三洋電機とパナソニック、ハイアールへの白物事業売却を説明
三洋電機の洗濯機事業、家庭用冷蔵庫事業などの白物事業を中国ハイアール(海爾集団公司)に売却することに関して、パナソニックおよび三洋電機が説明会を開催した。
三洋電機の発表によると、今回、ハイアールに譲渡する事業規模は約700億円。譲渡する生産拠点、販売会社を含めて、9社を移管し、合計で2,300人が異動することになる。そのうち、国内では300人が対象になるという。
三洋とハイアールが事業譲渡に合意 | 主な合意内容 |
三洋電機は、2002年からハイアールと事業提携をしているが、今回の事業譲渡で、両社の関係は解消されることになる。
三洋電機 経営企画本部経営戦略部 岡崎義典担当課長 |
三洋電機の経営企画本部経営戦略部・岡崎義典担当課長は、「洗濯機のAQUAに関する技術者、特許などはすべてハイアールに移管することになり、今後、ハイアールがAQUAブランドの洗濯機を生産することになる」と述べた。また、「冷蔵庫や洗濯機のほかに、今回譲渡する三洋のアジア地域の販売会社が、OEMによって生産し、『SANYO』ブランドで販売していたエアコン、電子レンジ、掃除機なども一定期間は、SANYOブランドで販売することになる。しかし、ハイアールではグローバルブランドとして『Haier(ハイアール)』ブランドを展開したいと考えており、今後、SANYOブランドへの過大な投資はないだろう。いつかは切り替わっていくものになると判断している」などとしている。
SANYOプランドの使用が認められている一定期間の時期については、「ハイアールのブランド戦略によるところが大きく、三洋電機の立場からは明確にはできない」とした。
SANYOブランド製品のアフターサービスについては、国内ではパナソニックグループで対応。海外ではハイアールがすべてを対応することになる。
岡崎担当課長は、「三洋電機の洗濯機、冷蔵庫事業をハイアールに売却するにあたり、大きな課題はないと考えている」として、今後の譲渡スキームはスムーズに進むとの考えを明らかにしたほか、「他の白物家電製品については、パナソニックの成長戦略のなかで決定することになる」と語った。
なお、パナソニックでは、白物家電事業に関しては、重複している事業に関しては、売却あるいは統合していく考えを明らかにしているほか、2012年4月には白物家電ブランドを、パナソニックブランドに統一していく姿勢を示している。
パナソニック 上野山実 常務取締役 |
パナソニックの上野山実 常務取締役は、「当初の計画通りの整理統合であり、雇用を確保するという点では、ハイアールという、しっかりとした会社に売却でき良かったと考えている」とコメント。
「パナソニックは白物家電事業については、省エネ、インバーター、耐熱技術など圧倒的な技術力を持っており、さらに商材についても、エアコン、洗濯機、冷蔵庫だけでなく、小物商品や理美容製品などの幅広い商品を取り揃えている。そして、日本においても優位性のあるシェアを持ち、世界ナンバーワンの技術を維持できる力を持っている。パナソニックがハイアールに対して、三洋電機の洗濯機、冷蔵庫事業を売却したからといって、パナソニックの業績が悪化するとは思っていない。だが、ハイアールにとっても業績を伸ばすチャンスにはなるだろう」とした。
また、「今回の措置はあくまでも重複事業を整理するというものである。しかし、重複事業の整理は最終段階ではなく、まだ中盤の段階にある。売却、構造改革の両面から検討を進めている。パナソニックに集中させた商品は、商品力強化を図り、事業拡大を目指す」として、今後も掃除機や炊飯器などの重複事業における再編を継続的に進める姿勢を示した。
(大河原 克行)
2011年7月29日 00:00