やじうまミニレビュー

パナソニック「3号国民ソケット WH1010PK」

~ヒモスイッチで電球を点灯/消灯できるアクセサリ
by 伊達 浩二


やじうまミニレビューは、生活雑貨やちょっとした便利なグッズなど幅広いジャンルの製品を紹介するコーナーです


パナソニック「3号国民ソケット」

 私の部屋は7畳半ほどの広さだが、部屋の明るさを重視するため、10畳間用の蛍光灯シーリングライトを使い、コンビニの店内のように明るい部屋にしていた。

 しかし、節電で暗くなった市街を歩いてみると、暗いのもアリなのではないかと考えるようになった。暗い場所だからこそ、明るいところと暗いところのコントラストが光を活かす。のっぺりと全面を明るくするのではなく、場所に応じて灯りを選んでもいいのではないかと感じたのだ。というわけで、自室のシーリングライトを片付け、天井に電球を1個取り付けることにした。

 ただし、シーリングライトの場合は、付属のリモコンで操作できて便利だったが、リモコンのない電球型蛍光灯では、点灯と消灯の操作がとても不便になる。そこで利用したのが、パナソニックの「3号国民ソケット WH1010PK」だ。


メーカーパナソニック
製品名3号国民ソケット WH1010PK
希望小売価格588円
購入場所ヨドバシAkiba
購入価格467円

 

パッケージは「ナショナル」ではなく、「パナソニック」ブランドになっている

 WH1010PKは、電球のON/OFが切り替えられるヒモスイッチを付属した、とてもシンプルな筒型のソケットだ。サイズは60×34×150mm(幅×奥行き×高さ)で、電球を設置するE26口金とほぼ同じ太さとなる。

 取り付けは簡単で、E26口金と電球の間にセットすると、付属のヒモスイッチで電球のON/OFF操作ができる。ヒモスイッチを1回引けば点灯し、もう1回引けば消灯する。調光機能などはない。

 

3号国民ソケットは筒型をしている。出っ張っているのはヒモスイッチ根本側はE26口金のオス反対側はE26口金のメス

 天井の配線は、引っ掛けシーリングという金具なので、これを電球が入るE26口金に変換するアダプタを使用した。今回は手元にあった、メーカーが不明の名もなきアダプタを使ったが、たとえばヤザワの「SF3410」という製品が該当する。

 天井に取り付ける電球は、LED電球でも良いのだが、我が家ではボール型の電球型蛍光灯を選んだ。これだと、天井までまんべんなく照らされるのと、明るさが柔らかく感じるからだ。物の影がとげとげしくならないところが気に入っている。

引っかけシーリングに電球を取り付けるためのアダプタ上側は引っかけシーリング用のツメ下はE26口金になっている
天井にある引っ掛けシーリングE26への変換アダプタを付けるボール型の電球型蛍光灯を使うと、光が天井まで回る

楽に天井の灯りを点灯、消灯できるようになった

 まずは、WH1010PKを取り付ける前に、電球型蛍光灯を天井の変換アダプタに取り付けた。以前のシーリングライトの消費電力が30W+40W=70Wだったのに対し、このボール型の電球型蛍光灯は15Wしか消費しない。LED電球ならば、数Wレベルまでさらに少なく節電できるだろう。

 もちろん、部屋はずいぶんと暗くなった。しかし、電球色のぼんやりとした灯りは、隅々まで明るい昼光色の蛍光灯とは別の良さがある。部屋の雰囲気もすっかり変わった。これまで、自分の部屋は作業をする場所だったが、今は休んだり寝るための場所になったと感じる。ほんの少しだけだが、寝付きも良くなったと感じる。眠る寸前に浴びる光が、柔らかく弱いものになったので、精神が落ち着きやすいのかもしれない。

 ただし、このままだと点灯と消灯の際に壁スイッチまで歩いていかねばならず、とても面倒だ。そこで、ソケットと電球の間にWH1010PKを取り付けた。やや格好は悪くなるが、問題なく取り付けられた。

 WH1010PKのヒモスイッチの長さは60cmちょっとあるので、人の顔の位置あたりまでヒモが届く。先端部分は蛍光塗料で真っ暗になると、かすかに光っている。

ボール型の電球型蛍光灯に、2つのアダプタを取り付けたところ国民ソケットの長さが15cmあるので、ちょっと天井から離れた感じになるが、下から見る分には違和感はないヒモスイッチのヒモは、約60cmあり、かなり下まで届く

 このヒモのおかげで、天井の灯りが操作しやすくなった。ベッドから身を乗り出す必要はあるが、ベッドから降りて、壁まで歩くことに比べればずっと良い。

 なお、当たり前のことだが、ヒモスイッチで消灯したときは、壁スイッチをオンにしても点灯しない。交換した当初は手間取ったが、最近は点灯も消灯もヒモスイッチで操作することに慣れてしまい、自然に解決してしまった。部屋に入ると、ヒモを引っ張って灯りを点け、寝るときや部屋を出るときは、もう一度、ヒモを引っ張るということが、自然にできるようになった。考えてみれば、40年以上前の我が家の照明器具は、そういう操作方法だったのだから、昔に還っただけとも言える。


電球が2つ点けられる、もう1つの国民ソケット

 ついでに、もう1つソケットを紹介しよう。それが「2号新国民ソケット WH1021PK」だ。実売価格はWH1010PKとほぼ同じぐらいで、500円前後だ。

左が3号国民ソケット、右が2号新国民ソケットLED電球を2つ点けた状態

 この製品の特徴は、ソケットが二股になっていることだ。真下と斜め横の2つソケットがついており、カタカナの「ト」のような形をしている。おのおののソケットに電球が装着できる。

 ヒモスイッチを引くと、下側のみ点灯→両方点灯→横側のみ点灯→消灯の順で変化する。

 2号新国民ソケットを使うと、装着される電球が2個になるので、部屋をより明るくできる。電球1灯だけでは物足りないという方にお勧めしたい。ただ、「ト」の字の“斜め下向き部分”の位置を、意図した方向に向けることは難しい。E26口金はネジなので、最後にどの位置で止まるのかは、自分で選べないのだ。

 さらにいえば、2つの電球の位置が近いので、ボール型の電球を装着すると、もう1つの電球と接触してしまう。電球型蛍光灯やLED電球を使う場合は、白熱電球に近い大きさのスリムなタイプを選んだ方が良い。

 ちなみに、「1号新国民ソケット」という製品もあるが、これはE26口金が2個と、100Vのコンセントがセットになっている。なお、1号と2号に“新”がついているのは、モデルチェンジがあったからだという。新国民-ソケットではなく、新-国民ソケットというわけなのだ。


「国民ソケット」のはじまりは昭和10年

 しかし、「国民ソケット」とはすごい名前だ。名前から直感したとおり、戦前にできた製品で、シリーズの最初の製品は昭和10年(1935年)に発売されたそうだ。70年以上も歴史がある名前だったのだ。戦前のほとんどの家庭にはコンセントがなく、天井から電灯線が1本あるだけの状態だった。国民ソケットは、そういう状況下で、工夫を凝らして、作られた製品だったのだ。

 パナソニックは、黎明期の代表作として「二股ソケット」があることからもわかるように、こういうアクセサリー類を得意としていた。そして、国民ソケット以外にも意外なほど多くの製品が現役として生き残っている。きっと、基本的な機能の製品ほど、製品寿命は長く、時代が変わってもまた新しい使い道が生まれるものなのだろう。国民ソケットも節電という状況下で、また活躍の場を得たのだ。





2012年 1月 20日   00:00