三菱化学とパイオニア、塗布型有機ELで5.7万時間の長寿命を達成

~量産技術確立のための検証設備を夏までに設置

 三菱化学とパイオニアは、開発中の有機EL素子において、実用レベルの長寿命と高効率化を達成し、量産技術確立のための検証設備を設置すると発表した。

 両社が共同開発している有機EL素子は照明器具用で、発光層と呼ばれる部分の成膜プロセスに、蒸着プロセスではなく、塗布プロセスを使用するのが特徴。これにより、基板の大型化や低コスト化が可能としている。また、輝度を上げるために発光層を2重にしたマルチユニットではなく、構造が簡単なシングルユニットを採用している。

シングルユニットとマルチユニットの構造

 今回発表された有機EL素子は、白色型で5.7万時間(輝度1,000カンデラ/平方m、70%寿命)という長寿命を達成した。また発光効率は、フルカラー調光型で2,000カンデラ/平方m時に、56lm/Wという高効率化を達成した。両社では、これにより、実用レベルの長寿命と高効率化を達成したとしている。

 今後は、有機ELパネルの量産技術を確立するため、東北パイオニア米沢事業所内に検証設備を設置する。この設備では40×30cmサイズの有機EL照明パネルの試作が可能としている。検証設備の稼働は2012年夏を、有機EL照明の本格事業化は2014年度を予定している。






(伊達 浩二)

2012年6月4日 15:16