長期レビュー

パナソニック「食器洗い乾燥機 NP-TR5」 後編

~賢いコース選びで便利&節電に
by 神原サリー

 
「長期レビュー」は1つの製品についてじっくりと使用し、1カ月にわたってお届けする記事です。(編集部)



パナソニック「卓上型食器洗い乾燥機 NP-TR5」

 10年ぶりに買い換えた卓上型の食器洗い乾燥機NP-TR5。前編では、より効果的に洗浄でき、かつ、さまざまな形状や大きさの食器を収められるようにと工夫された食器かごの様子や、パワー除菌ミストの威力についてご紹介した。後編では、搭載されているコースについて、詳しく見ていこう。

前編→こちらから

標準コースはエコナビで少ない食器でも気兼ねなく洗える

 NP-TR5には、4つのセンサーを使って自動的に節電・節水・時間短縮を行なうエコナビ機能がついている。エコナビとはエアコンや冷蔵庫などパナソニックの白物家電製品に多く搭載されている省エネを目的とした機能で、センサーで運転状況などを検知、自動で省エネ運転に切り替わるというものだ。

 食器洗い乾燥機のNP-TR5には、洗浄水の濁度で汚れ具合を検知する汚れセンサーを搭載。汚れ具合に応じて、洗い時間や温度、すすぎ回数などを自動で調整、節電・節水・時間短縮に貢献する。

 また、水位で庫内の泡立ち度を検知する泡センサーや洗浄水の温度上昇スピードで食器量を検知する食器量センサー、室温検知によって乾燥行程のヒーター加熱時間を調整する乾燥センサーも搭載。自分では気付くことのできないほんのちょっとのムダもとことん省いてくれるのだ。

庫内に食器をセットする前にブラシで簡単な汚れを落とす予洗い。ちょっと汚れを落とすことで、節電や時短につながるのは嬉しい

 そのため、使った食器の点数が少なめで、庫内にまだ余裕がある時でも気兼ねなく使える。前編でも紹介したように、柄付きブラシを使って食器についた汚れをざっと落としておくことで、汚れセンサーによるエコナビ機能で、節電や節水、時短に効果を高められるために、“ひと手間”かけることの励みにもなる。

 ところで、このエコナビ機能だが、「標準コース」にのみ搭載されている。標準コースとは、給水温度が20℃の場合で、除菌ミスト6分→洗い14~19分→すすぎ3回29分→乾燥30分を行なう基本のコースだ。標準コースの乾燥時間は30分のほかにも、45分、60分、ヒーターを入れずに60分間送風乾燥する「送風」なども選べる

 このほか、全行程を長めに行なう「強力コース」、洗いやすすぎの時間や回数を減らした「スピーディコース」、プラスチック食器に適した「低温ソフトコース」などが搭載されている。

 今回、さまざまなコースを試したが、エコナビが働く「標準コース」で乾燥は45分というのが、わが家の基本的な使い方となった。30分の乾燥では水滴が残ることがあるため、少し長めの45分のほうが満足度が高かったのだ。ワットチェッカーで計測してみたところ、「標準+乾燥45分」での1回当たりの消費電力量は0.67kWh、電気代は約15円と表示された。

夕食後、約3人分の食器やボウルなどを入れたところエコナビが働く、標準モード+乾燥を45分で設定してスタート。除菌ミスト→洗い→すすぎ→乾燥の順で運転する乾燥まで終了後、ワットチェッカーで消費電力をチェックすると、0.67kWhと表示されていた
電気代の目安はだいたい15円この日も夕食後、3人分の食器や鍋などを食洗機へ

 【追記】2012.5.28
写真では庫内に包丁も入れていますが、メーカーの取り扱い説明書では「落下や刃でけがをするおそれがある」として、包丁を庫内に入れることを禁止しています。製品の詳しい使い方についてはパナソニックの製品情報ページにある取り扱い説明書をご覧ください。

 

乾燥機能を使わなくても、使用後すぐに扉を開ければOK

 10年前のモデルについていなかった機能として、除菌ミストやエコナビのほかにも「80℃すすぎ」や乾燥なし機能がある。80℃すすぎとはすすぎの仕上げを80℃の高温で行なうというもの。さっそく標準コースに80℃すすぎを組み合わせて使ってみることにした。

 ここで考えたのは、すすぎの最後を80℃という高温で行なうのだから、乾燥機能なしでも大丈夫なのではないかということ。すすぎ終了後のブザーと同時に扉を開けてみると、まだ水滴が残っているが、食器類の温度は高く、みるみるうちに水分が蒸発していく。しばらくそのまま扉を開けておくと、食器が冷めるころには、すっかり乾いているのが確認できた。

 すすぎの段階までエコナビでムダを省き、ヒーター乾燥を省いたものの、すすぎ時のお湯の温度は高めに設定したこの使い方、果たして消費電力量などはどのようになっているだろうか。ワットチェッカーでの計測結果は、1回あたりの消費電力量は0.62kWhで、電気代はだいたい14円。ヒーター乾燥しない分、いくらか節電に貢献したようだ。

エコナビが働く標準モードに設定し、乾燥機能を省く代わりに80℃すすぎをプラスしてスタート80℃すすぎが終了してブザーが鳴ったところでワットチェッカーを確認すると、消費電力は0.62kWhと表示されていた1回あたりの電気代の目安は14円
80℃すすぎが終了後、食器を乾燥させるためにすぐにドアをオープン。まだ水滴が残っているのがわかるしばらくすると、濡れていた食器や鍋の水滴が蒸発し、ピカッときれいに乾いた夕食後に3人分の食器や調理器具などを入れたところ。鍋などは入れなかったが、いつもよりも少し点数が多め

 それでは、エコナビの働かない「スピーディコース」に80℃すすぎを組み合わせ、乾燥なしにしてみたらどうだろう? この設定で試したところ、洗い→すすぎ→終了ブザーまでの時間が40分弱と短かったものの、ワットチェッカーでの計測結果は意外にも、消費電力量が0.68kWh、電気代が約15円と、標準コースよりも若干高い数字となった。毎回同じ食器量や汚れ具合ではなかったものの、家族3人分の夕食後という点ではほぼ同じ。さすがエコナビだと納得する結果となった。

 自然乾燥させるにはすすぎ終了からなるべく早いタイミングで扉を開けておくことが必要なため、夕食後に使う場合、急いでいる場合は「スピーディコース」を選び、乾燥なしですぐに扉を開けておくのが速いし、仕上がりもよい。比較的時間に余裕があり、寝る前に食器洗いを終え、扉を開けておけるのなら「標準コースで乾燥なし」に、就寝間際になって食器をセットしスイッチを入れる場合は「標準コース+乾燥」コースといったところだろうか。

この日は、洗いやすすぎ時間が短い「スピーディコース」を選択。乾燥なしですっきりと乾かしたかったので、80℃すすぎにすすぎ終了まで35分程度と短時間に終わったが、エコナビが働かず、すすぎの温度も高めだったためか、消費電力は0.68kWhと表示された1回あたりの電気代の目安は15円

 今回はすすぎの温度を高めて、乾燥機能を使わない方法を試したが、他にも乾燥終了後にヒーター入れずに約2時間送風と停止を繰り返して、食器や庫内に水滴がついたり、ニオイがこもるのを防ぐドライキープ機能もある。この機能はヒーターを使用しないので、1回あたりの電気代は約0.1円とのこと。たとえば夜遅い時間や外出中などに食洗機を動かして、終了後にすぐに扉が開けられないという場合などにこれを使うと便利だろう。

お手入れも簡単、やっぱりあると便利な食洗機!

 最後に、お手入れ方法だが、毎回使用後に庫内の右手前にある排水口部分に設置されている「残さいフィルター」を取り外して、料理の残りがついている場合は、それを洗えばOK。食器の予洗いに使ったブラシなどを使うとフィルターについた汚れが取りやすい。

 また、これまでだと、定期的に庫内洗浄専用クリーナーを用いて、庫内のノズルの汚れを取ったり、ニオイを防いだりする必要があったが、NP-TR5には通常の食洗機用洗剤を使用して庫内のお手入れができる「お手入れコース」が新しく搭載されているのも注目したい点だ。「お手入れコース」は、食器を入れずに食洗機用洗剤のみを入れて行なうコースで、洗いの途中で動作を停止させて高温の蒸気で汚れを浮かして洗浄する仕組みになっている。月に2~3回行なうことで汚れがつきにくくなるという。

使用後に残さいフィルターに汚れがたまっていたら、必ずお手入れを。ブラシを使うと便利水を流しながら、ブラシでこするとあっという間にきれいになるNP=TR5には「お手入れコース」も搭載されている。食器洗い機用の専用洗剤を使えるので手軽にお手入れでき、ニオイを防いで清潔に保てる

 食洗機が便利なのは、いつも使う食器洗いだけでなく、お菓子作りなどをした際に泡立て機やボウルなどさまざまな調理器具を使ったときにも、ひとまとめにして洗うことができ、細かい部分まですっきり汚れが落ちること。耐熱性のものであれば、ミキサーやフードプロセッサーなどの洗浄にも役に立つ。

 また、食後のひととき、食器洗いに時間を取られることなく、家族と向き合い、団らんの時間を過ごせることも大きい。私が初代の食洗機を購入した10年前は、水不足や衛生面等で食洗機への人気が高まり、販売台数がピークにあった時だったと聞く。同時期に購入した人もそろそろ買い替えの時期を迎えているかと思うが、食洗機も進化しており、洗い残しへの不満も解消され、省エネ性もグンと高まっていることをぜひお伝えしたい。洗浄時の音についてもずいぶん静かになって改善されていることを実感している。

 まだ使ったことがないという人も、10年前に導入した際に、息子たちが口をそろえて「もっと早く買えばよかったね。そうしたら、一緒にテレビを見たりできたのにね」と言ってくれたことをあらためてここに記し、食洗機の導入をおすすめしたいと思う。



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2012年5月25日 00:00