家電Watch logo
記事検索
バックナンバー
【 2009/03/27 】
第40回:電動歯ブラシとは
[00:03]
【 2009/03/06 】
第39回:空気清浄機とは
[00:02]
【 2009/02/27 】
第38回:体組成計とは
[00:08]
【 2009/02/20 】
第37回:歩数計とは
[00:02]
【 2009/02/13 】
第36回:運動量を測る「メッツ/エクササイズ」とは
[00:02]
【 2009/02/06 】
第35回:除菌・消臭効果を謳う「イオン機能」とは
[13:23]
【 2009/01/30 】
第34回:省エネ性能カタログとは
[00:02]
【 2009/01/23 】
第33回:電動アシスト自転車とは
[00:02]
【 2009/01/16 】
第32回:温水洗浄便座とは
[00:04]
【 2009/01/09 】
第31回:燃料電池とは
[00:03]
【 2008/12/19 】
第30回:太陽電池とは
[00:06]
【 2008/12/12 】
第29回:充電池とは
[00:03]

第26回:赤外線とは(前編)



 我々が普段利用している家電製品では、赤外線を搭載している製品が非常に多くなっています。例えば、テレビやDVDレコーダー、エアコンなど、家電機器を離れた場所から操作するリモコンは、そのほとんどが赤外線を利用しています。また、調理器具や暖房器具では、調理や暖房を実現するキーワードとして「遠赤外線」を謳う製品をよく見かけます。

 データ通信から暖房まで、家電業界に何かと顔を出すこの「赤外線」とは、いったいどのようなものなのでしょうか。今週と来週の2回にわたって解説します。


赤外線はリモコンの通信に使用されている(※1) その一方で、オーブンレンジでの加熱調理や、電気ストーブなどの暖房にも利用されている(※2)

目に見えないのになぜ「赤」い?

 赤外線とは、ごく簡単に言ってしまうと、目に見えない電磁波のことです。逆に、目に見える電磁波は可視光線と呼ばれますが、これはつまり「光」のことです。可視光線には電磁波の波長の長短によって目に見える/見えないの境界があり、この範囲内が可視光線、範囲外のものが赤外線などの不可視光線となります。

 可視光線の中で最も電磁波の波長の長いものは赤色の光となっており、波長は700nm(ナノメートル)前後です。それに対し赤外線は、波長が780nm以上とさらに長く、このため人の目では確認することがほとんどできません。赤外線は、この赤色の光よりもさらに外側に波長が存在していることから「赤外線」と命名されています。赤外線よりも波長の長い電磁波には、電子レンジの加熱で利用される「マイクロ波」、テレビやラジオの電波に使われる「ラジオ波」があります。

 ちなみに、可視光線の中で最も波長が短いものが紫色です。このため、これよりも短い波長の電磁波が「紫外線」と呼ばれます。


目に見えない電磁波のうち、波長が780nm以上、1,000nm未満のものが「赤外線」となる。目に見える最長の波長の電磁波が赤色のため「赤外線」と呼ばれる

データ通信の近赤外線、熱をもたらす遠赤外線

 さらに、赤外線は波長の長さによって大きく3種類に分けられています。波長が780nmから3μmほどの赤外線は「近赤外線」、波長が3μmから15μmほどの赤外線は「中赤外線」、波長が15μmから1mmほどの赤外線は「遠赤外線」と呼ばれます。ちなみに、波長の長さによる赤外線の分類は、明確に定義されているわけではないため、赤外線に関係する学会によって定義が微妙に異なっています。例えば、社団法人遠赤外線協会(http://www.enseki.or.jp/)では、780nmから3μmまでの波長の赤外線を近赤外線、3μmから1mmまでの赤外線を遠赤外線と、2種類に分類しています。

 このうち赤外線のデータ通信には、近赤外線を使用します。例えばリモコンなら、先端に用意されている送出部から、近赤外線を利用した特定のパルス信号を送出し、家電本体の赤外線受信部が受け取ります。これにより、離れた場所での操作が可能となるわけです。リモコンで利用されている赤外線の波長は940nmから950nmほどとなります。

 パソコンや携帯電話などのデータ通信機能でも近赤外線が活用されています。こうした機器では、「Infrared Data Association」という業界団体が規格化した「IrDA」と呼ばれるデータ通信方式が広く利用されています。現在市販されている携帯電話で採用されている赤外線通信機能も、このIrDA規格に準拠したもので、電話帳や写真などのデータを送受信するために利用されています。IrDAで利用されている赤外線の波長は850nmから900nmほどです。

 それに対し遠赤外線には、物質の分子と反応して、物質自体を直接発熱させる性質があります。その性質を利用して、電気ストーブやオーブンなどで暖房/加熱を実現しているのです。なお、遠赤外線自体は熱エネルギーを持っていません。

 次週は、遠赤外線で調理や暖房ができる原理について解説します。


リモコンなど、データ通信を行なう赤外線が「近赤外線」 パネルヒーターなど暖房器具では遠赤外線が利用される(※3)



【赤外線】の、ここだけは押さえたいポイント

・目に見えない電磁波のうち、赤色よりも波長が長いものが赤外線
・波長の長さによって、近赤外線、遠赤外線と区別される
・リモコンや携帯電話のデータ通信機能には近赤外線、調理器具や暖房器具には遠赤外線が用いられる

2008年11月21日 初版





※1 山善 扇風機「「YB-RC251」
※2 パナソニック スチームオーブンレンジ「3つ星ビストロ NE-R3000
※3 パナソニック パネルヒーター「DS-P1200


URL
  現代家電の基礎用語 バックナンバー
  http://kaden.watch.impress.co.jp/cda/word_backnumber/


2008/11/21 00:04
平澤 寿康
1968年、香川県生まれ。1990年代前半にバイト感覚で始めたDOS/V雑誌のレビュー記事執筆を機にフリーのライターとなる。雑誌やWeb媒体を中心に、主にPC関連ハードのレビューや使いこなし、ゲーム関係の取材記事などを執筆。基本的にハード好きなので、家電もハード面から攻めているが、取材のたびに新しい製品が欲しくなるのが悩ましいところ。

- ページの先頭へ-

家電Watch ホームページ
Copyright (c) 2008 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.