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NEW発芽名人DX
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NDKジャパン株式会社の「NEW発芽名人DX」(以後名人DXと表記)は、発芽玄米も炊飯可能な炊飯ジャーだ。1.7気圧の高圧力を利用し、炊飯のほかシチューや煮込み料理用の電気圧力釜としても使用できる。
NEW、と付くからには前モデル(以後発芽名人と表記)もあって、そのときのレビューはこちらに掲載されている。
今回は、発芽名人との違いを踏まえながらレポートをお届けする。
● 前モデルとの違い
名人DXは、発芽名人の最大のセールスポイント「1.7気圧の高圧炊飯が可能」、「発芽玄米がおいしく炊ける」を引き継ぎつつ、機能強化を行なったモデルだ。炊飯量は最低2合、最高5合と、この部分は変わらない。市場価格は18,000円~26,000円前後と、発芽名人より高めの価格で販売されている。
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発芽名人DXの側面
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反対側の側面
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背面。天面にある圧力弁さえ見なければ、まるで普通の炊飯器のようだ
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発芽名人からの機能強化点は3つある。1つはコードリールで、発芽名人では手巻き(1.4m)だったのが、名人DXでは掃除機などによく搭載されている自動巻き(1m)に変更された。実際に使ってみるとわかるのだが、コードが手巻き、しかも本体の底に巻きつけてコードを収納するのは結構大変だ。発芽名人自体の重量が5kg弱あるため、この変更はありがたい。
2つ目は前面パネルの表示だ。発芽/炊飯/保温など、その時の状態に応じてパネルのバックライトの色が炊飯なら赤、発芽なら緑という具合に変わる。また、発芽名人では“TIME SETTING”や“COOKING”などの英語表記だったが、名人DXでは日本語表記に変更され、より炊飯器らしい表示となっている。
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自動巻きになった電源コード
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炊飯中は、バックライトの色が赤になる
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発芽中は緑色になる。表記は日本語パターンに変更された。ただし、3時間は「3h」と表示されるなど完全ではない
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3つ目は炊飯メニューだ。発芽名人では白米の炊飯メニューは「高圧/低圧」の2つだったが「もちもち/柔かめ/ふつう」の3パターンに変更されている。この3パターンは何がどう違うのだろうか。
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内釜の見た目は発芽名人と同じ
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中の目盛りが「もちもち/普通/柔かめ」に変わっている
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● 弾力のある「もちもち」。「柔かめ」にはやや疑問
さっそく、もちもち/柔かめ/ふつうの3パターンで炊飯を行ない、それぞれを比較した。米と水は同じものを使用し、2合ずつ炊飯して試食した。
まず、「ふつう」だが、これはたぶんどこの家庭でも出てくるであろう、ごく普通の白飯だった。「もちもち」で炊飯すると、味は変わらないものの、確かに弾力のある歯ごたえが楽しめる。発芽名人のレビューでも「もち米を混ぜて炊いたような」とあるが、まさにそのとおりの食感だ。
気になったのは「柔かめ」で炊飯したとき。炊き上がったものは柔らかめ、というより明らかに水分の多い、べしゃっとした感じの白飯だった。水加減を間違えたのかと思い、米を古いものに変え、少し水を減らして炊いてみたのだが、それでもべしゃっとした食感に炊き上がる。好みの問題もあるだろうが、柔らかく、ではなく柔らかめに炊くつもりなら、古米でも目盛りより水を減らすか、米を水につけておく時間を少なめにしておいたほうが良いだろう。
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こちらは「もちもち」で炊飯したご飯。弾力のある食感
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「柔かめ」で炊くと、一見普通だが水分多目の柔らかいご飯になる。左の「もちもち」と比べ、水分が多いので同じ光源下でも色がより白っぽく、ふやけて見える
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● 発芽玄米を炊く
単なる玄米の炊飯ならば、普通の炊飯器でも一応可能だ。玄米を12時間ほど水につけた後、炊飯すればよい。
というので実際に普通の炊飯器で玄米炊飯を行なった。炊き上がりはうーん、なんだか妙に固くてぬかくさいご飯、というものだった。
名人DXでは玄米を発芽させ、そのまま炊飯に移行できる。発芽の設定時間は4/5/6時間から選べるほか、発芽のみのモードも用意されている、この手順は、発芽名人の時とまったく変わらない。発芽炊飯モードではタイマー炊飯は利用できない、というのも同じだ。
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6時間発芽に設定
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発芽した玄米はツノが出ている
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炊飯した発芽玄米
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玄米は発芽させることで、白米に比べ食物繊維やGABA、ビタミンB1などの量が増え、健康に良いとされているが、実際に発芽米を購入しようとすると白米より割高だ。
発芽玄米を食べるのは初めてなので、ああだこうだというのは置くが、普通の炊飯器で強引に玄米を炊くよりもぬかくさくない。何より、発芽玄米が手軽に炊けるというのがありがたい。精米機のときに持ち帰った玄米がまだあるので、名人DXで炊飯して積極的に食べようと思った。
● 説明書に記載されない2モデルの違い
編集部から発芽名人を借りられたので、実機を並べて2モデルの違いを比較した。
どちらも圧力弁が天面にあるものの、その外観はまったく異なっている。2台並べて見ると、名人DXは後継機というより別製品のようだ。発芽名人は圧力鍋に見えなくもない腰高な形状だが、名人DXは最近の炊飯器を意識したようなカラーリングを取り入れ、重心も低めだ。
ふたを開けてみると、内部は2モデルともほぼ似たり寄ったりの構造となっている。内ふたは発芽名人では全面にディンプル(くぼみ)が散らされているが、名人DXはフラットだ。
内釜はどちらもプラスチックの持ち手のついたものを内蔵しているが、表面のコーティングが若干異なる。発芽名人はつるっとしているが、名人DXはややざらついた手触りだ。何度か名人DXでもちもちモードで炊飯を行なったが、焦げあとはつかなかったので、何らかの改良が施されているのかもしれない。
内釜の目盛りは発芽名人では1カ所だったが、名人DXは向かい合わせに2カ所用意されている。
炊飯の目盛りはそれぞれのメニューに対応したものが記載されている。これを見ると発芽名人の「高圧」メニューが名人DXの「もちもち」に相当するようだ。
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新旧発芽名人を並べてみる。生産国の違いもあるが、外観はまったく異なっている
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右の発芽名人の内ふたは、全面にディンプルが散らされているが、名人DXはフラット
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コーティングが異なる内釜。目盛りはメニューに対応した表記
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名人DXのもちもちで炊いてみたが、焦げつかなかった
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左が名人DX、右が発芽名人を使用して炊飯したもの。味も弾力も炊け具合もまったく同じだった
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新旧発芽名人を用いて、炊き比べてみた。米は以前レビューした精米機で玄米から白米に精米。共に2合ずつ使用し、同時に炊飯を行なった。炊飯モードは名人DXは「もちもち」、発芽名人は「高圧」モードに設定した。
どちらもほぼ同じ時間に炊き上がったので、試食を行なった。味も弾力もまったく同じで、少なくとも筆者には違いを見出すことはできなかった。
● 機能追加も、炊き上がりの味にはあまり関係なし
使い勝手の向上や表示の変更など、前モデルより炊飯器らしくなった本製品だが、実際に炊き比べてみるとその差にあまり違いを感じない。炊飯中に蒸気が機関車のごとく吹き出すのも変わらない。
すでに発芽名人をお持ちであれば乗り換えるほどではない。付加機能を持つ炊飯器としては比較的安価な価格設定のため、白飯の炊きわけや発芽玄米に興味があるなら、購入を検討してもよいのではないだろうか。
■URL
日本電子工業株式会社
http://www.nihondenshi.co.jp/
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2006/11/20 00:03
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