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家電製品ミニレビュー
象印マホービン「VE電気まほうびん CV-PX40」

~光センサー制御と魔法瓶のダブルで省エネ
Reported by 本誌:伊藤 大地

VE電気まほうびん CV-PX40
 お湯を扱う電気製品として、なじみがある製品といえば、やはり電気ポットだろう。

 ところが近年、市場の縮小傾向が激しいという。あまり使われなくなっているのは、ライフスタイルの変化もあるのだろうが、見逃せないのが、省エネ意識の高まりだろう。沸いたお湯を電気を使って保温し続けておくことに、なんとなく抵抗を感じてしまう、といったところではないだろうか。

 そうした流れもあってか、電気ポットの性能競争も焦点となっているのは省エネ性能だ。特に上位機種では、1W単位で消費電力が小さいことをアピールしている。そんな中、購入したのが象印マホービンの「VE電気まほうびん CV-PX40」だ。同社の数ある電気ポットの中でも最上位の機種で、光センサーを搭載し、周りが暗くなると保温ヒーターをOFFにする省エネ機能を搭載しているのが特徴だ。希望小売価格は25,200円。ヨドバシカメラでの購入価格は18,800円だった。

 この電気ポットの最大容量は4L。電動給湯式を採用し、ポンプ式のように、手で何回もボタンを押して給湯しなくても良い。単三型の電池を2本入れておけば、電源ケーブルを外した状態でも電動で給湯できる。本体には液晶画面が付いており、25~100℃の範囲で、5℃刻みでお湯の温度を表示できるようになっている。

 使い勝手は非常にシンプルで、お湯を入れて電源コードをつなぐだけでお湯が沸く。保温温度は98/90/80/60℃の4種類から選択できる。


液晶画面では、25~100℃の範囲内で、5℃刻みでお湯の温度を表示する 本体に単三電池を2本入れておけば、電源ケーブルを外しても電動で給湯できる 水量を表示する窓も用意されている

 さっそく、消費電力を計測しながら、使ってみよう。

 まず、お湯を沸かす作業だが、この際の定格消費電力は905Wとなっている。実測値は850W前後で、4Lのお湯が沸騰するまでの時間はぴったり30分だった。消費した電力量は0.43kWh。電気料金に換算すると9.46円ということになる。扱うお湯の量や使い方がそもそも違うが、一定量の水を沸かすスピードだけでいえば、1,000W以上をかけて一気に沸かす電気ケトルの方に軍配が上がる。

 しかし、電気ポットの本領は保温にある。CV-PX40では、98/90/80/60℃の4つ。ヒーターをまったく使わない「まほうびん」モードも用意されている。標準設定は、温度の高さと、省エネ性を兼ね備えた90℃。ちなみに取扱説明書では、コーヒーや紅茶、カップラーメンを作るには98℃を、日本茶を淹れるには80℃を、赤ちゃんのミルクを作るのには60℃を推奨している。

 保温時の定格消費電力は98/90/80/60℃の設定で、それぞれ約16/12/11/7W。24時間30日、保温し続けた場合の電気料金は、約253/190/174/111円ということになる。実際にワットチェッカーで8時間、保温したときの平均消費電力を計測してみると、90℃で11.7W、80℃で10.2W、60℃で5.2Wと、ほぼ定格消費電力通りの結果になった。


沸騰時の電力を計測したところ、850W前後だった 消費電力量は0.43kWh。電気料金に換算すると、約9.46円になる

 次に、部屋が5ルクス以下の明るさになると、自動でヒーターをOFFにして節電する「光省エネモード」を使用した。このモードでは、15ルクス以上の明るさになると通常モードに復帰し、設定した温度までお湯を温め直すモードだ。

 まず、光センサーをテープで目張りしてテストを開始。7時間半後にテープをはがし、設定温度に復帰させ、8時間経ったところで消費電力を計測。平均値を求めたところ、90℃で9.2Wh、80℃で8.4Wh、60℃で4Whだった。使用していないときと比べると、約15~20%程度の省エネ効果が得られたことになる。


ポットは断熱材で覆われた魔法瓶の構造なので、保温性が高い
 結果だけをみると、消費電力量の差は非常に小さいが、これはポット自体が断熱材で覆われた魔法瓶の構造になっており、もともと保温性が高いためだろう。沸かした後、8時間、保温せずに放置しておいても、液晶表示は80℃だった。つまり1時間につき、下がる温度は2~3℃でしかない。このわずかに下がった分だけ、暖めるだけなので、消費電力が少なくすむというわけだ。

 購入する前は、ここまで保温力が高いとは思っていなかった。実は、この製品は子供のミルクを作るために購入した。ミルク作りのためにお湯を沸かし、冷ます手間を省くためだ。こうした用途では60℃の保温設定を使うわけだが、沸かして2~3時間も経てば、すぐに60℃くらいになるだろうと思っていた。

 しかし、思った以上に保温力があり、夜の12時に沸かして、保温機能をオフにしても、60℃になるのは翌朝だ。今では、お湯が沸いたらフタを開けて、70℃近くまで冷ましてからフタを閉めて対応している。


【動画】本体操作パネルの「給湯」ボタンを押すと、お湯が流れる(WMV形式、約256KB)
 保温力と省エネ性能についてはかなり満足しているのだが、逆に不便に感じるのは、お湯の出る量が少ないことだ。お茶を飲んだりする程度ならば問題ないのだが、スパゲッティを茹でるために鍋にお湯を入れる場合など、リットル単位でお湯を出そうとすると、かなり時間がかかり、いらいらさせられる。電気ポットの場合は湯飲みやティーカップに注ぐことが前提となっているせいだろう。電気ケトルの場合は口が大きく、大量のお湯も注ぎやすい。想定している用途が微妙に異なる点も電気ポットを選ぶか、電気ケトルを選ぶかの分かれ道になりそうだ。

 全体的には、魔法瓶の保温力が基礎にあり、さらに消費電力を削減する付加機能として、光省エネモードやタイマー機能を加えたという印象だ。製品情報ページでも、真っ先に紹介されているのは魔法瓶の構造であり、この点はさすが専業メーカーというべきだろうか。

 個人的には、光省エネモードが気に入っている。普通のタイマーは、自分で設定しなければ節約効果がないが、周りの明るさで自動制御してくれるこの機能は、勝手に節約してくれるので何も考えずに利用できる。消費電力を半分にするような派手な機能ではないが、長く使えば使うほど、その差が現れる実用的な機能だろう。

 旧世代の電気ポットを使っていて、電気代が気になっていた人に強く勧めたい一品だ。





URL
  象印マホービン
  http://www.zojirushi.co.jp/
  製品情報
  http://www.zojirushi.co.jp/syohin/electricairpot/CVPX.html

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2007/01/22 00:00

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