藤山哲人のモバイルバッテリー診断

システムトークス「スゴイバッテリー Air」

〜飛行機にギリギリ持ち込める超大容量バッテリーを使ってみた

「モバイルバッテリー診断」は、スマートフォンの外部電源として普及しているモバイルバッテリーをレビューするコーナーです。(編集部)
システムトークス「空飛ぶバッテリー スゴイバッテリー Air」

 今回紹介するのは、バッテリー容量が37,500mAhという超大容量モバイルバッテリー。その名もシステムトークス製の「空飛ぶバッテリー スゴイバッテリー Air」。何がスゴイって、容量もサイズもデカくて、取っ手付きってトコ!

 読者の中には、ド直球なネーミングの「スゴイバッテリー」を既にご存知の方もいるかも知れない。実はこの製品より容量が倍近くある75,000mAhのスゴイバッテリーという製品が先にあったのだが、あまりにも大容量過ぎて飛行機に持ち込めなかった。つまり容量が大きすぎて危険物扱い(笑)になっていたのだ。

機内持ち込みのバッテリー制限
 世界各国の航空会社が準拠するアメリカ連邦航空局(FAA)の規定で、1個あたり100〜160Whの大容量モバイルバッテリー(リチウムイオン電池)は、ショートしないように個別に保護してあるものに限り2個まで持ち込み可能とされている。75,000mAhのバッテリーをWhに換算すると、75,000mAh×3.7V(電池の電圧)÷1000=277.5Whとなり160Whをブッチギリで越えてしまうため、機内持ち込みどころかトランクに入れて預け荷物にすることもできないのだ。

 なお同様に、リチウムイオン電池の大半は電圧が3.7Vなので、27,027mAh〜43,243mAhのモバイルバッテリーは持ち込み制限品となる。

 一方、電子機器に内蔵されているリチウムイオン電池(携帯音楽プレイヤーやノートパソコンの電池など)は、160Wh以下であれば、予備バッテリーとは別に何個でも持ち込み可能となっている。

 今回紹介する「空飛ぶバッテリー スゴイバッテリー Air」は、バッテリー容量を37,500mAh(およそ139Wh)まで抑え、飛行機の中でも使えるようにしたもの。最大2台まで機内に持ち込める計算だ。

 出力はUSBコネクタが合計で最大4A、おもにパソコン用の12V兼5Vコネクタが合計4A、加えて車でおなじみの12Vのシガーライターソケットも装備している。スマートフォン用として使うなら4台同時充電が可能となるが、タブレットの2台同時充電や業務用途に向いているだろう。

メーカー名 システムトークス
品名・型番 空飛ぶバッテリー スゴイバッテリー Air
バッテリー容量 37,500mAh
繰り返し利用回数 500回
サイズ
(幅×奥行き×高さ)
235×250×76mm
重量 1,500g
カラー ピンク/ホワイト/ブルー
実売価格 32,800円程度

 さて、この製品には通常版とDX版の2つのパッケージが用意されていて、DX版にはスマートフォン充電用の各種変換コネクタが付いたケーブルと、車のシガーライターソケットから本機を充電できるケーブルが添付されている。

USBコネクタは2つだが別売のケーブルで増設できる
DX版に添付されているスマートフォン充電用ケーブル
おもにノートPC用の12Vコネクタ
シガーライターソケットも備えている

 DX版に添付のコネクタは、Micro USB、mini USB、docomo/SoftBank携帯、au携帯、iPhone、Lightningなどに対応できる。通常版との価格差は2,000円だけなので、DX版がオススメだ。

 パソコン用のコネクタは添付のケーブルを差し込むようになっていて、パソコン側のコネクタは外径5.5mm、内径2.1mmの標準的なプラグでセンタープラスの12Vが出力される。ただしパソコンによってはコネクタ形状が違うため、電気に関する知識がある人向けだ。

 シガーライターソケットには、車のシガーライターソケットに差し込んで使えるさまざまなアクセサリや、12Vをコンセントの100Vに変換するDC/ACコンバータなどを差し込んで使える。利用時間はコンバータや機器によって異なるが、メーカーではLED電球なら11時間、小型の冷蔵庫ならおよそ4時間駆動できるとしている。

上部。大きさは、女性のハンドバッグ程度。重さは1.5kg。ニヤリ口のデザインがAmazonの箱っぽい(笑)
上部から見て右。電源スイッチとPC用の12V出力コネクタ、そしてUSBコネクタが2つある。PC用出力コネクタは、ミニDINで12V(2A)と5V(4A)が出ている。ケーブルを自作すれば、5Vの取り出しもOK
天面には取っ手がついていて、持ち運びやすい
右上には車と同じ平形タイプのヒューズを使っている。また設置に便利なVESA 75mm(液晶ディスプレイスタンドの規格)のネジ穴が設けられている
上部から見て左側。充電用のコネクタには、添付のACアダプタを接続すると急速充電ができる。またDX版には、車のシガーライターソケットから充電できるケーブルが添付されている
底面は足のみ
バッテリー残量は5灯式。残量が少なくなると、一番右側の赤いLED(写真では点灯していない)が光る

 バッテリー残量は1色5灯(最後の1灯のみ赤で光る)になっていて、かなり大雑把にしか把握できない。1灯あたり20%(7,500mAh)になるため、バッテリー容量の小さいスマートフォンがあと何回充電できるかといった判断はできない。

 また電源スイッチは機械式のスイッチで、スマートフォンの充電が終わっても自動的にOFFになる機能は備えていない。スマートフォンにバッテリーアプリをインストールして、フル充電になったらアラームを鳴らすなどで個々に対応して欲しい。

大容量高出力なので安定性は抜群

 いつもなら製品紹介のあとに、スマートフォンを実際に何回充電できるかをテストするところだが、あまりにも大容量なので実験に時間がかかりすぎる点と、何回も充電すると誤差が大きくなってしまうという問題がある。つまり計算で出す充電回数より、実際に実験した充電回数の方が誤差が大きくなるという逆転が起きてしまうのだ。

今回は実際に充電できた回数を実験していない
USBコネクタは2系統で、最大4A出力できる
PC用の12Vコネクタには5Vも出力されているので、ケーブルを自作すればUSBコネクタを増設できる

 そこで大容量バッテリーは、計算による理論値のみをお伝えしていきたい。とはいえこれまで、いくつものモバイルバッテリーを検証してきたデータがあるので、実際に充電するのとほぼ変わらない精度の高い充電回数となっている。

 では実機を使っての実験は省略して、独自の測定器を使いバッテリー実容量を調べてみよう。

 なお実用量とは、パッケージの「○○mAh」というバッテリー容量のうち、実際にスマートフォンを充電できる容量を示す。実用量率は、表示容量に対する割合で、値が大きいほど高性能バッテリーといえる。

 いつもは横軸が数時間のグラフだが、容量が3万7,500mAh多いので24時間以上ある点に注意して欲しい。まず電圧は5.2Vと高い値で安定しているが、USBの規格では4.75〜5.25Vの範囲としているので、スマートフォンなどを充電しても機器に悪影響を及ぼすことはない。

連続電圧変移

 一方の電流は、いつもと比べると駆動時間が長いため不安定になっているように見えるが、900〜950mAと高い電流で安定している。最大4A出力できるパワフルなバッテリーなので、安定性は文句なしと言っていいだろう。

連続電流変移

 これらの実験結果を元に37,500mAという表示容量に対して、実際にスマートフォンの充電に使える実容量を計算したところ、およそ68%で25,384mAhとなった。実容量率は、標準的で一般的なモバイルバッテリー同等だ。

実容量ロス率

  なお計算を元に出した実用量から、各種スマートフォンやタブレットをおよそ何回充電できるかは、次のとおり。Android系の場合()内が内蔵バッテリー容量を示している。

【実用量と各種スマートフォンの充電回数予測】
項目 詳細
バッテリー表示容量 37,500mAh
連続利用時の実用量 25,384mAh(68%)
連続実用量1,000mAh あたりの価格 1,292円
充電回数(理論値) Android(1,300mAh):19.5回
Android(1,500mAh):16.9回
Android(1,800mAh):14.1回
Android(2,000mAh):12.7回
Android(2,200mAh):11.5回
Android(2,500mAh):10.2回
Android(3,000mAh):8.5回
iPhone4s/5/5s/5c(1,500mAh):16.9回
iPad(11,560mAh):2.2回
iPad mini(6,471mAh):3.9回
小容量タブレット(6,000mAh):4.2回
大容量タブレット(12,000mAh):2.1回

 一般的なスマートフォンなら10回以上充電できる容量があるので、かなりガチな長期キャンプなどで重宝するだろう。ただ主な用途は、タブレット用の充電だ。一般的なタブレットなら、2〜3回はフル充電できる容量を持つ。

超急速充電は4時間半でフルチャージ

 このモバイルバッテリーは、3つの充電方式に対応している。1つめは添付のACアダプタによる充電で、空の状態でもわずか4時間半でフル充電できる。またDX版には、車のシガーライタープラグから充電できるケーブルが添付されており、ACアダプタと同等の時間で充電できる。

添付のACアダプタを使うと4時間半で急速充電できる
DX版に添付されているケーブルを使うと、車のシガーライターソケットから充電も可能

 3つめは、同社が別売している各種の太陽電池パネルを使った充電も可能。ただしフル充電にかかる目安の時間などは公表されていない。どうしても電源が取れない災害時や長期のキャンプなどでは、太陽電池パネルと合わせて利用すると、利用範囲が大きく広がるだろう。

【本体充電スペック】
項目 詳細
本体充電用コネクタ 専用コネクタ
添付充電器(仕様) 専用充電器
充電時間(カタログ値) 4時間半
充電時間(実測) 4時間37分
繰り返し利用回数 500回

タブレットの充電やイベント会場などで100Vを取りたいときに

別売のDC/ACコンバータを使えばコンセントと同じ100Vが取れる

 さて表示容量37,500mAhでスマートフォンを10回以上余裕でフル充電できる超大容量バッテリー。身近な用途では、タブレットを2〜3回充電するモバイルバッテリーとしてピッタリだ。ただ持って歩くには少し重いので、イベントなどで常にタブレットを使う場合の充電用などに重宝するだろう。飛行機の客室に持ち込めるという利点を活かせば、日本からヨーロッパ、東アメリカ便でもずっとタブレットを使い続けられる。

 さらに車のシガーライターソケットや、別売の太陽電池パネルで充電できるところに着目すれば、災害時の電源としても有効だ。スマートフォンやタブレットの充電だけでなく、別売のDC/ACコンバータを使えばコンセントと同じ100Vが取れるようになるので、電源の取れないイベント会場でも便利に使えるだろう。

【総合評価】
メーカー・品名 システムトークス「スゴイバッテリー Air」
ロスの少なさ  ★★★☆☆(3)
持ち歩きやすさ ★☆☆☆☆(1)
単位容量の安さ ★★★☆☆(3)
 充電の早さ  ★★★★☆(4)
使い勝手のよさ ★★★☆☆(3)

(藤山 哲人)