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貝印「Bird」
~立てて収納できる“鳥形”キッチンばさみ
Reported by 本誌:伊藤 大地
貝印「Bird」
正直なところ私はこれまで、キッチンばさみの存在意義をあまり認めていなかった。
というのも、焼き海苔だの、調味料だのの封を開ける際に使う程度で、あまり活躍の場がない。しかも、最近の包装材は切り口やマジックカットがあり、ほとんどが手だけで封を切れるようになっている。仮にそうでなくても、手近にある包丁で切り口をサッと入れてしまうことが多かった。これでは、キッチンばさみの出番はそうそうこない。
ところが、韓国に行ってからというものの、キッチンばさみへの考え方は180度変わった。そう、肉だろうと野菜だろうとキノコだろうと、ハサミで細かくして焼いたり煮たりする、あの楽ちんな調理スタイルに衝撃を受けたのである。
しかし、ただのキッチンばさみを買ってもつまらない、そう思って探し当てたのが今回紹介する貝印の「Bird」だ。希望小売価格は4,200円。楽天市場での購入価格も4,200円だった。
このキッチンばさみ、通常のハサミに足がついており、立てて収納できる独特の形状が特徴だ。立てた状態の姿を見ると、刃先がくちばし、取っ手部分が胴体、確かに鳥のように見える。収納の基本は「積まずに立てる」というのはよく言われることだが、まさか、立てられるハサミが現れるとは、思いもよらなかった。まさにコロンブスの卵というやつだ。それもそのはず、この製品、プロダクトデザイナーの梶本博司氏の手によるもので、2005年度のグッドデザイン賞を受賞している。
パッケージに入っている様子。グッドデザイン賞を受賞しているだけあってスタイリッシュだ
取っ手に指を通した様子
本当に、結果からいってしまえば、ただ足を付けただけなのだが、これが使い始めると、なかなか便利。まず、炊事をしている最中のキッチンは、さまざまな食材、食器、調理器具が所狭しと並び、場所がなかなかない。壁面にネットを付け、フックにかける収納はよくある手だが、炊事の忙しい際に、わざわざ壁面に戻すのは面倒。しかしBirdなら、シンクのフチや、壁際のちょっとした隙間に置いておけるのだ。もちろん、足の付いていない側のフックを使えば、壁に掛けて収納することもできる。
立てておくと、使いたいときにすぐにスタンバイできる点も魅力だ。たとえば、通常のハサミだと厚みがないので、卓上に置いてある状態だと、ハサミの全体を指で挟むようにつかんだ後、さらにフックに指をかけるため、持ち直さなければならなかった。
しかし、Birdの場合、取っ手に直接、指を通してしまえば、すぐ切れる状態になる。ハサミを取るという動作と、切る体勢を整える動作が、いっぺんに行なえるのだ。こうした利点が、特に鍋物や鉄板焼きでは重宝する。両手を使ってハサミのスタンバイをせずに、左手で食材をつかみ、右手でサッとBirdをつかみ、ジョキジョキ刻んで焼いたり、煮たりできる。ハサミを置く、再び手にとって使う、この繰り返しが劇的に楽になるわけだ。また、食材を切る刃がテーブルの面に触れないので、衛生面でも優れている。使っていると、一見、奇をてらったように見えるデザインも、きちんと理由があることがわかる。
置いた姿は鳥のように見える
シンクのフチにも問題なく置ける
なお、ハサミとしての切れ味は申し分ない。使い始めは、切る際に足がジャマに感じることもあったが、慣れるとそれも感じなくなる。グリップ部分はゴムのようなエラストマー樹脂でできており、しっとりと手になじむ感触だ。指をかけるフックはかなり大きめ。大柄な人でも窮屈に感じることはないだろう。
手入れが簡単なのも、汚れやすいキッチン用具として評価できるポイントだ。全ての部品が110℃まで耐えられるため、食器洗い乾燥機が使える。肉類など脂モノにも気兼ねせず使える。
というわけで、我が家の食卓、台所には欠かせないグッズになっている。一般的なキッチンばさみの倍以上となる価格さえ納得できれば、オススメできるアイディア商品だ。
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URL
プロダクトデザイナーのKai House
http://kaihouse.jp/
貝印株式会社
http://www.kai-group.com/
Good Design Award
http://www.g-mark.org/search/Detail?id=31221&lang=ja
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