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象印、「湯沸かし家電」戦略を語る


象印の「湯沸かし家電」製品
 象印マホービン株式会社は、同社が扱う「湯沸かし家電」に関する説明会を都内で行なった。

 「湯沸かし家電」とは同社の造語で、電気ポット、電気ケトルなどお湯を沸騰・保温する家電製品を指す。昭和30年代から電気ポットを作ってきた業界のパイオニア的メーカーとして、今後の取り組みを現在の市場動向、トレンドなどと併せて発表した。

 近年では電気ポットの市場は全体的に縮小傾向にあり、2008年度の予想出荷概数は400万台を下回るという。同社ではその背景に、世帯規模の減少、ペットボトルの普及などを挙げた。同社では時代背景の変化に合わせた商品開発を進めるとし、従来では湯沸かし家電のテーマを「たくさんのお湯をいかに電気代を抑えて沸かすか」としていたが、現在では「安全性」「省エネ性」「機能性」の3つを湯沸かし家電に対する基本姿勢とした。


電気ポットの市場は減少傾向(表内では湯沸かし家電となっているが、ここには電気ケトルなどは含まれていない) 世帯規模が減少して、世帯数が増加している

お湯を沸かす道具の移り変わり 昭和60年代以降から電動式が流通して、性能も向上してきた 同社の湯沸かし家電に対する基本姿勢は「安全性」「省エネ性」「機能性」

電気ポットに対する取り組み

 市場縮小が著しい電気ポットで特に同社が力を入れているのが省エネ構造。内部に2段階の真空層を設けた独自のVE構造を採用し、保温性が優れた電気ポットを展開している。VE構造とはステンレス製の耐熱構造のことで、内部に真空層と空気層を二重に設けたことで、従来より高い断熱性を実現したという。

 VE構造を採用した電気ポットでは一度沸騰したお湯は約3時間温度を保ち続けることができるとし、保温時に電気代がかかるという電気ポットの弱点をカバーした。実際VE構造なしの製品に比べると電気代は約1/2に抑えられ、年間の電気代は約4,400円削減できるという。

 会場ではステンレス製のVE構造に直接火をあて、外側から触っても熱くないなどの実演で、断熱構造の高さをアピールしていた。


同社独自のVE電気魔法瓶の構造 ポット内部に配置されているVE構造の見本 断熱構造が高いので内部に直接火をあてても外側が熱くなることがないという

 そのほか運転モードにも省エネを意識したソフトを多数投入している。明るさを感知するセンサーを内蔵することで、生活リズムに合わせた運転制御を行なう「光省エネモード」や、2時間以上の本体操作がなかった場合自動的に電源が切れる「省エネモード」など独自の省エネモードを展開。


電気ケトルと比較しても湯沸かし時にかかる電気代はほとんど変わらないという 同社の最新機種に搭載されている性根モード

商品企画部 サブマネージャー西広嗣氏
 同社の商品企画部 サブマネージャー西広嗣氏は同社の省エネモードについて「省エネを意識した運転モードは各社搭載しているが、内蔵時計によって生活リズムを記録するなど一定以上の使用を前提としたものが多い。象印では生活リズムは一定ではないとし、買ってすぐに使える省エネモードを心がけた」と語った。

 また、電気ケトルと比較した際の電気ポットの省エネ性について「電気ポットは電気ケトルと比べると電気代がかかるというイメージがあるが、湯沸かし時にかかる電気代は電気ケトルも電気ポットもほぼ同じ。また、保温時にかかる電気代は全体の1/3とわずかなもの」とした。

 安全性では独自に湯漏れ防止構造を開発。これはフタ内部にステンレス製の台形の石を内蔵することで、転倒時に弁がふさがれ内部のお湯がこぼれないというもの。


電気ポットの内蓋の構造。中央下部にあるのが湯漏れ防止機構 湯漏れ防止機構に内蔵されている台形の石。本体が転倒した際にはこの石が給湯弁をふさぐ
安全性についての配慮

 使いやすさの面では、お湯が95℃になった時点でヒーター電源を切ることで蒸気の発生を抑える「蒸気レスモード」を搭載している。これは近年電気ポットを棚などに設置する家庭が多いとし、家具などに蒸気が掛かるという配慮から生まれたもの。このほかにも同社ではユーザーの生活シーンに合わせた商品提供を積極的に行なっていくとし、主婦の場合、共働きの場合、子供がいる場合など様々なニーズに合わせた製品開発を進めていくという。


使いやすさの面では蒸気レスモードのほか、乾電池を本体にセットすることでコードレスで給湯が行なえるなどの工夫がされている ユーザーのライフスタイルを想定した商品提案を行なっている 乳幼児のミルクと両親の飲み物を1台でまかなう場合はVE構造のない電気ポットが最適だという

電気ケトルに対する取り組み

 縮小傾向にある電気ポット市場に反して拡大の一途を辿っているのが電気ケトル市場。同社では2007年から電気ケトル市場に参入したが、電気ケトルではとにかく安全性にこだわった商品造りを心がけたという。


2008年2月に発売した電気ケトル「CK-BA10」 商品コンセプトとして掲げたのは高い安全性だった

 本体には点灯湯漏れ防止機構を搭載したほか、本体を二重構造にすることで中の温度が外に伝わりにくくした。また、電気ポットで培った制御機能を活かし、空焚き防止機構を搭載するなど、従来の電気ケトルにはない安全性を実現した。


本体にお湯を入れた状態で転倒してもお湯がこぼれないという実演。それまでの電気ケトルは転倒時にお湯がこぼれてしまうものが多かった

 また内部には万が一内部機構が故障してしまった場合やショートに備えた2種類のヒューズを搭載している。

 その結果2007年には外資系メーカーが市場の7割を占めていた電気ケトル市場に2008年では同社の製品がシェアの約1割を占めるなど順調な推移を見せているという。売り上げも当初の予想より約3割も上だという。

 電気ケトルも電気ポットと同様に日本の生活シーンにあった製品として開発されたという。同社では高い省エネ性と安全性を軸にユーザーの生活シーンにあった商品提供をこれからも進めていくという。

 また最近、炊飯器や電気ポットを調理器具として使用する調理方法が話題になっているがそのことについては「メーカーとしては絶対に薦められない。東京で事故の事例も挙がっているので、正しい使用方法を守って欲しい」とした。

 会場では昭和30年代からの同社の代表的な湯沸かし家電を展示し、時代のニーズに合わせた商品提供を行なってきた同社の歴史を紹介していた。以下写真でご紹介する。


1928年に発売された「ペリカン」というポット。戦後第一号の商品 1970年に発売された「エールポット VNA型」花柄が流行っていた時期の製品 湯沸かしと保温が出来るようになった電気エアーポットの第一号商品。1980年発売の電気エアーポット「押すだけ CW
型」

テーブルに置いて使うことを想定して作った製品「CD-ZS15」(2008年) 軽い力で楽に給湯できるガラスタイプのエアーポット「AB-RT」(2008年) 本体底部に無線通信機が内蔵された電気ポット「iポット CV-DA22」。本体の通電状況をパソコンや携帯電話にメールで知らせるため、家族の生活状況が分かるという




URL
  象印マホービン株式会社
  http://www.zojirushi.co.jp/
  電気ポット製品情報ページ
  http://www.zojirushi.co.jp/syohin/02tablecook/07list.html
  「電気ケトルCK-BA10」製品情報
  http://www.zojirushi.co.jp/syohin/electricairpot/CKBA.html

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( 本誌:阿部 夏子 )
2008/11/07 19:12

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