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パナソニックが14年ぶりに壁面スイッチを一新したワケ

 パナソニック エコソリューションズ社は、デザインを14年ぶりに一新した配線器具「アドバンスシリーズ」を発売した。今回は新製品のプレス向け体験会の様子をレポートする。

アドバンスシリーズの「埋込ほたるスイッチ」
タッチ操作可能な「LED調光スイッチ」
アドバンスシリーズのラインナップ。タッチ式の壁面スイッチやコンセントなどが揃う

 配線器具は、パナソニックが1918年に創業した時から手掛けてきた製品で、時代に合わせてデザインを刷新してきた。

 2000年以来の14年ぶりのリニューアルとなる「アドバンスシリーズ」は、壁面スイッチやコンセントなど全54品番を揃える。タッチ操作を採用した点、インテリアに馴染むデザインに変更した点などが特徴となる。

 同社の配線器具のラインナップではプレミアムシリーズに位置づけられ、従来の配線器具シリーズ「コスモシリーズワイド21」は普及モデルとして継続して販売する。

パナソニックの配線器具は、アジアのメーカー別シェアで1位を誇る
配線器具は創業以来手掛けてきた製品で、時代に合わせてモデルチェンジしてきた
アドバンスシリーズは3線式のため、従来の普通の2線式スイッチにはそのまま交換できない。電気工事が別途必要

住まいの脇役こそ、上質に

パナソニックのショールームの寝室に導入されたほたるスイッチ

 なぜ今、デザインや機能を一新したのか。パナソニックでは、近年の住環境の変化、人々の上質へのニーズの高まりや、インテリアへのこだわりを理由として挙げている。

 特に住環境の面では、スマートハウスのようなHEMSと連携した住宅が増えてきている。現段階ではHEMSとの連携機能はないが、2014年冬の発売に向けて新製品を開発しているという。

パナソニック エコソリューションズ社 デザインセンター エナジー・エコシステムズデザイングループの赤堀康弘氏

 アドバンスシリーズのデザインを手掛けたパナソニック エコソリューションズ社 デザインセンター エナジー・エコシステムズデザイングループの赤堀康弘氏は、「スイッチやコンセントは、住まいの中では脇役的な存在だが、脇役を上質なものに変えることで、住まいの価値がワンランク上がる」と話す。

 赤堀氏は以前、ドライヤーなどの美容家電をデザインしていたが、6年前に配線器具の担当に異動。以来。配線器具の形だけでなく、機能、操作方法などを含めて、6年がかりで新製品を検討してきたという。

 赤堀康弘氏は、新製品のデザインの狙いについて「一見どこにスイッチがあるかわからないほどに、“溶け込ませる”ということが重要。一度設置すると10年20年と使うものなので、長く飽きない美しさにこだわった」と語った。

“くらしをスマートに変える”

 アドバンスシリーズでは共通して、厚さを従来の12mmから新製品では7.6mmに薄型化し、壁になじみやすくしたほか、スイッチ形状は横:縦を1:1.618の黄金比に変更した。

 さらに、壁面に合うよう、スイッチ周りの表面素材をマット仕上げにした。従来の光沢のある素材よりも汚れは付きやすいが、逆に汚れを落としやすい特殊な加工を施したことで、欠点をカバーした。

右が従来モデル、左が新モデル。薄型化して壁面になじみやすくなった
新モデルを横から見た様子。厚さは7.6mm
スイッチ周りの素材を、ざらざらとしたマットな質感に変更して、壁面に馴染みやすくなった
細かい点だが、マット加工の表面は、汚れが落としやすい形状にした

 また、室内の照明が点いていない時に、スイッチの位置を知らせるホタルランプに白色LEDを採用。従来の緑色のランプは色盲の人に見えない恐れがあったが、新製品では改善し、インテリアに馴染みやすくした。

壁面にさりげなく光っているのが、LEDを採用した白色ホタルランプ。暗闇でもスイッチを押しやすくするランプだ。白色なら、インテリアの雰囲気を壊さない
従来のホタルランプは緑色で目立った

 操作の面では、調光スイッチにタッチ操作を採用した。スライド、長押し、タップなど好みの方法で調光操作できるようにし、スマートフォンのように直感的なコントロールが可能だ。

 タッチ操作でスイッチをON/OFFする際は、電子音でも知らせる。約40dBの適度な音量で、中央部を押すと「ピッ」と音がして点灯。もう一度押すと「ピー」と音がして消灯する。なお音はOFFにすることもできる。

LED調光スイッチ
中央部を押すと「ピッ」と音がして点灯。もう一度押すと「ピー」と音がして消灯する
上下にスワイプして調光する
スライド、長押し、タップなど好みの方法で調光操作できるようにした
点灯から消灯まで、調光した様子。やり方を覚えれば、簡単に操作できる

 コストの面では、新築の住宅に納入した場合、従来の配線器具に比べて全体で約1.3倍程度の費用がかかるという。また既設の住宅に導入する場合は、電気工事が別途必要になる。

ほたるスイッチの製品群。シンプルで壁に馴染みやすいデザインが揃う
「入/切」をわかりやすく漢字で表示するスイッチも用意されている
人感センサーを搭載した壁面スイッチも用意される。右側の「かってにスイッチ(換気扇連動)は、主にトイレ用に開発された製品で、人を検知すると自動でトイレの照明と換気扇の運転がONになり、人がいなくなったあとは換気扇の運転だけONにすることができる。照明と同時に換気扇をの運転も止まるよう設定することも可能
コンセント類にも、マット加工の枠を採用した