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松下電器、2008年度のCO2排出目標を387万トンに

~電源コードや内部配線の塩ビを代替化

環境データブック2008
 松下電器産業は24日、同社の2007年度における環境活動をまとめた「環境データブック2008」を発行。それにあわせて、同社における環境への取り組みなどについて説明した。

 松下は企業ビジョンのひとつとして、「地球環境との共存」を掲げているほか、2007年10月に発表したエコアイディア戦略のなかで、「商品のエコアイディア」、「モノづくりのエコアイディア」、「ひろげるエコアイディア」の3点から環境活動を推進している。また、グループ全体で事業活動を拡大しながらも、グローバルにおけるCO2年間排出総量を、2009年度までに2006年度比で30万トンの削減を目指している。

 2007年度のCO2年間排出総量の実績については、前年比1万トン削減の397万トンになったことが明らかになった。また、2008年度の排出量目標を、2006年度比で11万トン削減となる387万トンとすることを発表した。松下電器産業環境本部環境企画グループ・中村昭グループマネージャーは「これをベースに、2009年度は30万トン削減に取り組むことになる。さらなる取り組み強化が必要」と語った。

 30万トン削減に向けた施策としては、CO2削減への取り組みを全社規模で促進するために、全社CO2削減推進委員会を今年4月に発足。また社内で「メタゲジ(メーター・ゲージ)」と称される具体的な指標を用いて、エネルギー消費量の“見える化”を推進。これにより、隠れたエネルギーのロスを明確化し、削減活動につなげるという。


松下電器産業環境本部環境企画グループ 中村昭グループマネージャー 2008年度のCO2排出量目標は、2006年度の11万トン減となる387万トン

 「メタゲジは、ファジーな考え方でCO2削減に取り組むのでなく、どこにロスがあるかを知り、具体的な改善策を進めるためのもの。これは早くやることに意味があり、今年度中に、80%以上のエネルギー使用に関して、メタゲジの導入を図る」(中村氏)

 さらに、全工場が取り組む省エネ項目を、これまでの取り組み事例をもとに、33項目を抽出。これを「省エネ33アイテム」として、工場におけるCO2排出量削減を加速する考えだ。「2001年度に、2010年度を最終年度とするグリーンプラン2010を策定したが、主要項目については、2007年度に前倒しで達成した。2010年度に向けて新たな目標を掲げて取り組みことにする」と、中村グループマネージャーは語る。

 また主要項目のうち、「家まるこど温暖化防止ファクター」で、目標としていたファクター5をすでに達成。さらに、グリーンプロダクツ(地球環境の負荷低減を狙った製品。以下、GP)開発率を90%以上としていたものが99%に到達。CO2排出量原単位では10%削減目標に対して、33%の削減を達成している。また、廃棄物発生量原単位で20%削減の目標は、38%削減を達成したという。

 「家まるごと温暖化ファクターについては引き続き情報開示を行なうほか、新たな目標として、GPでは業界ナンバーワン性能を持つ『ダントツGP商品』を250機種、CO2排出量については、総量での30万トン削減(2006年度比)、廃棄物発生量に関しては、遅れていた海外でのリサイクル率を95%にまで引き上げる」とした。


「全社CO2削減推進委員会」を発足し、2009年度のCO2排出量368万トンを目指す 「全社CO2削減推進委員会」を発足し、2009年度のCO2排出量368万トンを目指す 全工場が取り組む省エネ項目を、33のポイントに絞って実施する「省エネ33アイテム」もスタート

3種類のエコアイディアの取り組みを加速

 エコアイディア戦略で掲げた「商品のエコアイディア」、「モノづくりのエコアイディア」、「ひろげるエコアイディア」への取り組みも加速している。

 2007年度における「商品のエコアイディア」への取り組みでは、GPにおいて、持続可能な社会の実現に向けて新たなトレンドを創ることができる「スーパーGP」商品として、放送用ビデオ機器である「DVCPRO P2シリーズ」と、分岐ブレーカーごとに電気をモニタリングする「ライフィニティECOマネシステム」の2商品を認定。さらに、省エネ、省資源、科学物質、環境創造性において業界ナンバーワンとなる「ダントツGP」について、124商品を認定した。ダントツGP商品のうち、省エネ性能の高さによる認定商品は79商品となっている。

 また、海外における省エネラベル取得に向けた取り組みも加速しており、中国における環境ラベル取得は、2007年度に217枚取得しているという。「2006年度には34件であったことと比較すると6倍以上。約90%の商品でラベルを取得した」という。また2008年度は、ダントツGPの認定機種数を海外販売製品を含めて拡大する姿勢を示している。


省エネ、省資源、科学物質、環境創造性に関して業界ナンバーワン性能を持つ製品を「ダントツGP」として認定。このうち省エネ性能の高さで認定されたのは79商品 中国で展開する製品についても、環境性能を評価するラベルの認定を多数受けている

 「モノづくりのエコアイディア」としては、254工場をクリーンファクトリー(環境配慮型の工場。以下、CF)に認定、認定率は85%に達した。中村氏「2007年度計画では66%以上を目標としており、それを大きく上回った」と語る。

 そのうち、それぞれの国で最高レベルの環境負荷削減を達成しているダントツCFへの認定は、日本で4工場、中国で3工場、マレーシアで2工場の合計9工場となった。また、中国において政府などが認定している清潔生産審査では、2007年度に新規に5工場が認定されたという。

 「清潔生産審査では、7件の新規認定を目標にしていたが、スケジュールの関係で2社少なかった。だが、これも6月には認定される予定であり、計画はほぼ達成したともいえる。2008年度には新規に30社の認定を目指し、合計で43社の認定とする計画」だという。

 「ひろげるエコアイディア」では、家庭で使用するエネルギーをまとめる「環境家計簿」について、約5万1000世帯が参加したと発表。2007年11月からは、従業員が商品を購入する際には、省エネ製品を選択するように促す「省エネ製品セレクトエコチャレンジ!」を展開していることなどを紹介した。


各国で最高レベルの環境負荷削減を達成している向上を「ダントツCF」として認定する 現在のところ日本・中国・マレーシアで合計9工場が「ダントツCF」として認定されている 社員などに配布している「環境家計簿2008」。家庭で使用するエネルギーを家計簿のようにまとめることができる

安全性に課題のある「塩化ビニール樹脂」の削減を強化

AV機器のケーブルなどで使われる塩化ビニル樹脂は、人体に与える影響が不安視されている
 一方、松下電器では、プラズマテレビをはじめとするAV商品の塩化ビニル樹脂の削減をさらに加速させる姿勢を示した。

 2007年度実績では、AV機器に利用される内部配線のほか、薄型テレビ、BD/DVDレコーダー、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラの電源コード、付属品の代替化を実施。国内向け新製品で年間に使用する塩ビ樹脂の総量の約50%を、ポリエチレンやポリオレフィン系樹脂をベースとした代替用材料に転換することに成功したという。また、2008年度には、この比率を65%にまで引き上げる計画だ。

 塩化ビニル樹脂は、絶縁性や機械強度などの特性に優れ、調達・コスト面でも評価が高いものの、廃棄時の不適切な処理による生成物の発生や、柔軟性を確保するために使用する添加剤の有害性が懸念されている。これまでにも代替材料の開発が進められてきたが、強度や柔軟性を確保することが課題となっていた。

 松下電器では、材料メーカーとの協業によって、98年度から内部配線や電源コードの代替樹脂の開発に着手。99年度にはワイドテレビの内部配線に試験的に採用、2003年度にはDVDレコーダーの電源コードで試験的に採用してきた。

 松下電器パナソニックAVCネットワークス社環境推進グループ・冨安誠治チームリーダーは、「今後も、テジタルAV商品の塩化ビニル樹脂の代替化について促進していく計画」としている。


プラズマ液晶テレビ「VIERA」に使われている電源コード。右がポリオレフィン系樹脂をベースとした代替材料を使用したもの VIERAの内部配線に利用されている代替材料使用コードの例 松下電器パナソニックAVCネットワークス社環境推進グループ・冨安誠治チームリーダー




URL
  松下電器産業株式会社
  http://panasonic.co.jp/
  ニュースリリース
  http://panasonic.co.jp/corp/news/official.data/data.dir/jn080624-3/jn080624-3.html
  環境活動・環境報告
  http://panasonic.co.jp/eco/rpt/

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( 大河原 克行 )
2008/06/24 17:13

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