家電製品ミニレビュー

ビタントニオ「コーヒーメーカー VCD-3」

~ステンレスポットで熱くておいしいコーヒーを長く楽しめる
by 藤山 哲人
ビタントニオ「コーヒーメーカー VDC-3」

 今日ご紹介するのはコーヒーメーカーだ。これまでにも数々のコーヒーメーカーを紹介したので「またか……」とお思いの読者も多いことだろう。まずは写真で、革新的な違いを目にして欲しい。

 白いのが珍しい? 確かに白いコーヒーメーカーは珍しいが、決定的な違いではない。注目すべきは、デカンタ。このコーヒーメーカーは、熱々のコーヒーを魔法瓶に直接落とすというのだ。これがビタントニオのVCD-3。


メーカービタントニオ
製品名コーヒーメーカー「VCD-3」
希望小売価格10,500円
購入場所楽天市場
購入価格8,482円


真空2層式ステンレスポットの本性能は並じゃない!

 コーヒーメーカーのレビューといえば、その味やメンテナンス性を紹介するのがセオリーだが、まず次のグラフを見て欲しい。

温度計の分解能が1℃刻みなので、グラフが階段状になっている点はご容赦いただきたい

 緑の線が一般的なガラス製デカンタのコーヒーメーカーだ。薄い緑は、コーヒーを落としたあと保温スイッチを切った場合。濃い緑は、自動的に入る保温モード2時間も含めて温度変化となっている。

一般的なガラス製のデカンタ。保温性能は緑の線で示している。ビタントニオ「VCD-3」のデカンタ。デカンタというよりポットに近く、魔法瓶そのものだ。保温性能は黄色の線で示している。

 かたや黄色い線は、今回紹介するコーヒーメーカーの魔法瓶の中の温度変化。ポットや本体には、保温用のヒーターは一切ないが、違いが歴然としているのがわかるだろう。

センサー位置が見えるように、写真では水を利用している。実際のデータは、コーヒーを落として測定したもの

 測定は次のように行なった。

 センサーの取り付け位置は、ポットの底から1cmの場所で、ほぼ中央にセットしている。室温は26℃、水温は27℃、使った水の量はおよそ8杯分にあたる1Lとしている。

 筆者はぬるめのコーヒーをがぶ飲みするのが好きなのだが、一般的な飲み頃を調べたところ65~70℃であるという。とはいえ逆に、熱々のコーヒーを少しずつススるのが好き! という奥さんの意見も考慮して、飲み頃の温度を示したのが65~85℃のオレンジ色の領域だ。

 ガラス製のデカンタで保温しなかった場合、飲み頃の時間は入れたてから45分程度。保温した場合は、2時間45分といったところだ。魔法品を使っているビタントニオのコーヒーメーカーでは、3時間45分と大きく飲み頃の時間帯を稼いでいるのがよく分かる。

保温しないから煮詰まらない! 煮詰まらないからおいしい!

 一般的なコーヒーメーカーは2時間ほど保温するので、飲み頃の温度だけで見れば、2時間45分はおいしく飲めるはずだ。でも実際の経験からご存知のように、落としてから2時間以上経ったコーヒーは、苦かったり酸っぱかったりと、とてもおいしいとは言えない。

 データを取ってみてよく分かったのは、保温モード時は83℃とかなり高温になっていることだ(前出のグラフ参照)。おそらく落としたての温度をキープするように設計されていると思われるが、煮物をしている時を思い出して欲しい。

これだけの水滴が付いていれば煮詰まってしまうのも当然だ。

 とろ火で2時間もキンメダイを魚を煮つけたら、魚は跡形もなく崩れる。もちろん煮汁は干上がり、キンメの焼き魚になるだろう。しっかりフタをしたナベでも、とろ火で2時間も煮込んだポトフならかなり水分が飛ぶ。

 コーヒーもしかり。デカンタにフタがされているものの、落としたての温度である83℃は、かなり湯気が立っている状態。それを2時間も放置しておけば、水分が蒸発し煮詰まらないわけがなののだ。

 一方、お出かけ前に保温水筒に入れたコーヒーを、渋滞の中で飲んだり、ピクニックでお昼に飲んだりすると、妙においしかったりする。もちろん疲れや環境の変化という要因もあるが、おいしさの原因は「煮詰まっていない」からだ。

 ビタントニオのコーヒーメーカーの着眼点は、ピクニックで飲んだおいしいコーヒーにある。

フィルターを使い分けて好みの味に

金属製のメッシュでできたゴールドトーンフィルターも添付されている。

 このコーヒーメーカーには、最近よく耳にする「ゴールドトーンフィルター」が添付されている。金属製の細かいメッシュになっていて、ペーパーだと吸収してしまうコーヒーの油分を通すというものだ。

 香りやうまさは油分にも多く含まれているため、ペーパーとは一味違うコーヒーショップの味になるという。

 まずはゴールドトーンフィルターを使って落としてみた。

添付の計量スプーンを使って豆を入れる。中煎りの中挽きまたは粗挽きのものを使用する8杯ぶんでおよそ1Lの水。落ちるのは900ccほどだマグカップだと6杯分に相当する

 コーヒーショップで有名な「スターバックス」のWebページによれば、おいしいコーヒーの決め手は、注ぐお湯の温度と抽出時間にあるという。温度は90~96℃で、抽出時間は6分以内。それ以上時間がかかってしまうと雑味まで出てしまうというのだ。

 ビタントニオの抽出時のお湯は、85℃とスターバックスの説明に比べるとやや低めだが、温度については諸説いろいろあるようで、その幅は80℃からとなっている。

 抽出時間は8杯分(およそ1L)を落としたところ、7分かかった。オフィスでもない限り一度に8杯も落とすことはないので、スターバックスの言う6分以内をクリアしていると言えるだろう。

 なおコーヒーはすべて魔法瓶の中に落ちるので、抽出が終わるとすぐに電源が自動的に切れる。電気代は抽出時に使う電気代だけだ。一方保温機能つきの機種を調べたところ、およそ3分に1回15秒間の加熱を行なっていた(室温26℃の場合)。このときの消費電力は940Wだったので、2時間保温した場合の電気料金はおよそ3.6円だ。額としてはたいしたことはないが、節約できるにこしたことはないだろう。

 味は、ペーパーで落とすのとは違い、少しコクがある感じがする。眠気ざましや午後の一杯にふさわしいうまさ。

ゴールドトーンフィルターで落とした一杯表面には油分が多く浮いているペーパーよりもメッシュが粗いので、飲み干すと少し粉っぽい感じが残る

 ゴールドトーンフィルターを外すと、ペーパーフィルターも利用できる。ペーパーで落としたコーヒーは、あっさりとしてモーニングコーヒーとしてピッタリだ。

ゴールドトーンフィルターの替わりにペーパーフィルターをセットすることも可能若干油分が少なめに見える飲み干しても粉っぽさは舌に残らない。あっさりとした感じ


ステンレス製魔法瓶なので氷をガンガン入れてアイスコーヒーも!

 デカンタはステンレス製の魔法瓶になっているので、氷をガンガン入れても内瓶が割れることがない。タップリ氷を入れ濃い目のコーヒーを落とせば、アイスコーヒーも待たずに作れる。

フタの裏に見える小さな丸がコーヒーの落とし口。本体から外すと口が密閉され保温性がさらに増す内瓶はステンレス製なので割れる心配もなく、氷を落とし入れても大丈夫

 保温性能は冒頭に見たとおりなので、冷蔵庫に入れておかなくても数時間はキンキンに冷えたアイスコーヒーを楽しめる。

 さらに保温効果を長持ちさせるには、デカンタを本体から外しておくことだ。本体にセットしたままだと、コーヒーを本体から受けるため口が開いた状態になるが、取り外すと口がふさがり保温性能がさらに上がる。

デカンタ以外のお手入れは簡単

 フィルターとフィルター受けは、上部のボタン1つでパカッ! とドアが開くので手がふさがっていてもカンタンに取り出せる。

ボタン1つでフィルター部分をオープンできるお手入れするのは、フィルターとフィルター受けの2つメッシュが滑らかでスグに豆を洗い流せる

 ゴールドトーンフィルターは表面が非常に滑らかで、メッシュも細かいので残った豆は、三角コーナーにポンと当てるだけでゴッソリ落ちる。あとは中性洗剤で軽く洗ってやるだけでいい。

 ただデカンタは、上部の口が狭いため直接手を入れて洗うことはできないのが難点だ。さすがに何年も使っていると汚れも目立ってくるので、別途ブラシを用意したいところだ。

部屋のインテリアとしてオフィスのサーバーとして

 白や白木を基調にした部屋であれば、ホワイトのボディーにステンレスのシンプルなデザインは、インテリアの雰囲気をこわすことなく、どこにでも置いておけるだろう。

黒いコーヒーメーカーはカントリー調の部屋でひときわ目立つが、このデザインなら部屋の雰囲気も損なわないだろうアーバン調の部屋にもシンプルなデザインがしっくりくる

 また一度に8杯分落とせ、長時間おいしいコーヒーが飲めるというのは、事務所用のコーヒーサーバーとしてピッタリだろう。しかも煮詰まることなく、電気代もかからない。

 落としたてのコーヒーの味を長く味わえ、しかも経済的なコーヒーメーカー。それがビタントニオのVCD-3だ。





2009年9月16日 00:00