シャープ、ウイルスが生存しやすい環境で運転を強化する加湿空気清浄機

~高速の吸塵モード搭載。6畳空間でのウイルス抑制効果も
プラズマクラスター加湿空気清浄機 左がホワイト系の「KI-BX70-W」、右がブラック系の「KI-BX70-T」

 シャープは、ウイルスの生存しやすい温度・湿度を検知すると、自動でプラズマクラスターと加湿運転を強化する加湿空気清浄機「プラズマクラスター加湿空気清浄機 KI-BX70-W/T」を、11月1日に発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は75,000円前後。

 適用床面積が空気清浄時で31畳(51平方m)、加湿時が19畳(32平方m)の加湿空気清浄機。シャープ独自の除菌・脱臭技術「プラズマクラスターイオン」の放出機能も備えている。イオン濃度は、前年モデルの製品に引き続き、1立方cm当たり25,000個。

ウイルスが生存しやすい環境を見張る「乾燥・低温みはり」機能を搭載

 新製品では、室内環境がウイルスの生存しやすい乾燥・低温状態になると、本体のセンサーが検知し、プラズマクラスター運転と加湿運転を強化する「乾燥・低温みはり」機能を搭載した点が特徴。風量を自動で上げることで、プラズマクラスターイオンを部屋に行き渡らせたり、フィルターに通す空気の量を増やす効果があるという。また、給水タンクに水が入っている場合は、自動で加湿空気清浄運転に移行する。

 同機能の運転中は、本体正面のモニター部に「○」のマークが表示される。○マークは通常は白だが、乾燥・低温を発見すると、赤に変わる。同社では乾燥・低温みはり機能について“業界初”の機能としている。

温度・湿度の相関関係から、ウイルスが生存しやすい温度・湿度を判定するウイルスが生存しにくい環境の時は、モニターに白い○が表示されるウイルスが生存しやすい環境では、○が赤く光り、風量がアップする。また、加湿運転をおこなっていない場合は、自動的に加湿をスタートする
給水タンクに水が入っていないときは、アイコンで知らせるモニターの表示例

 モードではこのほか、風速を高めて吸塵スピードを高めた運転モード「スピード吸じん運転」も、新たに搭載した。これは、空気の吹き出し口を絞ることで、室内の空気の循環気流を速めて、吸塵スピードを通常の運転モードよりも約1.5倍に高めるというもの。約60分で室内が集中的に浄化できるため、帰宅時や来客時に、気になるニオイを素早く取り除きたい時に便利という。

シャープの空気清浄機は、本体後方から空気を吸い込み、本体後ろ斜め20度に吹き出す気流が特徴スピード吸じん時には、吹き出し口を絞って、風速をアップする通常運転とのルーバーの角度の違い

 フィルターは3層構造で、0.3μmのハウスダストを99.97%以上集塵するHEPAフィルター、タバコから料理臭、体臭まで脱臭する「トリプル機能脱臭フィルター」、大きめのホコリをキャッチする「抗菌・防カビ後ろパネル」を備える。抗菌・防カビ後ろパネルは、本体に取り付けたままでも掃除可能。

 また、抗菌・防カビ後ろパネルの上に貼り付けられる、使い捨ての「使い捨てお掃除ラクラクカバー」も標準で3枚備える。汚れた場合はそのまま剥がして捨てられるため、ホコリやペットの毛、タバコのヤニなど、手入れが面倒な汚れ対策に便利という。交換の目安は1カ月。

 このほか、センサーでフィルターへのホコリの貼り付き具合を見張り、フィルターの手入れの時期を自動で知らせる「フィルターお手入れセンサー」も備えている。

フィルターは3層構造抗菌・防カビ後ろパネルには、使い捨てのフィルター「使い捨てお掃除ラクラクカバー」が取り付けられる。このフィルターを使っても、特に風量は落ちないという
フィルターの手入れ時期を知らせるセンサーも用意されているフィルターお手入れセンサーは本体中央に内蔵されている

 加湿機能では、給水タンクに「Ag+イオンカートリッジ」を採用。除菌効果のあるAg+(銀イオン)が溶出することで、給水タンクや加湿トレーのヌメリやニオイの原因となる菌を除菌、よりキレイな水で加湿できるという。カートリッジの交換の目安は約1年。なお、本製品の加湿フィルターには抗菌・防カビ仕様となっており、加湿方式にはフィルターが水に浸からない位置で停止する加湿ローター方式を採用する。

タンクの容量は3.6LAg+(銀イオン)で除菌するカートリッジも付属する
Ag+が溶出することで、給水タンクや過失トレーのヌメリやニオイの原因となる菌を除菌、よりキレイな水で加湿できるというAg+ありとなしの場合の細菌の比較

 モニターには、数値の表示が白く浮かび上がる「透明光モニター」を採用。湿度や温度のほか、電気代の目安も表示できる。また、部屋の空気の汚れ具合を色で示す「きれいモニター」も備える。

 本体サイズは410×306×645mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は約11kg。最大消費電力は90W。1分当たりの最大風量は6.8立方m。運転音は24~52dB。水タンク容量は約3.6L。前後左右に動かせるストッパー付きのキャスターも備えている。本体カラーはホワイト系とブラウン系。

モニターは数値が白く浮かび上がる「透明光モニター」。部屋の空気の汚れ具合を色で示す「きれいモニター」も備える前後左右に移動できるキャスターも用意されている
適用床面積が約14畳の「KI-BX50」

 下位機種として、KI-BX70と同じ機能を備え、加湿・空気清浄運転の適用床面積が約14畳までの「KI-BX50」も、同時に発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は65,000円前後。

 なおシャープの空気清浄機では、実際の使用環境に近い、約6畳相当の試験空間(約25立方m)において、浮遊ウイルス・付着ウイルスについて抑制効果を確認している。ウイルスを99%抑制するのに掛かった時間は、浮遊ウイルスは約18分(前年モデルFU-A30の場合)、付着ウイルスは10時間(前年モデルKI-AX70の場合)。同社では、付着ウイルスに関する約6畳空間でのウイルス抑制効果について“業界初”としており、KI-BX70、KI-BX50の乾燥・低温みはり機能と併せて、ユーザーに冬場の快適・安心な空気環境を届けるとしている。

シャープの空気清浄機では、実際の使用環境に近い約6畳相当の試験空間でのウイルス抑制効果を確認している。写真は浮遊ウイルスの抑制効果付着ウイルスに対しても、10時間で抑制できたという。シャープによれば、これは“業界初”という
約6畳の試験空間。浮遊ウイルスの実験では、この空間の中にウイルスを噴霧させ、空気清浄機を運転する空気清浄機の運転後に、室内の空気を回収し、抑制されているか否かを検証するこちらは従来までプラズマクラスターイオンの効果実証に多く使われていた、約1立方mの試験空間
シャープ PCI・LED照明事業推進本部 プラズマクラスター機器事業部の長谷川実事業部長

 発表会に登壇した、シャープのPCI・LED照明事業推進本部 プラズマクラスター機器事業部の長谷川実事業部長は、乾燥・低温みはり機能を追加した理由について、「これまでの製品では、ウイルス抑制に対する効果は、ハウスダストや乾燥・ニオイ対策の効果と比べて、実感しにくかった」ということを指摘した。

 2012年度の空気清浄機市場の需要動向については、2011年度比で6.8%増の約270万台になる模様。うち加湿空気清浄機は、全体の「9割くらい」(長谷川部長)になるという。

加湿空気清浄機の購入動機は「ハウスダスト・花粉対策」「ウイルスの抑制」「乾燥対策」「ニオイ対策」などがあるというしかし、ウイルス抑制に対する効果には、ユーザーからこれといった実感の声がなかったという空気清浄機市場の需要動向。2012年度は、2011年度比で6.8%増の約270万台になる模様




(正藤 慶一)

2012年10月12日 00:00