バルミューダ、“自然界の風”を送る小さな扇風機「GreenFan mini」

~消費電力は最小2W。モバイルバッテリーでワイヤレス稼働

 バルミューダは、“自然界の風”を送る扇風機「GreenFan(グリーンファン)」シリーズの新製品として、従来モデルを小型化して持ち運びやすくした「GreenFan mini(グリーンファンミニ) EGF-2000-WK」を、5月下旬に発売する。希望小売価格は、扇風機単体で24,800円。

GreenFan mini左右は従来の「GreenFan」。中央がGreenFan mini

“自然界の風”を送る扇風機を小型化。寝室やキッチンに持ち運んで使える

 同社が2010年より発売している、“自然界の風”を送ることをテーマとした扇風機シリーズ「GreenFan」の新製品。同シリーズは一般的な扇風機と違い、回転するファンの形状の内側と外側の二重構造とした「グリーンファンテクノロジー」を採用している点が特徴となる。

 グリーンファンテクノロジーの羽根は、内側で弱い風、外側で強い風を送り出すことで、内側の羽根の前方で空気が少なくなり、外側の風が引き込まれて、全ての風が一点に集中。ここで風がぶつかることで、羽根の渦成分がなくなり、風は大きく拡散し、面で移動する自然の“そよ風”のようなやさしい風に生まれ変わるという。

従来の扇風機の風は、渦を巻いた風を送っていたグリーンファンテクノロジーの羽根は、内側と外側で異なる風量の風を送るこれにより風がぶつかり、渦成分がない自然な風が送れるという
バルミューダ 寺尾玄 代表取締役社長

 「従来の扇風機の風は、プロペラを回すことによって 空気を前に送り出している。そのため、旋回流と呼ばれる、渦を巻いた風が人に当たっていた。従来の扇風機の風が“人工的だな”、“硬い風だな”と感じるのは、この旋回流が原因。それに対して、自然界の風は渦は巻いておらず、大きな面で移動している。この“面”の風が送れるのが、グリーンファンテクノロジーとなる」(バルミューダ 寺尾玄 代表取締役社長)


GreenFan miniを手に持つ寺尾氏。持ち運びがしやすいという

 今回のGreenFan miniでは、グリーンファンテクノロジーを引き続き搭載するとともに、持ち運びやすいよう本体を小型化。従来のGreenFanに比べて、約67%小型化した。

 寺尾氏は、GreenFanを小型化した理由について「私もGreenFanユーザーですが、例えば、寝室、子供部屋、キッチンなど、使う部屋によっては、もう少し小さければもっと便利だと思うことがあった。製品が小さく、接地面積が小さく、持ち運びしやすいことが、大きな価値になることもあるのでは」と説明した。

 本体が小さくなったことで、羽根は直径25cmのグリーンファンテクノロジーの羽根を使用。同じ直径で、一般的な形状の5枚羽根の扇風機の場合、風が届く距離は最強運転時で約3.5mだが、GreenFan miniでは、最強運転時で8m先まで風が届けられるという。

 また、モーターには省エネ性の高いDCモーターを採用。最弱運転時の消費電力は、GreenFanシリーズでは最小となる2Wで、最強でも約10W程度という。1カ月の電気代の目安は約11円。なお同社では、従来の扇風機の消費電力を最弱で約30W、最強で60Wとしている。

直径25cmの小径の羽根を使用しかし、最強運転時の風が届く距離は、一般的な扇風機の羽根よりも長い8mという最小消費電力は2Wとなった

 操作面も改良した。本体台座部の操作ボタンはクリックホイール1つのみで、電源のON/OFFはボタンのプッシュ、4段階の風量切り替えはホイールの回転で行なう。オフタイマーはボタンを長押しし、ホイールを回転することで、1/2/3/4時間の4段階で切り替えられる。また、首振り運転はモーター部背面のダイヤルで切り替える。

 「デザインも操作も、究極までシンプルにした。日本の家電を買って、機能が多すぎたり、スイッチが多すぎたりして、結局使わなかった経験はないでしょうか。それは最初から(機能が)付いていないのと同じこと。また従来の扇風機には、モーターカバーの上に、首振りのON/OFFを切り替えるノブが付いていましたが、あんなのはいらない。GreenFan miniでは、モーター部背面の美しいダイヤルに進化している。GreenFan miniは、バルミューダ製品の中でも、もっとも完成度が高い」(寺尾氏)

本体の操作ボタンはクリックホイール1つだけ。リモコンも付属する取っ手は背面の羽根ガードに埋め込まれている首振り運転はモーター部背面のダイヤルで切り替える

風量を切り替えているところオフタイマーを使う場合は、ボタンを長押しする

 本体サイズは290×265×584mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は2.5kg。消費電力は2~10W。運転音は最小で17dB。手動角度調整は左右に20度、上に24度、下に4度。自動首振り運転の角度は左右それぞれ39度。

運転音は最小で17dB羽根を外す際には、ガード部のレバーを引き上げる

専用モバイルバッテリーで、最大20時間のワイヤレス使用も可能

 GreenFan miniでは、同時に発売するモバイルバッテリー「UniPack(ユニパック) EGM-1000-WK」を使用することで、コードレスの使用にも対応する。昼間はリビングに、夜は寝室に持ち運ぶといった使い方もできるという。

 「GreenFan miniのテーマは“自由さ”。寝室や子供の部屋だけとはいわず、キッチン、洗面所、玄関、ガーデニング、キャンプの時でも持っていける。そこに自然のやさしい風が吹く。キャンプの時は最初から自然の風が吹いていますが(笑)」(寺尾氏)

 UniPackは、電池容量8,360mAhのリチウムポリマー電池を電源とするモバイルバッテリー。GreenFan miniの電源として使用する際には、本体台座部の専用スペースに投入する。

GreenFan mini内部に投入できるモバイルバッテリー「UniPack」通常は写真のように台座の中に入っている電池容量は8,360mAh
出力用の端子。右がUSBで、左がGreenFanシリーズ用の12V入力用の端子。付属のACアダプターを取り付ける。GreenFan miniに内蔵している場合は、本体のACアダプターを付けている間も充電する

 また、ほかのGreenFan製品の電源としても使用できる。電力消費量の多い夏の日中にUniPackでGreenFanを動かせば、ピークシフトにも貢献できるという。UniPack使用時の連続使用時間は、GreenFan miniで最大20時間、GreenFan 2で最大10時間(いずれも最弱運転時)。

 なおUniPackでは、USBの出力コネクタも1口搭載し、各種モバイル機器への出力も可能。iPhone 4Sなど容量1,400mAh前後のバッテリー容量の場合、2.5回分の電力が供給できる。最大出力は2A。

UniPackでコードレスで使用する場合、GreenFan miniが最大20時間、そのほかは最大10時間までUSB出力でさまざまな機器の充電も可能

 UniPack単品の希望小売価格は10,500円で、GreenFan miniとUniPackがセットになった「GreenFan mini + Battery」の希望小売価格は34,800円。

 UniPackの本体サイズは150×88×17.5mm(同)で、重量は250g。充電用のACアダプター、GreenFan接続用のケーブルが付属する。


「これからも真似される製品を作っていきたい」

 発表会に登壇した寺尾氏は、2010年の初代GreenFanの発売から、バルミューダが大きく成長したことを明らかにした。

 「(初代GreenFanは)当時の扇風機としてはありえない33,800円という価格だったが、初年度は計画の2倍のセールスを実現。会社全体では、2010年は前年に比べ560%増、2011年は2010年比332%増の売上規模を達成した。また従業員数は、製品発表当時は私を含めて3人だったが、現在では20名になった。このようにして成長できたのも、すべては(グリーンファンテクノロジーの)一枚の羽からだった」

GreenFanのヒットで、スタッフの数は3人から20人に増えた売上も急成長しているという
 

 寺尾氏はまた、GreenFanを市場に投入して以来、“やさしい風”や“省エネ”を謳った扇風機が他社から登場していることについて触れた。

 「ヒット商品を出すということは、そのアイディアとビジネスモデルを世の中に公開することにほかならない。中には(GreenFanを)ダイレクトに真似をした商品もあるが、それらですらユーザーに選ばれ、何十万台も売れる市場を作った。これは、私達がそれだけ有用なアイディアを世の中に提案できたという証明。GreenFanは、高性能、省エネ扇風機という新しい市場を創出したと考えている。真似する会社と真似される会社があった場合、どちらがカッコイイでしょうか。私たちはこれからも、真似される製品を作っていきたい」

 また寺尾氏は、「これが今年1回目の製品発表会となりましたが、2回目を行なうため、製品開発チームは死に物狂いで頑張っています。また秋にお会いしましょう」と、今年中の新製品の投入をほのめかした。 

発表会会場では、設計図や試作品も公開された





(正藤 慶一)

2012年4月27日 00:00