押して運転内容を見直してやればいいわけだが、その時の室温が高いと、どうしても湿度40%ほどでキープする運転となってしまう。

 実際に、湿度が低いと思って何度かおすすめボタンを押したことがあったが、加湿運転に切り替わることはなく、手動で加湿運転に切り替え高めの湿度に設定しなければならなかった。もちろん、やや高めの湿度がいいという場合には、手動で加湿運転に切り替えるか、のど・はだ加湿モードを利用すればいいのだが、それではせっかくのおすすめボタンが役に立たなくなるわけで、ちょっと残念だ。おすすめ運転にも、湿度高め、低めといった複数の設定が用意されていると良かったように思う。


 また、除湿運転時に室温が高くなる点も気になる部分だ。これは、除湿方式にデシカント方式を採用しており、除湿ユニットが吸い取った湿気を取り出すのにヒーターを利用するという構造上、仕方のない部分ではある。しかし、気温の高い梅雨時から夏場などは、より室温が高くなってしまうために、使うのをためらってしまいそうだ。デシカント方式は気温の低い冬場でも優れた除湿能力を発揮するという利点があり、冬場の洗濯物の室内干しにはかなりの威力を発揮してくれる。クリアフォースの除湿機能は、秋から冬、春にかけて利用するものと考え、梅雨時から夏場はエアコンの除湿機能を利用するといった使い分けをすれば、有効に活用できるはずだ。

 もう一点、除湿運転を行なった後に加湿運転を実行すると、タンクの水を捨てるように指示され、タンクを再度取り付けるまで運転が停止する点も指摘しておこう。これは、加湿時の水を貯めるタンクと除湿時の水を貯めるタンクを共用しており、除湿時に溜まった水を加湿用として使ってしまわないための措置だ。少々面倒に感じるかもしれないが、除湿で溜まった水を加湿に使うのは衛生面でよろしくないことなので、こういった措置がとられていることは素直に歓迎したい。おすすめ運転時には加湿と除湿を自動的に切り替えるようになっていないのは、この仕様のためだろう。


豊富な機能をボタン1つで動かせる使いやすさは魅力

 いくつか気になる点があるものの、全体的には満足できる製品と言っていい。においやホコリセンサーの感度が良く、少しでもホコリやにおいが強くなると風量が上がっていち早く空気をきれいにしてくれるし、基本的にはおすすめボタンのみで加湿や除湿のコントロールが行なえるなど、豊富な機能を簡単に利用できるように考慮されている点も好感が持てる。

 そして何より、空気清浄機、加湿器、除湿器を別々に用意することなく、これ1台で全てまかなえる点は非常に大きな魅力だ。すでに加湿器や除湿器を持っている場合でも、省スペース性や使い勝手の向上を考えると、クリアフォースを導入するメリットは大きいはず。これから加湿機能付き空気清浄機を購入しようと考えていた人や、空気清浄機の買い換えを考えている人など、幅広い人におすすめしたい。





URL
  ダイキン工業株式会社
  http://www.daikin.co.jp/
  ニュースリリース
  http://www.daikin.co.jp/press/2007/070529/index.html
  クリアフォース 製品情報
  http://www.daikinaircon.com/ca/2007new_ca/index.html
  空気清浄機/加湿器関連記事リンク集
  http://kaden.watch.impress.co.jp/static/link/air.htm

関連記事
ダイキン、除湿/加湿/脱臭/集塵が1台でこなせる空気清浄機(2007/05/29)


2007/11/26 00:02

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