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松下電器・大坪文雄社長
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松下電器産業株式会社は、10月5日、松下グループの環境共存を目指す、「eco ideas」戦略について発表した。
同社では、2大事業ビジョンとして、「ユビキタスネットワーク社会の実現」とともに、「地球環境との共存」を掲げているが、このほど、2007年度からの中期経営計画「GP3計画」においても、「収益を伴った着実な成長」だけでなく、新たに「すべての事業活動で環境負荷を削減する」ことを加え、重要課題として「地球温暖化対策の加速」、「環境経営をグローバルに推進」の2つを掲げた。
大坪文雄社長は、「GP3計画に、成長戦略とともに、環境に対する具体的な数値を加えた。計画がスタートして半年を経過したが、新たな項目を数値として加えるには、まだ時間的には遅くない。GP3では、グローバルエクセレンス企業への挑戦権獲得を目指しているが、環境対応は、それに向けて不可欠な要素。また、当社には、企業は社会の公器という考え方があり、その点からも、環境への取り組みは、今後の企業経営にとっては避けては通れない」と語る。
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松下グループの環境共存を目指す「eco ideas」
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松下が掲げる中期経営計画「GP3計画」
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具体的には、製造業として最も直接的な課題となる生産活動における二酸化炭素(CO2)排出量削減について、CO2排出量を売上高や生産数で割った原単位ではなく、総量で削減し、その達成に向けて、CO2排出量を基幹の経営指標とする。
松下グループでは、全世界294拠点の製造事業場から排出されるCO2の総量を、生産規模を拡大するなかでも、削減方針を打ち出し、2006年度のCO2排出量の398万トンから、GP3計画の3年間に、30万トン削減し、368万トンとする。また、2010年度には、2000年度の排出量水準である約360万トンに戻す計画だ。
「2000年度は、松下電器の環境基準年となっており、まずは振り出しに戻す。総量としたのはグループ全体として、生産規模を拡大しても、CO2の削減を達成することが、グローバルエクセレンスへの挑戦権を獲得する要件。総量で削減できれば、当然、原単位での削減も可能」とした。
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生産拡大しても、CO2は削減していくことを目標としている
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CO2排出量を基幹の経営指針におくとしている
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さらに、2008年度から、売上高、営業利益、在庫、CCMなどの基幹の経営指標にCO2排出量を加えて、逐次管理および評価しながら、削減の取り組みを進める。
「全世界の製造拠点から、毎月、CO2排出量をはじめ、電力、都市ガス、重油などのエネルギー使用量や、水使用量などの23項目の環境パフォーマンスデータを収集。その分析結果をフィードバックする仕組みを今年4月に構築した。この環境パフャーマンスシステムを、日本では今月から、海外では来年1月から運用する」とした。
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3つの重点的取り組み
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増加する日本のエネルギー消費
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GP3計画によってCO2削減を計る
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松下電器が掲げるeco ideas
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また、同社では、「私たちは、省エネ商品をおとどけします」、「私たちはCO2の排出量を減らします」、「私たちは、エコ活動を世界中にひろげます」の3つを、「エコアイディア宣言」として掲げ、環境コミットメントとする。
「軽薄短小のコンセプトやアイデアが、省エネ、省資源につながる。生産拡大とエネルギーは矛盾なく実現できると考えている。商品企画から調達、販売、物流、リサイクルに至るまでのすべてのモノづくりプロセスで生産性向上を図り、活動全般におけるCO2排出量削減に努める。品質、歩留まりなど、ブレイクダウンした数値目標を立てている。30万トンの削減は可能。経営の改革がCO2削減につながる」とした。
IT革新による出張、出勤の減少、ペーパーレス化などもCO2削減の要素になるとした。
また、省エネルギーセンターが発表した省エネ性能カタログでは、テレビ、エアコンなどの7品目において、省エネナンバー1製品が16%を占めており、これを2009年には倍増させるとともに、省エネ下位製品に関しては、ゼロにするという。
同社では、2003年度から2006年度にかけて、事業拡大させながら12万トンのCO2排出量を削減した実績がある。
「これから建設する工場は、目標とするレベルをすべて満足する工場にしたい。実践しない限り、30万トンの削減は不可能だ」(大坪社長)とした。
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松下が行なっている省エネの取り組み
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松下の省エネ商品
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具体的な取り組み。設備投入、製造技術など
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具体的な取り組み。物流、拠点統合など
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具体的な取り組み。IT活用、オフィスでの省エネ
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また同社の役員で、環境本部の本部長を務める野口直人氏は、「クリーンファクトリーへの取り組みや、工場緑化、地域連携イベントなど、地域と共存するエコアイディア工場を展開。まずは、草津地区の生産拠点を『エコアイディア工場びわこ』としモデル拠点にするとともに、プラズマパネル生産の尼崎、半導体生産の魚津などへ展開していく」としている。
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松下電器・野口直人役員
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草津地区の生産拠点を『エコアイディア工場びわこ』として、モデル拠点とする
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東京・有明のパナソニックセンター東京
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一方、東京・有明のパナソニックセンター東京の2階に開設している「環境ショウケース」および4階の「テクノロジー&ソリューションideas」をリニューアルオープンした。
2階の環境ショウケースでは、eco ideasをテーマとし、地球環境のためにできることを考える場とした。自然をイメージした展示のなかで、一歩先のエコを提案。一日の生活シーンに沿った省エネライフの提案や、これからの「新しいくらし」を提示しているのが特徴。
オール電化、節水、AVおよび照明、燃料電池などの観点からエコ商品を展示するとともに、水素を燃料とする燃料電池によって作られたエネルギーでお湯を沸かし、それで入れたお茶を提供する「カフェ E-FEEL」もある。
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自然をイメージした展示
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燃料電池によって作られたエネルギーでお湯を沸かし、それで入れたお茶を提供する「カフェ E-FEEL」
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ショールームにはエコアイディア宣言が掲げてある
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4階のテクノロジー&ソリューションideasでは、最先端技術製品の展示とともに、「夢・感動」、「簡単・便利」、「安心・安全」を追求する製品群の展示を行なっている。なお、4階フロアは一般公開されていない。
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4階の「テクノロジー&ソリューションideas」
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最先端技術製品が展示されている
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4階フロアは一般公開されていない
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■URL
松下電器産業株式会社
http://panasonic.co.jp/
ニュースリリース
http://panasonic.co.jp/corp/news/official.data/data.dir/jn071005-2/jn071005-2.html
■ 関連記事
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( 大河原 克行 )
2007/10/05 20:36
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