【CEATEC JAPAN 2010】
ネットワーク化するヘルスケア機器や癒しのぬいぐるみロボットなど

CEATEC JAPAN 2010の展示会場

 高齢化社会の到来に伴い、ヘルスケア(健康管理)に対する消費者の関心は急速に高まっている。体温計や血圧計、体重計といったものは、すべてデジタル化されている。

 こういった動きを反映し、CEATEC JAPANではヘルスケア向けの電子機器とサービスを一堂に集めた特設パビリオン「デジタルヘルスケア・プラザ」を設置。本レポートでは同パビリオンの展示を中心に、ヘルスケア関連の話題を紹介する。

Bluetooth接続のコンティニュア規格対応機器

 ヘルスケア機器が電子化・デジタル化されたときに起こるのは、計測したデータを電子的に保存しようという動きである。そこで体温計や体重計、血圧計などと、ノートパソコンやスマートフォンなどの情報機器を結ぶ必要が生じる。ここまでには、すでに起こったことだ。

 ここから課題となるのは、標準化である。ヘルスケア機器の開発企業ごとに情報機器との接続手法が異なっていては、一般消費者にとって不便だし、開発企業にとっても通信プロトコルやミドルウェアなどの作成に手間がかかる。そこでヘルスケア機器の種別(血圧計、体重計、体温計といった種別)ごとに項目を規定するとともに、通信プロトコルを標準化する。その最大の勢力が、半導体ベンダーのIntelがワールドワイドで主導する業界団体「コンティニュア・ヘルス・アライアンス(CHA:Continua Health Alliance)」である。現在では200社を超える企業がCHAに参画している。

 今回の「デジタルヘルスケア・プラザ」の主役もCHAが策定した「コンティニュア規格」の設計ガイドラインに準拠した機器となった。タニタ、オムロン ヘルスケア、エー・アンド・デイ、パナソニック、ニシトモなどがコンティニュア規格対応の血圧計、体重計、体組成計、歩数計、婦人用体温計などを出品している。

 コンティニュア規格では、ヘルスケア機器とパソコンやスマートフォンなどを無線通信あるいは有線通信で接続する。無線通信ではBluetooth、有線通信ではUSBをベースにしており、Bluetoothでは「HDP(Health Device Profile)」、USBでは「PHDC(Personal Healthcare Device Class)」をドライバ・ソフトウェアとしてそれぞれ規定している。

タニタのコンティニュア規格対応ヘルスケア機器。手前はUSB接続の体組成計、奥の右側はBluetooth接続の体組成計、奥の左側はUSB接続の歩数計。いずれも参考出品機オムロン ヘルスケアのコンティニュア規格対応ヘルスケア機器。左はBluetooth接続の体重体組成計「HBF-206IT」、右はBluetooth接続の自動血圧計「HEM-7081-IT」。いずれも販売中エー・アンド・デイのコンティニュア規格対応ヘルスケア機器。左奥はBluetooth接続の体重計「UC-324PBT-C」、右手前はBluetooth接続の血圧計「UA-851PBT-C」。いずれも2011年春に発売の予定
パナソニックのコンティニュア規格対応ヘルスケア機器。手前はBluetooth接続の血圧計(試作品)、奥はBluetooth接続のタブレットパソコンニシトモのコンティニュア規格対応婦人用電子体温計。婦人用電子体温計「ソフィアアレイ」をベースにした参考出品機。USB接続である婦人用電子体温計「ソフィアアレイ」の説明パネル

コンティニュア規格対応のスマートフォン

 「デジタルヘルスケア・プラザ」以外では、富士通がヘルスケアの展示に熱心だった。コンティニュア規格に対応した携帯電話機(スマートフォン)や、子ぐま型ソーシャルロボットなどを展示していた。

 コンティニュア規格に対応したスマートフォンは、NTTドコモと富士通が共同で開発したもの。富士通によると、世界で初めてのコンティニュア規格対応携帯電話機だという。コンティニュア規格対応のヘルスケア機器とはBluetoothで接続。現在のところ、対象とするヘルスケア機器は血圧計と体重計である。ノートパソコンと同様に計測データをヘルスケア機器から受信し、アプリケーションで管理する。

 展示ブースでは、オムロン ヘルスケアのコンティニュア規格対応血圧計で測定したデータを、コンティニュア規格対応スマートフォン(試作品)で受信するデモンストレーションを実施していた。

コンティニュア規格対応のスマートフォン(試作品)血圧計(右)の測定データをBluetooth経由で送信し、スマートフォン(中央)で受信したところ

子ぐまのぬいぐるみロボットが親しげに動く

子ぐま型ソーシャルロボット(試作品)。名前は特に付けられていないという。電源はお尻の辺りからケーブルで供給されている

 子ぐま型のソーシャルロボットは、日常生活で人間の親しいパートナーとなることを目指して富士通研究所が開発した。外見は、子ぐまのぬいぐるみが座った形をしている。ぬいぐるみに内部にはカメラやマイク、タッチセンサーなどを組み込んであり、人間の顔や発声、身振りなどを認識する。

 また、耳を折りたたんだり、まぶたを開閉したり、口を開閉したり、首をふったり、前足を上げたり、後ろ足を上げるなどの動作も行なう。さらに、まぶたや耳などを巧みに動かすことで、喜びや悲しみの表情も表すという。たとえば、喜んでいるときはまぶたと耳と口を開いて前足を上げる、落ち込んでいるときはまぶたと耳を閉じて頭を下げ、前足を降ろすポーズを取る。本体には約300通りの動作表現が登録されているという。

 展示ブースでは、音楽に合わせてロボットが体操をするデモンストレーションのほか、来場者が実際にロボットを触ることもできる。腹を撫でたり、腕を握ったり、目の前で手を振ったりすることで、動作や感情が変わるため、注目を集めていた。


音楽に合わせて体操をしているデモンストレーション(動画)。富士通では、介護施設で食事の前に軽く体操をするときに、子ぐまのぬいぐるみが一緒に体操をすることで、和やかな雰囲気を作りやすくなるとしている
喜んでいる感情の表現。まぶたと耳と口を開くとともに、前足を上げて振っている落ち込んでいる感情の表現。まぶたと耳を閉じて頭を下げ、前足を降ろしている鼻に小型カメラが埋め込まれている

金箔を貼ったお掃除ロボットやキャラクター型のテレビアンテナなど

 ヘルスケア以外の話題にもふれておこう。お掃除ロボット「ルンバ」で知られるアイロボットは、金箔を貼り付けた「純金ルンバ」を参考出品。「ルンバ577」に、24Kの純金箔を貼り付けたもの。説明員によると「実際に動作するが、(もったいないので)動かしたくない」とのことだ。

「ルンバ577」に24Kの純金箔を貼り付けた「純金ルンバ」「純金ルンバ」の説明パネル

 テレビ用アンテナの大手ベンダーであるマスプロ電工は、ディズニーのキャラクターをあしらった卓上型の地上デジタル受信用アンテナを参考出品していた。時期は未定だが、販売を予定している。マスプロ電工はこれまでに、ディズニーのキャラクターをあしらったBS・110度CS放送受信用アンテナと地上デジタル受信用平面アンテナを発売した実績がある。CEATEC JAPANには、これらのアンテナも出品していた。

ディズニーのキャラクターをあしらった卓上型の地上デジタル受信用アンテナディズニーのキャラクターをあしらったBS・110度CS放送受信用アンテナ




(福田 昭)

2010年10月7日 18:54