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そこが知りたい家電の新技術
日立 掃除機「パワースター きれい宣言 CV-PK500」

~紙パックできれいな排気を追求した掃除機
Reported by 田村 安史

排気のきれいさで世界一を目指す

CV-PK500
 クリーナーという道具に、求められているものは何か。消費者にアンケートをとると、回答でもっとも多数に及ぶのが「吸引力」。もっと具体的に言い換えれば、「目の前に見えているチリがしっかりと、かつ簡単に取れること」である。

 その一方、近年、回答として増えているのは「きれいな排気」。従来は、クリーナーをかけて清潔にしたはずが、目に見えない小さなチリがクリーナーを素通りして排気とともに勢い良く巻き上げられ、かえって室内の環境を汚すことがままあった。それが呼吸器や目などに入ればアレルギー症状なども引き起こす。そうしたことがないように、とのニーズである。

 もともと、クリーナーの目的は、生活空間をきれいで清潔にすることである。目に見えるチリがすっかり取れれば、確かに気分はいい。だが、実際には、ダニの死骸や糞、割れた花粉、細菌などといった目に見えないほど小さなチリのほうが、人体に与える害は、はるかに大きい。それらが取れずに、かえって空気中の浮遊量を増やしてしまうようでは、クリーナーの本来の目的には適わない。いかにしっかりと細かなチリまでを捕集できるかで、目的に対するクリーナー本来の「性能」が決まるといって過言ではない。

 日立が、新たに追加した紙パック式の最上位モデル「パワースターきれい宣言(CV-PK500)」で目指したのは、その「性能」の頂点。世界一のクリーンさである。

 これまでの同社の製品でも、主力のラインアップは1μm(マイクロメートル)以上のチリに対して捕塵率は99.9%。チリが大きくなるほど捕塵率は高まるから、目に見えるチリを逃さないのはもちろん、ダニ(300μm前後)、花粉や胞子(50μm前後)や細菌の一部といったチリまでは、基本的に、そのほとんどを逃さない。1μmより小さいチリも、多くは取ることができる。

 が、アレルギーの専門医が推奨するのは、0.3μmのチリまで取れること。従来の主力機でも対応はしているが、その0.3μmというラインにおいてより高い捕塵率を確保できるほうが、理想的であり、またクリーンさを重視する利用者も強い安心が得られる。

 そして設定されたのが、0.3μmで99.999%というきわめて高い捕塵率。もっとも小さな細菌でも10万個のうち1個を逃すか逃さないか、0.1μm前後のウィルスでも99.99%は捕らえようかというオーダーである。

 これは「そこに人間などというゴミだらけのものに入られては困る」という先端の半導体工場のエアフィルター性能にも匹敵する。つまり、クリーンルームと同じくらい不純物のない空気しか排出しないクリーナーということになる。


アクアマリン
ルビー
シャンパン

捕塵性を上げ、かつ吸引力も上げるという難題

日立アプライアンス 家電事業部 部長代理 中島浩明氏
 では、そのために日立は何をしたのか。

 現在のクリーナーの多くは、空気の吸い込みによって、紙パックまたはサイクロンのカップに、沈降性のあるチリ、つまりディスポーザブルなゴミを集める。吸い込まれた空気は、そこを通り抜けると、モーターや回路基板など内部の発熱性のある部分の冷却に使われてから、機外へと排気される構造をとっている。

 紙パックの捕塵率をひたすら高めればいいようにも思えるが、そう単純ではない。「捕塵率を高めれば高めようとするほど、一般に圧力損失が大きくなって空気の流れが悪くなる。つまり吸い込みが弱くなってしまいます。吸い込む力の強さは多くのお客様が望まれることですから、いかに吸込仕事率の高さを確保しながら、それと相反する捕塵率を高めるかが課題でした」(日立アプライアンス 家電事業部 部長代理 中島浩明氏)。

 クリーナーが空気清浄機と違うのは、目に見えるゴミやチリも集めなければならないこと。やみくもに目を細かくしても、取ったゴミやチリでのパックの目詰まりも増える。十分な吸い込み仕事率が確保できなければ、目の前のチリが取りにくくなり、顧客にも好まれない。また、モーターの日立を自負する同社の主力モデルは毎分45,000回転もの速度でモーターが回る。これを常温に保つよう冷却するにも十分な空気の流れが欠かせない。

 「もっとも、この新しい紙パック単体でも99.9%は取れるようになっています」。新採用の「ナノテクスーパープレミアム衛生フィルター」と呼ばれる紙パックは、内側からナノチタン・ナノポーラスゼオライト消臭・抗菌層、超極細強力帯電層、特殊強化層の3層からなり、3段構えで立体的に捕塵する。

 中でも捕塵率を高める鍵となっているのが、従来よりもその力を増しているという帯電層だ。フィルターの目の細かさだけでなく、静電気の力でチリを強力に引き寄せる。「帯電のいいところは、チリがフィルターに引き寄せられると、そのチリも帯電して新たなチリを引き寄せる。つまりチリ同士がくっついて、取れるということなんです。フィルターのメッシュにばかり集中しないので、空気が流れる隙間を残したまま取れる。だからゴミがたまっていっても吸い込む力が極端に落ちたりしないんです」。

 しかし、もちろんそれだけでは、0.3μmの捕塵率99.999%には届かない。1μm以上のものはほとんどをとらえるが、より微細なものは、一部が空気とともに通り抜けてしまう。また、冷却のためにモーターを通る際、モーターの摺動部から出るわずかな煤も排気に混じる。

 それらを抑えるため、サイクロン式でも紙パック式でも、排気口の部分にフィルターをつけるのが一般的だ。が、「排気口にフィルターをつけても、空気は隙間さえあれば逃げていきます。車輪の軸の部分や、電源コードの出入り口などです。そうした流路もあったほうが、吸い込む力や冷却性は維持しやすい。しかし、この捕塵率を達成するには、そこにまっすぐ逃すわけにはいきません。そこで、まず、モーターをそっくり樹脂で包みました」(同)。


99.9%の捕塵率を誇る高性能の紙パック モーターがケースで包まれている つづら折りになっているフィルターが、紙パックを抜け出たチリをキャッチする

 紙パックを抜けた空気は、さらにナノチタンフィルターを経由してからモーターに吸い込まれる。樹脂ケースにより、ほかに漏らさずにモーターだけをまず冷却。そして、本機の核心へと導かれる。プラズマHEPAエンジンがそれだ。十分な表面積を持たせたHEPAフィルターによるろ過と、直前に設置したプラズマ放電ユニットによる帯電とを組み合わせた高性能フィルターである。

「ここを通してクリーンにしてから、回路基板やコードリールの冷却にもまわし、さらにもう1段のナノチタンフィルターを通して排気をするしくみです」(同)。

 吸い込まれた空気は、すべて紙パックの「ナノテクスーパープレミアム衛生フィルター」と「プラズマHEPAエンジン」、そしてさらにいくつかのナノチタンフィルターを通る。フィルターに練りこまれたナノチタン触媒には、以前の低価格機などに利用例があった抗菌剤を使わずして、安全な除菌効果があることも見逃せないだろう。排気は分散して上方に排出するため、周囲の床のチリも舞い上げない。

 そんなクリーンな流路の形成が、アリの這い出る隙間もないどころか、0.3μmのチリも99.999%逃さない、世界一清潔なクリーナーを成立させたというわけだ。

 ほかの製品のように1μmで考えれば、99.9%に対して99.9999%。単純に計算すると、100万個吸い込んで通り抜けるのが1,000個から1個に減るほどの違いだから、まさに圧巻の高性能というべきだろう。


横方向にも分散排気し、床のホコリを巻き上げないような仕組みになっている ボディ背面。上部に排気口がある

LEDは光の演出だけでなく、フィルターの消臭効果もある プラズマでプラス帯電したホコリをキャッチする仕組みを採用 ボディのすみずみまで、空気が出るところにはフィルターが搭載されている

目詰まりを防ぐ、「3面ブルッとロボ」

 CV-PK500は、同社のラインアップで、もちろん最高級機。そのため、同社の主力モデルが持つ使いやすさへの配慮も、きっちりと施されている。

 たとえば、薄力粉などの粉ゴミを吸い込むと、紙パックはとたんに目詰まりしてしまうものだが、内部で3面からパックを叩き、そうした目詰まりを解消する機構を搭載。主力機では、電源コードの出し入れのときにかかる力で叩くが、本機では専用のモーターを搭載し、吸い込みのスイッチをオフにすると電動で数秒叩かれて、より手軽に安定した吸引力が得られるようにしている。

 また、自走式のヘッドのブラシまわりの構造を工夫し、糸くずや髪の毛がからみにくいようにした「からまん機能」や、からんだような場合でもワンタッチでブラシが着脱できる仕組みなども採用。スイッチを入れると点灯するLEDは単なる電飾ではなく、そのスペクトル特性を利用してナノチタンの消臭効果の促進にも使うなど、至れり尽くせり。外観上は同じように見えても、性能でも機能でも、まぎれもなく高級機に仕上げられている。

 従来、クリーナーをかけるときは窓を開けて空気を入れかえながらが一般的だったが、花粉などのアレルギーを持つ人にとっては、そうもしにくい。といって、開けないとクリーナーの排気に悩まされがちだった。ここまで排気がクリーンな製品の出現は、そうした憂鬱さを和らげ、掃除を楽しくしてくれそうだ。


紙パックを3方向から叩いて目詰まりを防ぐ 下側、前面に紙パックを叩くハンマーを搭載 紙パックのメンテナンス機構のために、独立したモーターが用意されている

ヘッド
パーツはすべて外れるようになっている 爽快な操作感を得るため、自走式になっている

【動画】紙パックの自動メンテナンス機能が動作する様子(WMV形式, 564KB) 【動画】紙パックを取った状態(WMV形式, 641KB)




URL
  日立アプライアンス株式会社
  http://www.hitachi-ap.co.jp/
  ニュースリリース
  http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2006/09/0929.html
  製品情報
  http://kadenfan.hitachi.co.jp/clean/lineup/pk500/index.html

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日立、捕塵率99.999%の紙パック式掃除機(2006/10/02)



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2006/11/14 00:05

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