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LIXILと東京電力の新合弁会社、約200万円の太陽光発電システムが実質ゼロになるZEH向け新サービスをスタート

ZEH普及促進を目的とした新サービスをスタート

 LIXILと東京電力エナジーパートナーは、環境に負荷をかけないZEHの普及促進を目的とした合弁会社「株式会社LIXIL TEPCO スマートパートナーズ」を設立、10月1日より事業を開始することを発表した。

環境に負荷をかけないZEHの普及促進を目的とした合弁会社「株式会社LIXIL TEPCO スマートパートナーズ」。左から東京電力 小早川智明社長、東京電力EP 川崎敏寛社長、LIXIL TEPCO スマートパートナーズ 柏木秀社長、LIXIL Housing Technology Japan CEO吉田聡氏、LIXIL 瀬戸欣哉社長

 住まいの断熱性・設備効率を上げる省エネと、太陽光発電などでエネルギーを創る創エネにより、年間の一次エネルギー消費量の収支をプラスマイナスゼロにする「ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」の普及促進を目的とした合弁会社。

 政府は2020年までに新築戸建の過半数で、そして2030年までに新築住宅の平均でZEH化することを目標としているが、まだ普及は進んでおらず、2016年の実績では新築戸建住宅におけるZEHの割合はまだ4.3%程度だという。

住まいの断熱性・設備効率を上げる省エネと、太陽光発電などでエネルギーを創る創エネにより、年間の一次エネルギー消費量の収支をプラスマイナスゼロにする「ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」
政府は国策として、ZEHの普及に取り組んでいるが、まだまだ普及率は低い

 新会社ではこの状況を打破すべく、LIXILの強みである断熱性能の高い窓や節水効果の高いトイレ、太陽光発電システム、家一棟分の建材・設備の豊富なラインアップと、東電EPが約2,000万件のユーザーに提供してきたエネルギーサービスを通じて培った様々な知見や技術などを組み合わせることで、新しいサービスを提供していくという。

約200万円の太陽光発電システムを実質無料にすることでイニシャルコストを大幅に低減

 具体的には、指定のLIXIL商品を採用したZEH購入のユーザーを対象に、約200万円の太陽光発電を割賦で販売する。その後、約10年間の間、新会社が余剰売電収入を得る代わりにユーザーの太陽光発電システムの毎月の支払いを実質なくすというもの。これにより、省エネ設備や太陽光発電システムの導入により約400万円かかっていた、ZEH購入時のイニシャルコストを半分以下に低減できるという。

太陽光発電システムの導入時のコストをゼロにするほか、自家発電でまかなえない電気を新会社が安く供給する
イニシャルコストを大幅に抑えるほか、光熱費も大きく抑えられる

 また、新会社では電力の供給も行なう。太陽光発電システムの販売契約時には、新会社との電気需給契約を結ぶことも条件に入っており、太陽光発電による自家発電で足りない分の電気は新会社から割安で供給される。これにより、光熱費も大幅に軽減できるという。

 電気代の割引設定は、住宅建築時にLIXIL商品をどれだけ導入したかなどで決定するという。例えば、サッシやドアなどは、必須採用商品として進めていくが、断熱パネルや、トイレなどの節水商品などは導入を選択できる。その場合、LIXIL商品が多いほど、電気代の割引率が良くなるようなプランを想定しているという。

LIXILの太陽光発電パネル
窓も省エネ性に優れたモデルを複数揃える
LIXILの断熱パネル

電力供給需要が縮小していく中で、新しいビジネスモデルを開拓

 LIXILグループ取締役 代表執行役社長 兼 CEOの瀬戸欣哉氏は、新会社の設立について、以下のように語った。

 「ZEHが普及していないのには、太陽光発電や断熱性の高い建材を入れたりすることで、普通の家を建てるより、コストが高くなってしまう点が問題。そこを我々のサービスでは、イニシャルコストを大幅に抑えることができる。LIXILとしても環境性能に優れた建材をパッケージで納入できるというのは、大きなメリット。このサービスの普及によって、東京電力と一緒に環境負荷の低減に努めていきたい」

LIXILグループ取締役 代表執行役社長 兼 CEOの瀬戸欣哉氏

 東京電力ホールディングス 代表執行役社長 小早川智明氏は、今回の取り組みの背景として、エネルギーを取り巻く環境の変化を挙げた。

 「エネルギーをとりまく事業環境は、少子化や環境問題、さらに再生エネルギーなど、様々な変化を迎えている。今後、電力供給事業が右肩上がりになることはあり得ないという状況の中で、我々は未来にむけた新しいビジネスモデルを開拓していく必要がある。環境や建材に対して高い知見を有するLIXILと組むことで、ZEHが持つ高い環境性能と快適な環境を提供できる。今後も両社グループのリソースを有効活用し、さらなる技術開発、サービスを生み出すことを期待する」

東京電力ホールディングス 代表執行役社長 小早川智明氏

 また東京電力エナジーパートナーの 代表取締役社長の川崎敏寛氏は「これまで、東京電力では、電気のご利用面での省エネに取り組んできた。新会社では、高いレベルでの省エネを住宅全体で取り組むこれまでの省エネからは一歩進んだものになる。電力小売り事業者という観点から考えれば、今回の取り組みは電力の販売量の減少を意味すると思われがちだが、我々はこれをチャンスと捉えて、省エネ事業を柱に据えていきたい」と話した。
また、新会社では電気の販売も行なう。

 「これまで培ってきてノウハウや総合力を活かして、業務面や人材面でサポートしていく。まずは関東エリアでスタートするが、将来的には、全国で展開していきたい。新会社を通じて、全国でのエネルギー展開を加速していきたい」(東京電力エナジーパートナーの 代表取締役社長の川崎敏寛氏)

東京電力エナジーパートナーの 代表取締役社長の川崎敏寛氏

 新会社 LIXIL TEPCO スマートパートナーズの代表取締役社長を務める柏木秀氏は「ZEHの推進を通じて、お客様の満足を得、さらにCO2削減に大きく貢献できるということが私達の喜び」と語り、具体的な数値目標は、2020年度末までに20,000軒の契約件数、単年での売上100億を目指すことを掲げた。

LIXIL TEPCO スマートパートナーズ 代表取締役社長 柏木秀氏

 なお、同サービスでは、太陽光発電システム設置から10年間は新会社が売電の収益を得るが、従来通り個人で太陽光発電システムを購入した方が、売電収入は多くなるという。「新サービスでは、イニシャルコストを大幅に抑えられるというのが、大きな特徴。お客様に選択肢を増やすという意味でも意義がある」(柏木秀氏)。

 またサービス開始当初は新築戸建住宅のみを対象としているが、今後はリフォーム需要についても、進めていくという。